ネギま!で斬魄刀   作:こごろう

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第四話

 

——王城にて。

 

「おい、お前が城下で噂になっている闘技場チャンピオンなのか!?」

 

(……今起こったことをありのまま話すぞ。ヘラス帝国の皇族に呼び出しにくらったかと思えば、いきなり幼女に絡まれた。何を言っているのかわからんと思うが、俺にも状況が理解できてない。筋肉ダルマだとか、最凶女将だとか、そんなもんじゃあ断じてねぇ。ヘラス帝国の恐ろしさの片鱗を味わったぜ……)

 

つまるところ、大和は混乱していた。

 

 

 

 

「へぇ、ってことはこのガキも皇族だったのか」

 

「ガキじゃないのじゃ! テオドラなのじゃ!」

 

「あわわわわ、皇族にタメ口……お給料カット……懲戒免職……きゅう」

 

宿屋での騒動の後、王城へと招かれ(連行され)た大和は、城門前にてテオドラ第三皇女に捕まった。

最初の剣幕から、てっきり決闘でも申し込まれるのかと思ったのだが、実はテオドラは大和のファンらしく、この前のラカンとの試合も特等席で見物していたそうだ。

 

「あれは闘技場の歴史に残る素晴らしい闘いじゃった! 特にあの筋肉ダルマが障壁に叩きつけられたあたりが最高に興奮したぞ!」

 

「お、結構話がわかるじゃねぇか。よし、サインくれてやろう」

 

「本当か!?」

 

「ああ、ほら背中向けろ」

 

大和はどこからともなくマジックイ〇キ(極太)を取り出し、テオドラのドレス(純白)の背中にでっかく『大和魂』と書いた。

 

「やったのじゃ! これで他のファン達に自慢できるのじゃ!」

 

「記念すべきサイン第一号だな」

 

「プレミアじゃー!!」

 

「ああ……三百万ドラクマのドレスが……特攻服に……」

 

 

 

 

 

テオドラと放心している女騎士に連れられて、大和は謁見の間に案内された。

 

どうでもいいが、テオドラが先導するので背中の文字がいちいち目に付き、その度に笑いを堪えるのに苦労した。

 

大和のイメージでは、謁見の間というと玉座の周囲に偉そうな将軍や大臣などが並んでいる、というものだったが、驚いたことにその場には皇帝しかいなかった。

 

(警備とか大丈夫なのか?)

 

一応周辺の気配を探ってみたが、玉座の陰で忍が守っているわけでもなく、今の皇帝は本当に無防備だ。

 

そんな大和の困惑が伝わったのか、

 

「ふむ、警備がいないことを気にしているのかね? 簡単な話だ。そなたが私の命の狙ったならば、たとえ警備がいようがいまいが関係なかろう。私もあの闘いは見物させてもらったからな」

 

皇帝は笑いながら語った。警備の者たちも、大臣たちなどの側近も全て下がらせたのだと。

 

「そなたの性格は調べさせてもらった。私は気にしないが、皇族に普段と同じような対応をされると必ず側近たちと衝突するであろう」

 

大和はため息をつく。

 

(……やりづれぇ相手だ)

 

「で、わざわざ俺を呼びつけたのは何の用だ」

 

尋ねてはみたものの、連合との戦争が迫っているこの状況で、それを察するなという方が難しい。

 

「うむ。そなたを呼んだのは他でもない、我らと共に連合と戦ってほしいのだ」

 

「断る」

 

俺の横では、テオドラが話についてこられずに疑問符を浮かべており、女騎士は未だに魂が抜けていた。

 

「……即答か。予想はしていたのだが、一応理由を聞かせてもらってよいかな?」

 

「俺は俺の為だけに戦う。誰かに戦う理由を預けたくない。誰かを戦う言い訳にしたくない」

 

「ふむ、そうか」

 

皇帝はひとしきり顎鬚を撫で、

 

「ならば仕方がないな。五木殿、わざわざ来てもらって悪かったな」

 

(? 意外とあっさり引き下がったな)

 

だが、もとより引き受ける気はない。こちらとしても好都合だった。

 

「ああそうだ、これは先程の話とは別口なのだが」

 

「……何だ?」

 

「テオドラの護衛を引き受けてはくれんか?」

 

「「はあ?」」

 

皇帝の提案に俺とテオドラはそろって間抜けな声をあげた。女騎士は以下略。

 

「別に戦場に出てくれなどと言うつもりはない。ただ、もうそなたにもわかっているだろうが、テオドラは少々奔放に育ってしまってな。信のおける目付け役が欲しいと考えていたのだ」

 

「俺が信用できると?」

 

「これでも皇帝だ。人を見る目は持っているつもりであるし、そもそも悪人にはテオドラは懐かん」

 

(なるほど……さっきまでの戦争云々の話は、俺にこの話を断りにくくするためのものか……)

 

ボリボリと頭を掻く。

ちらりと横を見れば、テオドラの魂まで抜けかけていた。

 

再びため息をつく。やはりやりづらい相手だ。

 

「わかった。引き受けよう」

 

「うむ。娘を頼んだぞ」

 

そのまま謁見の間を出ようとして、二つの屍が立っているのを放置するわけにいかないことに気付き、三度ため息をついた。

 

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