ハターン・モンスータの狩りと愛の日々   作:ヨイヤサ・リングマスター

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見つかるべき時に見つかるが候

 狩猟戦隊シュレンジャーの説明。

 

 シュレンジャーとは5人組のヒーローで、ギルドナイトすら手を焼く密猟者を無償で捕まえて殴る蹴るの暴行を加えた後『ギルドナイトが捕まえられなかった○○を捕まえた。byシュレンジャー』という書き置きを残してギルドに渡す正義の味方。

 

 だが実はシュレンジャーはとんでもなく弱く、いつも密猟者にボコボコにされて毎回ピンチになり、そのピンチを救う物語の真のヒーローがいる。

 

 それこそが影の主人公スター・モンタンハだ。

 

 つまり俺、ハターン・モンスータが今回扮する役というのがこれにあたる。

 

 昨日引き受けて今日台本を渡されたというのにいきなり主役級の役をすることになるとは俺じゃなかったらできないぜ。

 

 俺じゃなかったらな。

 

 

「しかしこのスター・モンタンハって奴は俺を元にしたみたいにそっくりだな。

 ここまで俺に似ていたらイトラの奴も気にいるわけだ」

 

 

 スター・モンタンハは最強無敵でヒーロースーツの内側にあらゆる武器を仕込んでおり、糸を使って罠を張ったりモンスターをボンレスハムのように縛り千切ったり、果てはどんな状況においても恐怖を感じない体質でもあるそうだ。

 

 ちなみにその正体は仮面で隠されているので誰も知らないらしい。

 

 

「ハターンさん、そろそろ本番です」

 

 

「ああ、分かった」

 

 

 ショーの関係者に呼ばれ、ヒーロースーツを着込んで顔を隠すためにも仮面をかぶり、俺は出番に備える。

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

イトラside

 

 

「もうすぐ始まりますねー♪」

 

 

「おう、なんかイトラも今日は特に元気いいなー」

 

 

「僕様ちゃんも楽しみで仕方ないよ♪

 それにしてもハタっちったら一対何処に行ったのかしら?」

 

 

 もう師匠ったらシュレンジャーのショーを見逃しちゃうなんて道に迷ったってこともないでしょうにどうしたんでしょうね?

 

 弟子と師匠の共感覚で近くにいるのはわかりますし、きっと何か考えがあるに違いないです。

 

 もしかしたらこのショーに乗じて私とキャッキャウフフの関係に……

 

 

「おいイトラ、そろそろショーが始まるから戻って来い」

 

 

 そうでした。ショーが始まるんでしたね。

 

 それにしてもサラさんはさっきまでお菓子を随分とたくさん買い込んでいたのにもう全部食べてしまったのでしょうか。

 

 もしかして体の中には胃袋しかないのかな。

 

 という事は心臓なんかは全て頭の中にあるからいつも考えなしの馬鹿な行動をするのかもしれませんね。

 

 もしサラさんが死んだらその体を解剖してみましょう。

 

 

「さぁさぁ皆さんよくぞお集まりいただきました!

 これより終了戦隊シュレンジャーのヒーローショーの開幕です!

 心行くまでお楽しみください!」

 

 

 司会の人がそういうと舞台の幕が上がりますが、まだ舞台には照明が灯っていないので真っ暗です。

 

 

「頃は二月、十八日の酉(とり)の刻ばかりのことなるに……」

 

 

 ドキドキ、ワクワク♪

 

 

「何だかんだあってシュレンジャーがピンチになった!!

 はいドーン!」

 

 

 始まったと思ったらさっきまで暗かった舞台にスポットライトが当てられ、縛りあげられた5人のシュレンジャーと明らかに悪人っぽい密猟者が出てきた。

 

 

「はっはー、シュレンジャー。

 今日こそお前らの命は虚無の地獄へと永遠に追放され、その魂は二度と日の光を見ること無く擦り切れて行くだろう!」

 

 

「「「「「くそー、俺達が拾い食いをする習性を利用して眠り薬を仕込んだ食い物を転がしておくなんて!!」」」」」

 

 

 うわっ、本の通りにシュレンジャーの5人のセリフがぴったり被ってる。

 

 シュレンジャーはこの雑魚っぽさとスターさんが登場するための説明口調がいいのよね。

 

 いきなりの始まり方には驚いちゃったけどこの流れならすぐにあの人が出てくるはず♪

 

 

「会場のみんなー、シュレンジャーがピンチよー。

 ここでみんな大好きスター・モンタンハを呼んでみましょうかー♪」

 

 

 司会の人が全員に呼びかける。

 

 

「せーの、「スター・モンタンハ参上!」……呼ぶ前に来ちゃった……」

 

 

 なんとスターさんが呼ぶ前に出てきてくれました。

 

 これは何か意図があったのでしょうか?

 

 

 

 

ハターンside

 

 

 うわっ、まじぃ。

 

 完全に出るタイミング早すぎたわ。

 

 なんか会場にいる連中全員キョトンとしてるし。

 

 どうしよう……

 

 

「行けー! スター!

 密猟者をぶち殺せー♪」

 

 

 声のする方に目を向けてみればイトラだった。

 

 なんか凄い元気いっぱいだしこの笑顔のためにも俺は最後までカッコいい憧れの師匠でなければ。

 

 

「ぐっふっふ、よく来たなスター・モンタンハよ。

 実はシュレンジャーはただの囮で本当の狙いはお前だったのよ」

 

 

 ナイス密猟者役のおっさん(未婚の48歳)!

 

 俺が出てくるタイミングを間違えたことを誤魔化してくれた。

 

 

「ふっ、いつだってシュレンジャーがピンチになる時は俺の出番なんだぜ」

 

 

 そして密猟者を瞬殺。

 

 何? 展開が早いって?

 

 いいだよ、ただでさえ今回の話はいつもより文字数増えちゃったんだから雑魚の始末みたいなショボイシーンに文字数割くのなんて面倒だから。

 

 そしてシュレンジャーの縄をほどき、密猟者を渡したら連中は礼も言わずに去って行った。

 

 お前ら本当にヒーローかよ! ってツッコミを入れるのは無しなんだろうな。

 

 

「それでは最後に今回のショーに来てくれたスターさんたちとの握手会で今回のヒーローショーは終わりです」

 

 

 どうやらこれでお終わりらしい。

 

 イトラの奴絶対俺のところに握手に来るだろうし最後までバレナイといいんだがな……

 

 次次とやってくるファンとの握手を終えるとやはりイトラは俺の列、つまりスター・モンタンハの列に並んでいたようで俺の前まで来た。

 

 

「スターさんのファンです!

 私の師匠にそっくりだから大好きなんです!!」

 

 

 目をキラキラさせて語るイトラは年相応の子どもらしさがあって実に微笑ましい。

 

 あぁ、俺はこの笑顔のためにこんなショーに出演していたんだっけな。

 

 

「今日は来てくれてありがとう。

 これからも狩猟戦隊シュレンジャーをよろしく頼むよ」

 

 

 もちろん声は変えてある。

 

 内心バレないか心配だったがどうにかその心配は杞憂に終わり、こうしてヒーローショーは無事に幕を閉じた。

 

 ちなみにサラとディオシキは俺ではなく隣にいた密猟者の人と握手していた。

 

 意外と密猟者役のおっさんは人気があるらしく俺の次に握手を求める子どもたちで賑わっていた。

 

 一方シュレンジャーの5人も俺の隣に並んでいたのだが握手会の間、最後まで誰一人として彼らと握手しようという子どもはおらず、一人で手を握ったり開いたりを繰り返してるヒーローたちは見ていて可哀想なくらいに悲惨な光景だな。

 

 

「さて、俺も仕事を終えたし急いで着替えてイトラ達と合流しなければな」

 

 

 更衣室に入ると一瞬で着替えを終え、さぁ三人の弟子たちと合流しようと思って扉を開けて出るとそこにはなんと弟子三人の姿が……

 

 

「師匠ったらあの程度の変装でごまかせると思ってたんですか?」

 

 

「僕様ちゃんがいるのに体臭を変えなかったのは失敗だったね」

 

 

「それよりなによりマルから今回のショーにハターンが出ることは最初から聞いてたんだけどな」

 

 

 うぉぉぉぉー! マルのやつなんでこの事を三人に言うんだぁぁぁー!

 

 せっかくの『こっそりとイトラの笑顔を守ろう作戦』がパァじゃねえか!

 

 

「そんなこと無いですよ師匠。

 師匠のおかげで私は今日とても楽しかったです♪」

 

 

 いつものように俺に飛び付いてくるイトラ。

 

 

「お、イトラだけずりーぞ♪」

 

 

「僕様ちゃんもハグハグするよん♪」

 

 

 なぜか普段は甘えてこないサラとディオシキまでもくっついてくるのには驚いた。

 

 だが弟子たちのこの笑顔を見れたことだし、まぁ正体はバレてしまったがイトラを喜ばせるという当初の目的も達成できたことだし今回はこれでよしとするか。




 ヒーローショーネタが書いてみたいと思ったので書いた話ですがやっぱ手の動くままに書き進めるから自分でも予想だにしない方向にいくのが面白い。これこそヨイヤサクオリティw

 それを思うと一作目(『小説家になろう』にて投稿中♪)は本当に考えまくって書いた物語だから暴走が足りなかったんでしょうね。ネットの友人とチャットしながら生まれた訳ワカメな作品ですしw

 という事は考えて書けばシリアスな物語が書けるのかもしれない……
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