スルーしてください^^
反魂の術なんて存在するわけないじゃん。
普通ならそう思うもの。
だけど、ここは魔界で、あたしは科学では解明できない悪魔という存在。
それも魔王クラスの膨大な魔力という意味不明な力まで持っているの。
じゃあ出来ないはずがないじゃない? というノリで思いついたのが、「死んだバビロン爺さんを生き返らせよう作戦」
(ついでにあたしとプラムちゃんの仲人を頼んで本番に向けて外堀を物凄い遠くから埋めていこう作戦)
「くっくっくっ……、何やら作戦名が長くないか?」
「なに言ってるのよ~、シードルちゃ~ん♪
よく分からないものを分かるように説明するには、適当に言葉を増やして煙に巻くやり方が一番でしょ?
実際に可能か不可能かなんてわからないんだし」
死んだ者――それも魔王クラスを生き返らせるのだから、そう簡単ではないでしょうけどね。
え? <全知全能の書>を使え?
それはイヤよ。
だって、<全知全能の書>はあたしとプラムちゃんの婚姻届の代わりに使うつもりなんだから♪
「くっくっくっ……、まさか<全知全能の書>をそんなものに使うとはな。
具体的にはどういう風に書き込むんだ?」
「ん? そんなの決まってるじゃない。
『あたし、“呪術王”シュナムクルは“預言者”プラムを永遠に愛することを誓います』よ!
別に願い事じゃないから魔力を奪われたりはしないけど、そういう行為に<全知全能の書>を使う贅沢がしたいの。
そのためにゼタとも仲良くなっているんだし♪」
あたしがゼタっちとサロにゃんをお祝いするためだけに二人に近づいたと思った?
残念、あたしは悪魔なんだから自分にも利がないと面倒な事はしないわよ。
勿論、二人の子どもを可愛がりたいというのも本音だけど。
「それでどうする?
爺さんの身体は消滅してしまっているぞ」
「魂を追って冥界に行けばいいじゃない。
死後の世界はどの世界だって普通にあるんだし、そっちにならバビロン爺さんの魂もあるはずよ。
もしかしたら、全盛期の魔力で襲ってくるかもしれないけどね」
あと、冥界なら元はシードルの管轄だし、魂を探すのも簡単に行きそうじゃないの。
「それはそれで不安しかない死者蘇生だな。
……とはいっても、逆らえないのだからついていくしかないのだが」
シードルは口では面倒くさがっているように聞こえるけど、その実この境遇を楽しんでいたりすると思う。
「シードル:はっ、オレはもしや、呪術など関係なくシュナムクル様を愛しているのでは!?」
「おい、オレのフリをして適当なことを言うなよ? 我が主。
オレがシュナムクル様に従っているのは呪いがあるからであり、それ以上でも以下でもない。
解けるもんならとっくに解いてシュナムクル様を切り捨てている」
でも耳まで真っ赤になってるし、内心は満更でもないと思っているはず。
もう、悪魔ってばみんなツンデレなんだからぁ~♪
「怒っちゃやーよシードル。
まっ、冗談はここら辺でおしまい。
早いところバビロン爺さんに会いに行きましょう」
ここで今回の作戦に用いるのは単純に魔力……ではなく、“冥王”であるシードルの力。
そもそもシードルがいれば今回の作戦もあっさり終わってしまうから、それを盛り上げるために会話劇を興じていたりするの。
「決してシードルをからかったら面白いから、ついつい趣旨とは逸れたことばかりしていたわけじゃないんだからね♪」
「ほう、そういうわけだったのか……。
心の声のつもりだろうが、最後の一文が駄々洩れだったぞ、我が主よ」
ゲッ、本音が出ちゃってた。しかも聞こえてたの?
シードルったら、さっきまで照れちゃってたのに、今は本気で怒っているみたいな……。
「くかきけこかかきくけききこかかきくここごほっごほっげほげほ……」
「や、やめなさい、シードル。
気を高めちゃダメ。
落ち着きなさい(ゴスッ)」
「ぐはっ!」
あら? シードルったら本当に落ち着いたのかしら? ぴくりともせずに横たわってどうしたのかしら?
頭に漫画みたいなタンコブ作ってどうしたのかしら?
……うん、これはアレね。アレよアレ。
拳骨一発で撃沈する魔神だなんて人に見られたら可哀想だし、このまま放っておいて元シードル魔界にはあたし一人で行ってきましょう。
と言う訳で、バビロン爺さんに対してあたし一人という戦いに挑むわ!
……勝てないかも……。
シードル……不憫なやっちゃな~(笑)
あと、バビロン爺さんの全盛期の強さにシュナムクルは勝てるのか!?
まぁ、この先、若さを取り戻した爺さんと戦うことがあるのかどうかはさておき、あまりバトルなノリにはいかせないつもりですけど。
あと風邪をひいてしまいましたが、読者のみなさんもお気を付けください。
声が出なくとも読めて伝わる文章の力の偉大さを改めて感じたヨイヤサでした。