ハターン・モンスータの狩りと愛の日々   作:ヨイヤサ・リングマスター

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 えらく長くなってしまいましたw

 1500文字くらいってのを目安に書いてるのになんかこの物語では2000文字超えたり、3000文字超えたりするのも当たり前になってきてしまった。

 もう少しあっさり読めるものが書きたいんですけどねぇ。





てめぇは大切なものを盗んでいきやがった!

 泥棒と思しき男は俺が近づいて行くのも気づかず平然と食事を続けている。

 

 

「ちょっといいか?」

 

 

 俺が声をかけると男は驚いた顔をし、さらに側にいるイトラにも気づき、今度は心底うれしそうな顔をしてくる。

 

 

「え、何?

 もしかしてあんたには俺様が見えてるの?

 そっちのお譲ちゃんも?」

 

 

 7本ものナイフを装備し、特徴的な鉤鼻と黒ひげを生やしたおっさんに気づかない道理なんてないだろうに。

 

 

「何を言ってるんだ、当たり前だろう。

 もしかして幽霊か何かか?」

 

 

「いやぁ、俺様は存在感の無さに関しては神がかったものがあるから俺の姿を認識できるのは死んだ両親以外にいなかったからさ。

 それにそっちの女の子も超可愛いじゃん。

 俺様を見える女の子に会ったのも初めてだから嬉しくてさ♪」

 

 

 なるほどそういうことか。

 

 だがそれは今は関係ないからとりあえず無視だ。

 

 

「ところでさっき自分で言っていたがお前が最近この街で盗みを働いている泥棒か?」

 

 

「おうともよ!

 俺様こそ泣く子も無視する大泥棒マック・スティッド様よ!」

 

 

「師匠、こいつ白状したわよ。

 さっさと張り付け獄門に処しましょう」

 

 

「そうだな、まさか自分から泥棒だと自白してくれるとは思わなかったが犯人で間違いないなら俺が直接手にかけてもいいしな。

 この街の第一位、ハターン・モンスータの物を盗んだんだから死ぬ覚悟はできているだろう」

 

 

 俺は大剣を、そしてイトラは……そういえばこないだ母さんが来た時にライトボウガンを壊したまま修理してなかったっけ。

 

 腰に提げた剥ぎ取り用ナイフを抜く。

 

 

「ま、待ってくれ!

 俺はこんな存在感の無さが嫌で自分をアピールするために盗みをしただげなんだ。

 ここで俺が死ぬなんて十全じゃないだろ?

 だから許してくれ」

 

 

「それだけか?」

 

 

「いや、俺も手当たり次第に盗みを働いてきたがまさかあのハっつぁんの家にまで盗みに入ってたなんて知らなかったんだ!

 それにほら、情けは人のためならずって言うだろ?

 俺だって泥棒のプロを目指していたんだがこれからは真っ当に生きるからさ」

 

 

「それだけか?」

 

 

「ノーカウントだ、ノーカウント」

 

 

 ベラベラと反省したふりをして心にもない事を言いやがって。

 

 俺が心を読めないとでも思っているのか?

 

 大切な宝(キリン娘本)を盗まれてかつてないほど怒り狂っているというのに犯人を見つけてみればこんな屑だったとはな……

 

 俺は大きく息を吸い込み、

 

 

「こんなもんにプロなんてあるかぁー!

 俺は怒ってるんだよぉー!」

 

 

 と、怒鳴りつけてやった。

 

 

「師匠、こんな屑殺ってしまいましょう!」

 

 

 店に居る他の席の客たちも俺とイトラの声に気づき、段々とこの泥棒マックの姿が見えるようになってきているようだ。

 

 

「てめぇは全殺しじゃコルァー!」

 

 

 そして大剣とナイフをそれぞれに振り下ろす。

 

 だがその攻撃は空を切り、マックは飛び上がって天井に張り付くことで回避しやがった。

 

 

「おいコラ降りて来い!

 大泥棒を名乗るなら最後くらい覚悟決めろや!」

 

 

「ふっ、俺様は俺様の存在を世に認めてもらうために盗み稼業をやってきたからこういう展開はむしろ大歓迎なのさ。

 さぁ、酒場の皆さん、私が大泥棒マック・スティッドですよー!」

 

 

 そう言ってマックは大声を張り上げると店内の全員がその存在に完全に気付く。

 

 

「師匠、私はこれまでにないくらいの殺意を出しているのにあの男は怯みませんよ。

 こんなの師匠以外で初めてです」

 

 

 途中から俺も疑問に思っていたのだがイトラはナイフを抜いた時点で黒化していたのだ。

 

 なのにそのイトラに睨まれているのにマックは全然怯んだ様子を見せていない。

 

 

「それはたぶんあの男が殺意を受け流す能力にも長けていたのだろう。

 しかしあいつ、あそこからどうやって逃げる気なんだろうな?」

 

 

 騒ぎはだんだんと大きくなり、食事に没頭していたサラやディオシキまでもがその存在を認識したのを視界の端に確認できた。

 

 やれやれ、これはまた血の雨が降るかもしれんな。

 

 

「てめぇがあたしのパンツを盗みやがったんだな!

 全殺しにしてやるから覚悟しやがれ!」

 

 

「あっはー、僕様ちゃんのコレクションを盗むなんてどんな人かと思えばただの生ゴミじゃないの。

 これはもう殺して解して並べて揃えて晒してやるしかないよね♪」

 

 

 店内の他の客も色々な物を投げつけるがマックは平然とした顔で避けまくる。

 

 

「さらばだ皆さん!

 俺様はしばらくはこの街を離れるけどまた来るからその時はまた俺様の存在に気づいてくれよな♪」

 

 

 そう言うとマックは天窓を叩き割り、そのまま逃走した。

 

 あの窓はただのガラスではなくユニオン鉱石という他の鉱石に混ぜることで真価を発揮する鉱石を混ぜて作られた特殊な防弾ガラスだというのにあっさりと割っていったな。

 

 

 そしてそれと同時にようやくギルドナイトが詰め所からやってきたが遅すぎだ。

 

 マルが珍しくギルドマスターらしくテキパキと指示を出しているがすでにあいつの気配はこの近辺からは消えているから見つけるのは無理だろう。

 

 

「ハターン君今回はありがとねぇ~。

 おかげで顔は覚えれたし似顔絵を書いて手配書を出せば多少は被害を減らせるかもしれないわ」

 

 

「そんな事はどうでもいい。

 それより俺はもう帰るぞ」

 

 

 結局は捕まえられなかったしな。

 

 一応俺のコレクションは読む用、保存用、布教用の他にも隠し部屋の中の隠し部屋に予備の読む用、予備の保存用、予備の布教用もあるから諦めるしかないか。

 

 再び怒りに火がついたサラとディオシキをなだめるのには苦労したが家の片付けもまだ済んでいないので細かい事はマルに任せて家に帰ることにした。

 

 

「ったくハターンがちゃっちゃと捕まえてくれてればさー。

 あたしが全殺しにしてやったってのにさー」

 

 

「本当だよ。

 ハタっちったら肝心な時に使い物にならないんだから」

 

 

 うぅ、俺の評価ダダ下がりか?

 

 だってあそこまでの存在感の無さと身体能力を持ってるなんて思わないだろ。

 

 

「私は師匠の味方ですよ。

 大丈夫、師匠は素敵な人ですから♪」

 

 

 あぁ、俺の癒しはもうイトラしかいないのか……なんて師匠思いの優しい子なんだ。

 

 

「(ふふっ、サラさんたちに責められる師匠も可愛い♪

 私の『師匠が使用したグッズ』コレクションは師匠といればまた手に入るし今回は犯人の顔がわかったということで良しとしましょう。

 あの泥棒も次に会ったときが命日です♪)」

 

 

 イトラのやつ心を読まれないようにしてるけど何考えてるんだろうな。

 

 可愛い笑顔だ。

 

 で、家に着くまでずっとサラとディオシキにギャースカ言われていたのだが帰ってきてみれば家は出る前は壊れた家具なんかでひどく散らかっていたというのに、室内は見事に片付けられていた。

 

 しかも壊れた家具(サラが壊したやつ)までも傷跡一つ残さず修繕されていたのだ。

 

 

「ここまできれいに直すなんて俺の知る中じゃ鍛冶屋のトン爺さんくらいしか知らないな……」

 

 

「あぁー!あたしの勝負下着が帰ってきてるー♪

 このこのぉー心配したんだぞー♪」

 

 

 下着に頬ずりしているサラ。

 

 

「僕様ちゃんのコレクションも部屋に返してあったからハタっちとイトラちゃんの盗まれた物も返ってきてると思うよ。

 それにほら、『最高にカッコいい大泥棒マック・スティッドより』って書かれた手紙まで居間のテーブルの上に置いてあったし」

 

 

 ディオシキに渡された手紙の封を切って読んでみるとこんな事が書かれていた。

 

 

『さっきはごめんねトイダーヴァの第一位ハっつぁん。

 実は俺様は君の弟子のイトラ・ウボンガちゃんに恋に落ちてしまってさ♪

 俺様の存在に気づいた女の子ってのは初めてだから本当に嬉しくってさ、次に来る時はその子を代わりに盗んでいくよ。

 今回は俺様のハートが盗まれてしまったから俺様の負けってことで壊れた家具の修理と盗んだ物の返還をしておいたから。

 それではあばよハっつぁん!』

 

 

 ……こいつ馬鹿なんだな。

 

 イトラを見れば俺以外に好意を持たれたことがよっぽど嫌なのか俺が手紙を読み終わると同時に奪い取り破いて燃やしやがった。

 

 はぁ、また来るのか。だが次来ても俺はイトラをあんな泥棒なんかには渡すつもりはないけどな。

 

 

 




 『大どろぼうホッツェンプロッツ』は子どもの頃にもっとも好きだった本です。

 なんか書いてて懐かしい気分になれました。でも知ってる人いるかな。
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