ちゅっちゅっちゅっ
ちゅっちゅっちゅっ
「ぷはぁ」
「美味しい?」
「うん、美味しいよお母さん」
「パウ、こうた~い。
さっきからお母さん一人占めしてず~る~い~な~!」
「ほら、ダー。
私が代わるからこっちにおいで」
「あら~、やっぱりチリはお姉ちゃんね~♪
ダーもこっちに来なさいな」
「うん♪」
どうも、親子三人の絆を深めあっているこの物語の主人公シュナムクルちゃんよ♪
今日は可愛い我が子に……、
ガチャ
「シュナムクル様、報告しておきたいこと……が……ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーー!!!
あんた、何をしているだぁぁぁぁぁぁぁぁ~!!!」
親子の愛の空間に邪魔ものが侵入してきました。
「うっさいわねぇ、シードル。
扉を開ける時はノックをするのは常識でしょ?
見て分かると思うけど、あたしはただ今子ども達に母乳を与えているところなんだから」
なんかチリが抱っこをせがんでくるから抱っこしました。
その内あたしの胸に顔をこすりつけてくるチリにムラムラしたので母乳をあげることにしました。
それを見たパウとダーも寄ってきました。
以上、現在に至る!
「くっくっくっ……、なるほどなるほど、そう言う訳だったのか。
危うくクールで物静かなキャラが売りのこの“冥王”シードルともあろう者が取り乱すところだったぞ」
「いやいや、あんた今物凄い驚いてたじゃん。
あたしが子ども達に何かするとでも思ったの?」
愛ゆえに、同意の上でなら行為に至るのもありだとは思うけど、そもそも血のつながりはないし、別にいいんじゃない?
まぁ、『親子丼』というのも憧れるし♪
でもこの言葉は、食べる側が母親ってのはどうなんだろ?
「くっくっくっくっくっくっくっくっ……ふぅ。
それにしても、多少は驚いたことを認めよう。
しかしシュナムクル様。母乳が出るということはもしや妊娠…………って、相手はオレか!?」
「変な勘ぐりは止しなさい、シードル。
あんた如きと体を許すほど愛に飢えちゃいないからねぇ。
これは本来形の無い魔力を物質化する研究の末に生み出された新技術よ。
あたしの膨大な魔力も使い道がないから子ども達の育成に役立てばと思ってね。
魔力を母乳として与えているところよ」
「なるほどな、伊達に普段から城に閉じこもっている訳ではなかったのだな。
オレはてっきり、ゲーム位しかしていないと思っていた」
失礼な! 確かにゲームはよくするけど、この溢れんばかりの魔力の活かし方を研究するのは悪魔として当然よ!
……少しゲームの方が時間の割合が多いけど。
「まぁ、あたしの魔力を元にしているから、名づけるとすれば<免疫シュナブリン>ってところかしら。
体の成長を阻害するウイルスから怪我に至るまで、ありとあらゆる災害からこの子たちを守ってくれるはずよ」
「それはそれで摂取するのが不安な免疫だな……」
魔力云々だけでなく、体内で母乳を作るときに愛情をたっぷり込めてるから子ども達に悪影響はないはずよ。
しかも吸わせる立場のあたしも、子ども達にちうちう吸われて気持ちいいし♪
ん? パウはもう飲み終わって離れたけど、ダーはまだ飲むのかな?
さっきから凄い勢いで吸われ……て……
「ぬぉぉぉぉぉぉぉー!
おい、ダー! それ以上吸うとシュナムクル様が死んでしまうぞ!
チリ、パウ、お前達でダーを引き離せ!」
「「了解!」」
段々と朦朧とした意識の中、最期にダーの「ごちそうさま♪」という声が聞けたからあたしは満足よ。
みんな、さようなら……シードルとも仲良くやっていってね……。
『呪術師と預言者の悪魔的恋愛』
~完~
……
…………
………………嘘ぴょ~ん♪
「いやぁ~、流石に死ぬかと思ったわよw」
「いや、確かに一瞬だがシュナムクル様の魔力が完全にゼロになった気がしたぞ。
本当に死んでもおかしくはなかったのだがな……」
「まぁ、生きてんだから細かいこと気にしてるんじゃないわよ、シードル」
子どもにおっぱい吸われて気持ちよすぎて昇天……だったら面白かったんだろうけど、実際には魔力を母乳に変換して与えていたから魔力切れになっただけでした。
「悪魔にとって魔力は生命力、そして強さの源だ。
それを、いくら可愛いからとは言え、子どもに分け与え『過ぎる』というのはどうかと思うぞ?」
「あーあー、あたしが悪うござんした。
とりあえず助けてくれてありがとねシードル♪
あたしが膨大な魔力を持ってるって言っても、あのままじゃ死んでたかもしれないし♪」
シードルが自分の魔力をあたしに流してくれなきゃ死んでたかもw
前世が乾布摩擦のし過ぎで死んだから壮絶だわね~♪
「お母さん……ごめんなさい……」
あ、そういえば面白そうだからそのまま死ぬのも歴史に名前が残りそうかも、なんて考えてたけど、もし死んでたら子ども達に一生ものの心の傷を負わせていたのかもね。
「オレ お母さんのおっぱい美味しかったから、止まらなくて……」
「ほらほら泣かない泣かない。
おいでダー。他の二人も一緒においで」
ダーの後ろから覗いていたチリとパウも呼ぶ。
あぁ~、あたしとしたことが、面白ければ自分の死さえも容認しちゃうところは直さないとね。
もう昔と違ってあたしの命はあたしだけのものじゃないんだし。
「くっくっくっ……、本当に心配したのだぞ、シュナムクル様。
三人だけでなくオレにも感謝しろよ」
「ありがとねシードル。
あんたが居なかったらあたしゃあの世行きだったわ
まぁ、失った魔力も一晩経てば回復するから明日も同じこと繰り返すかもしれないけど」
こうして愛し合う親子4人+1人の微笑ましい雰囲気を出す一日でした。
「……ところでシードル。
さっき部屋に入って来た時、何か言いかけてたけど何かあったの?」
「あぁ、ついさっき電話があったのだ。
以前遊びに行った辺境魔界<ヴェルダイム>の魔王ロザリンドが、娘と夫を連れて<シュナムクル魔界>まで遊びにくるそうだ。
で、それを伝えようと思っていたのだ」
「な、なんですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇー!?」
こうしちゃいられないわ。
歓迎の準備しないと!
それに向こうには可愛らしいパピロンちゃんがいるし、うちの子たちに年の近いお友達が出来るかも知れないんだから絶対にこの訪問は成功させないと!
魔力の物質化ってのは他のファンタジー作品ではけっこう難易度が高い気もしますが、シュナムクルは割と簡単にやってのけます。
遊ぶことには妥協しないので面白いと思ったら何でも極めようとしてしまうんですよね。
伏線を張るってのはけっこう難しいですね。