とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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エヴリン視点

わたしは最初、使われるだけの兵器として一生を終えるのだと思っていた。わたしを作り出した組織はわたしに自由を与えるつもりはなく、いつも閉じ込められていたわたしを組織から救い出してくれたアレクシアママがわたしにとって希望だった。tーVeronicaの力を解放して異形と化していたママが差し伸べる手を取ったことに後悔はない。そしてわたしは永遠に閉じ込められて兵器として使われるだけの人生とお別れした。ママはとても頭が良くわたしに定期的な調整が必要なことも直ぐに気付いて安定剤を瞬く間に作り上げる。投与された安定剤は効果を発揮してわたしの身体を安定させた。ママには愛する人がいるようだ、その人がパパということになる。ママと一緒にパパに会いにいくことになった、どんな人だろう。遂にパパと出会ったけどパパのことは一目で気に入った。この人がパパなんだと思うと胸が暖かくなる。パパはパパと呼ばれることに戸惑っていたけどいきなりだったから仕方ないかな。

 

それからはママの指示通りパパを殺して進化させるためにモールデッド達を作製して送り込む日々が続いた。最初はあっさり倒されてしまっていたけどモールデッドの遠隔操作を覚えてからは倒されるまでの時間を大幅に延ばすことに成功。それでもやっぱりパパに傷1つ負わせることができていない。パパはとっても強いみたいで誇らしい気持ちになる。その内に拠点の場所をパパに掴まれてパパが直接乗り込んできた。モールデッドを向かわせたけれどやっぱり歯が立たない。目の前にいるパパに素直に負けを認めているとママがパパに襲いかかる。白熱した戦いはパパの勝利に終わった。ママが殺されそうになったので急いでモールデッドをパパにけしかける。立ち上がったママがパパに負けを認めてからわたしを抱えると凄まじい速度で走り始めた。今回でパパが凄い人だと理解できたけど次は負けない。ママも次の手を考えているようだった。ママのやりたいことを手伝えるのはとても嬉しい。

 

ママが教えてくれた名前の通りに赤い頭をしたクリムゾンヘッドや長い舌を持つリッカーをけしかけてくる敵を圧倒的な物量のモールデッドでやっつける。ママの敵はわたしの敵だ。パパとの戦いで傷を負ったママが元気になるまでわたしがママを守りぬいてみせる。パパに比べたら敵の動きは大したことない。すぐに決着はついた。必要になりそうなお金をモールデッド達に集めさせる。これでしばらくは大丈夫だ。数日後に傷が癒えたママがよく頑張ったと頭を撫でてくれた。元気になったママと一緒に敵の住処を襲撃する。奪い取った場所を使うことになった。座り心地のいい椅子に座ってママとお喋りする。ママはやっぱりパパが大好きみたいだった。パパの腕を宝物のように大事にしている。パパと一緒に暮らせるようになれたらいいなと思う。

 

ママが連れてきたモーフィアスって奴に特異菌を植え付ける。これでわたしがその気になればいつでもモーフィアスをどうにでもできるだろう。ママが胸に取り付けた装置を外されないかぎりモーフィアスは操り人形のままだとママは言っていたけど進化したパパを相手にするなら保険は必要になる。特殊な合金で造られた槍と剣を持ったママがパパを殺しにいく。パパを進化させるために。きっと今回はうまくいくと思うけど、進化したパパがママをどう思うかが問題となる。多分パパはとても怒るんじゃないかと思う。進化したパパはとても強い筈だからママでもやられちゃうかもしれない。モーフィアスに保険として植え付けておいた特異菌が効果を発揮してくれればママが逃げる隙はつくれる筈。うまくいくといいけれどパパが相手だと油断はできない。

 

パパを進化させたらしいママから通信機越しに言われた合図に従ってモーフィアスの体内で特異菌を暴走させた。パパが持っている薬品によって特異菌は石灰化させられてしまったけどママが逃げる隙をつくることには成功した。帰ってきたママはとても上機嫌で嬉しそう。ママの役に立ててわたしも嬉しい。パパはママの手によって進化を遂げたようだ。これでママの目的は達成されたわけだけれど、これからどうするのかと聞いたらできる限り好きに生きていきましょうと答えるママ。これまでと特に変わってはいないかもしれないわねと笑ったママにわたしもそうだねと笑いかける。ママと一緒にいるだけでわたしは楽しい。閉じ込められていた時にはこんなにも世界が広いことを知ることもできなかった。連れ出してくれたママがわたしは大好きだ。

 

ママに招待状が届いた。それに添えられていた手紙があったけれど内容を確かめる前にママが燃やしてしまったから何が書いてあったのか私には解らない。きっとママにとってはつまらないことが書いてあったんだろう。パーティーに招待されたから正装をしないといけないと言ったママと一緒にドレスを買いに行く。ママは紫色のドレスでわたしは黒いドレスを選んだ。身嗜みを整えて向かった先は豪邸だった。豪邸の中にあるバーでパパとモーフィアスに出会う。余計な奴がいたけどパパに会えたのは嬉しかった。バーで飲んだジュースはとても美味しくてママにも味わってもらいたかったけれどママはパパが飲んでいたお酒に興味津々。そうこうしているうちにパパが機嫌の悪そうなモーフィアスを連れてバーから出ていくのでママと一緒に挨拶をしたらモーフィアスが放電しそうになっていた。パパに宥められていなかったらモーフィアスは襲いかかってきていただろう。

 

バーから出て立食パーティーが行われている会場に行くとママにお爺さんが話しかけてくる。ママがパパを指差して微笑みながら、わたしは彼処にいる彼の妻でこの子がその娘ですと紹介していた。お爺さんはすぐさまパパの元へ足早に向かっていく。ママはとても楽しそうな顔をしていた。ママはパパを困らせて楽しんでいるところがある。大変だろうけどパパならきっと大丈夫。そう考えていると現れたパーティーの主催者。サングラスをかけた金髪の男が選別を行わせてもらうと言った瞬間此方へ飛んでくるアンプルをママが掴み取って放り捨てる。パパはいつの間にか銀色の銃を片手に持っていてお爺さんに飛んできていたアンプルを掴み取っていた。宙を舞う8丁のアンプルシューターはパパが銃で撃ち抜いていたものだとママが言っている。わたしはパパの動きが目で追えなかったけどママには見えていたようだ。

 

わたし達とパパとモーフィアス以外には9人だけがアンプルシューターの魔の手から逃れたようで、それ以外はみんな人間じゃなくなっていた。襲いかかってくる奴等をママとパパとモーフィアスが迎え撃つ。ママは黄金の拳銃でパパは白銀の拳銃でモーフィアスはその爪で、襲いくる異形を倒していく。全ての異形を倒したところでパパが主催者の男の元へと向かっていった。始まった戦いはパパが圧倒的に優勢で主催者の男はパパによって殺害される。パパの活躍で機嫌が良くなったママが張り切っている最中、わたしはお腹が空いていたので立食パーティーで用意されていた料理を背伸びしながら取って食べていた。料理はとても美味しくてこれだけでもパーティーにきた甲斐はあったと思う。お腹が満たされたところでママのやることも終了した。ママと一緒にパパにお別れを言って豪邸を立ち去る。美味しいジュースと美味しい料理があったから今回のパーティーには満足できているけど、もう少しパパと話したかったかな。

 

世界的に有名なレストランにママと一緒に行ったらパパと出会った。パパもこのレストランに食べにきていたらしい。ママが勝手にパパも同席にしていたけど騒ぎを起こしたくないパパは大人しくしていた。始まった食事はとても静かなものでママに教えられたマナー通りに食事をしているとママはパパのことを幸せそうに眺めている。パパもマナーが確りとしていてそれは見惚れるようだったけれど、パパは何処でマナーを習ったんだろう。聞いても今は教えてくれそうにないから聞かなかった。もっとパパと仲良くなってからじゃないと教えてくれないよねきっと。ママが美人だからか周囲の人達がママのことを見ていたけど、ママはパパだけしか見ていなかった。このレストランは世界的に有名なだけはあって料理はとても美味しくて素晴らしい味をしている。夢中で食べていると直ぐに皿が空になってしまう。食事が終わった後、ママが強引にパパと腕を組んでいた。店から出てしばらくたったら振り払われていたけどママはとても嬉しそう。腕を組めたことで満足したらしいママと手を繋いで一緒に帰る。ママが笑顔だから私も笑顔になった。

 

複数人のウィルス適合者が現れてわたし達に襲いかかってくる。ママはtーVeronicaの力を解放して戦い始めた。適合者達を相手に優勢に戦っているママに対して、その身に宿したウィルスの力を解放して異形と化した適合者にわたしのモールデッドは無力で、瞬く間に切り刻まれ、叩き潰されるモールデッド。そしてウィルス適合者の手が此方へ伸びたところでママがわたしを庇って負傷する。深い傷を負ったところで適合者達による執拗な追い打ちを連続で喰らわせられて気を失ったママを運ぼうとする適合者達に モールデッドをけしかけようとしたが、背後から適合者の異形の爪で切り裂かれて倒れ込んだ。連れ去られるママを見ているだけしかできなかったことが悔しい。此処から近くにパパの拠点があることはママに教えられて知っていた。自分だけの力じゃどうにもならないと思ってうまく動かない身体を引きずってパパに助けを求める。背中を治療してくれたパパはとても優しくて涙が出た。何もできなかった自分が悔しくて涙が止まらない。パパがママを助けてくれると言ったけどひとつ約束してくれとも言ってきた。わたしが裏社会とは関係のない普通の人達をもうモールデッドにしないと約束できるならパパがママを助けてくれるらしい。パパとの約束は絶対に守ると心に決める。

 

装備を整えて拠点から出ていったパパを待つ。待っていることしかできない時間は苦痛だった。数時間が経過してからパパがママを背負って帰ってくる。約束をしっかり守ってくれたパパに思わず抱きついてしまった。意識のないママをベッドに寝かせたパパがキッチンで料理を作っている。座って待っていると、とてもいい匂いがしてきた。できあがった料理を持ってきたパパ。目の前に置かれた料理はとても美味しそう。パパに食べてもいいと言われたので食べ始めると凄く美味しい。パパの料理の腕はかなり高いみたいだった。夢中で食べているとママも起きてきたみたいでテーブル席に座るママ。パパの手料理を食べられると聞いて目を輝かせているママは食い気味に勿論頂くわと言っていた。食べ始めるとすぐに笑顔になっているママは料理が美味しいからだけじゃなくてパパが作ってくれたことも嬉しくて笑顔になったんだと思う。食べ終えたところで美味しかったよと言いながらパパに抱きつくとパパが頭を優しく撫でてくれた。パパに撫でられたことをとても嬉しく思う。それを見ていたママがパパに無言で頭を差し出してきていた。パパはママの頭も撫でてあげている。撫でられているママの顔は凄く幸せそうだった。

 

その後はキッチンで食器を洗い始めるパパをママと一緒に眺めているとパパがデザートは食べられるかと聞いてくる。まだお腹には余裕があったので食べられると言うと洗い物を終えたパパが手を洗い、てきぱきと作業を始めていく。できあがるまで数十分待っている間にママと会話をしていた。わたしがパパはとっても料理が上手だねと言うとママはそうね、とても美味しかったわと微笑んだ。そんな会話を続けているとパパがデザートのハーブパイを持ってくる。一口かじってみるとやっぱり美味しい。ママも笑顔で食べている。結構な量があったハーブパイがあっという間に消えていく。お腹が心地いい満腹感で満たされた。パパが改良したハーブパイのレシピの基になったレシピは、パパの元同僚が残したものだったらしい。わたしは美味しいハーブパイが食べられたから、その同僚さんには感謝しておこうと思う。どんな同僚さんだったのかと聞くとハーブ中毒と呼ばれているほどハーブを常に食している奴だったと言うパパ。元同僚さんは、ちょっと危ない人だったのかもしれない。

 

時が過ぎてわたしの背中の傷も癒え、ママの体調も万全となった。パパになにかお礼をしようとママと一緒に考えて意見を出しあっていると、パパに聞いてみるのが一番だという結論に至る。なにか欲しいものはないかと聞いてみると、ないと答えが返ってきた。パパに欲しいものは何もないみたい。困っているとママがお金で払った方がいいかとパパに聞くが、何も受け取るつもりはないと答えるパパ。それでは気が済まないと言ったママに君達には帰る場所があるだろうと言い出したパパへ、パパと一緒に此処で暮らしたいと伝える。ママがそれなら食費を支払う必要があるわねと言ってお金を引き出してくるわと外に出ようとしたところでパパが止めていた。何で一緒に暮らすことになってるんだと困惑しているパパにお礼の内容が決まるまでは滞在しようかと思ってと微笑むママ。帰ってくれと言い出したパパにわたし達のことが嫌いになったのと問いかける。答えは返ってこなかった。

 

強引にわたし達を外に追いやろうとするパパの腹部に必死に抱きついてお礼するまでは帰らないと意思を表示する。ママは楽しそうだからわたしもと言ってパパに抱きついていた。パパは根負けしてくれたのか外に追いやろうとすることを止めて何かを考えている様子。そしてわたし達にお礼として昼食を作ってくれと言ってきた。パパの頼みに気合いを入れる。ママと一緒にキッチンで料理をした。いつもやっていることだけどパパへのお礼だからいつもよりも力を入れて料理を作る。できあがった料理をパパの元へ持っていく。食べ終わったパパから聞いた美味しかったの言葉が嬉しかった。わたしが夕食もママと一緒に頑張って作るから期待していてねと言うとママもお礼にはまだ足らないから夕食も作らせてもらうと言う。そして夕食も作ったけれどお礼にはまだ足らない気がするのでしばらく料理を作ることにした。パパとママと一緒に食材を買いに行くのは楽しい。パパとも家族になれたような気がした。

 

3週間ほど続いたパパとの同居生活はとっても楽しかったけれどパパと一緒に寝れなかったのはちょっと残念。キングサイズのベッドは3人でも余裕で寝れる広さがあったのにパパはいつも椅子で寝ていた。わたしやママが近付くと直ぐに起きてくるあたり、わたし達を警戒していたのは間違いない。これまでよりも距離が縮まったことは解るけどそういうところはまだまだ距離があるみたいだ。それは仕方のないことかもしれない。パパにとってはわたし達は敵に見えていた筈だ。それでもパパはわたし達を助けてくれた。パパにはとても感謝している。本当はもっと一緒にいたいけれど、それは我慢しなければいけない。あくまでもお礼だからパパは受け入れてくれている。パパに迷惑をかけている自覚はあるけど、どうしてもパパと一緒に暮らしてみたいという欲求が抑えられなかった。できるならパパの笑った顔が見たかったかな。

 

わたしが突如として体調不良になり、ママが原因を探り当てたところ細胞劣化が始まっていると診断結果が出る。安定剤は継続的に投与されているにも関わらず始まってしまった細胞劣化。劣化を食い止める為に手を尽くしてくれたママには感謝しかない。半月間で一年分の細胞劣化が始まって急速に身長が伸びていく。ママがあらゆる手段で細胞劣化を食い止めようとしたが止まらない。ママだけでは限界があると確信したのかパパの元に向かうことになる。パパが作成していた薬品を投与されて細胞劣化があっさりと止まる。パパはやっぱり頼りになる人だ。元気になったので起き上がろうとしたところ、寝ていなさいとママに寝かしつけられた。ママに心配されているのはとても嬉しい。

 

パパのおかげで元気になって買い物に出かけられるようになった。急速に伸びた身長のせいで違和感があるけど走り回れるから大丈夫。はしゃいでいたらママが手を繋いできて落ち着いて行動するようにたしなめられた。ママの言うことに従って落ち着いて行動するようにする。近くにいたパパにもう片方の手を伸ばすとパパも手を握ってくれた。その後は3人で並んで買い物をする。パパとママと一緒にする買い物 はとっても楽しくて思わず笑顔になった。ママもパパと一緒にいられて嬉しそうに笑っている。パパは穏やかな顔をしていたけれど笑顔ではなかった。必要なものもそうじゃないものも見てまわるのはとても楽しい。買い物がこんなに楽しいのは初めての経験だった。これもパパのおかげだろう。

 

パパとママがキッチンで2人並んで料理をしている。初めはパパ1人だったけれど後からママが加わって料理が続いていた。完全に息を合わせて一切の淀みなく調理をする2人。できあがった料理の数々をわたしの目の前に置いていくパパとママ。2人で作ってくれた料理の味はとてつもなく美味しい。パパとママの2人に美味しいよと伝えると2人とも笑ってそれは良かったと答えるパパ。パパが笑っていることに気付いて思わずパパが笑ったと驚きの声を上げてしまったけれどパパが笑っているところを初めて見れて嬉しい。パパの笑顔を見ているとなんだか胸が暖かくなる。ママもパパの笑顔を食い入るように眺めていた。ママにとってもパパの笑顔は貴重なものだったようだ。

 

パパとママの身体に虫刺されのような赤い痕がついていた。昨日まではなかったのに不思議だなと思う。わたしだけが刺されていないのはおかしいと考えたけれど、パパとママだけを狙ったんだろうか。虫にそんな知能があるわけがないし、そんなことはない筈。でもパパとママの身体中には赤い痕がある。ママが悪い虫さんに沢山刺されたと言っていたから虫にやられたことは確かだ。いったいどんな虫だったんだろう。ウィルス適合者である2人でも捉えられないような速さの虫だったのかもしれない。

 

不意にパパがママに結婚するかと言った。食い気味に了承するママ。話はスムーズに進んで結婚指輪はパパの完成度が高過ぎる手作りで式場の手配も終わった。教会で始まった結婚式を眺めているとウェディングドレスを着たママが現れる。純白の衣装に身を包んだママはとっても綺麗だった。続いて現れたパパも白一色の衣装で格好良くて思わず見惚れる。神父様の前で愛を誓う2人は真剣な表情をしていた。指輪を交換して行われた誓いのキスはとても長くて神父様が困惑している。ママがパパの首に腕を絡めて離れない。パパに力づくで引き剥がされてようやく長かった誓いのキスが終わる。結婚式が終わってパパとママが服を着替えたら観光が始まった。

 

ママが妊娠したようだ。パパとママの子供ができてわたしはお姉ちゃんになる。弟か妹かはまだ解らない。ママは幸せそうにお腹を擦っていた。生まれるまではだいぶ先だというのにパパはもう赤ちゃん用のベッドを購入してきている。それ以外にも必要になりそうなベビー用品を買ってくるパパ。部屋の一角がベビー用品の山で埋もれている。パパはそれを見て満足そうに頷いていた。念のために備えておくことは確かに必要だけれど気が早いと思う。

 

数ヶ月が経過してママのお腹が膨らんできていた。赤ちゃんの性別もパパが作製していた機械で判明しており、わたしに弟ができることが解っている。身重になったママを労ってパパと一緒に全ての家事を請け負ったわたしは一生懸命やったけれどたまに失敗してパパに助けてもらうことになった。何をするにしても力が入り過ぎてるとパパに言われたので力を抜いて行動すると上手くいく。パパの指摘は正しかった。パパと一緒なら大丈夫なまでにはなったけど、また失敗しないか不安だ。パパが頭を撫でてくれて頑張ってるのはよく解るからもう少し気楽に考えなさいと言ってくれたから少し気が楽になる。気合いが入り過ぎて空回りしていた自分に気がついて、もう少し落ち着いて行動しようと考えた。

 

ママの出産が終わり赤ちゃんと対面することになる。初めて見た弟はとても可愛い。赤ちゃん用のベッドに横になる弟に伸ばした手の指を弟が掴んでくれた。掴む力はとても強くて弟が元気な証拠だと嬉しくなる。パパがてきぱきと弟のオムツを替えていた。初めてやる作業の筈なのにとても手際がいいパパは凄い。弟はあまり泣かないがたまに泣くときがあって、そんなときはパパが抱っこすると直ぐに泣き止む。どうやら弟はパパが大好きらしい。

 

離乳食を食べられるようになった弟にパパが手作りした離乳食を食べさせていた。パパに優しく食べさせてもらっているのがとても羨ましく思えてわたしにも食べさせてくれるようにパパにお願いしてしまう。何故かママも一緒にお願いしていたけれど、パパはわたし達に食事を食べさせてくれた。いつも美味しい食事が更に美味しくなったような気がする。こんなわがままに応えてくれたパパにはとても感謝した。お返しにパパにも食事を食べさせてあげようと思ったらパパはさっさと食事を食べ終えてしまう。残念だったけれどまだ機会はある。今度はパパに食事を食べさせてあげるとしよう。

 

パパが買ってきてくれていた絵本を弟に読み聞かせていると楽しそうに笑う弟。内容はまだ理解できていないだろうけど楽しんでくれるなら悪くない。わたし達を眺めていたパパがママに抱きつかれていた。ママはやっぱりパパが大好きでたまらないようだ。パパも抱きしめ返していたからパパもママのことが嫌いじゃない様子。夫婦の仲がいいことは悪いことじゃない。パパの対応が随分優しくなっていることを感じる。どうやらパパもわたし達を完全に受け入れてくれたみたいだ。

 

2本足で立って歩けるようになった弟に着いていく。転んだり危ないところにいかないように気をつけながら歩き続ける。パパの脚に抱きついてしばらく離れなかった弟。やっぱりパパが大好きみたい。躓いて転びそうになった弟を抱きかかえる。元気なのは悪いことじゃないけど、怪我をしないか心配だから見ていてあげないといけない。わたしが確り弟を守らないと駄目だ。パパとママには手はかけさせない。これはわたしの役目だ。

 

弟が初めて喋った言葉はパパだった。わたしがパパをパパと呼んでいたことをよく聞いていたからこそこの言葉を喋ったのだろう。わたしの名前を弟に呼んでもらいたくて自分の名前を何度も弟の前で言ったけど効果は無かった。呼んでもらえたパパが凄く羨ましい。

 

流暢に喋ることができるようになった弟がパパに抱きついて遊んでとねだっていたのでわたしもパパに抱きついてみる。するとママも楽しそうだからとパパに抱きついていた。3人を纏めて抱き上げたパパはとっても力持ちで、子供部屋まで運んでくれる優しいパパ。積木がしたいと言った弟と一緒に積木をしていくと高く高く積み上げていく弟。負けないように積み上げていく最中にパパの方を見るとパパにママが抱きついたままだった。

 

弟はハーブに興味を持ったらしくパパに色々と教わっているようだ。わたしが転んで怪我をしたところに弟が調合したハーブを塗ってくれて怪我をした痛みが直ぐに消えていった。パパが教えてくれたハーブのおかげだと言っていたけど、どれだけのことを教わったのだろうか。パパのことだから弟が望む限りのことを教え込んでいる筈。並大抵の大人よりもハーブに関する知識を持っていそうな弟。お姉ちゃんとしては負けているような気がする。わたしもパパに教わった方がいいのかな。

 

精一杯背伸びをしてパパの頬にキスをする。パパに大好きと言うとパパも大好きだと答えが返ってきた。それをとても嬉しく思いながら、ママよりもと聞くと同じくらいかなと返答がある。パパに強く抱きついてママよりも好きになってもらえるように頑張ろうと思った。パパと一緒に暮らしている内に強くなったこの気持ちを抑えることはできない。言葉にできないこの気持ちはなんなんだろう。パパに抱きしめられているとざわめいていた心が落ち着いていく。ママも大好きだけれどパパに感じている好きとは種類が違う気がする。

 

装備を整えて外に出ていこうとするパパに何処に行くのと聞くと、パパはちょっと仕事をしてくると言って頭を撫でてくる。拠点の入り口でパパが無事に帰ってくることを待っているとママがいつまでもそこにいてもしょうがないから中で待っていなさいと言ってわたしを室内に引っ張り込む。今日はパパが帰ってこなかったけれど明日には帰ってくるとママが言っていた。ママはパパを信頼している。わたしもパパとママを信じることにした。

 

お土産を片手に帰ってきたパパにお帰りなさいと言って弟と一緒に飛びつく。抱きしめてくれたパパをわたし達ごとママが抱きしめる。テーブル席にわたし達をパパが座らせてママが用意してくれた料理を食べた。その後にパパが買ってきてくれたお土産を食べることになる。パパが買ってきてくれた甘いものはとても美味しかった。弟もママも美味しそうに食べていたけれどパパの分は無くてどうしてかをパパに聞くとパパは甘いものが苦手だかららしい。そういえば前に作ってくれたハーブパイもパパは一口も食べなかったことを思い出した。パパにも苦手なものがあるんだと思うとパパが可愛く思えてくる。そんなパパがわたしは大好きだ。勿論ママも弟も大好きだけれどパパに対する思いはちょっと違う。

 

椅子に座っているパパの膝の上に座る。完全に身を任せるとパパが頭を撫でてくれた。パパの膝の上で頭を撫でられていると、わたし達の前で弟とママが順番待ちのように並んでいる。満足するまでパパの膝の上を堪能したわたしはパパの頬にキスをして膝から降りた。直ぐ様弟がパパの膝の上に飛び乗る。パパの膝の上は大人気のようだ。パパの膝の上で頭を撫でられていると、とっても幸せな気分になるから大人気になるのも頷ける。弟もパパの膝の上で、とても幸せそうに笑っていた。満足した弟が降りると最後はママがパパの膝の上に乗っている。ママが満足するまでの時間が一番長かった。最後はパパと長いキスをしてようやく膝から降りるママ。ママはパパが好き過ぎる気がする。

 

パパがわたし達家族皆に愛していると言ってくれた。嬉しくて皆パパに力いっぱい抱きついて離れなくて、もう2時間も経っているとパパに言われるまで気付かなかったけど、それだけ嬉しいと感じたんだと思う。聞かれてから答えるんじゃなくてパパから愛していると言ってくれたことが初めてで、とても嬉しかったのは皆同じ。弟もママもわたしもパパを愛している。それを言葉だけで伝えるんじゃなくて行動で伝えるのに家族皆で2時間もパパを抱きしめてしまったけどパパに伝わっていると嬉しい。

 

パパがまた出かけるのを弟と一緒に見送る。今回は前よりも早く帰ってきそうねと言ったママの言う通りに数時間後にはこれから帰ると連絡が入った。拠点の入り口でママと弟と3人でパパの帰りを待っていると、遂にパパが帰ってくる。家族皆を抱きしめてくれたパパに向かってお帰りなさいと3人で言うと、ああ、ただいまとパパから返事が返ってきた。今日も無事に帰ってきてくれて嬉しい。3人で作った料理をパパの前に置くと直ぐ様食べ始めるパパ。とてもお腹が空いていたらしい。直ぐに食べ終わって美味しかったと言ってくれたパパに3人で抱きついてみると頭を撫でてくれたパパ。やっぱりわたしはパパが大好きだと思った。それはきっと皆同じで、だから皆幸せそうに笑っている。

 

パパとママに弟と4人一緒に出かけることになった。良い天気で気分も晴れやかな気持ちになる。弟を抱きかかえたパパと手を繋いだママと手を繋ぐ。家族皆で出かけるのは初めてのことになる。弟はとても楽しそうにしていた。わたしも皆で出かけられて嬉しい。襲撃をされることなく穏やかな日々を過ごすことができているのはパパのおかげだろう。わたし達を狙っていた組織を大掃除してくれたパパには感謝だ。わたし達家族を遠目に見ている黒髪の女の人がいたけれどその人は、直ぐにいなくなってしまった。パパとママがエイダと言っていたけど知り合いだったのかもしれない。とりあえず敵ではないようなのでモールデッドによる追跡は必要なさそうだ。今はこの一時を楽しもう。大好きな家族と一緒に出かけられてとっても楽しい。自然と顔が笑顔になる。今日はとても良い日だ。

 




ネタバレ注意
バイオハザード1リメイク版に登場するクリーチャー
クリムゾンヘッド
tウィルスには、特殊な活動を誘発させる変異体が存在する
クリムゾンヘッドはまさにその変異体に感染した人間に見られる突然変異で、その凶暴性はのろまなゾンビの比ではない
ゾンビがクリムゾンヘッドになるには一度ゾンビがなんらかの外的要因によって活動停止状態に置かれる必要があり、そこでVーACTと呼ばれる活動が始まる
その後は、細胞の活性化に伴って体組織が再構築され、凶暴化したうえに移動速度も飛躍的に向上して活動を再開する
彼等はゾンビの時には無かった鋭く長い爪を持っており、人間だけではなく移動の妨げとなるゾンビにまで危害を加える
全身が赤みを帯びた姿からして、もはやゾンビとは別物と言っても過言ではない恐るべき生命体となっている

バイオハザード2、アウトブレイク、アウトブレイクファイル2、RE:2に登場するクリーチャー
リッカー
ゾンビ化した人間が、その肉体をさらにtウィルスに侵食され、突然変異を遂げたもの
長い舌が印象深いことから、ラクーン市警察の署員が舐める者=リッカーと命名した
変異の過程で肥大した脳が剥き出しになり、剥離した皮膚からは新たに形成された筋組織が露出している
そのため、ゾンビではあり得なかった運動能力と瞬発力の向上が見られ、優れた跳躍力も身に付けている
骨格が変形したことにより4足歩行を基本とし、天井を逆さまに移動することも可能
目標を発見すると2本足で起き上がり、攻撃態勢に入る
リッカーは、見た通り視覚器官を完全に失っているため、目視で目標を捉えられない
しかし、その代わりとして聴覚が異常発達しており、獲物が立てるわずかな音を頼りに接近し、舌や爪で攻撃する

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