月影永理の暴走   作:黄衛門

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第47話 最後に勝つのは愛

 なんやかんやあって始まってしまった、奇妙な星取り戦。ブラマジガールはちょこんと、ギャラリーの中に混じって観戦している。

 本当はデュエルする為にここに来たのだが、奇妙な事になってるなー、と売り子から買ったオレンジジュースを飲みながら思う。

 

「永理、先鋒は俺が行かせてもらう」

 

 肩を回しながら、三沢が前に出た。永理とその仲間は、いわば三すくみのような関係だ。ロリとオネと何でもあり、という意味で。

 一人だけずば抜けているが、デュエルの実力は大体同じ。だが、三沢は三人の中で一番デッキの安定性があるのだ。

 故に、三沢が先に出る。一年生最強の知将──今となっては知将というより恥将なのだが、まあでも実力の方は弱くなった訳ではない。

 

「ふーん……なら、こっちはボクが先に行こうかな」

 

 対して相手、十代側の先鋒はツァンのようだ。その胸は豊満であった。

 翔と永理は嫉妬の炎を燃やすが、三沢はさして気にも留めない様子。前に三沢が「嘘か本当か解らない三次元より、最初から嘘と解っている二次元の方が良い」と悟り、女性に(ロリ以外には)何の興味も示さなくなったせいだろう。

 しかも最近は「俺、将来ナムに行って幼女買う。絶対買う」とか永理に謎の宣言してしまう始末なのだから、もうどうしようもない。ちなみにその時の永理は、引きつった表情で「おっ、おう……」と返すのが精いっぱいだった。

 

「学年主席、三沢大地。その実力、見せてもらうよ」

 

「貴様にロリの神髄を見せてやる……」

 

 ギラッと、さながらラーメン二郎全マシのように脂っこく眼を光らせる三沢。生まれ変わったら道になりたいとか言い出しそうなアモトスフィアを醸し出している。

 その言動、オーラ力に若干引きつった表情になるツァン。しかしデュエルは真面目にやるしかない、別に殴り合う訳じゃないのだから大丈夫、大丈夫と必死に言い聞かせる。

 

「「デュエル!!」」

 

 そして、デュエルの火ぶたが切って落とされた。

 先に動くは三沢大地、無駄にクネクネというか、ヌルヌルとした指の動きでカードをドローする。

 

「先功ドロー! ついでに強欲な壺を発動し、カード二枚ドロー!

 モンスターをセット、カードを三枚セットし、永続魔法強欲なカケラを発動! ターンエンドだ!」

 

 三沢の首に、強欲な壺の目玉部分の欠片がぶら下がる。ニタニタと気色悪い笑みを浮かべている欠片、粘っこい視線を受けているようにツァンは感じた。

 

「……ボクのターン! ドロー!

 永続魔法、六武衆の結束を発動! そして、相手場にモンスターが存在し自分場にモンスターが存在しない場合、手札から六武衆のご隠居を特殊召喚する!」

 

 さながらゾウガメめいた形の四足で自動歩行する駕籠に乗った、黒子めいた布で顔を隠しつつもその奥から赤い眼を覗かせているご老人が現れる。

 死装束のような白い服、頭には茶色い頭巾を被っている。

 

「六武衆と名の付くモンスターが召喚・特殊召喚された事により、武士道カウンターが一つ乗る! 更に六武衆の影武者を召喚し、武士道カウンターをもう一つ乗せる!」

 

 駕籠の隣から現れる、茶色い鎧を身にまとった赤髪の男。手には槍を持っており、相当な使い手と窺わせる。が、攻撃力はワイトよりちょっと上程度だ。

 三沢はこの瞬間、一枚の罠カードを発動させた。

 

「永続罠、憑依解放を発動!」

 

「……やっぱり、そういうデッキなのね。

 六武衆の結束を墓地へ送り、このカードに乗っていたカウンターの数だけカードをドローする! ボクはカードを二枚ドロー! そしてレベル3六武衆のご隠居に、レベル2六武衆の影武者をチューニング!

 集いし荒武者の魂、今ここに一人の姿となりて姿を現せ! シンクロ召喚、真六武衆―シエン!!」

 

 ツァンの前に現れた光の塔を切り裂き、現れるはさながら血を思わせる、赤き鎧を身にまとった武者。ノコギリザメのようにギザギザとした日本刀、竜を思わせる羽、顔を全て覆い隠す真っ赤な兜。しかも金も使われているのでその豪華さは計り知れない。

 

「真六武衆……知っているぞ、俺は詳しいんだ。

 言うなれば運命共同体、互いに頼り 互いに庇い合い 互いに助け合う。一人が五人の為に 五人が一人の為に。

だからこそ戦場で生きられる。武衆は兄弟。武衆は家族」

 

「その通り、六武衆は頼り合い、庇い合い、助け合う友情のデッキ! たとえ自分がどうなろうと、自己犠牲を惜しまないボクの英雄だ!」

 

 ツァンにとって、武士というのは正義の味方、理想のヒーローなのだ。

 ちなみに永理は一人だけ笑っていた。三沢のあの言い方が、ツボに入ったのだ。実際効果的にも合っているし。

 

「バトル! シエンで伏せモンスターを攻撃!」

 

 三沢の伏せているカードは二枚、シエンはそのどちらかを無効にする事が出来る。さあ、どう防ぐか。三沢大地。

 しかし、以外にも三沢は何も行動せず、攻撃を通した。

 しかし、シエンが唐竹に振るった剣はガキン、と金属音を響かせ止まった。

 破壊はされていない。リバースされたカードから現れたのは、黒髪のショタ。女子と一部男子から歓声が上がる。

 茶色いコートの下から覗く細く白い手で、シエンの剣撃を止めたのだ。

 

「憑依解放は、霊使いモンスターを戦闘破壊から守る効果を持っている……ロリとは、世界を支配し得る力だ。ロリこそが正義、可愛ければ正義。即ち──ロリこそが、世界を支配する力なのだよ! 残念ながらダルクは男の子だが、女装さえすれば問題ない!

 霊使いダルクのリバース効果発動! このカードが表側表示で存在する限り、闇属性のモンスター一体のコントロールを得る! シエンは……まあ、ロリでもおねでもないから嬉しくないが、いただくぞ!」

 

 ダルクが杖から何やら黒い波状ビームを出すと、シエンの身体がポンッ、と白い煙に包まれた。

 そして中から現れるは、ぶかぶかの鎧を着た、キリッとした表情の幼女。TS幼女である。

 ツァンは信じられないものを見たような表情になっている。自分のエースモンスターが、まさか奪われるとは。しかも何か勝手にTSされるとは、夢にも思わなかったのだろう。実際永理も見ていて驚いた。

 しかし、これは三沢の愛が届いた何よりの証拠。愛が三沢を強くしたのだ。少し強化のし具合がひねくれているが。

 

「うっ、嘘……ボクのシエンが、どうしてこうなった」

 

「ショタにTSロリか、何というか……深いな、欲深い」

 

「永理君何言ってるんすか」

 

「ううっ……カードを二枚セットして、ターンエンド」

 

「俺のターン、ドロー!

 ディレ君、君に恨みは無いが……負けてもらうよ。我が同志の頼みだからね。スタンバイフェイズ、強欲なカケラに強欲カウンターが一つ乗る。そして──これぞ我が魂、白魔導師ピケルたんを召喚!」

 

 白い羊のような帽子を被った、ピンク髪の幼女が姿を現す。真っ白な布地にピンク色の模様が描かれた、ローブを着た幼女。しかもツインドリルである。

 これぞ今や、誰もが知る三沢の嫁。ちなみに三沢曰く、幼女の理想郷を作りたいと計画していたりするのだ。

 ちなみにこのカード、値段は二千円。永理の元の世界に比べれば高いが、魂と言うには安い値段だ。

 

「バトルだ! 白魔導士ピケルたんで直接攻撃! ホワイトサンダー!」

 

「罠カード、和睦の使者!」

 

「シエンの効果で無効にする!」

 

「ならばもう一枚、和睦発動! このターン戦闘ダメージを無くし、ボクのモンスターは戦闘で破壊されない……んだけど、無いんだよね」

 

 三沢は元々、このターンで仕留めきれるとは思っていなかった。何せ三沢の使うデッキは所詮、趣味デッキ。割と安定性はあるが、爆発力は全く無い。むしろここまで回るのは、まあ愛の成せる業だろうか。

 まあ、その愛も最近は多数の所に拡散してしまっているが。二次元が嫁な人はいくつも愛を持っているのだ、ラムちゃんを悩ませるぐらいには。

 

「ボクのターン、ドロー!

 真六武衆-シナイを召喚し、更に場にシナイが存在する場合、真六武衆-ミズホを手札から特殊召喚する!」

 

 顔の殆どを黒い兜で覆い隠した、黒い鎧を身にまとった、二つの棍棒を握った荒武者。その隣には、半月状の二刀流である真っ赤な鎧を着た、女性の武者。

 三沢はその二枚を見て顔をしかめる。二体とも厄介な効果を持っているからだ。一体は六武衆一体を生け贄にしてあらゆるカードを破壊、もう一体は墓地の六武衆を回収する効果。それよりも厄介なのは、見るからに二人が恋人な点だ。

 永理から送られている、二人へのヘイトの視線が何か嫌なのだ。

 

「ミズホの効果発動! 六武衆一体を生け贄に捧げ、相手のカードを破壊する! ボクはシナイを生け贄に、ダルクを破壊!」

 

 シナイがミズホに手を合わせると、シナイは青白い粒子となりミズホの二刀に吸収される。ミズホは何処か悲痛な面持ちで片方の刀を一閃。それをダルクが杖で受けるが砕かれ、続く二撃によって腹が二つに分かれた。

 これによりダルクからの洗脳が解け、シエンは元のむさいおっさんに戻ってしまった。

 貴重なTSロリが破壊されたというのに、三沢は何処吹く風。まるで気にしていない様子だ。

 

「ふん、どうせシエンも非処女だろうからな。痛くも痒くもない」

 

「えっ、何言ってんの」

 

 大寒気よりも低い視線を向けられる三沢だが、そんなのは何処吹く風だ。

 戦国時代の武士にはホモが多いというので三沢の言う事はまあ、的を得ているのだが……それでも、態々言うようなものではない。

 三沢は永理の悪影響を受けすぎているようだ。クロノスが見たら頭を抱えてしまうだろう。

 

「それと、だ。モンスターが破壊された事により憑依解放の効果が発動、デッキから守備力1500以下の魔法使い族一体を特殊召喚する。ヒータたんを特殊召喚!」

 

「……まあ、いいや。シナイの効果で墓地の六武衆の影武者を手札に加えるよ! バトル! ミズホでピケルを攻撃!」

 

「幼女の処女と守りは万全だ。永続罠、アストラルバリアを発動! 相手のモンスターに対する攻撃を、直接攻撃に変更する!」

 

「シエンの効果で無効にする!」

 

「甘い! 相手がモンスター効果を発動した時、手札から幽鬼うさぎを墓地に捨て効果を無効にする!」

 

 シエンがアストラルバリアを破壊しようとしたら、それを発動する前に黒い着物を着た、白い髪の少女がシエンを辻斬りにした。

 そして三沢の身体から白い粒子が現れ、三沢の形となりピケルを守るように立ちふさがった。

 その覚悟に感銘を受けたのか、ミズホはその人型粒子の腹を切り裂く。粒子は苦悶の表情を浮かべたが、ピケルを横目見て微笑むとその姿を消した。

 (モンスター)を守り、そのダメージをピケルの効果である程度カバーする。割と考えられたコンボではあるが、実用性はぶっちゃけあまり無い。愛しかない。

 

「仕留めそこなっちゃったか……ボクはカードを一枚セットして、ターンエンド!」

 

「俺のターン、ドロー! ついでにカウンターももう一つ乗せる!

 スタンバイフェイズ、ピケルたんの効果で、場の嫁達の数×400ポイントライフを回復する。俺の嫁達の数は三人、よって1200ライフ回復!」

 

 ピケルが杖を光らせると、三人の三沢の嫁から白いエネルギー的なものが、三沢の身体を白く光らす。

 

「そして、カウンターの二つ乗った強欲なカケラを墓地へ送り、カードを二枚ドローする!」

 

 三沢が自らの悪趣味なペンダントを握り、地面へ思い切り叩き付ける。するとそこから怨念のような、苦悶の表情を浮かべる幽霊が数十匹浮かび上がり、三沢の手札に群がる。

 それが消えると、何故か三沢の手札が二枚増えていた。なんだあの演出、と三沢は怪訝に思うが、まあ永理から貰ったカードだから何かが違うのだろう、と考えるのをやめた。なんか考えたらすっごい怖い事が起こりそうだからだ。

 

「リバース、ヒータたんよろしくお願い!」

 

 ダルクの隣に現れたのは、赤毛の女の子だ。男勝りな笑みを浮かべている、髪と同じ赤い瞳の女の子。上の方はブラめいたものしか装着していないスタイリッシュな痴女にも見える。当然ロリだ。ヒータが炎で創り出したロープを投げるとミズホの首に巻きつかれ、そのまま引き寄せられる。

 びたん、とヒータの隣に落ちたミズホは首を振って顔を上げると、ヒータはその女に口づけをした。

 

「おねロリのレズは最高だとは思わんかね」

 

「永理君、その台詞はどうかと思うっすよ」

 

 どうやらそれが洗脳だったようで、ミズホは焦点を失った眼でヒータの隣に、並ぶように立った。

 

「そして、ヒータたんと同じ属性のモンスターを生け贄に捧げ、デッキから成長したヒータたんを特殊召喚する! カモン、憑依装着ヒータたん!!」

 

 ミズホとヒータを飲み込むように炎の渦が巻き上がり、二人の姿を隠す。そして炎が臨界点を突破し、天を焦がす程の真っ赤な光を放った瞬間、まるで切り裂かれるように炎が晴れ、その中から成長して頼れる姉御となったヒータが、髪をかき上げ好戦的な笑みを浮かべながら現れた。

 

「バトルだ! まずは霊使いの方のヒータたんで攻撃!」

 

 ちっちゃい方のヒータが杖を振るい、メラ程度の大きさの火球を出し、ツァンに発射する。

 しかしその攻撃は、突如現れた渦巻く壁に吸い込まれてしまった。

 

「甘いよ! 罠発動、神風のバリア‐エア・フォース―! 相手の表側攻撃表示のモンスター全てを手札に戻す!」

 

 三沢のデッキは幼女を活躍させ、そして幼女を助ける為にのみ特化した幼女デッキ。当然、破壊を無効化するカードは沢山取り揃えているし、事実三沢の手札には我が身を盾にが存在していた。

 しかし、エア・フォースはバウンズ──手札に戻す効果。これでは我が身を盾にを使用する事は出来ない。

 とはいえ、風のおかげで幼女のおパンティが見れたので三沢としては得だ。鼻血を出しながら思わずサムズアップ。

 何処までも欲望に従順忠実、それこそが三沢大地であり、アカデミアの三馬鹿という証拠に他ならない。何とも残念なお人である。

 

「……最っ低」

 

「スカートをちんからほいしたのは君じゃないか、酷い言われようだ」

 

 密かにチンポジを足で直しながら、モンスターを手札に戻す三沢。中々ベストなポジションには収まらない。

 三沢はそうでもないが、翔と永理はツァンからの冷たい視線を受けて身悶えていた。三沢は当然、ロリにしか反応しない。きっとツァンの小学校時代の写真とか見たら三沢の三沢が大地に立ってちんからぽいからのエクスペクト・パトローナムする事だろう。

 

「これで俺のモンスターはゼロ、しかし通常召喚はまだしていない。モンスターをセットし、ターンエンドだ」

 

「ボクのターン、ドロー!

 永続魔法、六武衆の結束を発動! 真六武衆―カゲキを召喚し、召喚時手札から六武衆と名の付くモンスター、六武衆の影武者を召喚!」

 

 脳波で動くメカニック・アームを付けた、茶色い鎧を着た四刀流の武者が、バチバチと無駄にスパークをまき散らしながら現れる。そしてその隣には、動きやすいよう関節部分以外の場所にのみ鎧を付けた赤髪の武者。

 相手の動きは──無い。

 

「二体召喚したことにより、六武衆の結束に武士道カウンターが二つ乗る! そしてこのカードを墓地へと送り、カードを二枚ドロー! そして、六武の門を発動!」

 

 ゴゴゴゴと地響きが鳴り、現れるは巨大な門。武士道カウンターの形をした鍵めいた何かが光っているのが特徴的な、何とも言えない門だ。

 

「レベル3真六武衆―カゲキに、レベル2の六武衆の影武者をチューニング!

 口上省略、真六武衆―シエン!!」

 

 一応シンクロモンスターはレアなのだが、ツァンの家は神楽坂家には敵わないもののかなりの金持ちなのだ。流石に三積みは無理でも、二枚までならまあ、なんとかなる。

 

 

「六武衆の召喚・特殊召喚に成功した事により、六武の門に武士道カウンターが一つ乗る! バトル! シエンで伏せモンスターを攻撃!」

 

 シエンが切り裂いたのは幼女でも魔法使いでもなく、どこぞの携帯のCMに出てきそうな白い犬だった。斬り上げられた刀によって首が鮮やかに切断され、地面に転げ落ちる。

 ただし、血は出ない。代わりに何か危険な香りのする、緑色の粒子がシエンの周りにまとわりついた。思わぬグロに、思わずツァンは口を押える。

 

「ライトロード・ハンターライコウのリバース効果発動。カード一枚を破壊し、俺のデッキトップからカードを三枚墓地へ送る! という訳でシエンを破壊!」

 

 シエンの周りに漂っていた緑色の粒子が突如濃くなったかと思うと、半径数百メートルは巻き込むであろう超巨大な爆発が起こり、シエンは華麗に爆発四散。ハイクを詠む間もなくサヨナラしてしまった。

 ちなみにこの粒子とかはあくまで映像なので、環境には何の害も無い。直ちに影響が出る事は無いだろう。

 

「ゲッ、やばい……うう、ターンエンド」

 

「どうやら万策尽きたようだな。ドロー!

 俺は手札から憑依装着-ヒータたんを召喚!」

 

 渦巻く炎の中から現れる、赤髪の姉御。ルビーのように真っ赤で美しい瞳からは、強い意志を感じるが、今は若干涙目で、頬もエア・フォースのせいで起きた事故のせいだろう、朱に染まっている。

 三沢としては今すぐ白に染めたいのだが、残念な事にソリットビジョンには触れない。痒い所に手が届かない仕様だ。残念。

 

「魔法カード、死者蘇生を発動! 墓地から憑依装着‐エリアお姉ちゃんを召喚する!」

 

 ヒータの隣に水の泡が現れ、それが弾けるとその中から、同じようなローブを纏いながらも、きちんと前を閉めている青い髪の女の子が現れる。水に塗れた瞼を開くと、さながらサファイアのように美しい瞳が、ツァンの姿を映した。

 どう見ても三沢より年下だが、エロゲでよく高校生のお姉さんキャラとか出てくるのでそういうニュアンスを込めているのだろう。

 

「そっ、そんなにモンスターを並べてもまっ、まだボクのライフは残るよ! そんなに展開して大丈夫なの?」

 

「忠告どうも。だがね、既に勝利の方程式は完全に完璧にまるっとぬすっとすこっとすっぽり収まっている!

 墓地のスキル・サクセサーを除外し、ヒータたんの攻撃力をアップ!」

 

 ヒータの杖に血管が走ったかと思うと、ドンッ、と大きく膨張する。突然の異常事態に慌てるヒータを、何の感情か窺わせない、深海の様な瞳で見つめるエリア。

 ちなみに永理は密かにそれにナニを連想させていたが、別に細かく語る必要は無いだろう。ただ、永理も密かにチンポジを修正していた。

 対して、顔を真っ赤にしているのはツァンである。当然彼女も年ごろの女の子、そういったものに興味を持ち始める頃で、そういったものを見るようになる年ごろだ。あわわわと震える指でそれを指差すツァン、ぱくぱくと口を酸素の足りない金魚のように開くが、三沢は何も問わず、何も言わず。

 

「バトルだ! エリア、ヒータで同時攻撃! 極大消滅呪文(メドローア)!」

 

 まずヒータが、ナニめいて膨張した杖を振るい巨大な炎塊を作り出す。予想以上の出力に何やら慌てており、必死に力を押さえようとする。対してエリアは溜息一つ付くと、気合を入れるように自分の頬を軽く叩いてから、同じように巨大な氷の塊を作り出した。

 同じくらいの大きさ、威力となった氷塊と炎塊が重なり合うと、さながら核爆発の様にまばゆい光が大地を削り、空を焦がし、海を荒らす。

 ツァンはなんかヤバ気な攻撃に冷や汗を流し、思わず一歩下がってしまった。

 そして、ヒータとエリアが同時に杖を振り下ろすと、膨大過ぎるエネルギーの塊がゆっくりと下降する。

 

「ちょっ、まっ待って待って待って待って! これヤバい、マジヤバい奴だって!!」

 

「リア充は、爆発しろ! 男も、女も、関係なく!」

 

 ────そして視界は、白い閃光に包まれた。




 投稿日がクリスマスって事で、折角だから爆発させました。
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