ハターン・モンスータの狩りと愛の日々 作:ヨイヤサ・リングマスター
全員「ボク」だとどうも違和感ある名前を付けたネコがいますし。
あぁ、でもボクっ娘の「かぼたん」は最高に可愛い♪
アイルー村の族長選挙はバトルロワイヤル形式だったらしく開始の笛が鳴ると同時に戦いは始まった。
が、飛び入り参加した俺が久しぶりに本気の闘気を発することで死傷者を出すことなく大半の参加者は意識を失い、残ったのはサラとイトラと俺だけとなった。
「お、ハターンじゃん。
こんな所で何やってんだよ」
「あ、師匠♪
まさか私に会いたくてここまで追ってきてくれたんですか?」
俺に気付いた二人は楽しそうに手を振ってくる。
「はぁ~、おいサラ。
新発売のスィーツを買うとか言って朝一で家を出たと思ったらなんでこんな所で殺戮ショーをおっぱじめようとしてたんだよ」
「いやぁ実はさ、あたしらその新発売のスィーツを買おうと思ったら売り切れでさ。
そしたら店員にこの選挙に代理として出てくれたら無料でやるって言われて参加しただけで普通に暴れてスィーツをもらって帰るだけの予定だったんだぜ」
「その『普通に』の過程で他人に迷惑かけるなと普段から言ってるだろうが!
そんなつまらん理由でお前らみたいに常人離れした戦闘狂が戦いの場に自ら赴くなんてどうかしてるぞ」
俺もそうなんだがサラは戦うことに喜びを見出してきてるからひとたび戦闘が始まれば見境なく破壊と暴虐の限りを尽くしちまうんだよな。
イトラもこないだの武神闘宴での戦い方を見る限り戦闘狂になってきているし。
「ほら、さっさと帰るぞ。
ディオシキも昔この選挙に代理で出場して出入り禁止になるくらい暴れたみたいだし、さすがにお前らまで暴れたら二度とこの村に来れなくなっちまうじゃねえか」
「いいじゃん来れなくなっても。
前向きに考えれば一つの村から出入り禁止を食らったではなく、それ以外の村には出入り自由なんだしさ」
「それは前向きとは違うぞ。
一つの村に出入り禁止を食らうようなことをするようでは他の村からも出入り禁止を食らうのは時間の問題だ」
サラはなおも戦いたがっていたが他の参加者達はみんな俺が気絶させてしまったので渋々ながら棄権してくれた。
まったくこいつの扱いにはいつも苦労する。
こいつは自分の望んだ生き方は他人にとっても望むところだと思っているから説得が難しいんだよな。
ふと、さっきまでサラの隣に立っていたはずのイトラに視線を向けてみるとこの選挙本部で開会の挨拶をした司会役のアイルーと何やら話しこんでいた。
何をしてるんだ?
「えー、今回参加してくれましたイトラ・ウボンガ選手とサラ・ムーイ選手の棄権とその他の参加者が全員戦闘不能となってしまいましたのでイトラ選手の提案により、この村の次期族長はハターン・モンスータさんとなりましたにゃ」
ワーワーワーワーワー
司会者の発言により、観客全員によるスタンディングオベーション……そして拍手喝采…………
「っておい!
ちょっと待てよ。
俺はこの村の族長をやるほど暇じゃないぞ!」
司会ネコは俺にかまわず言葉を続ける。
「なおハターン選手には拒否権はありませんにゃ。
それでは皆さん拍手拍手にゃ~!」
パチパチパチパチパチ
なぁんなんですかぁ、この状況はぁ。
「もうこのまま師匠が族長になってしまえばいつでも来たい時にこれますしいいじゃないですか。
諦めが肝心ですよ♪」
いつの間にやら俺の背後に回り込んでいたイトラはそのまま俺に背中から飛び付いてきた。
サラの方も観客席にいるディオシキに気づき裂くを飛び越えたり他の観客を吹きとばしたりしてるし。
「やれやれ、ちょっと出かけてみればこんな災難に見舞われるとは俺ってばこれからどうなるんだろうな」
その後族長として正式に就任(拒否することを拒否されたため)し、俺の肩書がまた一つ増えることとなった。
面倒な手続きなどは全部放り出して俺達四人はネコタクに乗って家へと帰っていくのだった。
ふん、やってられるか。
「今回はハターンのおかげで暴れることは出来なかったけど新発売のスィーツはちゃんと買うことが出来たし結果オーライってところだな」
結局サラは新発売のスィーツとやらは棄権したというのに代理として出るように頼んできたネコを頼み込んで(脅しつけて)きっちりもらってきたそうだ。
それをディオシキやイトラとも分けあっており、俺も食ってみたが確かに旨かった。
これなら今回の選挙に参加したサラの気持ちもわからんではないな。
そうして俺は揺れるネコタクの上で空を仰ぎながらトイダーヴァの街に着くまで一眠りするのだった。
……なんか忘れてね?
ワリサside
カビ臭い臭いの充満した地下牢。
そこに絶対に脱出不可能というほどに縛られたネコとそれを囲むようにする二匹のネコ。
「ヘェェェールプ!
ヘェェェールプミー!!」
そう!その囚われのネコというのがこの俺、ワリサにゃ。
ご主人がカッコよく勇者のごとく助けに来ると思ったので囚われのお姫様ポジションをしてみたいという理由でわざと捕まったけどいつまで待ってもご主人は助けにきてくれにゃいのにゃ。
まったくやれやれだにゃ。
「助けなんか来るわけないにゃー。
あのワリサともあろうお人、もといお猫が見苦しい真似はやめるにゃー」
「まったくワリサって言えばその名を口にすることもはばかられる最強最悪のネコだと聞いてたがこんな腰抜けだったとはのう。
噂ってのはあてにならんもんじゃ……にゃ」
目の前にいるのはたったの二匹。
縛られているとはいえ、この俺の監視をたった二匹でするにゃんて命知らずの馬鹿にゃ。
俺の予想だとご主人はきっと助けには来たが俺を助けるということを忘れてそのまま帰ったに違いにゃいにゃ。
「……ふぅ~、御主人は助けに来る気配もにゃいし、俺もそろそろ自力で脱出しようかにゃ」
そう言って俺は拘束していた縄を容易く引きちぎり、伸びをして関節の調子を見てみる。
うん、正常にゃ。
「なっ、貴様どうやってあの縄を解いたんだにゃー!?
あれは組織の開発した新技術により、力による破壊は絶対に不可能なはずにゃー!」
「俺の噂を知ってるんだろ?
だったら驚くにゃよ、これが俺にゃんだから。
そ・し・て、さよならだにゃ」
「ぐぎゃぁぁぁぁー!」
まずは一匹。
金色の毛並みのネコの双眸に隠し持っていた鋏を突き立て、その腹をこれまた隠し持っていたナイフで切り裂き内臓を掻きまわし、両足の骨をグチャグチャにし、両腕を切断してやったにゃ。
所要時間は0.000006秒。
我ながらなかなかの目にも止まらない速さにゃ。
ご主人の技術で俺が使えないものにゃんて一つもにゃいにゃ。
ご主人のネコとしてこれ位の事が出来にゃいでどうするにゃ。
『恐怖を感じない』体質というのも身につけてるけどこの状況に恐怖を感じていにゃいのは元々この二匹が俺にとって取るに足らない存在だからにゃ。
おっと、もう一匹をビビらせちまったかにゃ?
「ひっ……ひぃ、化物だー!……にゃ」
先ほどから語尾に『にゃ』をつけないように無駄な努力していた奴にゃ。
まったく哀れだよにゃ~。
「俺はよぅ。
ご主人に助けてほしくてここで捕まってやってたけどお前らにムカついてなかった訳じゃにゃいんだよにゃ。
だから……ケジメはつけにゃいかんよにゃ~」
単純な足の速さでも勝っていた俺は逃げ出した残りの一匹を捕まえるとその指を一本一本切断していき、さらに腕も細かく輪切りにしていき、両腕を切断し終わるとその喉に背後から包丁を突き立てた。
見ようによっては口から飛び出した包丁が舌が飛び出してるみたいだにゃ。
さて、これで終わり。
あとはご主人の元に帰るだけにゃ。
「さて、帰るとするかにゃ」
そうして一匹のネコは主人の待つ家に、いや、農場に帰るのだったにゃ。
にゃはははは♪
最初はハターンとサラの人外バトルでも書こうかと思ってましたが面倒になったのでやめましたw
ワリサのことも最後まで忘れていましたし。ようやく思い出せたので最後になんとか入れることに成功しましたが、ハターンよりもワリサメインの話になっちゃったかな?
ちなみにワリサはオスです。