とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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バイオハザード4編終了
文が多めになりました


眼鏡を外さなくてもハニガンは美人だと思います

盛大に炎を撒き散らしながら、楽しそうにステップを踏んで近付いてくるアレクシア。私は地面に転がる斧を拾い上げて彼女の攻撃を待ち構えた。くるりくるりと廻りながら繰り出された右上段の蹴りに合わせて斧を振るう。灰色の右脚の脛に刃がほんの少し食い込み、蹴りが途中で止まった。深追いはせずに斧を手放して後方へ跳ぶと、脛の傷口から火炎が噴き出して斧が焼き尽くされる。斧の刃は跡形も無く溶かされて柄は灰すらも残らない。

「痛いじゃない、酷いわジョン」

「何を言うか、きみの方がずっと酷いぞ。あんなものが直撃すれば、此方は痛いじゃ済まないからな」

右脛を擦りながら被害者ぶって文句を言う化物へと逆に此方が苦情を言う。厄介な事に火力が前よりも上がっているようだ。斧と鎌や鋤に包丁等の村人達が残した遺品が地面にまだまだ沢山転がっているが、彼女には通用しないだろう。自前の装備で使えそうな物は三つ位か、効くかどうかは解らんが。まあ、一応は使ってみようか。

目線を彼女からは決して逸らさず一挙一動を観察しながら、バックパックへ手を突っ込むと手探りで目当ての物を探し出した。見つけた二つの物を掴み、引き抜くようにバックパックから取り出す。先ずはコイツの出番だ。閃光対策のサングラスを装着し、改造した閃光手榴弾のピンを抜いて投げつける。爆音と閃光が放たれて彼女が顔を手で覆い隠している間に間髪入れず新たな手榴弾をバックパックから放り出してピンを抜く。炸裂した瞬間に極めて低温の液体を撒き散らし、対象を凍結させる冷凍手榴弾だ。少々頭を冷やしてもらおうか。

放るように投げられた冷凍手榴弾は曲線を描いた後、彼女の頭上で炸裂して内容液を散布する。降り注ぐ極低温の液体が灰色の肌を凍り付かせ、まるで植物の様な緑の部位を凍結させた。ほんの数秒で直ぐに溶けてしまうだろうが、その数秒があれば使える物が有る。私はバックパックから最後の武器を取り出して構えた。大型拳銃程度の大きさへと小型化に成功した、試作型の攻撃衛星に対象の位置を送信する装置。五秒間照準を合わせ続ければロックオンは完了し、引き金を引けば三秒後に衛星からレーザーが発射される。あくまでも試作型で威力は未知数だが、今の私が使える武器で彼女に通用しそうな物はこれだけだ。効かなかったらどうしようもないが。それはその時考えるとしようじゃあないか。私は解凍が完了して自由になった彼女へ向かって引き金を引く。

「冷たかったわよ、お礼に貴方を暖めてあげる」

瞬時に此方へ接近してきた彼女の炎に包まれた掌が、私の顔へと近付いてきた。

死ぬつもりは無いので仕方なく左腕を盾にそれを防ぐ、私の着ている服は強化不燃繊維で作られた物だが持ちこたえられんだろうな。長く苦しめる為に態と火力を落としているようだから、まだ左腕の形は残っているがね。まあ、そんなことよりも腕を掴まれていることの方が問題だ。

 

三。

 

問題を解決する為にバックパックからナイフを取り出す。生物兵器であるハンターの爪を模して作られた鋭利なそれは人間の首だろうと容易く切り落とせる代物だ。

 

二。

 

だから人間の左腕等、簡単に切断出来る。彼女に使えば溶かされてしまうが、自分に使えば問題は無い。渾身の力でナイフを振り下ろし、彼女に掴まれている左前腕部を切り落とす。

「その腕はくれてやる」

一言そう告げて彼女へ背を向けて走り、急いで距離を取る。そろそろレーザーが照射される時間だ。

 

一。

 

 

光が空から落ちてくる。試作型の攻撃衛星から放たれたレーザーが目標とされる対象へと降り注ぐ。

 

ふと振り向くと、切り離された腕を抱き締めながら此方へ微笑む彼女が光に呑み込まれていく姿が見えた。性悪な彼女の唇が「またね」と言っているのも見えた。

正直もう勘弁してほしいんだがね。

 

とりあえず腕の消毒と止血をしておこう。

それと新しい腕を探さなければな。

 

 月 日

 

久しぶりに性悪な33歳と交戦した。前よりも強くなっていて、何とも面倒で仕方がない。手持ちの最新兵器で撃退は出来たが、多分生きているんじゃあないだろうか。死んでいてくれても大いに結構だがね。

それよりも左腕を無くしたのが痛いな、自分で切ったんだが。まあ、試作ナイフの性能を身を持って確かめる事が出来たから良しとしよう。良しとしておこう。そういうことにしておかんとやってられんよ。

止血と消毒は終わらせて調合したハーブも傷口に塗っておいたから、それほど腕は酷い状態じゃあない。不便だが暫くは片腕で我慢することにしよう。

 

 月 日

 

古城に向かって必死に走るプラーガの研究者を発見。一応捕まえておこうかと思ったので、後ろから襲撃した。

時代がかった渋いハンドガンで抵抗しようとしてきたので、使われる前に拳銃を蹴り飛ばす。

しかし長々根性があるらしく「プラーガを植え付けられたレオンにプラーガを抑制する薬を渡さなければならないんだ」と説明するかのように叫びながら素手で尚も抵抗を続ける男。

説得するのも面倒なので、ちゃんと渡しておくから安心しておけと言って拳で無理矢理眠らせる。

男が懐にしまっていた錠剤の詰まった瓶がおそらくプラーガを抑制する薬だろう。それ以外に薬らしき物は持っていなかったんでな。怪しげな紫の液体の中に卵みたいな物が浮いている瓶も持っていたが、これは間違いなく薬じゃないだろう。その後連絡して呼び出したエイダへレオンとやらに渡しておいてくれと言ってその薬を手渡しておいた。

見知らぬ男よりは見知らぬ美女の方が警戒されんだろう。

ついでにレオンとは誰かと彼女に聞くと、どうやらあの茶髪の男性がレオンらしい。おまけにエイダとは知り合いだそうだ。見知らぬ美女じゃあなくて、知り合いの美女だったか。悪い仲では無さそうなので問題なく薬は届けられるだろう、これで良し。

 

 

今回の成果はイエローハーブと宝の地図で見つけた財宝に気絶したプラーガ研究者の男だけか。

これに金の卵を産む鶏が加わっていれば良かったんだがね。

 

色々と疲れる事が沢山あったので、いい加減に帰らせてもらうとしよう。

 




ネタバレ注意

プラーガ研究者 ルイス・セラ
レオンと仲良く繋がれる
一緒に戦う場面があるが彼に主人公の攻撃を何度も当てていると「アディオス」と撃ち殺されてゲームオーバーになってしまう

ラスボスに後ろから貫かれて昇天する(生死的な意味で)

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