とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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アレクシア和解ルートEND

 月 日

色々と責任を取ることにした私は、結婚式を挙げたいかアレクシアに聞いてみると食い気味で了承したので、見物人はエヴリンだけの簡素な式を挙げることにした。まさか私が結婚することになるとは思わなかったがな。しかも相手は敵対していた筈のアレクシア。金髪が映える純白のウェディングドレスを身に纏ったアレクシアは美しかったが、内面を知っているものとしては外見だけなら完璧であるのにと思わなくもない。神父の前で白金とダイヤモンドで作製した指輪を交換して誓いのキスをするが、アレクシアが腕を首に絡めてきて離さなかったせいで異様に長いキスになって神父が困惑していたな。もう数え切れないほどキスをしているのにし足りないのかね君には、と思いながらされるがままになっていたら流石に神父が「もうそろそろ良いでしょう」と止めてきたが離れない。仕方なくウィルス適合者としての怪力でアレクシアを引き剥がす。式が終わり教会から出て服を着替えたらアレクシアとエヴリンと3人で観光を開始する。

 

 月 日

アレクシアが妊娠した。これでウィルス適合者同士の子供ができたということになる。アレクシアはとても嬉しそうに腹部をさすっていた。責任を取って結婚式を挙げておいて良かったと感じる。順序としては正しい。実年齢からすれば高齢出産になるのかもしれないが、肉体年齢は20代なので問題はなさそうだ。始祖ウィルス適合者とtーVeronicaウィルス適合者が交わって生まれる子供がどんな子供になるのかは解らないが、少なくとも2種類のウィルスに適合する遺伝子を持っていることは間違いないだろう。他の組織の連中からすれば興味深い存在である。狙われることは確実だ。守らなくてはならない。アレクシアとその子供を魔の手から。今日から警戒を強化しよう。監視カメラを増設して私の拠点に近寄るものがいれば直ぐ様存在を明らかにしてやる。敵だった場合は勿論処理、敵に対して容赦をする必要はない。アレクシアとその子供を狙うものがいれば速やかに始末する。ただの1人も例外はない。

 

 月 日

身重になったアレクシアを労り、家事はエヴリンと私が全て行うようになった。調べてみたところ胎児の性別は男の子だ。弟ができると聞かされたエヴリンは「お姉ちゃんになるんだから確りしないと駄目だよね」と気合いを入れて家事に挑んでいた。たまに張り切り過ぎて失敗することもあるが、そこは私がフォローすることで何とかしている。自分が結婚して子供ができることなど一生ないものだと思ってはいたが、そうではなかったらしい。私とアレクシアの血を受け継ぐものがアレクシアの胎内で元気に育っている。それはとても喜ばしいことだ。アレクシアと私の指で輝く結婚指輪が誓いの証。私の妻となったアレクシアはとても幸せそうだ。彼女とこんな関係になるとは思っていなかったが、悪くはないと思える。

 

 月 日

アレクシアの出産は私が請け負った。病院という敵対組織が入り込める余地がある場所で無防備な姿を晒す訳にはいかない。私の拠点内の無菌に保った実験室で出産を行うことになった。作製した分娩台にアレクシアを乗せて我が子を待ち構える。アレクシアが痛みには慣れているとしても出産の痛みは別格と言えるだろう。顔を歪ませて息を吐くアレクシア。現れた我が子の頭と身体を受け取り、元気な産声を聞きながら繋がっている臍の緒を処理する。頑張ってくれたアレクシアに清潔で柔らかな布でくるんだ私達の子供を手渡す。子供を抱き抱えて安心したかのように笑うアレクシア。今までもエヴリンがいたが、血の繋がる子供が産まれたことで更に父親となったことを実感する。エヴリンの母親であったアレクシアも、血の繋がる息子を大切に抱き抱えているところを見ると母親になったことを強く実感しているようだ。

 

 月 日

産まれた我が子は順調に育っている。エヴリンが笑顔の我が子に指を握られてはしゃいでいた。あまり良くは泣かない我が子に元気がないのかと心配になるが、そうではないらしい。たまに泣くことがあっても私が抱き抱えるとすぐに泣き止んで笑うので、元々あまり泣かない子ということになる。オムツの中で大便をしていても気持ち悪くないのかは解らないが泣いたりしないので、オムツの取り替え時が便の匂いがした時という感じになっていて少し手間がかかるが仕方がないな。今のオムツは匂い漏れも少ないので感覚が鋭い私とアレクシアにしか解らないが、オムツの取り替えをエヴリンに任せるにはまだ早いので問題はない。エヴリンは私とアレクシアの子供が可愛くて仕方がない様子で「お姉ちゃんだよ、よろしくね」と赤子用のベッドに横になる私達の子によく話しかけている。とてもいい子のエヴリンの頭を撫でてやると相変わらず抱きついてきた。身体は成長していてもそういうところは変わらない。エヴリンごと抱きしめてきたアレクシアが自分の頭も撫でるように催促してくるところも変わらなかった。

 

 月 日

離乳食を食べられるようになった我が子に作った離乳食を匙で掬い開いた口に入れると口を閉じて舌で押し潰して飲み込む我が子。笑顔を見せながら口をまた開いてくる。どうやら美味しかったらしい。食事が終わると眠そうな我が子を抱えてベッドまで運ぶ。ベッドに横になるとすぐにぐっすりと寝てしまった。今度は3人分の料理を作りエヴリンとアレクシアの前に置いておくと、何故か食べ始めない2人にどうしたのかと聞くと「食べさせてほしい」と言ってくる2人。エヴリンはともかくアレクシアもかね、と思いながらも両手を使い、フォークで料理を絡めとると口を雛鳥のように開いて待っている2人に食べさせると2人は幸せそうな顔で食べていた。滅多にわがままを言わないエヴリンの可愛らしい頼みだから引き受けたが、アレクシアはもう少し我慢を覚えた方がいいと思うぞ。特に夜はな。我が子の2人目が欲しいのは解ったが、気が早過ぎる。

 

 月 日

すくすくと成長している我が子をアレクシアとエヴリンに任せて外出する。買い込んだ食料品を抱えて帰る道の途中でジュアヴォが襲いかかってきた。懐のホルスターから引き抜いたL・ホークで処理していくと下半身が昆虫のような逆関節となったノガ・スカカネと堅い甲殻を持つ強靭な脚を持つノガ・オクロプに変異するジュアヴォ。それで終わりではなく下半身のみが人間の形を残し上半身が昆虫の幼虫に酷似した形へと変異したテロ・エクスプロジャと化したジュアヴォが爆裂して周囲に存在するジュアヴォを巻き込んでいく。胴体が鱗のような甲殻に覆われたテロ・クルルジュストの頭部を狙い撃つ。胸部から蛾のような羽根を生やして鱗粉を撒き散らしてくるテロ・マグラが元のジュアヴォに戻ったところで眉間にナイフを投げつけ、深々と突き立ったナイフで抉りながら引き抜いた。抱えた食料品に傷1つなく一滴の血も浴びず全てのジュアヴォを始末して帰り道を歩いていく。拠点に帰ってきた私を我が子を抱えたアレクシアとエヴリンが迎え入れてくれる。ジュアヴォを送り込んできた組織がいようと私の日常には何ら問題はない。

 

 月 日

ジュアヴォを送り込んできていた組織を特定。これからも送り込まれ続けるのは迷惑なので処理をすることにした。私の子供は朝の食事を済ませてぐっすり眠っている。起こさないように静かに拠点から出発。辿り着いた組織の所在地である屋敷に侵入を開始する。入り口の鍵をキーピックで抉じ開け内部に入り込むと、発見した組織の構成員の背後から忍び寄り自白剤を投与して情報を絞り出してから処理。構成員から剣、盾、鎧、3本の鍵を入手。種類の異なる鍵を用いなければ入れない箇所があるらしい。扉に刻まれた紋章に応じる鍵を使い中に入り、無防備な構成員達から情報を奪い取り始末していく。合計で50人の構成員を処理した。必要な情報は十分に手にいれたので、今後出会った構成員は情報を聞き出さずに処理していく。全ての構成員を片付けたところで、3本の鍵を用いて手にいれた予備の王冠の鍵を使い、組織の首領が居る部屋の鍵を開ける。問答無用で殻に覆われたゴリラのようなナパドゥの群れをけしかけてくる組織の首領。

 

全てのナパドゥの堅い外殻を割り、人の顔に似た背中の中枢神経にL・ホークを撃ち込んでやり始末していく。1人残された組織の首領が脱出用の裏口から逃げ出そうとしたところを捕まえて自白剤を投与し、私をジュアヴォで狙った理由を吐かせる。どうやらジュアヴォ程度で殺せる筈だと私を甘くみていたらしい。聞くべきことは聞き終えたので組織の首領も処理する。これでこの組織は壊滅だ。拠点に帰って食事の支度をした。3人分の普通の料理に1人分の離乳食。食事を終えて食器を洗い終えたら、我が子の相手をしてくれているエヴリンの様子を見に行く。絵本を読み聞かせているエヴリンに笑っている我が子。仲がいい2人を眺めていると不意にアレクシアが抱きついてきた。抱きしめ返すことにも抵抗はもうない。急に抱きついてきてどうしたのかと問えば「抱きつきたくてたまらなくなった」と答えが返ってくる。アレクシアとエヴリンは、よく抱きついてくるなと思いながらアレクシアを抱きしめ金髪を撫でていく。

 

 月 日

2本足で立って歩くことができるようになった私とアレクシアの子供。拠点内をエヴリンと一緒に歩き回っている。危ないところには行かないようにエヴリンが気をつけてくれているので問題はない。私の足にしがみついてしばらく離れなくなったりもしながら元気に動き回っている我が子とエヴリン。少しずつ成長していっていることがよく解る。言葉が喋れるようになるのもすぐかもしれない。何しろアレクシアの子供でもあるからな。生まれながらに2種類のウィルスに適合しているとしても、まだ子供だ。tーVeronicaの解放の仕方も解らないだろう。それができるようになるまでどれくらい時間がかかるかは解らないが、力の使い方を教えなければいけない。

 

 月 日

私とアレクシアの子供が喋った。初めて言った言葉は「パパ」だったが、それはエヴリンが良く言っていた言葉だからだろう。次に喋る言葉は「ママ」か「エヴリン」であるといいがな。我が子が喋ったことにおおはしゃぎして「お姉ちゃんの名前はエヴリンだよエヴリン」と言わせようと頑張っているエヴリン。私に先を越されたことにもアレクシアは慌てずに「この子もパパが大好きなのかしらね」と我が子の頭を撫でながら笑っていた。私達の子供に私が最初に呼ばれたことは嬉しかったが、学習速度が早いような気がする。我が子の知能はやはり高いようだ。天才と呼べるアレクシアの血を受け継ぐ子供ではあるから、それは間違いない。教育は確りとしておかなければいけないな。幼い頃のアレクシアのような子供にならないように気をつけなければならない。アレクシアには悪いが、自分の子供をあんな性悪な子供にしたくはないぞ私は。血の繋がりはないとはいえ父親をtーVeronicaの実験体にするような子供は嫌だ。私にはtーVeronicaや他のウィルスが効果はないので投与されても問題はないが、そういう子供にはなってほしくない。

 

 月 日

舌足らずだった言葉が流暢になり「パパ、遊んで」と抱きついてくる我が子。続いてエヴリンも「パパ、わたしも一緒に」と抱きついてくる。おまけにアレクシアまで「楽しそうね貴方、それじゃあわたしも」と言って抱きついてきた。3人に抱きつかれても身動きはとれるが怪我をさせてしまうかもしれないのでされるがままの状態でとりあえず全員一旦離れてくれと言うが離れてはくれない。仕方なくより強く抱きついてきた3人を抱き抱えて移動する。子供部屋で抱き抱えていた3人を降ろして何して遊ぶのか聞いてみると「一緒に積木がしたい」という我が子に「お姉ちゃんも一緒にする」と言うエヴリンに「わたしは貴方に抱きついてるわね」と微笑むアレクシア。アレクシアはいい加減に離れてくれないだろうかと思いながらも抱きついてきたアレクシアをそのままに積木をしていく。上手く計算して高く高く積み上げていく我が子に負けじとエヴリンも積み上げていく。私はアレクシアに抱きつかれながらゆっくりと積み上げていった。

 

 月 日

息子はどうやらハーブに興味を持ったらしく「教えてパパ」と言ってくる。とりあえず簡単な調合を教えると直ぐ様身につける息子。ウィルスに適合した高い身体能力でグリーンハーブをすり鉢に入れて擂り粉木で丁寧に擂り潰していく。出来上がった調合したハーブを嬉しそうに見せつけてくる息子の頭を撫でながら良くできたと褒めておく。更に詳しく知りたい様子の息子にハーブのことを教えていくと目を輝かせながら聞いている。ハーブをメディカルセットと組み合わせて回復剤や解毒剤に止血剤を作り出す方法も教えていくと、それも容易く身につける息子。試しに教えたハーブタブレットの作り方も簡単に覚えた。ハーブを元にした錠剤の回復薬の作り方までも教えると直ぐに理解して作り出した息子の知能はだいぶ高いようだ。抗ウィルス剤の作製は少し手間取ったが、それも問題なく作り上げる息子。砂漠の砂が水を吸収するかのように技術を身につけていく息子は間違いなくアレクシアの息子だ。そして私の子でもある。高い知能が悪い方向にいかないように教育していく必要があるな。

 

 月 日

高い知能と身体能力を持っていても相変わらず抱きついてくる息子を抱き抱えて拠点内を移動しているとアレクシアとエヴリンがキッチンで料理をしていた。出来上がった料理を息子を抱き抱えたまま一緒に食べる。既に歯が生え揃っている息子も普通の料理が食べられるようになっていた。食べ終わって眠そうな息子を抱えて一緒にハーブ配合の歯磨き粉で歯を磨いてから新たに購入したベッドにまで向かう。横になった息子が「パパも一緒に寝ようよ」と言ってきたのでベッドに並んで横になる。そのまま寝ることにした私が起きた頃にはエヴリンとアレクシアまで一緒のベッドで寝ていた。家族全員が寝ているベッドから抜け出して水を飲みにいく。冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを飲んでいるとアレクシアが現れる。喉が渇いたと言うアレクシアにも取り出したミネラルウォーターを渡しておいた。2人でミネラルウォーターを飲んでいるとアレクシアが近付いてきて椅子に座っていた私の膝の上に乗っかってくる。アレクシアが「2人きりね」と私の頬を撫でたかと思えば唇を合わせてきた。首に腕を絡めてきて濃厚なキスをしてくるアレクシア。やられっぱなしは良くないので反撃をすると身体の力が抜けたアレクシア。妻を抱きしめて更に追撃をすると完全に身を委ねてきた。情欲に染まった目をしているアレクシアに続きは夜と、お預けをすると残念そうな顔をしていたが頷く。流石に昼寝では眠りが浅くて子供達が起きてくる可能性があるのでな。見せる訳にはいかんだろう。

 

 月 日

息子が調合したハーブを転んで擦りむいていたエヴリンの膝に塗り込んでいた。エヴリンが「痛くなくなったよ、ありがとう」とお礼を言うと息子は「パパが教えてくれたハーブのおかげだよ、エヴリンお姉ちゃん」と笑顔で言う。私が教えたハーブの調合が役に立ったみたいで嬉しい。息子は優しい子に育ってくれたようで何よりだ。暇さえあればハーブの調合をして色々と作っている息子は徐々に腕を上げてきていている。丁寧な仕事ぶりで作製された回復剤は実用に足る出来だった。その内に、私が作ったものと遜色ない出来の代物ができあがるかもしれない。この才能をハーブだけに使わせても良いのだろうかと思わなくもないが、息子のやりたいことを伸び伸びとやらせてやることも大切だ。少なくとも人に害のあることではないのだから問題はない。そろそろハーブを元に薬液と調合した回復薬の作り方も息子に教えてやるとしよう。ハーブに関することなら何でも知りたがる息子に教えることはとても楽しい。

 

 月 日

エヴリンが精一杯背伸びをして私の頬にキスをしてきた。満面の笑みを浮かべながら「パパ大好き」と言ってくるエヴリンにパパもエヴリンが大好きだと言うと「ママよりも?」と首を傾げながら聞いてくるのでママと同じくらいかなと言っておく。それを聞いていたらしいアレクシアが「パパは大変ね」と笑っていた。エヴリンが抱きついてきて強く抱きしめてくる。抱きしめ返しているとエヴリンが「パパにもっと好きになってもらえるように頑張るね」と張り切っていた。ママと同じくらいの大好きではエヴリンには足りなかったらしい。生物兵器として生まれながらも家族を求めていたエヴリンが、今では私の家族の一員となっている。生まれが複雑なのはアレクシアも同じで、ベロニカ・アシュフォードのミイラから採取した遺伝子に手を加えて人工的に作り出された天才であった彼女が、今では私の妻でありエヴリンも入れて2児の母だ。私と一緒に暮らす彼女達は、とても幸せそうなので、彼女達を不幸にはしていないと確信できている。できればこの幸せが長く続くように願っておく。

 

 月 日

体力を永続的に増強するイエローハーブの存在を息子に教えると、かなり興味をひかれた様子の息子。是非とも研究したいとせがんでくる息子にイエローハーブを提供しておく。興味深い存在であるイエローハーブに熱中して周りが見えていない息子が些細なミスをしないように注意して眺めておくと、イエローハーブをすり鉢で擂り潰してペースト状にしたものを顕微鏡で眺めたり、薬品に反応させていたりする息子は、とても楽しそうだ。私も同じ道を通ったものだとしみじみと考えているとイエローハーブとグリーンハーブにレッドハーブを組み合わせたものを自分で飲んで効果を確かめている息子。自分の身体を簡単に実験体にしているところはアレクシアにそっくりだな。実験は成功したようで体力の増強を実感している息子に、簡単に自分を実験体にするのは止めておきなさいと諭しておく。今回は私が見ているところで危険性もないと解っているイエローハーブであるから止めなかったが、今度今回みたいに自分を実験体にするようなことがあれば実験は禁止すると厳しく言いつけておくと「解ったよパパ、ごめんなさい」と素直に謝ってくる息子。解ればいいと頭を撫でておくと嬉しそうに笑う息子はいい子だ。

 

 月 日

アレクシアからの接触がかなり多く。執拗なまでに身体を触ってくる。それはエヴリンや息子がいようとお構い無しで、エヴリンが「ママ、パパのこと触り過ぎだよ」と注意しても止めないアレクシア。息子も「ママは大丈夫なの、パパ」と心配している。流石に様子がおかしいアレクシアにどうしたのかと聞くと「しばらくしていないから我慢ができなくて」と答えが返ってきた。しばらくと言っても3日程度なんだがと思いながらもアレクシアを抱きしめて耳元で今夜は期待しておくといいと囁いておくと接触が少し減る。どうやら今夜は徹夜になりそうだ。とりあえず昼寝をしておこうとエヴリンと息子を誘いベッドに行くとアレクシアも着いてきた。4人でベッドに横になり寝ることになる。直ぐ様寝ついたエヴリンと息子だったがアレクシアと私はまだ起きていた。2人でしばらく会話をしているとアレクシアが手をのばしてきたので手を握ると、アレクシアが「愛してるわジョン」と言ってきた。私も愛しているよと伝えて繋いだ手にキスをすると、アレクシアが覆い被さってきて唇を合わせてくる。激しいキス。離れた唇から漏れる吐息。アレクシアが「夜まで待てそうにないわ」と言って自らの唇を舌で扇情的になぞる。その後は子供達を残して部屋を移動することになった。少なくともアレクシアを満足させることはできたので過度な接触は明日からはないだろう。

 

 月 日

息子の現在の身体能力は成人男性程度だろう。一桁の年齢でこの身体能力は驚異的だが生まれながらのウィルス適合者であるならば当然か。息子には自衛の手段を教えることにする。家族は全員必ず守るとは決めているが、自分の身を自分で守れるようになるのは悪いことではない。身体の動かし方から教えていくと直ぐに身につける息子。流石に物覚えが早い。技も覚えたので私に向けて放ってみるといいと言うと「パパにそんなことできないよ」と嫌がる息子。大丈夫だと言っても首を縦に振らない息子に、念のため用意しておいたサンドバッグを使わせることにした。息子は「これなら大丈夫」と言ってサンドバッグをひたすら殴打する。成人男性が喰らったら悶絶することは間違いなしの威力で振るわれる息子の拳。拳を鍛えているわけでもないのに硬いサンドバッグを殴って痛めた様子も傷1つもない息子の拳の強度は生まれながらのウィルス適合者であるためか、かなりのものらしい。

 

 月 日

エヴリンと息子が「パパとママの好きなところ」を言い合っていた。2人で楽しそうに好きなところをあげていくエヴリンと息子。エヴリンが「料理が上手なところ」と言うと息子は「色々と教えてくれるところ」と言う。これは私が聞いていてもいいことなんだろうかと思いながらも隠れてこっそり聞き続けているとアレクシアが現れて「何してるの貴方」と聞いてきた。子供達が楽しそうだから邪魔をしては悪いと思ってと言うと「パパを邪魔に思うような子達じゃないでしょう」と笑って私の背中を押してくる。アレクシアに子供達の前に押し出されて「パパ、聞いてたの」と子供達に言われてしまう。最初から全部聞いていたよと正直に言うと抱きついてくる子供達。好きなところばかりを言っていたから嫌われてはいないだろうと思ってはいたが私とアレクシアは子供達にとても好かれているらしい。子供達を抱きしめてパパも君達が大好きだと伝えておく。子供達が抱きつく力が更に強まったと思えば背中からアレクシアも抱きついてくる。アレクシアが「みんな貴方が大好きみたいね」と笑顔で耳元に囁いてきた。それはとても幸せなことだと今の私なら理解できる。大切な家族を必ず幸せにしてみせよう。

 

 月 日

ロケットランチャーを装備したネメシスーT型が4体ほど送り込まれてきた。発射される専用のロケット弾の数々を躱しながら接近し、振り払われた寄生生物ネメシスの触手を潜り抜けて、勢い良く伸ばされたネメシスの触手の突きを回避しつつ懐から取り出したアンプルシューターを構えて引き金を弾く。発射されたtウィルスへの特効薬「デイライト」がネメシスーT型の頭部から注入されていき、体内のtウィルスを消滅させていった。倒れ込んだ1体の影から現れたもう1体が振るう拳と鈍器として扱われるロケットランチャーを避けてアンプルシューターに「デイライト」を再装填する。至近距離から頭部に向けて放たれたロケット弾を首を反らし躱して、ネメシスーT型に「デイライト」を投与。倒れ込むネメシスーT型を踏みつけながら此方に走って近寄り拳を振り下ろしてくる新手のネメシスーT型の拳を回避して新たな「デイライト」のアンプルを取り出し、構えたアンプルシューターに装填する。射出された「デイライト」のアンプルがネメシスーT型の頭部へ突き立ち、注入されていく特効薬が効力を発揮していく。

 

息絶えた3体目のネメシスーT型を押し退けてロケットランチャーを放つ4体目のネメシスーT型。連続で撃ち出されるロケット弾を避けていきながらアンプルシューターに「デイライト」を補充する。急速に接近し、ネメシスーT型へアンプルシューターの狙いを定めて引き金を弾いた。絶命した4体目が地に倒れ込んだ瞬間。現れた戦闘ヘリ達から行われた爆撃。降り注ぐミサイルを躱して爆風を回避しながら迅速に移動する。ネメシスーT型達は私を足止めするためだけの捨て駒だったようだ。何とか生き延びることはできたが確実に私を殺しにきている組織を特定して是非ともお礼をしてやらなければいけないな。子供達の相手はしばらくアレクシアに任せておこう。

 

 月 日

万全の装備を整えて外に出ようとする私に「何処にいくのパパ」と言うエヴリンと息子の頭を撫でて、パパはちょっと仕事をしてくると言ってアレクシアに子供達を任せて拠点を後にした。組織の拠点がある場所は既に特定できている。複数の拠点を持つ大組織ではあるが人里離れた場所にある拠点は既に「レギア・ソリス」による超高熱照射で灰塵と化した。残された拠点はあと1つだけだ。組織の連中は私から攻撃を受けていることは理解できているだろう。警戒を深めていることは間違いない。辿り着いた組織の拠点。豪邸といったところだが、内部に潜入してみると研究施設が存在している。「暴君」の博覧会が開けそうなほど数多の「暴君」達が培養ポッドの中で浮かんでいた。Tー103型から始まり、ラクーン大学のグレッグによりセルゲイのクローン以外の人間を元に作り出されたタナトスに、シーナ島タイラントプラント司令官ヴィンセント・ゴールドマンによって開発されたヒュプノスは、タイプの異なる複数の細胞同士を競わせ合い、最後まで勝ち残った優秀な細胞を「暴君」に組み込むという方法で生み出された。

 

長時間にわたる細胞選抜の際、研究員達が睡魔に襲われた瞬間に最も優秀な細胞が発見されたことから、ギリシャ神話の「眠りの神」ヒュプノスの名がつけられている。そしてt+Gウィルスにより調整されたタイラント091と、寄生生物ネメシスにより制御がされているネメシスーT型に、汎用性を高めた「暴君」として実用面を重視して開発されたバンダースナッチと、バンダースナッチの欠点を補った強化改良型であるジャバウォックS3。現存する全ての「暴君」の派生型が此処には揃っていた。金にものをいわせて集めたといった感じだな。どうやらこの組織には豊富な資金力があるらしい。爆撃をする戦闘ヘリだって安くはなかっただろうに態々用意して殺しにくるあたり、よほど私を殺したかったようだな。それほどの殺意を向けられる理由は解らないが、私の家族にも被害が出るかもしれないので、この組織には早々に消えてもらうとしよう。手始めに「暴君」達を処理しておく。特効薬の「デイライト」で始末できるものは始末。それ以外の奴は左腕義手に仕込んだ荷電粒子ライフルで分子レベルで頭部を破壊してやり息の根を止める。

 

全ての「暴君」を処理したところで現れた1人の男が「俺のコレクションをよくも壊しやがったな」と言いながら身に宿したウィルスを解放し、異形と化して襲いかかってくる。蛇腹状の剣のような両腕を高速で振るい、周囲の物を切り裂きながら近付いてくる異形。背負っていた槍で蛇腹状の剣と化している両腕を弾き上げて無防備になった腹部から両断し、地に落ちた上半身を脳天から縦に切り裂いて分割してやる。コレクションを組織の拠点に置くことができる立場であるとするなら幹部の1人といったところだろうか。趣味は個人の自由だとしても良い趣味とはとても言えないな。次々と現れる希少な筈のウィルス適合者達を槍で処理していきながら突き進んでいくと遂に組織の首領がいる一室に到着した。扉を開けると直ぐ様眉間を狙い飛んできたエレファントキラーの弾丸を槍で弾き飛ばす。組織の首領が両手に持つ2丁のエレファントキラーから連続で発射される大口径の銃弾を全て槍で弾いていく。弾切れとなったエレファントキラーを放り捨てると、その身に宿したウィルスを解放して変異を遂げる組織の首領。

 

「忌々しい男だ、消え失せろ」と叫ぶ組織の首領の身体は完全に異形と化しており、全身の骨が発達して体外に突き出したかのような異形となった組織の首領が鋭い肋骨を弾丸のように連続で発射してきた。槍で飛んできた肋骨を受け流し、槍の一撃を喰らわせるが硬度が増している骨はかなりの強度を持っている。指先から突き出した白く鋭い手骨を振るい、此方を切り裂こうとする組織の首領。鋭利な手骨を槍で受け止めた瞬間、至近距離で放たれた肋骨を左腕義手で叩き落としていく。手骨を弾き上げて渾身の力を込めた槍の石突きを頭部に連続で叩き込む。遂にひび割れた組織の首領の堅い頭蓋骨の割れた隙間に、槍の穂先を捩じ込んでから石突きに飛び後ろ廻し蹴りを叩き込んで頭部を槍で貫通させた。倒れ込んだ組織の首領の首を切断して確実に殺害しておく。これでこの組織も壊滅だ。子供達とアレクシアに何か土産でも買ってから帰るとしよう。何か甘いものが良いだろうか。

 

 月 日

土産を片手に拠点へ帰宅した私を出迎えてくれた子供達。エヴリンと息子が「お帰りなさい、パパ」と飛び付いてくる。子供達を抱きしめて持ち上げながら進むとアレクシアは料理をしているみたいだった。完成した料理を持ってテーブル席に置いたアレクシアは此方へ近付いてきて子供達ごと私を抱きしめて「お帰りなさい、貴方」と微笑んだ。テーブル席の座席に子供達を降ろしてアレクシアも席に座らせる。お土産の披露は食事の後にしよう。アレクシアの料理を皆が食べ終えてから買ってきたお土産を開けて子供達とアレクシアに中身を渡していく。値段相応の味はある筈なので問題はないだろう。アレクシアが紅茶を用意してくれた。土産を食べ始めたエヴリンと息子が笑顔になり「美味しいよ、パパ」と言ってくる。口に合ったようで何よりだ。アレクシアも美味しそうに食べているあたり、全員甘いものは好きらしい。私は甘いものが苦手なので私の分は買ってきていないが、土産を買ってきておいて良かった。

 

 月 日

拠点内の座り心地がいい椅子に身を沈めていると膝の上にエヴリンが座ってくる。身体は成長していてもまだまだ子供のエヴリンの頭を撫でていると嬉しそうな笑顔になる。しばらく撫で続けていると私達の前に順番待ちのように息子とアレクシアが並んでいた。満足したらしいエヴリンが私の頬にキスをしてから私の膝から降りると直ぐ様息子が飛び乗ってくる。これは私の膝の上に乗る順番待ちだったようだ。完全に身を任せてきた息子の頭を撫でると幸せそうな笑顔になる。ようやく満足した息子が膝の上から降りると今度はアレクシアが膝の上に座ってきた。これで3人目になるなと思いながらも対面で抱きついてくるアレクシアの頭を撫でてていく。満足するまでの時間が一番長かったアレクシア。膝の上から降りる時にも私と唇を合わせて長いキスをしてからようやく降りた。ここまでされると自分が家族に好かれているということが良く解る。それはとても幸せなことなのだろうな。

 

 月 日

子供達とアレクシアに愛していると伝えておく。言わなければ解らないことは沢山あるので、言えば解ることをまずは言うことにする。単純に私が言いたくなっただけではあるが、愛していると息子とエヴリンにアレクシアへ伝えておく。私からの言葉を聞いた3人が突撃してきた。3人分の衝撃を受け止める。息子が「パパ大好き」と足に抱きついてきた。エヴリンが「わたしもパパを愛してる」と腹部に抱きついてくる。アレクシアが「わたしも愛しているわ、ジョン」と首に腕を絡めてきた。3人に全身へ抱きつかれながら私の言葉が伝わったことを実感するが、身動きが取れないので一旦離れてくれないだろうかと言うと「離れたくない」と声を揃えて言う3人。仕方なく抱きつかれたまま3人の気が済むまでそのままの状態でいることになった。結局2時間以上抱きつかれたままだったんだが、愛していると伝えるだけでこんな状態になるとは思ってもいなかったが私は子供達とアレクシアにそれほど愛されているということになる。悪い気はしない。愛されていて幸せだ。

 

 月 日

部下達からの報告を聞き、私が出なければならない案件が発生したことを知る。息子とエヴリンにちょっと出かけてくるから家でアレクシアと待っていてくれと言うと頷いた2人にいい子だと頭を撫でながらアレクシアに目線を合わせると「行ってらっしゃい、貴方」と言って私を送り出してくれた。幾多の組織の思惑が絡み合った少々厄介な案件ではあったが無事に解決することができたので良しとしておこう。帰り支度を整えて帰路につく。無事に帰ってきた私を家族達が出迎えてくれる。「お帰りなさい」の言葉をこんなに嬉しく思うようになったのはいつからだろうか。研究だけをしておけばそれで良かった昔の私が今の私を見れば別人のように思うかもしれない。今まで幸せを知らなかった私が手にいれたものはとても暖かいもので、壊れないようにずっと守っていきたいと思えるものだった。私は家族を愛している。誰かに好感は抱いても愛したことはなかった私が、こんなにも家族を愛することになるとは思ってもみなかったが悪い気持ちではない。

 

拠点の入り口に待つ3人を見て顔には自然と笑みが浮かんでいた。迎え入れてくれた3人を抱きしめる。痛くならない程度に強く。手にいれた幸せを離さないように。

 

「お帰りなさい」

「ああ、ただいま」

 

愛する家族がいることは、とても幸せだ。これで私は恋人が居ない方のジョンから愛する家族がいる方のジョンということになるな、なんてことを考えて笑った。

 




ネタバレ注意
バイオハザード6に登場するクリーチャー
ノガ・スカカネ
跳躍力にたけた逆関節の脚を持つジュアヴォの変異体の一種
ノガは脚、スカカネとは跳躍のことで、その名のとおり高い跳躍を利用した頭上からの攻撃を得意とする

ノガ・オクロプ
変異により堅い甲殻をもつ強靭な脚部を得たジュアヴォ
オクロプは装甲を意味している

テロ・エクスプロジヤ
昆虫の幼生のような胴体を持つジュアヴォの変異体
極限まで膨らんだ胴体が攻撃を受けると、周囲を巻き込んで自爆する
生体爆弾とも呼べる特性から、爆発=エクスプロジヤと名付けられた

テロ・クルルジュスト
クルルジュストの名の由来となる鱗は、銃弾を弾き返すほど強固
胴体の鱗以外は普通のジュアヴォと変わりはない

テロ・マグラ
毒霧の意味をもつマグラという言葉がつけられた変異体
胸部から蛾のような羽根を生やして鱗粉を撒き散らし、つぎの瞬間には元のジュアヴォの姿へと戻る

バイオハザード3に登場するBOW
ネメシスーT型
ネメシスーT型は量産型タイラントに寄生生物ネメシスを移植することで完成したBOWで、命令を着実に実行する優れた知能を有している
また、思考能力の向上によって自己判断能力にも優れ、複雑な操作を必要とする武器も難なく使いこなす
作戦投入時は防弾及び対爆効果、更には万が一の暴走を抑制する効果もある特殊なロングコートに身を包み、命令を厳守する

バイオハザードガンサバイバーに登場するBOW
ヒュプノス
タイラントの小型化成功試作体で、姿はT-002型に近く、巨大な爪を持つ
遭遇者のアーク曰く「均整の取れたその姿には知性さえ感じられる」
体色は青色
シーナ島司令官のヴィンセントによって競い合わされた、何億という遺伝子を持つ何億もの細胞のうち、生き残った最強の細胞を元に作られており、生命の危機に瀕すると、パワーアップを遂げる
最初の姿は、片腕の巨大な爪を除けば人間そのものであったが、撃退する毎に醜悪な姿へと変化していき、アークに敗れた後も更に追跡しようと試みるが、アークの乗るヘリコプターに装備されたミサイルの攻撃を受けて死亡する

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