ハターン・モンスータの狩りと愛の日々   作:ヨイヤサ・リングマスター

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暗闇に浮かぶ二つの眼

 そいつはにいた。

 

 輝くような二つの瞳をメラナト島の内部を適当に散策していたら見つけたのだが俺はこの眼を、気配を知っている。

 

 過去に会ったことがあるからだ。

 

 

「さぁて出てこいよ……父さん」

 

 

「久し振りだね我が息子よ。

 やっぱりここで待っていて正解だったよ」

 

 

 暗闇から出てきたのは俺の父さん。

 

 背後でサラとイトラがズッコケた音がするが俺は気にしない。

 

 

「やっぱハタっちのパパさんだったのね」

 

 

 唯一驚いていないディオシキは以前に父さんとは会ったことがあるので匂いを覚えていたようだ。

 

 

「さすがは私の息子だな。

 ハーレム要員を揃えてこの島にやってくるなんてさすがじゃないか。」

 

 

 以前会ったときと変わらない子どものような笑顔で手を振りながら近づいてくる父さん。

 

 その格好はおよそハンター協会会長という普段事務仕事をメインで行っているとは思えないほどに禍々しい装備、『ドラゴンⅩ』シリーズに黒滅龍槍という出で立ちだった

 

 

「相変わらず元気そうで何よりだ父さん。

 母さんが探してたし、あんま長いこと島に籠っていたら嫌われちまうぞ」

 

 

 うっかり母さんの話を振ってしまったために、父さんはスイッチが入ったようだ。

 

 そして結局は愛し合っているから何の問題もない、と言って父さんの母さんとの惚気話が終わったのは30分も経ってからだった。

 

 俺の父さんは母さんとの夫婦仲が気持ち悪いくらいにいいんだが風来坊な性格のために今回に限らずあちこちを放浪しているのだ。

 

 けっこうな年のはずだが髪の毛はいつまでのふさふさで肌もモンスターだらけの島に長いこといたというのに若者みたいにピチピチでもある。

 

 というか女の子に見えるからイトラよりも女っぽく見えるくらいだ。

 

 父さんと一緒にいると、しょっちゅう俺の方が父親だと間違われてしまうくらい若い父親なのだ。

 

 

「ちなみに母さんからお前が新しい嫁さん候補の弟子をとったと手紙で聞いているぞ。

 もしかしてそっちの小さい子かい?」

 

 

 面倒なことになりそうだからあえてスルーしようかとも思ったのだが父さんに呼ばれたことでイトラが会話に加わってきた。

 

 

「始めまして師匠のお義父様。

 ハターン師匠の未来のお嫁さんのイトラ・ウボンガと申します」

 

 

「おぉ、これはこれはご丁寧に。

 私はハターンの父、ジドストラ・モンスータです。

 息子と付き合っていくのは大変でしょうがこれからもよろしくお願いしますね」

 

 

「はい、お任せくださいお義父様♪」

 

 

 あー、なんだろこの展開。

 

 そろそろ物語の最後の締めとして割とシリアスなバトルに流れ込む空気だったのに妙に和んでるし。

 

 というか父さんもこんなに幼いイトラが俺と結婚することに賛成するなんてどうかしてるんじゃないのか?

 

 

「あたしとも始めましてだなハターンの父ちゃん。

 トイダーヴァの街で第二位のハンターをしているサラ・ムーイだ」

 

 

「僕様ちゃんとは久し振りだね♪

 ディオシキですよん」

 

 

 なんか手持無沙汰だった二人までも会話に加わってきたし。

 

 

「はじめまして&お久しぶりですお二人さん。

 息子よ、せっかくだからここらでお茶にしようじゃないか。

 ティーセットくらい持ってきているだろう?」

 

 

 そう言ってマットを敷いて座り込んだ父さん。

 

 お茶菓子まで用意して相変わらずのマイペースぶりは健在のようだ。

 

 

「分かったよ。

 仕方がないからここらで感動の親子の再会でもしてやるよ」

 

 

 さっさと島の奥へと進みたかった俺を足止めした父さんへの嫌味で言ったつもりだったのだが、父さんは言葉通りに取ってしまったようだ。

 

 

「さぁ、お茶会を始めようじゃないか♪

 可愛い息子とその未来のお嫁さんとの会話だから弾ませようか」

 

 

 妙に張り切り屋の父さんの仕切りでお茶会は始まったのだった。

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

「ところで父さん。

 せっかくだから聞いておきたいことがあるんだが」

 

 

「この島にいる理由か?

 それなら新種のモンスターが大量に見つかったからってことだぞ」

 

 

 すでに三杯目の紅茶を冷ますことなく一気飲みする父さんは四杯目を注ぎながら言ってきた。

 

 熱くないのか?

 

 

「いや、それは知ってるけどこの島の地下に新種の古龍がいるはずなんだが知ってるか?」

 

 

 イトラの仇のモンスターの気配は間違いなくこの島から発せられている。

 

 

「あぁ、光黒龍ギーラのことだな。

 ギルドでもその生態は詳しく知られていないから古龍に分類されるんだろう。

 ちなみに私が島を出ないのもあの龍の探索が目的だからだ」

 

 

「ってことはその古龍の居場所がこの島ってことしかわかっていなんだな」

 

 

 父さんが島に残っている理由は分かった。

 

 

「まぁ、父さんが無事でよかったよ。

 それじゃ俺らはこれからその新種の古龍の捜索を続けるから父さんは一緒に来ているギルドナイト達を連れて帰ってくれ。

 というか帰れ」

 

 

 誰もが忘れている設定かもしれないが父さんがこの島に勝手に訪れたためにハンター協会の会長に万が一があってはならないので護衛として多くのギルドナイトの人員がこの島に割かれたことであちこちに問題が発生しているしな。

 

 おかげでその問題に俺自身が巻き込まれたり、弟子たちが騒ぎを大きくしたりするから早いとこなんとかしておきたいという考えがあってのことだ。

 

 

「ふふふ、私の息子は随分と立派になったもんだね。

 これなら調査の続きはお前たちに任せることができそうだ」

 

 

 そう言うと意外なほどにあっさりと父さんは荷物をまとめ始めた。

 

 どうやら俺達が来るのを待っていただけですでに帰るつもりだったのだろう。

 

 

「あぁ、そうそう。

 イトラちゃんだったね。君に一つ忠告しておこう」

 

 

 帰りの荷物整理をしていた手を止めて父さんはイトラを見る。

 

 

「なんでしょう?」

 

 

「そんなに大したことじゃないし、息子が分かっているようだから余計なお節介なんだろうけど……息子を頼るんだよ」

 

 

 それだけ言うと父さんは荷物をまとめて俺達が来た入口に向かって歩いて行った。

 

 

「師匠、私は師匠を頼る気持ちは必ず持ち続けますから大丈夫ですよ」

 

 

 言葉の意味を本当に理解しているのかどうか……

 

 父さんはイトラの眼の輝きの奥にあるものに気づいたのだろう。

 

 

「……さて、それじゃさっさと奥へと出発だ。

 イトラ、もう一度言っておくが俺を頼れ、俺を信じろ、俺を巻き込め」

 

 

 それだけ言って島の奥へと歩みを再開する。

 

 それ以降の会話は不要。

 

 イトラが自分の問題を解決できるかどうかはイトラ自身にかかっているのだから。

 

 そして島の深奥。

 

 そこに奴はいた……

 




 前回と同じような終わり方ですが今度こそ……

 ハターンパパはダンタリオン教授の要素は一切ありませんよ♪

 むしろ可愛い系とかの方がハターンママのリュカとのギャップがいいと思いましたのでw

 ちなみに最後のキャラ設定は最終日に投稿予定です。
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