ハターン・モンスータの狩りと愛の日々 作:ヨイヤサ・リングマスター
私は単純な意味で強い素手の化物じみたキャラってのが好きですけど武器や道具の達人も好きなんですよね。
ここは渓流のエリア4。
イトラに連れられて適当に走り回った結果ここにきたのだが無人の小屋があったのでそこで月を眺めているというわけだ。
「月がきれいですね♪」
「そうだな」
「虫の鳴き声も風流ですよね♪」
「そうだな」
「……師匠は私のことを愛してますよね?」
「弟子としてな」
人が期待する答えは返さない。
そうは問屋が卸さないぜイトラ。
「もう!
そこは師匠が『そうだな』と言って、私が『ならば関係を進展させましょう』って言って襲いかかる場面じゃないですか!」
「俺はどんな時でも頭はクールでハートはホットなのさ」
イトラのことだから俺が『そうだな』と返し続けていればそう言うだろうことは5年前から予想がついていたかのように明瞭だったのでそのセリフは予想通り過ぎたのさ。
しかしこんなエリアのど真ん中に小屋を建てるなんて昔はこの辺りもモンスターがいない平和な場所だったのかもしれないな。
「さて、どのみちネコタクチケットがないんだから50分は帰ることも出来ないしせっかくだから今夜は時間を延長して狩り場で夜を明かそう。
だが、今回はロッドの奴も一緒に来ているからあいつの異常なまでの不幸による影響で無事に朝を迎えられるかどうかわからんから気をつけるんだぞ」
「はい師匠!
でもでも、こんな狩り場でよるを過ごすなんて私初めてですっごいドキドキしちゃいます♪」
「そういえばそうだな。
イトラ、ハンターたるものどんな過酷な環境でも生活出来ねばならんからせっかくなので今夜は狩り場での過ごし方を教えてやろう」
お互いに正座してイトラ向かい合い座学へと移る。
そして腕を振って袖口から黒板とチョークを取り出し、図を用いた説明をする。
もちろん白衣とメガネも出して雰囲気を出すことも忘れない。
これこそハターンクオリティ。
「まず狩り場で肝心なのは安全を確保することだ。
狩り場と言っても俺達クラスの達人になれば寝ていても起きることなく体が勝手に敵を殺戮してくれるし、そもそも俺みたいな強い存在に近寄ろうと考えるモンスターはまずいないのだがな」
「ふむふむ」
眼もを取りながら俺の説明を一言一句聞き逃さないように真剣に聞くイトラ。
イトラのこういうところが俺は大好きなんだよな。
これまで教えてきた弟子たちはみんな、座学の時間が嫌いで真面目に聞こうとする奴は一人もいなかったからイトラの授業は教える身としても教え甲斐があっていいな。
「だが稀に襲ってくる勘違い系の馬鹿モンスターもいるわけだ。
今回はそういうモンスターの対処法を教えよう」
「なるほど、それじゃああんなモンスターとかですか?」
イトラの指さす方向には何を思ったかこちらに突進してくるモンスターの姿が。
「あれはジンオウガだな。
この渓流では最近モンスターたちの縄張り争いがあったらしいがそれを制したのがジンオウガだと聞いている。
以外と肉が上手いモンスターとしても一部で知られている」
もちろん俺はエリアに入った瞬間にエリア中に見えないくらい細い、触れただけで切れるような糸を幾つも張り巡らせてあるのでジンオウガの存在にも最初から気付いていた。
それにこんな時のために探知用の糸以外にも罠を仕掛けておいたので移動することなく座学を続ける。
ジンオウガは構わず突進を続けるが俺達にぶつかる直前でその動きを止めた。
「……師匠、これってワイヤーですか?」
「さすがはイトラだ。
探知用の見えない糸と同じくらい細いワイヤーなのによくわかったな。
ここら一帯には攻撃用のワイヤーも一緒に張り巡らせておいたんだがジンオウガの奴はそれに気付かずにまんまと引っかかったわけだ。
これもトン爺さんの特別製だからジンオウガ程度に千切られるほど弱くはないしその内ジンオウガの体がバラバラになるだろう。
ちなみに七千ゼニーというお手頃価格だ」
ジンオウガは激しく動き回るがその度にワイヤーが喰い込み甲殻が裂け、血が噴き出す。
ジンオウガの体がバラバラになるまであと少しってところだ。
「仮にこいつの突進が直撃したとしてもジンオウガ程度の『どるーん』ってな掛声が聞こえてきそうなスピードの突進じゃあ俺の鎧には傷一つつけることはできないだろうがな」
「それじゃあ師匠。
師弟揃っての共同作業として二人でトドメを刺しましょうよ♪」
そう言ってイトラは愛用のボウガン『阿武祖龍弩・アハトアハトSP』を抜き放つがそれよりも先に俺の大剣はすでにジンオウガの首を切り落としていた。
「ふっ、そう言う事は俺よりも早く武器を抜けるようになってから言いな」
ボウガンはライトであれ、ヘヴィであれ抜いて、構えて、引き金を引くという3つの動作が必要だがイトラならば常人が『抜く』よりも早く3つの動作をこなして獲物を仕留めるくらいの芸当はできると思ったのだがまだまだのようだな。
「いつかは師匠を越えてその時は力づくでもものにしてみせますからね」
「その時を楽しみにしているさ。
俺は俺を越える存在はイトラをおいてほかにはいないと思ってるからな」
血に染まった大剣を地面に突き立て、それに背を預けるように座って夜空を眺める。
そして当たり前のように俺の側から離れないイトラ。
「こんな夜も悪くないな」
殺意も殺気も悪意も敵意も何も無い、平穏な空間。
狩り場でありながらひどく落ち着いた空間で朝まで過ごすこととなった。
狩り場で寝ると言ってもベースキャンプではないところが私のやり方。
オーソドックスは知性の墓場です。
そして私はチェーンソーというものはあくまで木を切る道具であって武器ではないと思っているので武器として使うのはあまり好きではないんですよね。
「ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱー」は別ですが♪
そしてハターンは大剣使いなのでトドメは大剣でないとw