もし家来希望者がいれば、それは下剋上を考える中級以下の半端者悪魔ですね。
強い悪魔は最初から自分で天下を取ろうとしてきますし。
それでも自らの命、地位を狙ってくる野心を持ってこそ真の家臣であり、それを御しきれるものこそ魔王だとも思いますが、そう簡単にはいかせられないんですよねぇ~。
あ、投稿初日は二話更新ですので♪
魔王となって自分の魔界を手に入れてから一週間。
あたしの毎日は、城に勤める者が一人もいないために寂れた印象しかない魔王城となっていたりするのよね~、もう寂しいじゃない!
なので城を出て魔界各地から使えそうな家来を集めるために奔走しているのだった。
……などと、日記のような口調で語ってみたものの、実際にはそれほどハッピーで面白い出来事なんてないのよね。
有能な悪魔はみんな他の魔王に仕えていたりするし。
すでに“呪術王”シュナムクルの名前は、あたしが支配した魔界だけでなく、別の魔界にも広まっているみたいで、馬鹿な連中が喧嘩売ってくる回数も増えちゃったし。
でもでも、その内、プラムちゃんの方から来てくれるかもしれないと思えば名が知れ渡るってのも悪くないかも♪ でしょ?
まぁ、そんなことは置いといて、今のあたしは使えそうな家来が集まらないから代わりとして、使い捨てペンギン型簡易家来のプリニーを大量に入荷しようと業者の人に会いに来ているところなのよ。
「……では確認だ。
数はプリニー1000匹、納品先はシュナムクル魔界宛て。
代金の請求先は“黒勇者”ジェダってことでいいか?」
「えぇ、それでお願い。
プリニー1000匹の納品先はあたしの魔界に送ってちょうだい。
代金請求はこの間ボイン、ターって勢いで侵略した“黒勇者”ジェダから受け取ってね♪」
この会話の相手は誰かって?
プリニーの業者って時点で分かった人もいるかもしれないけど、魔界の最低辺の地獄で、プリニー教育係をしているヴァルバトーゼさんです。通称ヴァルっち♪
かつては“暴君”として最強の名を欲しいままにしていたのに、今では吸血鬼としてのアイデンティティである吸血行為を、一人の人間との約束で一切しなくなったことで魔力を失い、悪魔の不人気職業ナンバー1の『プリニー教育係』としてしょぼくれた日々を送っている可哀想な悪魔だったりします。
「誰が可哀想なしょぼくれ悪魔だ。
俺は血を吸わなくとも、イワシという豊富な栄養価を持つ食材と出会ったことで昔よりも強くなっている。
むしろ今の境遇には感謝しているくらいだ」
「はいはい、そんな事よりも仕事は終わったからあたしは帰るね。
ヴァルっちの教育したプリニーならそうそう使い減りしないでしょうけど、また減ったら再入荷に来るから」
「……お前もフーカみたいな奴なんだな。まぁ、了解だ。
俺の鍛え上げたプリニー達は赤い月の日まで壊れることなく使えるから存分にこき使ってくれ」
ちなみにフーカってのはディスガイア4にて出てくる影が薄い訳じゃないけどヒロインにも脇役にも徹し切れていない中学生少女。
自分が死んで地獄に落ちてきたことを認めず、夢の中と考えてあほなことばかりする痛い子だけど、とってもいい子だと思えなくもない子。
プリニーの作り方は、地獄に落ちてきた罪人の魂をプリニーの皮で包むだけという単純な作りだけど、その材料の皮が足りないから人間の姿のままで暴れていたりするの。
でも、この物語の本筋は『魔界戦記ディスガイア』ではなく『ファントムキングダム』なのでヴァルっちとの会話は終了。
いつか『ファントムキングダム』の話を終えたらディスガイアをメインとした話になるかもしれないけど、それはまた後日ね♪
何だか時間軸的には、アルティナさんとの再会もまだみたいだし、次に会う時はディスガイア4のエンディング後だったら面白いんだけどな~。
そんな訳で、あたしは魔王として最高の日々を送るための準備を着々とこなしているのであった!
◆ ◆ ◆
「シュナムクル様~、おやつお持ちしましたッス~!」
「おっそいのよ、このグズ!
30秒の遅刻よ」
「だ、だって三分でケーキを作れだなんて無理ッスよ~。
オレたち魔界最低辺のプリニーなんスから、そんなに器用には出来ないッス」
「はぁ~、プリニーってば言い訳ばっかで本当に使い物になりゃしないわ。
でもまっ、どこぞの桃姫様はあっさり作ってたけど、実際にはそうはいかないわよね~……」
プリニーがいれば当面は新規の家来を探さなくても大丈夫だろうと思ったあたしは、ヴァルっちとの交渉を終えてすぐに城に戻った訳よ。
そしたら、プリニーはもう届いていました。
だから試しに、スィーツを作らせてみました。
が! これが本当に使えないのよ、こいつら!
「あ~ぁ、なんか気分がだだ下がりだわ。
立派な主の条件には立派な僕(しもべ)が含まれるし、やっぱりちゃんとした家来を見つける必要があるわよね~。
あ、でもこのケーキ美味しい♪」
「あ、実はそのケーキ、作ってみたら案外普通に三分以内に作れたッス。
ただ面白そうだからって、みんなして洗剤を入れたり焼成時間を1秒とかにしたから作り直すのに時間がかかって30秒遅刻したッス」
「はい、プリニー隊の給料一年間カット♪」
「どっひぇぇぇぇ~ッス!」
まさか本当にペーパーな土管工のおっさんが攫われた桃姫様を救うゲームみたいなことしてただなんてね。
てか、洗剤入れるだなんて論外よ、ろ・ん・が・い。
繰り返すけど、本当にプリニーって真面目に働かないのね。
まぁ、このケーキは美味しいから、実際には二カ月給料カットで勘弁してあげるあたしってばなんていいご主人様なの♪
…………ん?
「……何か近づいてくるみたいね」
あたしの魔界は魔王が代わったばかりということで、半端な強さを持つ魔王立候補者とあたしの腹心として、魔神の役職を希望する輩が沢山きていたけど、その連中と比べてもケタ違いの強さがあるわね。
あ、魔神希望の連中はどいつも使い物にならないグズだったからケチョンケチョンにして追い払ったわ。
せめて魔立邪悪学園中退者くらいでもなければ、あたしの家来にはふさわしくないわ。
「これは(モグモグ)、魔王クラスの敵と見て(ハグハグ)、間違いないわね(ウマウマ♪)」
「ちょっ、シュナムクル様!
魔王クラスの敵が来てるってのにケーキ頬張りながら言っても緊張感ないッスよ!!」
「疑問に思ったら負けよ。
それよりも、あんた達は下がってなさい。
今回のお客さんは魔王クラスの中でもかなりの上位悪魔。
それも固有キャラくらいの強さがあるはずよ!」
ちなみにこの世界では固有キャラと言いつつも、ゲームと違って職業ごとに全員同じ顔ってわけじゃないわよ。
それぞれに個性があるもの。
特にあたしなんか『呪術師』という職業の汎用キャラをモデルにしてるけど、そりゃもうベリーベリープリチーなんだから♪
具体的に言うなら、触らないと分からないくらいに小さい胸と、小さいけど額に一本角があったりするのが可愛い。
不幸を司る邪神、ドゥルバルキーを崇拝しているわけじゃないけど。
「さぁてと、お出迎えの準備をしましょうか♪」
初陣ってわけじゃないけど、骨がありそうな奴とはこれが初めての戦い。
まぁ、あたしの膨大な魔力と天才的な才覚によってグチャグチャにすりつぶしてあげるんだから♪
そういえばディスガイア4の主人公、ヴァル様は一人称が「俺」なんですよね。
「ファントムキングダム」のシードルは「オレ」、アレクは「オレ様」と、カタカナ表記が多いですが、ディスガイア4はPS3だから画数が多い漢字も平気ってことなんでしょうね。たぶん。
それと補足しますと、魔立邪悪学園とはディスガイア3の舞台。
悪魔の学校なので善悪のベクトルが人間の学校とは正反対です。
なのできちんと卒業した生徒は過去三人しか居らず、中退することがステータスです。
授業料を払うのも不良行為らしいですけど、どうやって学校として維持しているんでしょうね?
……額の一本角ってカッコいいと思います♪