アカデミア、ノース校。デュエルアカデミア分校の一つ。例えるなら本店と支店のような間柄だ。そしてそこの校長とデュエルアカデミア本校の校長は何やら賭けをしているのだが、それは十代のあずかり知らぬ所。強いて言うなら鮫島校長からの応援がひときわ大きいと感じるくらいだ。
対抗戦は本校のデュエルフィールドで行われる。よく解らない最新型という話だが、ぶっちゃけ野外でやるのとあまり変わりは無い。気持ち半分ジャギが少ないように感じる程度だ。
それよりも、アカデミア本校の観客席とは向かい側の席には、いつもは見かけない、まるでサテライトにでも居そうな、お世辞にも育ちが良いとは言えなさそうな服装をした生徒で埋まっている。モヒカンだったり肩パット入れてたりと、何処となく世紀末を連想させるような恰好もちらほら……。
「あれ本当に高校生か?」
十代がふと、その感想を漏らす。どう見ても成人男性、しかも世紀末に出てきそうな奴らに見えるのだから、その感想が出るのも仕方ないだろう。
「はっはっはっ、確かにね。私達は二浪三浪も珍しくないような姿の奴は少なくないし、二・三人くらいは居るよ。ちなみに私は正真正銘新入生だよ」
十代の対戦相手、
デュエルアカデミア、ノース校のエクシーズの魔術師の異名を持つ男。ノース校は本校とは違いエクシーズを試験導入している。その中でも、エクシーズの使用に長けた男が、この老け顔である。
とはいえ、十代には関係ない。相手が誰であろうと、ただ引いて融合するだけ。それが未知なる相手だろうと、伝説の相手だろうと。
十代と八ツ木は、同時にディスクを起動させ、猛禽的な笑みを浮かべる。
「噂は聞いてるぜ、エクシーズの魔術師。やる前からワクワクが止まらないぜ」
「ああ、私も同じだ。面白い素材と聞いている、期待するぞ」
会場全員と一緒に、デュエル開始の幕が下りた。互いにカードを五枚引き、普段は収納されているディスプレイに二人の顔とライフが表示される。
「先功は私が貰おう、ドロー!
私は召喚僧サモンプリーストを召喚!」
真ん中に白い縦ラインの入った黒い服を着た、白い髭の老人が回転しながら現れ、あぐらを組む。
「手札の魔法カード、ギャラクシー・サイクロンを墓地へ送り、デッキから聖鳥クレインを特殊召喚!」
青白い羽を生やし、ダチョウのような身体をした鶴のような顔を付けた鳥が羽ばたき、八ツ木の場に降り立つ。赤い布のような尻尾、左手には羽と同じ色の羽箒を付けている。何とも奇妙なキメラっぽいモンスターで、お世辞にも聖なる鳥には見えない。
「クレインの効果発動! このカードの特殊召喚に成功した時、カードを一枚ドロー!
更に、レベル4のモンスター二体でオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」
八ツ木の場に大きな黒い渦が現れ、その中に水色の光と化したサモンプリーストとクレインが吸い込まれていく。そして突如大きな爆発が起きると、煙の中から灰色の赤い眼をした、テディベアに宇宙人めいた耳を付けたようなちっちゃな、ワニのような模様を腹に付けた生物が現れた。
「キングレムリン!」
「あら可愛い」
しかし、煙の中を晴らし現れた、肩や背中、頭に棘を付けた巨大な化け物がそんな感想をかき消した。悪魔にびらびらの耳を付けた醜い顔、橙色の筋肉、恐竜のような手足、首には白いもわもわが付いている。太い尻尾がびたんと地面を鳴らす。胸には紅い宝石をあしらったペンダント。
「一ターンに一度エクシーズ素材を一つ使い、デッキから爬虫類族モンスター一体を手札に加える! 私はデッキから、カゲトカゲを手札に加える!」
キングレムリンが足元に居るリトルレムリンの一体を掴み取り、口の中に放り込む。ぐちゃぐちゃと、ごりごりと。骨の砕ける音がしばらくの間鳴り響き、飲み込んだ音と同時に主に女子生徒から悲鳴が上がる。
「カードを二枚セットし、ターンエンド!」
手札補充。単純で種族も限定的だが、故に強力な効果だ。そして二枚の伏せカード、初手にしては中々堅実な動きだ。
「俺のターン、ドロー!
永続魔法、守護神の宝札を発動! 手札を五枚捨て、カードを二枚ドロー!」
「守護神の宝札とは、随分とピーキーなカードを使うのだね」
「生まれてこの方、運だけは良いんでな! 魔法カード、ヒーローアライブを発動! ライフを半分払い、レベル4以下のE・HEROモンスター一体を特殊召喚する! 俺はE・HEROエアーマンを特殊召喚! このカードは召喚成功時、デッキからHEROと名の付いたモンスター一体を手札に加える! 俺はプリズマーを手札に加える!」
背中にファンを付けたヒーロー、アカデミアの生徒にとっては既に顔なじみと化している。
「更にジャンク・シンクロンを召喚! このカードの召喚成功時、墓地のレベル2以下のモンスター一体を特殊召喚する! 墓地からシンクロ・フュージョニストを特殊召喚する!」
オレンジ色の帽子を被った、丸い眼鏡が特徴的な小さな機械仕掛けの戦士が現れ、その隣に魔法カードの融合に描かれている悪魔の方のアレが現れる。
「レベル4のエアーマンとレベル2のフュージョニストに、レベル3のジャンク・シンクロンをチューニング!
神より放たれし力の槍よ、敵の欲望、行動、知恵を奪い我に勝利を齎せ! シンクロ召喚!」
周囲が一気に氷点下と化し、空気が重くなる。これから現れるのは、今のデュエルアカデミアでないとまず手に入らず、今のデュエルアカデミアでも手に入りずらい伝説のカード。
「お前に伝説を見せてやる! 氷結界の龍トリシューラ!」
氷点下に陥ったというのに見たら心の中から熱くなる、三つの首を持った、氷の龍。額にはオレンジ色の宝石が埋め込まれており、機械染みた鋭い眼は敵を睨み殺さんとしている。羽ばたくたびに羽にこびり付いた氷が剥がれ落ち、十代の頭に降り注ぐ。
「トリシューラ……だと……!?」
「一般に流通する前に手に入って運が良かったぜ。トリシューラの効果発動! 相手の場・墓地を除外し、ついでに手札も一枚ランダムに除外する!」
トリシューラの口から冷気の塊が放たれ、左の伏せカード、墓地のギャラクシー・サイクロン、そして手札を芯まで氷らせ、十代が指をパチンと鳴らすと同時に粉々に砕け散る。
伏せてあったカードは次元幽閉、強力な除去カード。除去出来た事に対し十代は僅かに安堵した。
「更にシンクロ・フュージョニストがシンクロ素材として墓地へ送られた時、デッキから融合・フュージョンと名の付いたカードを一枚手札に加える! 俺はミラクル・フュージョンを手札に加える!
バトルだ! トリシューラでキングレムリンを攻撃!」
トリシューラの三つ又の首から、氷のレーザーが放たれる。キングレムリンも迎撃せんと深緑色の吐瀉物のような液体を放つが、液体なので次々と凍っていく。
吐瀉物は依然として吐き続ける。そこを軸に凍っていくも、もし止めたらあのレーザーが直撃するのは想像に難くない。しかし、だからといって押し切る事が出来るという訳でも無く、すぐにキングレムリンの口は吐瀉物の氷で塞がれ、頭から凍っていく。
それを見たトリシューラはニタリと笑うと、大きく羽ばたく。風の塊をキングレムリンにぶつけると、大きな氷塊の屑と化す。
「ターンエンドだ!」
「くっ、強いな……私のターン、ドロー!
レッド・ガジェットを召喚! レッド・ガジェットは召喚・特殊召喚成功時にデッキからイエロー・ガジェットを手札に加える! 更に通常召喚成功時に手札のカゲトカゲを特殊召喚!」
歯車を背負った、量産的に丸く赤い機械が現れる。両手首には小型の歯車、寸胴体に長方形の足が付いている。眼は段違いにつけられており、ガラスレンズの向こう側から黒いカメラで敵を捕らえる。
その隣に現れたのは、影のように真っ黒なトカゲ。赤い眼が何処となくこの世の生き物とは思えない雰囲気を醸し出している。
「効果にチェーンし永続罠、リビングデッドの呼び声を発動! 墓地のクレインを特殊召喚! 更に速攻魔法、サモン・チェーンを発動! これでこのターン、あと二回通常召喚が出来る!
そしてクレインの特殊召喚に成功したので、カードを一枚ドロー! イエロー・ガジェットを召喚し、効果でグリーン・ガジェットを手札に加え、更に召喚! 効果でレッド・ガジェットを手札に!」
カゲトカゲの隣に現れるのは、二つに割れた歯車を背負ったドラム缶のような身体をした黄色い機械。緑色の
そしてレッド・ガジェットの隣に、両肩に小さな歯車を付け、穴のような肩の機械が現れる。これまでのガジェットと違い、身体の中に他のガジェットが背負っているような歯車を内臓している。足はまるでスリッパのようで、やはり工業機械の量産機めいているのは、グリーン・ガジェット。イエロー・ガジェットと同じ単眼である。
これで八ツ木の場は全て、レベル4のモンスターで埋まった。しかもこれだけ展開して、また手札は二枚も残っている。アドバンテージの取り方を完全に理解しており、その腕は学生レベルではない。エクシーズの魔術師、その名は伊達ではないようだ。
思わず口が吊り上がる。こんな面白い相手と、強敵と戦える事に。十代は、デュエリストとしての本能がまるでマグマのように湧き上がってくるのを感じた。
「三色ガジェットでオーバーレイネットワークを構築! 君がトリシューラを使うのなら、私はその現身を使わせてもらう! ヴェルズ・ウロボロス!」
黒い渦の爆発の中から現れたのは、三つの首を持った黒い龍だ。真ん中の顔は龍中がまだ無事で、右の顔は右半分、左の顔は左半分が黒く侵されている。まるであしゅら男爵だ。コーカサスオオカブトのような棘を背負ったトリシューラ、しかし白い顔が浸食するように黒く染まっている。胸には悪魔のような顔、身体も羽も黒く侵されており、三つに枝分かれした、まるで神話に出てくる槍のような尻尾が何度も空中を斬る。
「トリ……シューラ……?」
「残念だが違うのだよ、少年。ヴェルズ・ウロボロスの効果発動! オーバーレイユニットを一つ使い、三つの中から効果を発動する! 私はその中から、場のカード一枚を手札に戻す効果を発動!」
左の顔が完全に黒くなり、悲しげな断末魔を上げる。それと同時に胸についている顔に禍々しい紫色の光が集まり、光がトリシューラを包み込み、その姿を粒子に変換させ消滅させる。
「更にクレインとカゲトカゲでオーバーレイネットワークを構築し、インヴェルズ・ローチをエクシーズ召喚!」
金と黒のコントラストが素敵な騎士が、レイピアを手に持ち現れる。マントのような羽の形や頭の触覚から何処となくゴキブリを連想させる外見で、女子生徒から悲鳴が上がる。足元に二匹のゴキブリが現れたのも、更に生理的嫌悪感を増幅させる。
「バトルだ! ヴェルズ・ウロボロスで直接攻撃!」
ヴェルズ・ウロボロスの三つの口から、禍々しい毒素と冷気の混じった霧の塊が発射される。が、丸いバリアによって白黒の霧が弾かれ、辺りに漂う。そしてバリアが解除されると同時に謎の風が吹き、霧が散乱し消滅した。
「墓地からネクロ・ガードナーを除外し、攻撃を無効にした!」
「チッ! ならばローチよ、斬り裂け!」
インヴェルズ・ローチは強く地を蹴り大きく飛翔すると、レイピアを大きく振りかぶり袈裟に斬る。その一連の動きが、十代にはどうもゴキブリに見えて仕方がない。
「カード一枚をセットしターンエンド!」
「俺のターン、守護神の宝札の効果で二枚ドロー!
プリズマーを召喚!」
クリスタル状の細いヒーローが十代の場に姿を現す。天窓から差し込む光がプリズマーの身体を通し、影の代わりに床に虹を描く。
「プリズマーの効果発動! エクストラデッキのシャイニング・フレア・ウィングマンを相手に見せ、デッキからスパークマンを墓地へ送る!」
床に移る虹がスパークマンの形になる。普通は気にしないような演出に力を入れるのが海馬コーポレーションとフロム・ソフトウェアである。
「強欲な壺を発動し、カードを二枚ドロー! 更に魔法カード、融合を発動! 場のプリズマーと手札の沼地の魔神王を融合!
工業機械めいた羽を広げ、場に降り立たんとするは十代の十八番。ただいつもより観客が多いせいか、白い炎を渦状に纏わせ、決めポーズを取っている。マスクに覆われていて表情は見えないが、きっとその下の顔は溢れんばかりの笑みが浮かんでいるだろう。
「甘い! 罠カード、奈落の落とし穴!」
シャイニング・フレア・ウィングマンが降り立った瞬間、まるで地雷を踏んだかのように床が派爆散し、穴に落ちて行った。
「なっ……まだだ、貪欲な壺を発動! 墓地のジャンク・シンクロン二体、エアーマン、プリズマー、沼地の魔神王をデッキに戻し、カードを二枚ドロー!」
十代は引いたカードを見て僅かに眼を見開いたが、しかしすぐにニヤリと、不敵な笑みを浮かべる。少々悪のイメージを持つカードだが、たまには闇堕ちも一興。それに十代は、既に仮想世界ではあるが覇王となっているのだ。今更、何を躊躇う必要があるのか。
「魔法カード、闇の量産工場を発動! 墓地の通常モンスター、クレイマンとスパークマンを手札に戻す!
手札の沼地の魔神王を捨て、デッキから融合を手札に加える! そして魔法カード融合を発動。手札のクレイマンとスパークマンを融合し、E・HEROサンダー・ジャイアントを融合召喚!」
黄色いボディの、胸に稲妻を封じ込めた巨人が姿を表す。
「魔法カード、ミラクル・フュージョンを発動! これはE・HERO専用の融合カード! 自分の場と墓地から素材を除外し、融合召喚する! 俺は墓地の沼地の魔神王とスパークマンを除外し、融合! 次こそ出番だ、シャイニング・フレア・ウィングマン!」
二度目の登場とばかりに張り切り空中から現れる、シャイニング・フレア・ウィングマン。どういう訳か外付けの大きなブースターを空中でパージし、回転しながらその速度を殺し現れる。ちなみにブースターは空中で分解しさながら投擲槍のように地面に突き刺さる。
「こいつは墓地のE・HEROと名の付くモンスター一体に付き、攻撃力を300アップさせる!
今墓地に存在するE・HEROの数はスパークマン、クレイマン、サンダー・ジャイアントの三体! よって攻撃力は900ポイントアップし攻撃3400!
バトルだ! シャイニング・フレア・ウィングマンでヴェルズ・ウロボロスを攻撃! フェニックス・シャイニング・シュート!」
大きく地を蹴り跳ね上がったシャイニング・フレア・ウィングマンは工業機械めいた羽の装甲を展開し、そこから大きな白い炎の羽を出す。そして右腕のパーツからも炎が出、まるで火の鳥のような形となり、ヴェルズ・ウロボロスに勢いよく突っ込む。
撃退しようと冷気と瘴気の塊をぶつけるも、まるで炭火に肉の脂が垂れたようにジュッ、という音が鳴るだけで消滅し、そしてそのままヴェルズ・ウロボロスに直撃。全身を白い炎で焼かれ、胸の悪魔めいた顔から断末魔の雄叫びが上がる。そしてその飛び火は、八ツ木の方にも向かい、身体をちりちりと焦がす。勿論ソリットビジョンなので人体に影響は無い。
だが、それとは逆にウロボロスの顔はまるで解放されたかのように安らかだ。
「シャイニング・フレア・ウィングマンは戦闘破壊した相手モンスターの攻撃力分ダメージを相手に与える!
更にサンダー・ジャイアントでインヴェルズ・ローチを攻撃!」
「手札からクリボーを墓地に捨て、戦闘ダメージを0にする!」
サンダー・ジャイアントの太い腕から放たれた雷撃はインヴェルズ・ローチの身体を焦がし、更にその熱によって背中が激しく燃える。ちなみにこれは余談だが、ゴキブリは背中の油で呼吸をしている。なので背中に洗剤をかけたりしたら窒息死するのだ。
サンダー・ジャイアントの雷撃は八ツ木の目前で、まるで水の中に溶ける雪のように拡散する。
「ターンエンドだぜ!」
「戦況は芳しくないが……私のターン、ドロー!
大きな力を振るった後は、大抵手痛いしっぺ返しが待っているものだ! 魔法カード発動、死者蘇生! 墓地からサモンプリーストを特殊召喚する!
更に手札の精神操作を墓地へ送り、デッキからレベル4のモンスター、聖鳥クレインを特殊召喚! そして手札からレッド・ガジェットを召喚し、効果でイエロー・ガジェットをサーチ!」
またしても三体の、同じレベルのモンスターが揃った。次はどんな強力なモンスターが現れるのか、逆転されるかもしれない状況だというのに、何故かワクワクが止まらない。十代もかなりのデュエル馬鹿で、そして相対している相手もずっと猛禽的な笑みを浮かべている。
馬鹿同士の戦いというのは、得てして面白い物だ。何せ常に全力で、出し惜しみをしないのだから。
「私は常に全力だが、ここまで付いてこれたのは君が初めてだ。故に、私の第二の切り札をお見せしよう!
三体のモンスターでオーバレイネットワークを構築! ヴァイロン・ディシグマ!」
黒い渦の中から現れる、金と黒が交互になっている羽。それが鋭く大きな腕と共に開かれ、幾何学的な機械仕掛けの天使が姿を現す。
逆三角形の足に正方形の腰、胴体や肩はまるで鎧のようになっている。そして兜のように大きな金色の頭、中心部分にある黒い顔を覆い囲むような赤い宝石。頭上にはエネルギー供給源なのかコアなのかは判別不可能だが、赤い宝石が埋め込まれており、その中で三つの光が回転し合っている。
「ヴァイロン・ディシグマの効果発動! オーバーレイユニットを一つ使う事で、相手モンスター一体を吸収する!」
宝石の中の光が一つ消えると同時に、ディシグマの腕がシャイニング・フレア・ウィングマンに絡みつき、身体を拘束する。そして顔の周りにある宝石のようなものが赤く光ったかと思うと、シャイニング・フレア・ウィングマンは一本の白い剣と化した。
「バトル! ヴァイロン・ディシグマでサンダー・ジャイアントを攻撃!」
「攻撃宣言時、二体目のネクロ・ガードナーを除外し、攻撃を無効にする!」
ディシグマの降り下ろされた剣はバリアによって弾かれる。
「面白い、ここまで楽しませてくれるとは! もっと私を満たしてくれ! ターンエンド!」
「俺のターン、守護神の宝札の効果で二枚ドロー!」
逆転の一手というのは、いつも突然やってくる。そしてそれは案外何気ないカードで、割と地味だったりもする。それがカードゲームというものだ。
「……悪いけどここで──俺の勝ちだ」
十代は一枚のカードを発動する。精神操作、相手モンスターのコントロールを得るカード。生け贄にも攻撃にも使えなくなるが、効果の発動は可能だ。
虚空から現れた糸に道具が抗う事は出来ず、ディシグマがゆっくりと十代の場に移動する。
「バトルだ! サンダー・ジャイアントで直接攻撃!」
サンダー・ジャイアントが筋肉を大きく膨らませ、巨大な稲光を腕に灯す。そして、肩で大きなプラズマ爆発が起き、その出力のままサンダー・ジャイアントの拳が八ツ木に迫る。
八ツ木は満足そうな笑みを浮かべながら、その拳を受け入れた。
「負けた……か。やれる事はやった、全力は出し切った。悔いは無い」
「何か死にそうな台詞だな」
哀愁漂わせながらそんな台詞を呟く八ツ木に、思わず十代はツッコみを入れる。何というか全体的に高校生っぽくないというか、日本人っぽくない雰囲気だ。
八ツ木は満足そうな笑みを浮かべ、十代に手を差し出す。
「次は負けないぞ、遊城十代」
「次も勝つさ、俺がな」
互いに不敵な笑みを浮かべ、握手をしてから拳をぶつけ合う。デュエルで互いに全力を出し合えば、その時点でもう友達なのだ。そして、その友情を祝福するように拍手が、二人を包み込む。
ちなみに余談だが、クラス対抗戦に勝った学園長はトメさんのキスが貰えるらしいが、それは十代にとっては関係の無い話だ。だがご褒美に十代に、半年分のドローパン引換券が貰えたので言う事なしである。
エクシーズとか、おいたんよくわかんないからこんなデッキになった。