シードル魔界。
外から見たら巨大な剣が突き刺さり、鎖で縛られた姿をした球形の魔界だけど、実際に降り立ってみると特に変わったところもない普通の魔界だったりするのよね。
魔界の外観にあったような剣や鎖のオブジェなんて見えないけど、この辺が魔界の七不思議なのかもね~。
まぁ、今では管理はアレクに任せてあるから、アレク魔界と呼ぶのが相応しいんだろうけど。
あ、第一悪魔発見。何してるんだろ?
こうして好奇心を満たすべく、我々調査隊は見つけた悪魔に会ってみることにしたのだった。
(隊長:あたし、隊員無し。シードルは名誉の負傷のため休養中)
「おい、止まれ。貴様何者だ?」
「あら? その無礼な言葉はあたしに言ってるのかしら?」
近づいた途端に脅すように物騒な口調でお出迎えする悪魔A。
悪魔Aはパンチパーマに上半身裸、そして背中には<太鼓>系武器の『雷神太鼓』を背負っているところからしてアレクの家来みたい。
「私はこの魔界を支配する“破壊神”アレク様の腹心である魔神ライデン様の家来の親戚の友人の知人の飼い犬を始末した保健所の役人だ。
この魔界に用があるのならば、ひとまず役所に来てもらおうか」
随分とアレクとは遠い関係者だけど、偉そうなことこの上ないわね。
「あんたみたいなのが役人?
うわー、ないわ~。パンチパーマで上半身裸の役人なんてないわ~。
プレネールさんが受付の役所とかなら行くけど、あんたみたいなのがいる役所なんていやだわ~。
だから力づくで通させてもらうわね♪」
「え? ちょっ待っ「ドラゴンキィィィーック!」ぐあぁぁぁぁぁぁぁ~……」
あ、そういえばあたしってば呪術王だなんて名乗ってるけど、炎系の攻撃なら何でもできそうだな~と思って適当に試した技が出来たわ。某モンスターをファームで育てるゲームのウサギの蹴りが。
この分だとアデルの飛翔爆炎脚や、ラハールの獄炎ナックルも使えそうね。
他には太陽も炎だし、サンレッドやソラールさんの技も使えるかも。ホント、太陽って偉大だし。
あたしも最強を求めちゃいないけど、でっかくて熱い生き方はしたいからね。
あ、ちなみにあたしは炎攻撃を使う分には自由に使えるけど、敵からの炎攻撃は100%無効化体質らしいから炎使いの戦闘バカのアデルなんかが相手だと圧勝しちゃうかもね♪
……
…………
………………
「……うぅ、まさか新進気鋭の魔王“呪術王”シュナムクル様とは露知らず申し訳ありませんでした」
結局あのあと、ノリで火フェインの大量投与をすることでボケたこと抜かしてきたた悪魔Aの目を覚まさせてあげました。
でも、こんなに従順になるだなんて、少しやりすぎちゃったかしら? てへ♪
「分かればいいのよ、分かれば。
そ・れ・よ・り・も、アレクの調子はどう?
慣れない冥界での仕事にアタフタしてたら面白いんだけど♪」
「アレク様ですか……。
我らがアレク様も、最初こそ『領土も増えて大魔王へと近づいたぜ!』と喜んだフリをしてご自分を誤魔化そうとしていたのですが、冥界の仕事が普通の魔界での仕事よりも大変であることから、仕事は私たちに任せたまま何処かへフラリと……」
「え? じゃあ今ここの管理人をしてるのって、アレクの腹心の魔神ライデンあたりなの?」
「ええ、この冥界では現在、ライデン様が書類仕事も含めて完璧にこなしております。
こう言ってはなんですが、正直アレク様よりも仕事が早いので、下に付く私たちとしてもライデン様にこのまま冥界を乗っ取って魔王となってもらいたいのですがね」
こりゃまたぶっちゃけたことを言ってくれるわねぇ、この名もない悪魔は。
確かに魔神ライデンと言えば、ディスガイアシリーズを含めても数少ない名前のある“魔神”だけど、彼がアレクを裏切るとは思えないからこの悪魔の計画は理想のまま終わることになりそうね。
ん? でも待って。
アレクが何処ぞへ行ったというのなら、あたしの魔界大丈夫かしら……?
「あ、でもアレク様はツンデレですから、本人はふらりと出て行ったつもりでしょうけど、たぶんライバルの魔王ゼタとその妻サロメの間に近々生まれる予定の子どものためのプレゼントを探しに行ったのだと思います。
あれでアレク様も悪魔で魔王なのに、お人好しですからね~」
「あぁ、それは言えてるわね。
それに性格だけでなく、あんなんでも一応魔王としてかなり強い部類だし。
って、ついさっきアレクの代わりにライデンに魔王をやってほしいとか言っておいていきなり持ち上げるわね、あんた」
「あれはただの妄言ですよ。
実際問題ライデン様は魂レベルでアレク様に心酔しておられますし、私ども冥界専属となった者は、仕事が楽になるのでアレク様にこの冥界に帰ってきてほしくないと思ってるだけですから」
戻ってきてはほしくないってのも主に対しての言葉にしちゃ失礼だと思うけどね。
「ふーん、悪魔ってのもやっぱり色々あるものなのね~」
「同じ悪魔で、しかも飛び抜けて変わり者のシュナムクル様も、人のことは言えませんよ(ニヤニヤ)」
む、言うじゃないこの悪魔め。
でも本来の目的のためにもこんなのに関わってる暇じゃないのよね。
そういえば忘れてたけど、あたしはバビロン爺さんに会いに来たんだっけ。
「とりあえず、あたしはもう行くわ。
バビロン爺さんの魂に会いに来ただけだから。
あんたみたいな三下に時間――というか文字数使い過ぎちゃったしね」
「はて? バビロン爺さんでしたらすでに転生していますよ?
何でも魂となってこの冥界に来た時、次に生まれ変わるときは熱くてカッコイイ父と美しくてツンデレの母の間に生まれたいと言って、別の世界に転生したと思うんでどこに行ったのやら……」
あらら、ちょっと遅かったのか。
あの爺さんなら、まだ冥界でのんびりしてると思ったんだけどな~。
「むー、それじゃバビロン爺さんの行方が分からないじゃないのよ。
何か次の転生先の手がかりとかないの?
ほら、書類で記録を残してあったりとか」
「一応魔王クラスの方の転生記録なら残っているんで、すぐに取ってきます。
少々お待ちください」
そう言ってあっという間に走り去ってしまった悪魔A。
ふぅ、バビロン爺さんの魂にノリで会いに来ただけだってのに、なんだか面倒なことになったわよね。
うん? でも待って。
熱い父とツンデレの母の間に転生したいって…………まさかね。
「えーっと、記録が見つかりました。
この辺りで最年長魔王“暗黒竜”バビロン様の次の転生先は<ヴェルダイム>という魔界を治める魔王ロザリンド様と、その夫“魔界勇者”アデル様との間に生まれた子どもに転生した……となっております」
「な、なんですってぇぇぇぇぇぇぇー!!!?」
あの! 『魔界戦記ディスガイア2』の主人公とヒロインの間に子どもが出来てるってのも驚きだけど、その子どもがバビロン爺さん!?
そりゃもうチート決定よ!
ってか、転生済みってことはもう生まれてるの?
急いで行かなきゃ!
今回は、ちょっと爺さんに結婚式の仲人を頼もうと思っただけなのに随分と面倒なことになっちゃったわね。
でもこれはこれで面白そうだし、爺さんの転生先にも会いに行こうっと♪
そして、その後あたしとプラムちゃんの間に子どもが出来た時はその年齢に相応しい歴史と重みを感じる名前をつけてもらいたいしね♪
希望いっぱい夢いっぱい。次回の目的地はヴェルダイムで~す♪
次回……はまだ<シュナムクル魔界>で何やかやですが、ようやくヴェルダイム編へと向かうこととなりました。
ヴェルダイム編とか思いつきなんですけどねw
それにシュナムクルの勢いだと、いずれはノリで炎魔法の管理人辺りとも拳か杯を交わす仲になるかもしれませんね。
ストックを溜めるやり方で書いていますので、ネタ自体はその時々の思いつきですが、全体的に見れるので矛盾とかはそんなに無いと思います。
長い目で見たのんびりした作品ですが、これからもよろしくお願いします^^
……プラムとの間に子どもが出来たら名前は「ロゼッタ」かな?