自書女主話Dark   作:最下

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比企谷八幡に私を与える

 

 

 

 

「んぁ……?」

 

 

海底の奥底に沈んでいる様な感覚から浮上していく。さっきまで光の届かない海底にいた私には少し眩しいよ。もう少しだけあの暗闇に包まれていたい

 

 

「や……、まぶし……」

 

 

口からでたのは気泡ではなく音。そこでやっと気付く、自分は起きていることに

 

 

「八千代さん。大丈夫ですか……?」

 

 

サッと柔らかい手が私の眼を覆って光を遮断する、でも今は光の方向に進まないと何も分からないよ

 

 

「いい、から」

「あっ!急に起き上ろうとしない!

 

 

起き上ろうとすると肩を抑えられ寝かされる。とにかく目を開けて小町さんの声がする方向を見る

 

 

「……おはよう、小町さん」

「ええ、おはようございます。……もう夜と言っても大丈夫な時間ですけど」

 

 

何で私は寝てたのかな?ちゃんとペースを配分して休息を取れる時に取ったから疲労で倒れたりはしないと思ったけど、……少し頭痛がするよ

 

 

「私は何で、いや今は、八幡さんは、」

「落ち着け」

 

 

扉の方向から八幡さんの声が飛んでくる。落ち着けと言われても、気付いたら寝てるし記憶はごちゃごちゃしてるし何故か小町さんに膝枕されてるし頭痛で思考は妨げられるし

 

 

「だから落ち着けって」

「う、うん……」

「よしよし」

「撫でなくとも……」

 

 

いまいち体に力の入らないこの状況じゃ振り払うのも面倒だから、小町さんの手を大人しく受け入れる。しかし八幡さんも小町さんも機嫌が良いとは言えない表情をしているね、八幡さんなんか眼が3割増しぐらい腐ってるよ

 

 

「とにかく私は何時寝たのかな?それに今は……」

「今は8時ですよ」

「何時に寝たらといったら5時半ぐらいだが原因は覚えてるか?」

「原因?」

 

 

2時間半ほど寝てたのは置いといて原因を考えてみる。原因というならただお昼寝してたとかじゃないよね。確か5時前後は……、あっ

 

 

「ひゃ」

「雪ノ下先輩は流石に帰っちゃったよね……」

「まあ、な」

 

 

記憶の浮上と一緒に思わず起き上る。そっか、確か雪ノ下先輩を徹底的に煽って内なる感情を全て曝け出させた時に首を絞められてたね。うん、思い出してきたよ、雪ノ下先輩がぼろぼろ泣いて八幡さんが怒鳴って私が気絶して小町さんは心配してくれたね

 

 

「……何か言ってたかな?」

「いや、謝罪して帰ったよ」

 

 

そう語る八幡さんの眼は私にも部屋にも向けられず何を見ているのか分からない。今の私が八幡さんから得られる情報は雪ノ下先輩に対しての詮索を拒む感情だけ。私が倒れている間に何があったのかな……?

 

 

「わかった、少なくとも今は訊かないよ」

「……すまん」

「ん、くぅ、ふふ、……耳を塞ぐ価値はあったね」

「へ?」

 

 

くしゃくしゃとかき回す様な撫で方はくすぐったい。それにしても八幡さんから触れてくれるのは珍しいどころか初めてな気がする。それだけ君に近寄れたのかな?とりあえず順調に前に進めてるみたいでよかったよ、このまま君の腕の中にまで入れるといいな

 

 

「お兄ちゃんは水持ってきて!八千代さんは水飲んだらまた横になりましょう」

「いや、もう大丈夫だよ」

「ダメです!また倒れたらどうするんですか!」

「……わかったよ」

 

 

小町さんから退く姿勢がまったく無いことを察する。やっぱり心配掛けちゃったみたいだね。あの作戦は二人にとって心理的負担が大きかったかな?これには少し反省しないとね

 

 

「ほれ水」

「ん、ありがとう」

「何か食いたいものは?作るぞ、小町が」

「そこはお兄ちゃんが作る空気だよ?!」

 

 

これは、……ちやほやされてるのかな?前までは私がササッと行動するから二人から「して貰う」事は多くなかったし気にも留めなかったけど、こうされると少しくすぐったいものだね

 

 

「……君達はちゃんと食べたかな?」

「はい、簡単なものですけど食べました」

「そっか、私もお腹すいたし何か食べるよ、よいしょ」

「だから小町がやるって」

「お兄ちゃんがやりなよ」

 

 

うん、晩御飯位自分で作れるけどね。しかもお願いするにしてもどっちに頼めばいいのかも分からないよ、それに立ち上がろうとした私を指一本で抑えないで欲しいかな

 

 

「じゃあ今はお姫様気分に浸るよ、八幡さん御飯よろしくね」

「へーい」

「小町さんはお風呂の準備をお願い」

「かしこまちましたー」

 

 

いそいそ準備に向かった二人を見送って眼を閉じる。今考えたい事は今後の作戦。少なくとも雪ノ下先輩を煽ったことはプラスに働いたと思うよ、八幡さんは無意識に近い形でスキンシップをとってくれたし小町さんが膝枕してくれたし、大きな変化をもたらすには十分だったようだね。これなら私が道を選ばなくてもいい方向に流れていくだろう、でも気を抜くには及ばないかな

 

 

~~~

 

 

昨日と同じようにリビングに布団を川の字に敷いて横になる。違うのは真ん中が私になったことだけ、ちなみに昨日は小町さんが真ん中だった。それと川の字に布団を敷いたと言ったけど実際に使ってるのは1枚半位のスペースだから2人と密着している。これじゃ幸せな様な恥ずかしいような感情に支配されるよ

 

 

「こまちは……げんかいですぅ……」

「誰も寝るなとは言ってないけどね。おやすみ」

「くぅ……」

 

 

心音に合わせながら小町さんの背をポンポンと叩いていた手を止め、そのまま10分ほど待つ。……うん、ちゃんと寝てるね、安定した静かな寝息だよ。なら

 

 

「それで話とは何かな?」

「……ああ、まず場所変えるか」

 

 

背中合わせに寝ていた八幡さんに声を掛けると静かな声が返ってくる。とにかく小町さんを起こさない様に慎重に起き上り2階の八幡さんの部屋に移動する

 

 

「それで、八幡さん?」

「質問があってな」

 

 

電気を付けていない部屋にはカーテンの隙間から入ってくる街灯の光位しか照らしてくれるものが無い故、お互いの顔を視認できない。私は適当にベッドの近くに、八幡さんは入り口近くの壁に寄りかかる。いつか暗闇は心を落ち着かせて顔を隠すことで話しやすくする効果があると聞いた気がする。

 

 

「何かな?」

「お前が俺や小町に接するのは何故だ。同情や憐れみには感じとれなかった」

 

 

八幡さんの質問はとても馬鹿馬鹿しい内容だった。本気で言ってるなら神経を疑うよ。まあ、それが君の問うものなら私の真剣な気持ちを言葉にしてあげるよ。……何かな、デジャヴを感じたよ、この頭の奥がチリチリとするこの感覚は一体何なのかな……?

 

 

「ふふ、君はおバカさんだね」

「いきなりだな」

「当たり前だよ、それに私じゃなかったら叩かれても文句言えないね」

 

 

そう、それだけ失礼な事を言ってるよ八幡さん。私でさえ少し腹が立ったからね。……まだ頭の奥のチリチリが消えない

 

 

「私は人気や名誉が欲しい訳じゃないよ。それに君がそれを嫌うのも知ってる」

「…………」

「八幡さん。私が欲しいのはそんなつまらないモノじゃない」

「……なら何でだよ」

 

 

呆れるね。テストの模範解答を配ったのに赤点を摂られた気分だよ。答えはこんなに簡単だから自分で解いて欲しいけどね。……頭のチリチリする痛みが少し治まる

 

 

「そんなの決まってるよ。それに言ったよね?」

 

 

まさかこんな早くもう一度言う羽目になるとは思わなかったけど、必要なら言わせてもらうよ

 

 

「私は君が好き、と」

 

 

ふふ、暗闇は話しやすくなるとは本当だね。もう少し照れたり、言葉が詰まったりすると思ったけどサラッと出てきたよ。……それでも頬は熱いけどね

 

 

「ああ、確かに言ってたな」

「うん。後水曜日。何をする気だったか覚えてるかな?」

「……ああ」

 

 

一回目の「ああ」より大分トーンが下がった「ああ」。今の君は一体どの様な表情をしているのかな?距離を詰めれば多分見れる、でも今はダメな気がする。頭の奥の痛みはとうに消えている

 

 

「なら少し我儘を聞いて貰ってもいいかな……?」

「……内容によるけどな」

 

 

少し距離を詰めると僅かに八幡さんの顔が見える様になった。また少し距離を詰めると服の模様が十分見れる様になる。そのまま近づいていく

 

 

「お、おい?」

「私の我儘は……」

 

 

距離を詰めていってサッカーボール1つ分ほどの距離になる。この言葉は少し決意が必要。闇に隠れて済ませたくない

 

 

「君の答えを聞かせて欲しい、だよ……」

 

 

さらに近寄り距離は0になり八幡さんの体に密着する

 

 

「ダメ、かな……?」

 

 

血液が流れる音さえ聞こえそうな程、静かな夜

 

 

「俺は……」

 

 

声が振動になって伝わってくる

 

 

「八千代の事が好きだ、……と思う」

 

 

その答えは最初嬉しすぎて、後の言葉を含めて偽りは感じられなくて、この体に溜められていた感情が暴れだして

 

 

「……大丈夫か?」

「ふふ、ちょっと脱力したよ……」

 

 

力がスコンと抜け、思わず八幡さんにしがみつく。何時までも八幡さんの服に掴まって支えてもらう訳にもいかないので、取り敢えずベッドに運ぶ様に指示をすると、お姫様抱っこで運んでくれる。これは貴重な体験かな?

 

 

「よし、降ろすぞ。せっ」

「ん、ありがとう。……そうだ、これはお礼ってね」

 

 

座れるように降ろしてくれた八幡さんの頬に顔を近付けて触れるようなキスをする。静かな部屋にリップ音が響き渡る。一番驚いているのはまちがいなく八幡さんだろうけど、私も結構驚いているよ

 

 

「わぷっ」

 

 

急に八幡さんが肩を押されベッドの上に倒れる。目を開けると私の顔のすぐ横に手を置き顔を覗き込んでくる八幡さんが見える。その眼は妙に澄んでいるような、腐っているような複雑な輝き方をしていた。これは、綺麗だね

 

 

「えっと、八幡さん……?」

「ッ!! す、すまん」

 

 

バッと距離を取ろうとする八幡さんの服を思わず掴む

 

 

「あっ、と、離して、くれ……?」

「うぁ、ぇと、んぅ、だ」

 

 

軽く服を引っ張る

 

 

「大丈夫だよ八幡さん、優しくしてね……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後滅茶苦茶セックスした

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