ハターン・モンスータの狩りと愛の日々 作:ヨイヤサ・リングマスター
ハーレムを意識していた当初の考えはどこ吹く風、ってのがノリで書いている私らしさなのだろ思います。
機械ネコアイルガーⅩ・剛(ゴー)を破壊してトン爺さんに渡して修理が済んだあと。 さてこれで俺も一仕事を終えたしのんびりしようと店を出ようとしたところでトン爺さんに呼びとめられた。
「修理完了!
おいハターン坊や、このネコお前さんの農場で飼わないか?」
「修理はやっ!?
ってかそのネコ貰っちまってもいいのか?
新兵器として大量生産して売り出すんじゃなかったのかよ」
天才と言ってもだいぶ破壊したのに一瞬で修理するとは凄過ぎだろ!
「うむ、そのつもりだったのじゃが設計図を失くしてしまってのう。
それにこのネコはプロトタイプじゃから採算度外視で最強に作ってしもうたから下手に売りに出したら面倒なことになりそうじゃし」
と言う訳でハターン坊やにやる、とトン爺さんは言うと、こちらの意見を聞かずに店の外に追い出すとシャッターを閉めてしまった。
今日はもう店じまいのようだ。
「ったくトン爺さんもけっこう自分勝手な人だよな。
お前はこれでいいのかアイルガー?」
渡されたアイルガーに視線を向けてみるとこいつも俺のところに来ることを望んでいたようで小さく肯くとそのまま黙ってしまった。
「おーい、お前けっこうしゃべってたのに何で離さないんだ?
もしかして言語機能を失ったのか?」
「あ、師匠。この子背中に何か書いてますよ」
サラとディオシキは「飽きた」と言って、先に家に帰っていたが例によって俺の側にぴったり張り付いているイトラはアイルガーの背中を指差した。
「えーと、なになに。
『私はハターン様をモデルに作られたので寡黙で渋いカッコいいネコになるために背中で語る機能しかつけていません』……背中で語るって、なんかこいつ俺よりも寡黙で渋くてカッコよくね?」
俺でさえここまで無口キャラってわけじゃねえってのにこいつ意外と凄いんじゃないだろうか?
しかも俺の好みに合わせて体型もスタイリッシュに改良されたから外見的にもカッコいいし。
そんな事を考えながら実際に農場に連れて行ってみたら案の定、アイルガーはメスのネコ達にモテモテでした。
「皆サン ヨロシクオ願イシマス。
趣味ハ読書デス」
とてもさわやかな笑顔とともに挨拶をするアイルガー。
っておい! 背中で語る機能しかないんじゃないのかよ!?
「アレハ じょーく デス♪」
どうやらユーモアのセンスもあるようだな。
これなら農場のネコ達とも仲良くできるだろう。
……と安易に考えていたが、農場のネコ達の俺に対する忠誠心は鬱陶しいくらいに粘着質でした。
いや今回の場合は一匹だけだけどな。
「てめぇなんざに用はねえっにゃ!」
アイルガーを連れて農場に入った途端にこの農場でのナンバー4、ハロウに言われてしまった。
どうやら新しい農場の仲間として紹介したのだが俺が認めるほどの強者と聞いてナンバー4の地位に固執するあまり、周りが見えなくなってアイルガーを追い出そうとしているようだ。
「おいハロウ。 隊長として命令するにゃ。
新入りのアイルガーとは仲良くするにゃ!」
「うっせー、隊長!
俺はご主人に一番忠誠を誓ったネコなんだっにゃ。
隊長達三天王もいずれは俺がぶっ殺してご主人の一番のお気に入りネコになるんだっにゃ!」
ワリサの命令にも従わないハロウ。
何やら危ない発言だがどうやらハロウは本気のようだ。
普段おとなしい奴ほど切れたら面倒というのがよくわかる光景だな。
当然の流れとしてこの後ワリサ達農場責任者のワリサとハロウの熱いバトルが繰り広げられたのだが意外にもハロウは善戦した。
「まさかこの俺がここまで手こずるまでに成長するとはやるにゃハロウ」
「はっ、俺は隊長が作ったトレーニングメニューを常に三倍こなしていたからあんま舐めてっと怪我するっにゃ」
踏み込んだ足が地面にめり込むほどの震脚と、ぶつかり合う互いの拳が生み出した衝撃波は大地を抉る。
「「にゃっはー!」」
どちらのとも分からない血が大地を赤く染め、俺の頬にも降りかかってくる。
「お前ら、もうちょっと周りを見て闘えよー」
最初は俺は止めるのも面倒なので静かに観戦していたのだが(唯一俺についてきてくれていたイトラでさえ、飽きて今ではお昼寝中)やはり勝負はワリサの方が優勢だった。
ワリサ相手にここまで粘るハロウも大したものだがワリサはまだ本気を出してはいない。
かつて触れるものすべてを傷つける『鬼』とまで言われたワリサの殺意は封印されたままなのだから。
「おいハロウよぅ。
俺を本気にさせて生きていられると思うにゃよ」
これ以上戦闘が長引くとワリサが過去を思い出して暴走しそうだし止めるべきか?
「おいハロウ。 ワリサが本気出す前にいい加減にバトル展開はやめ「オ待チクダサイ、ゴ主人」……なんだアイルガー?
お前が二人を止めるってのか?
というかこの争いの原因はお前にもあるのだが」
「心配ゴ無用DEATH」
……何やら語尾が変だったが。
「あいるがーろけっとぱんち!」
アイルガーの腕が飛び出しハロウを捕まえる。
それと今更だが、どうやらアイルガーはカタカナのセリフは平仮名に、平仮名のセリフはカタカナになる仕様らしい。
「にゃ!?」
だがハロウも抵抗しようとするがアイルガーは陸海空全てにおける最強兵器として作られたロボットなので一度捕まえた獲物を逃がすような真似はしない。
ゆっくりと近づいて行ったアイルガーは取り押さえたハロウを担いで岩陰に隠れると何かを話しているようだ。
ほんの少しの間だというのにアイルガーはハロウの説得に成功したのか、変わり果てた姿のハロウを担いで再び俺の前までやってきた。
「燃え尽きたっにゃ……」
ハロウは先ほどまで散々暴れていたというのに急におとなしくなり、白い毛並みがより真っ白に燃え尽きた灰のようになってしまった。
「おいアイルガー。 お前何言ったんだ?」
「ナニ、チョット ゴ主人ノタメニ脅シテ オイタダケデス。
ソレト農場四天王ノ 新タナ一角ニハ 私ガ就任スルコトモ認メサセマシタ」
表情を変えることもなく、自然な立ち振る舞いのアイルガー。
そのアイルガーを見てワリサも関心しているようだ。
「お前にゃら大歓迎だにゃ♪
ようこそ! ご主人に忠誠を誓った最強のハターン農場軍団へ」
「ヨロシク オ願イシマス。
趣味ハ火を吹クコトデス」
すでにアイルガーが戦闘に介入してきたことでギリギリのところで、かつての殺意を抑えることが出来たワリサはすでにティーセットを準備して菩薩モードワリサとして甲斐甲斐しく働いていた。
本人曰く、『ご主人のネコとしてこの位の事が出来にゃいでどうしますかにゃ』だそうだ。
「そんじゃま、新しい仲間はお前らで歓迎してやってくれよ。
俺はイトラが寝ちまったからもう家に帰るわ」
「ご主人~、どうせならこのままイトラさんと関係に及んでもいいんだニャ~」
「私もご主人の子育てをするという建前で家に住みたいから子どもを作るなら早くしてほしいみゃ~」
ネコ達は家に帰る俺にそんな事を次々と行ってくるが俺はまだ結婚する気はない。
そう思って気づいた。
……『まだ』?
何やら俺も考え方が段々と変わってきているような気がするがこれもあいつらの洗脳に違いない!
「俺は寡黙で渋い固ゆで卵のような男であるはずなのだ!」
だがそんなセリフもすでに言い訳に聞こえるほど胸の内を満たしている熱い思いは大きく膨れ上がっていき、それを悪くないと思い始めている俺もいるのだった。
最初はアイルガーの戦闘力を出すために書いてたのに、いかにもバトル描写がまたもオマケで、ラストが近づいてきましたよ的な展開にw
ちなみに私は可愛い女の子がたくさん出てくる話は大好きですが、最終回で誰か一人、もしくは全員を『選ぶ』ということをしない主人公は嫌いです。
純愛路線で「君だけを愛する」の一人とイチャラブか、
カッコいい女好きで「みんな俺の女だ!」の全員を平等に愛するかで終わらなければ納得が出来ない性質なのですよ。
なぁなぁの関係で終わるのはどうもねぇ……
まぁ、そういう感じでハッピーになると思います♪