ハターン・モンスータの狩りと愛の日々   作:ヨイヤサ・リングマスター

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最強親子の共闘

「私の歌を聞きなさーい♪」

 

 

 母さんは肩に担いでいた狩猟笛を下ろすと演奏を始めた。

 

 狩猟笛は俺も一応扱えるが母さんは俺なんかじゃ比較にならないほど狩猟笛の扱いに長けたハンターなのだ。

 

 俺が隠れ音痴だというのもあるが母さんも『頂点』と呼ばれるだけの力量を持っており本来仲間にしか影響を与えない狩猟笛をモンスターへの攻撃としても使えるという異常なほどの聴覚を持っている。

 

 

「イトラちゃんの怪我も演奏により治療完了!

 それと同時にモンスター達の動きも完全に停止させたわよ。

 トドメを刺しちゃいなさい♪」

 

 

 モンスターは先ほどまで力の限りに暴れていたと言うのにその動きを完全に止めていた。

 

 

「了解だ母さん。

 だがその前に……ハターンパワー全開!」

 

 

 イトラの怪我は母さんが治してくれたから狩りに参加させても問題ないと思ったのだが肝心の武器の方が壊れていたのを思い出したのだ。

 

 盾代わりにでも使ったのかイトラの『阿武祖龍弩・アハトアハト』は見事に真ん中から二つにへし折れてしまっていたが俺が壊れたボウガンの破片を両手で包みこむように握り、なんとか形だけは修理することには成功した。

 

 長時間の戦闘にでもならなければ再び壊れることはないだろう。

 

 それと折れたボウガンを握ってからの修理の過程をどうやったのかは秘密だ。

 

 

「それにしても相変わらず母さんの笛による音色は異常なほど効果的だよな。

 音で相手の体の自由まで奪えるなんて」

 

 

「これがお義母様の力なんですか。

 とんでもないですね」

 

 

 イトラも常に異常な連中(一応俺も含む)に囲まれているうちに異常には耐性がついていただろうが俺の母さんはそんな異常とは異質のものがある。

 

 そして野生のモンスターが動きを止めることがどれほど異常な事なのか、その使い手たる母さん自身は気づいていないのだからな。

 

 まぁ、本人からすれば出来て当たり前の技術のようだが。

 

 

「私はハターンちゃんのママなんだからこれ位できて当然でしょ。

 大体狩猟笛の音色が人間にのみ作用するなんて誰が決めたの?

 『音』である以上聴覚を持つモンスターにも効果があっても当然よ」

 

 

 母さんは笑顔でそう言うと演奏を一旦止め、自分でも攻撃を開始した。

 

 やはり母さんも、こうしてモンスターを前にすると殺意を抑えられなくなったんだろうな。

 

 笑顔のままモンスターの頭を殴り潰していく。

 

 

「イ・ト・ラちゃ~ん。

 モンスータ家の嫁に来るつもりならこれ位の事が出来ないと駄目駄目よ。

 確かにあなたの現在の弱さにガッカリしたのは本当だけどその素質には私はかなり評価しているのよ。

 ハターンちゃん以上に才能がある子なんて今までに会ったこと無いしイトラちゃんはまだまだ伸びるんだから」

 

 

「はい、必ずお義母様の期待に応えられるくらい強くなってみせます!

 いつかはハターン師匠よりも強くなって力づくで手ごめにして結婚までこぎつけます!」

 

 

 そう言って一応の修理を済ませたボウガンを俺から受け取ったイトラは勢いよく手の中でボウガンを回転させ、適当に撃ったように見えてその実無駄撃ちが一切ない正確な狙いでモンスターの眉間を次々と撃ち抜いて行く。

 

 やれやれ、ここで母さんに会ったことはイトラにとってプラスになったのかマイナスになったのか分からんな。

 

 俺よりも強くなってくれるのは師匠としても嬉しいがそんな事を言われるとこのまま修行をつけてもいいものか分からなくなってくる。

 

 

「まっ、それよりも先にこのモンスター共の始末が先決だけどな。

 よく見てろよイトラ。

 激流に身を任せ、同化することこそ狩りの極意だ」

 

 

 目の前で必死に抵抗しようとしながらも爪や牙を少しも動かすことも出来ず、俺の拳が目の前に迫っても目を閉じることも出来ずに頭蓋を砕かれて次々と死んでいった。

 

 いや、俺達三人によって殺していくことでそして狩りは終わった。

 

 時間にして1時間もかかっていないだろう。

 

 俺一人ならもう30分はかかっていたかもしれないことを考えると母さんの狩猟笛による音使いの能力はまさにあらゆる者の『頂点』に相応しい実力だな。

 

 もしも俺と母さんが直接戦ったらどちらかが確実に死んでしまうことになりそうだ。

 

 そうならないことを祈りたいものだが俺の母さんだからいつか本気で親子で殺しあうことになるかもしれん。

 

 

「なーんて冗談を考えるくらいには俺の頭も冷えてきたか」

 

 

「師匠、何言ってるんですか?」

 

 

 おっとしまった、イトラを背負っていることを忘れてつまらん妄想を考えてしまったな。

 

 ちなみにイトラは体力的に機動力が低いので背負っていたのだが、激しく動き回っていた俺の背中からの狙撃を難なくこなすその天性のガンナーとしての素質には改めて惚れぼれするものがある。

 

 

「さぁさぁ、ハターンちゃん。

 狩りが終わったらモンスターの死体の片付けが残ってるわよ」

 

 

 そうだった……これだけ散らかしてしまったうえにハンターは俺達しかいないんだったな。

 

 

「それじゃあママはこのまま自分の家に帰るから片付けはハターンちゃんに全部任せたわ♪」

 

 

「ちょい待て!

 こんなにしておいていきなり帰るのかよ!

 母さんがこの騒動の原因なんだから最後まで片づけて行けよ」

 

 

 よく見れば母さんは自分が持ってきた荷物だけでなく俺が貯蔵庫にしまっていた俺お手製の保存食や酒や漬物なんかを詰め込めるだけ鞄に詰めて、ネコバァのように膨らませて背負っている。

 

 本当にこのまま帰る気なのかよ。

 

 

「イトラの事はどうするんだ?

 俺の嫁や孫の顔が見たいって言ってたじゃねえか」

 

 

「イトラちゃんなら放っといても近い将来ハターンちゃんを確実に超えるからしばらく見守ることにしたの。

 パパもハターンちゃんの好きなようにさせるつもりみたいだしね」

 

 

 そう言うと母さんは風のように走リ去って行った。

 

 

「因果の交差路でまた会いましょー♪

 ちなみにパパは今メラナト島という近くを通る船が全て沈没するっていう謎の島に向かったらしいからもしも行くことがあったら早めに帰るように言ってね~♪」

 

 

 ドップラー効果を響かせ母さんの姿はあっという間に見えなくなりあとに残された俺はトイダーヴァの街のモンスターの死体の処理を一人ですることになった。

 

 やれやれ、イトラも手伝ってくれようとしたが軽いとはいえ、怪我人を働かせるわけにはいかないし俺が一人でやるしかないんだろうな。

 

 まったくこんな俺に本当に幸せは来るんだろうか……

 




 いやはや音使いっていいですよね。音を衝撃波として攻撃に使うタイプと音で人体を操るタイプと楽器そのものを武器にするタイプがありますが狩猟笛は三番目ですからね。
 でも仲間を音で助けるなら攻撃に使える音があってもいいと思うんですよ。

 ゲームでは世界観を壊しかねないので無しというのはいいのですが、こうした二次小説くらいは個人の好みで書いても問題はないでしょう。

 今度ハターンの母を出す機会があったら音による衝撃波でモンスターの皮膚や鱗が全て剥がれるような演奏をさせてみようかな。
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