ネギま!で斬魄刀   作:こごろう

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この話はこれからの物語のダイジェスト、部分的に抜粋したものになります。

更新が難しいので、物語の見せ所だけ投下していく形になります。

今まで応援してくださった方々に感謝とお詫びを申し上げます。


ダイジェスト1

※刹那、木乃香と仮契約を交わし、木乃香が直接触れなくともラインを通じた『招喚』が可能になった後の話です。こういったダイジェストを受け付けない方は今のうちにプラウザバックをお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「図書館島に行きたい」

 

 

黒い着物――死覇装を纏った少年、五木大和は女子寮の一室でボヤいた。

 

犠牲軌道の代償より肉体を全て失い、古びた刀に憑依していた彼は現在生身の体を持っていた。

 

大和は室内に備え付けられていた家具の椅子に腰掛け、手に持っていた本を机に下ろす。

 

 

いや、生身の体というのは多少語弊があるだろう。

 

 

大和の肉体は木乃香の魔力によって編まれている。刀に封じられている大和の肉体の情報から、木乃香が生前の大和の体を『招喚』し、擬似的に再現しているのだ。

 

刀で斬られれば血は出る。しかし、体から離れた血は即座に魔力素へと戻っていく。

 

大和の体は既に人のモノでは無く、鬼などの式神に近い。外見は人に見えるが、それはあくまでも外面のみ。

 

成長もせず、年老いることもなく、魔力の供給を断たれれば数分で消える偽りの体。

 

戦闘にでもならなければ大和を『招喚』する意味はほとんど無いが、現在は木乃香の魔力操作の練習のために、木乃香の気力が保たれる限り大和は実体化していた。

 

もっとも、木乃香は実体化した大和に積極的に話しかけたりしているので、魔力操作の練習などの理由がなくとも大和を呼び出していたかもしれないが。

 

 

「図書館島、ですか? 別にあそこは一般人にも開放していた筈ですが……何か問題でも?」

 

 

大和の呟きに反応したのは桜崎刹那。大和の現在の『持ち主』だ。

 

二段ベッドの淵に腰掛け、教科書とにらみ合っていた彼女は目を大和へと向ける。

 

刹那は学業の成績があまりよろしくない。

 

幼い頃から大和が刹那と一緒にいたため、『困ったことがあれば大和さんが助けてくれる』という思考を無意識に持っており、一人ではここぞという時にポカをしてしまうのだ。要するに注意力が散漫なのである。

 

この前は試験範囲を完全に間違え、危うく担任の子供先生に補修を受けさせられるところであった。年頃の少女としてはバカレンジャーホワイトの称号は嬉しくない。

 

なので、普段からの予習復習は必須である。大和に言いつけられたからでもあるが、刹那は苦手な学業に涙目になりながらも果敢に挑んでいた。

 

 

「服装の問題だ。コレ(死覇装)じゃ目立つだろ」

 

「あ」

 

 

大和は肉体だけでなく、服装も魔力によって編まれている。

 

死覇装もまた大和の一部であり、都合よく服だけ書き換えるなどということはできない。それは腕を一本増やすなどの行為と一緒だからだ。

 

木乃香は刀に収められている大和の情報通りに『招喚』しているだけであり、魂の情報をいじる等の高等技法が、魔法初心者の木乃香にできるはずもない。

 

大和が魔力の結合を解けば死覇装は消えるが、それでは大和が変態の烙印を押される。

 

 

「確かに……学園長からも大和さんの存在はできるだけ隠してくれと言われていますし、目立つわけにはいきませんね」

 

「何か別の服でもあればいいんだが……」

 

「あっ、そういえば葛葉先生から大和さんの外出用の服を受け取っていたんでした」

 

「お前の忘れっぽさは本当に心配になるレベルだな」

 

 

刹那はベッドの下に潜り込む。そこに隠していたのだろう。

 

スカートだということも忘れているのか、無防備な刹那に大和は呆れながら『下着が見えているぞ』と忠告をする。

 

ゴン、と大きい音が響いた。大方頭をベッドにぶつけたのだろう。

 

ベッドからもそもと出てきた刹那は顔を真っ赤にして、手に持った紙袋を大和に投げつける。

 

難なくキャッチした大和は紙袋の中身を改め――眉をひそめた。

 

 

「男物の学生服?」

 

 

これはどういうことだと思い刹那に視線を向けるが、未だに顔の赤い彼女はスカートの乱れを直している最中で話になりそうにない。

 

仕方なく自分で考える。答えはすぐに出た。

 

木を隠すなら森の中、ということなのだろう。

 

学生に紛れるということに少々思うところはあるものの、これ以外に案があるわけでもなし。

 

脱衣室に入った大和は新品の学生服に袖を通す。

 

自分の制服のサイズを真剣に選ぶ刀子の姿を想像し、大和は苦笑した。

 

 

 

――服の大きさはピッタリだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図書館島に来た大和の目的は時事関連の情報だ。

 

司書か何かだろうか、本を整理し片付けていたデコの広めな少女に時事関連の本の場所を聞き、大和は手にした本に没頭する。

 

 

大和は刀に憑依してから二十年近い時を過ごした。昔と今では常識も違う。

 

幼い頃はインターネットなど発達していなかったし、携帯電話などという便利なものも存在しなかった。

 

こういった情報を手に入れるメリットはあまり大きくはないが、これは半分大和の趣味である。

 

浦島太郎のような存在の大和にとって、この現代は未来の世界のようなものだ。色々と知るだけでも楽しい。

 

 

「……やめてくだ……」

 

「……じゃん、別に……」

 

 

大和の耳に誰かの話し声が聞こえた。

 

後ろを振り向けば、先ほど本の場所を聞いた少女が数人の男に囲まれていた。

 

漏れ聞こえてくる声を拾う限り、どうやらタチの悪いナンパのようだ。

 

近くに他の人の気配は、ない。

 

 

「……」

 

 

大和の脳裏に学園長の『あまり目立つことはやめてほしいのう』というお願いがよぎる。

 

それに一般人を問答無用で叩きのめすわけにもいかない。

 

いくら学生服を着ているからといって、学生証を持っているわけでもない。事情を知っているタカミチにならともかく、それ以外の教師に見つかると少々まずい。

 

 

 

「おい、お前ら」

 

「あ? 何だテメェ……」

 

 

 

――しかし、世話になった少女を見捨てるつもりもない。

 

 

 

「図書館では静かに――いいな、ガキども」

 

「ヒッ!?」

 

 

気をこめた睨みをきかせると、少し強すぎたのか、蜘蛛の子を散らすように男たちは逃げていった。

 

 

「図書館では走るな、も追加するべきだったか」

 

 

後に残るのはペタンと座り込み、呆然とする少女だけ。

 

不良たちとは違い気を直接当てたわけではないが、どうやら僅かに余波が届いてしまったようだ。

 

大和は座り込んだ少女に手を差し出す。

 

 

「立てるか?」

 

「え……あっ、はい」

 

 

少女の手を掴んで引っ張る。

 

その際に、少女の顔を見た大和は思い出す。この少女は刹那のクラスで見かけた覚えがあった。

 

確か名前は……

 

 

「綾瀬……夕映?」

 

「えっ?」

 

 

少女――綾瀬夕映が顔を上げる。どうやら呟きが聞こえてしまったようだ。

 

これは宜しくない状況だ。厄介なことになる前に退散することに決める。

 

 

「本、ありがとな。悪いけど元の場所に置いておいてくれ」

 

「あ、ちょ、ちょっと待って……」

 

 

手に持っていた本を半ば無理やり押し付け、大和は早歩きでその場を立ち去る。

 

突然の状況についていけなかった夕映は受け取った本を持ったまま、どうすればいいのかわからずうろたえていた。

 

 

 

――結局、夕映が我に返った時には大和は既に姿を消していた。

 

 

 

 

 

 

 

「おいコラ! そこのテメェ、さっきはよくも!」

 

「ん?」

 

 

図書館島から出たあと、刹那の元へと戻ろうとしていた大和に後ろから声がかけられる。

 

振り向いた先にいたのは、ついさっき追い払った不良たちだった。

 

ただし人数が三倍程に増えている。しかも明らかに友好的な雰囲気ではない。

 

いや、どう考えても報復をしに来たとしか思えない状況だった。

 

 

「……」

 

 

大和はこの男たちを無視すべきかどうか考える。

 

相手をする意味もなければ、やる気もない。

 

頭の中で結論を出した大和は歩きだそうとして――足を止める。

 

 

「気が変わった」

 

「ああ!?」

 

 

図書館は自分と主にとっての護衛対象の活動場所だ。

 

こういう連中がたむろするのはありがたくない。

 

どうせ正規の学生でない自分の情報など調べてもわからないだろう。

 

つまり、自分の周囲への報復を心配する必要もない。

 

大和は再び振り返り、不良たちへと無造作に歩き出す。

 

 

 

「ここは図書館じゃないからな――多少はうるさくしても構わないぜ」

 

 

 

どれぐらい手加減するか、それと教師がここに駆けつけるのは何分後か。

 

それらを頭の中で計算しながら、襲いかかってくる不良たちに向けて大和は笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後、綾瀬夕映は図書館島で本の整理をしながら考えにふけっていた。

 

その内容はもちろん昨日の少年のことだ。

 

 

(あれは一体誰だったのでしょうか……)

 

 

この日、夕映は昨日会った少年を探していた。不良たちから助けてくれたお礼を言うためだ。

 

幸い学生服から学校の特定はできたし、竹刀袋を背負った特徴的な少年だ。

 

苦労せずに見つけられるだろうと思っていたが、結果は思いに反して空振り。

 

本命の剣道部には『そのような人は入部していない』と言われた。

 

仕方なく校門の前で本人が出てこないか待ちつつ、何人か話をしやすそうな生徒を捕まえて聞いて回ったりしてみたのだが、これも失敗に終わった。

 

大和は実際に学校に通っているのではないので、それも当然なのだが。

 

 

(ひょっとして、最近麻帆良に来た転校生か何かなのでしょうか……)

 

 

流石に校内に乗り込んで教室を一つ一つ確認するわけにもいかない。昨日の聞き込みだってかなり恥ずかしかったのだ。

 

昨日の男たちみたいなのに絡まれる可能性だってある。

 

いや、そうでなくともパパラッチのクラスメイト、朝倉などに知られればある事無い事を広められかねない。

 

女子中学故、今まで男とほとんどかかわらなかった自分が男子生徒のことを訪ねまわっていたなど、朝倉にとっては格好のネタだろう。

 

 

(とりあえず、今は本の整理に集中しましょう……)

 

 

あの少年のことは後で考えよう。

 

夕映は本を全て棚へと戻すと、図書館探検部の活動を行うために木乃香たちの元へと歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今から図書館探検部の特別新入部員を紹介するえ~。ウチの幼馴染のお兄さんで、とっても強いから探検の時も力になってくれるえ~」

 

「……五木、大和です、皆さん、どうか、よろしく」

 

「おおすっごいイケメン!? ちょっと木乃香! こんな格好いいお兄さんがいるのにこのラブハンター早乙女に教えてくれなかったのは何でよ!? ……というかこの人なんかイラついてない? 噴火寸前のマグマみたいな雰囲気出してるんだけど大丈夫なの?」

 

「うう……男の人……」

 

 

 

 

――木乃香に無理やり連れてこられた大和と数分後に再開することを、綾瀬夕映はまだ知らない。

 

 




新たなダイジェストを出すか、それとも奇跡的に更新再開するのか……今後の予定は未定です。
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