ハターン・モンスータの狩りと愛の日々   作:ヨイヤサ・リングマスター

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第十四章:機械の体に熱いハート編
またも爺さんに迷惑かけられるぜ


『トン・カンジヤ鍛冶工房』

 

 そこは多くの鍛冶屋にとって聖地とまで呼ばれる場所。

 

 

 

 

トン・カンジヤ

 

 鍛冶屋にとって生き神扱いされる生ける伝説。

 

 

 だがその店の所在は謎に包まれ、知っているのは極僅か。

 

 だから今回のような騒動にまで発展してしまったのだろう。

 

 柄にもない説明口調になってしまったが、今回もこの俺、ハターン・モンスータの身に起こった出来事を話すとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日は俺を名指しの依頼が無かったので久しぶりの休暇を満喫していた。

 

 この始まり方は前にもしたことがあるが、今回は前回の教訓を生かして終始家でゴロゴロすると決めたから問題は無いはずだ。

 

 前回はちょっと農場まで出かけてイトラをモンニャン隊クエストに出したあとトン爺さんの依頼で過去へ行って謎のモンスターと戦い、現代に帰ってきたと思ったらすぐにアカムトルムとの戦闘でひどく疲れたからな。

 

 何が何でも今日はゆっくり過ごす!

 

 弟子三人も依頼がないためか、自分の部屋や台所や横になった俺の上に寝そべったりしながらそれぞれに自由な時間を過ごしているようだ。

 

 

「しかし……暇だな。

 やはり何かしようかな」

 

 

 さっきまでの決意はどこ吹く風。

 

 当然の流れとして俺は生真面目な性格なので一日中ごろごろしているのは性に合わないのだ。

 

 

「何かするんですか師匠?」

 

 

 先程の説明で分かった人もいると思うが俺の上に乗っかっているのはイトラである。

 

 ただこれまでと違って身長195㎝もある俺が身動き取れないくらいがっちりとおさえつけられているあたりに弟子の成長を垣間見た気がする。

 

 

「ああ、ちょっと新しい趣味でも見つけようと思ってな」

 

 

 そう言ってイトラを降ろして『キリン娘関連グッズ部屋』とは別の隠し部屋の鍵を開ける。

 

 

「さぁ~て、何か暇を潰せそうなものはあるかな~っと」

 

 

「師匠、この部屋は何ですか?

 私は今まで見たことない部屋ですけど」

 

 

「この部屋は俺の趣味研究部屋だ。

 俺は何をやってもすぐに極めてしまうから暇つぶしが出来そうな物をまとめてぶち込んだこの部屋で新しい趣味を見つけようと思ってな」

 

 

 これまでも釣り、調合、採掘と言ったハンターの必須技術の修行や、音楽、料理、陶芸、絵画、武道などといった物まで暇つぶしに手を出して極めてまくってたので新しい趣味が今更見つかるとも思えないけどそれらを混ぜ合わせることで新しいものが出来るかもしれないと思って作った部屋なのだ。

 

 器用裕福な俺ならではの悩みだぜ。

 

 

「やっぱここにあるものは全部極めちまったし暇が潰せないな。

 イトラは何かしたいことあるか?」

 

 

 振り返ってイトラに視線を向けてみれば、部屋の中の珍しい物を興味深そうに見ていた。

 

 

「そうですね。でしたら師匠とプランBがいいですね」

 

 

「プランB?」

 

 

「Bed(ベッド) in(イン)の略です♪

 言い方を変えるならにゃんにゃんしたいと言えば分かりますか?」

 

 

「イトラ早熟過ぎ!

 大体俺はそこまでの事は教えてないのにどこで知ったんだよ」

 

 

「ギルドでマルさんに聞きました♪

 師匠ってば女の子大好き人間なのに寡黙で渋いハードボイルドな男を今でも目指しているから娼館にも行かないらしいじゃないですか。

 だったら私が、という流れです♪」

 

 

 はぁ、マルの奴イトラに余計なこと吹き込みやがって……

 

 俺は精神的に強いから性欲だけでなく食欲や睡眠欲なんかも気合で乗り切れるってんだ。

 

 別に手足が伸びたり口から火を吐いたりが出来るってわけじゃないぞ。

 

 

「まぁいいや。

 とりあえず今日はゆっくり「ハターンくーん、依頼持ってきたわよぉ~♪」……聞こえなかったことに出来ないだろうか」

 

 

 家の前からマルの声が聞こえてきたがきのせいだ。

 

 だが……そういや前回農場でのんびりしていたのを邪魔してきたのは結局マルだったな。

 

 また何か面倒な依頼を持って来たんだろう。

 

 しばらく息を殺して居留守を決め込んでいたのだがサラが玄関をあけてしまったようだ。

 

 

「ハターンなら二階で居留守使ってるみたいだから勝手に上がってくれよマル」

 

 

「サラちゃんありがと~♪」

 

 

 あぁ、やっぱり来るのか……

 

 普段の間延びした口調とは違い物凄い勢いで階段を駆け上がってきたマルが俺の部屋の扉を開けるまでに10秒もかからなかった。

 

 

「ったく何の用だマル。

 こないだ古龍5頭同時討伐を済ませたしそんなにすぐに古龍が出たりはしないだろう。

 俺は最低でも古龍クラスのモンスターでもなければ今日は狩りには出かけないぞ」

 

 

「もぉ~、そんなに怒っちゃやーよぉ~♪

 昨日のヒーローショーに出てまた一段と男に磨きがかかったんだからもっとリラックスしなさいよぉ~♪」

 

 

「そんなお世辞に騙されはしないぞマル。

 とにかく俺は狩りには出ないしヒーローショーみたいなもんにも出ないからな!」

 

 

 ノリでも何でもこいつの依頼は面倒すぎるから決して受けない!

 

 

「とりあえず見るだけ見てよぉ~」

 

 

「い・や・だ!」

 

 

「んもぉ~……それじゃイトラちゃんこの依頼受けてみない?」

 

 

「え? 私ですか?」

 

 

 意外そうにマルから依頼書を受け取るイトラ。

 

 てっきり俺を名指しの依頼だと思ったのだがイトラがやっても問題ない依頼なのか?

 

 

 

 クエスト名『星がワシに作れというから……』

 

 内容:ワシは天才鍛冶屋トン・カンジヤ。

 

 世界中の鍛冶屋の憧れの的なワシじゃがちょっと困ったことになってしまった。

 

 もし引き受けてくれるならワシの工房まで来てほしい。

 

 ちなみに超一流以外のハンターは来るな!

 

 

 

「これはまた、トン爺さんが何か厄介なことしでかしたんだろうな。

 超一流を希望してるぞ」

 

 

「師匠、内容は書いてませんけどこの依頼って私が受けてもいいんですか?」

 

 

 依頼書と俺の顔を口語に見ながら聞いてくるイトラ。

 

 なぜか部屋の入り口付近ではサラとディオシキの二人も覗いている。

 

 

「ちなみにぃ~、その依頼をギルドに持ってきたトン爺さんはぁ~。

 この依頼は誰かがすぐに引き受けてくれないとぉ~、この大陸が消滅しかねないって言ってたわよぉ~♪」

 

 

「トン爺さんがそこまで言うってことは前回のタイムマシンよりもヤバいことが起きてるのかもな」

 

 

 さてどうするか。

 

 正直この大陸が滅んでも俺は生き残る自信はあるが本当に大陸が滅んだら俺のキリングッズまで消えてしまいかねないしな。

 

 

「師匠が受けないなら私が受けますね。

 師匠との愛の日々を満喫するためにはこの依頼を何とかしないといけないっぽいですし」

 

 

「それはいいけど俺はだるいから手は貸さないぞ。

 さっきから仲間になりたそうにこっちを見ている二人なら乗り気みたいだけど」

 

 

 するとわざとらしくサラとディオシキの二人は俺の部屋に入ってきた。

 

 

「偶然話を聞いてしまったが、なんか面白そう無事話してるじゃん。

 あたしはその依頼受けるぜ!

 ハターンは家でゴロゴロしてろよ」

 

 

「もちろん僕様ちゃんも受けるよん♪

 それじゃちゃっちゃと行ってちゃっちゃと帰ってくるねー」

 

 

 すでにそれぞれの愛用の装備に着替えた二人はイトラを担いでスタコラサッサと一路トン爺さんの工房へと向かって行った。

 

 

「あらあらぁ~、サラちゃんもぉ~、ディオシキちゃんもぉ~、とってもいい子ねぇ~♪

 ところでハターン君はどうするのぉ~?

 あの三人に任せたら依頼を達成出来ても二次災害が起きるんじゃないのぉ~♪」

 

 

「……はぁ、そういやその事考えてなかったな。

 仕方がない。俺もあいつらと一緒に行ってみるか。

 別にお前のためじゃないぞマル」

 

 

 マルの横をすり抜けて倉庫に入り装備を整える。

 

 俺がこう言うことを見越したような笑顔が少しムカツクが俺は寡黙で渋いハードボイルドな男なのでこの程度で怒ったりはしない。

 

 決して言いくるめられたように依頼を受けてしまったことに怒ってなどいないぞ!

 

 そして愛用のブロミウスシリーズを着込み、背中には大剣竜骨砕きを提げる。

 

 それに鎧の内側に予備の武器を100本ほど。

 

 そして弟子三人の後を追いはじめるのだった。

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