呪術師と預言者の悪魔的恋愛   作:ヨイヤサ・リングマスター

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 母親よりも父親の方がいざという時に取り乱しやすく、そしてその結果の過剰な愛は娘からは嫌われる要因だったりするわけです。

 まぁ、シードルは父親ではないですし、子ども達との仲は良好ですが。





第二十五話:男親の怒りに勝るものなし

「てめぇらに明日を生きる資格はねェェェェェー!

 斬り殺してやるゥゥゥゥー!!!」

 

 

「オレの娘に手を出すなぁぁぁぁぁー!」

 

 

「うわー」「ぎゃー」「ひぃー」

 

 

 シードル無双&アデル無双。

 

 まさしく目につく連中を斬って殴って蹴って潰しての一方的な殺戮。

 

 いや、戸惑うことなかれ。

 今回はいつもと趣向を変えて今回のお話の結末から語っているだけで、上でシードルとアデルが無双の殺戮をしているのには当然訳があるのよ。

 

 それじゃ少し時間を遡って語っていきましょう。

 

 すでにタイトルに突っ込む人は皆無でしょうけど、『呪術師と預言者の悪魔的恋愛』第二十五話のはじまり、はじまり♪

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

「ふぅ、お茶飲んで一息ついたところで、今日ロザリン達を泊める部屋まで案内するわ。

 シードル、部屋の準備も出来ているんでしょうね?」

 

 

「あぁぁ~……チリはしっかりしているがパウとダーは大丈夫だろうか。

 いや、むしろ危険なところに率先して付き進む二人に付き合っているのだからチリも心配だ……(アタフタ)」

 

 

「おーい、シードル。

 聞いてんの?」

 

 

「……ハッ、失礼したシュナムクル様。

 ロザリンドたちの部屋ならベッドメイキングから備え付きの冷蔵庫の中身まで完璧に整えてある。

 ベッドもきちんと干しておいたからな。

 ふかふかの夢見だろう」

 

 

「『布団』を干すではなく、『ベッド』を干すってのも凄いわね。

 でもまぁ、聞いての通り、あたしの魔界流儀の完璧で美しい部屋にご招待するわ、ロザリン」

 

 

「うむ、では今回の旅行を満喫させてもらおうかの」

 

 

 そして案内した部屋は、ロザリンにも好評でした。

 

 というかシードル。あたしの部屋のベッドよりも気持ちいいんだけど、お客様用のベッド以外手を抜いてるんじゃないでしょうね。

 

 

「くっくっくっ……、一応シュナムクル様の部屋もプリニー隊に言いつけて掃除から何まで全て問題はないはずだ。

 ……まぁ、粗相があってはイカンと思い、客人用はオレ自らが丁寧にしたがな。

 プリニー隊とオレの実力差が出ただけだろう」

 

 

 客人用だけでなく、三姉妹と自分の部屋のプレネールさんのイラストと彫刻が施されたベッドも自分で丁寧にやったと語るシードル。

 

 むむぅ、やっぱ家事万能のシードルと使い捨てのプリニー隊じゃあ性能差が出るのは当然か。

 

 次からはあたしの部屋のベッドもシードルにやらせるようにきちんと言っとかないと(身体に)。

 

 

「ところで……アデルが帰ってこないのはどこぞをフラリとしておるのじゃろうが、パピロンはそろそろ帰ってきても良いはずじゃがな」

 

 

「うちの娘たちも遅いわね。

 そろそろ三時のおやつをシードルが作るから帰ってくるはずなのに……」

 

 

 ちなみにシードルは娘達が帰って来た時のためにおやつ制作中。

 

 さっきまでは子ども達を迎えに行った方がいいのでは? って言っておきながら、その子ども達のためのおやつ作りには一切手を抜かないシードル。

 

 

「そろそろ探しに行きましょうか。

 魔界において魔物が発生するのが宇宙法則的にも当然ってだけでなく、普通に悪い連中もいるからねぇ~。

 襲われてるかもしれないし」

 

 

 まぁ、そんじょそこらの悪魔や魔物じゃ、あたしの子どもたちには手も足も出ないでしょうけど。

 

 と、ここでテレビで緊急ニュースが流れる。

 

 

『魔界刑務所より凶悪犯が脱獄。

 現在<シュナムクル魔界>魔王城近辺に隠れている模様。

 しかし魔界捜査本部は「面倒くさい」の一言とともに捜査を放棄』

 

 

 というニュースが……。

 

 

「くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかくけけこかくけきかこけききくくくききかきくこくくけくかきくこけくけくきくきくきこきかかか―――――ッ!!」

 

 

「うわ、台所にいたはずのシードルが地獄耳でニュースとあたしらの会話を聞いていて子ども達を心配してキレたー(棒読み。予想していたから)」

 

 

 そして城から飛び出した!

 

 

『……さきほどのニュースの補足ですが、魔界刑務所を脱獄した懸賞金10万ヘルの男の名はショウキン・クビオ。レベルは50。

 腕に自信のある方は適当に懲らしめておいてください』

 

 

 ニュースももっと早くその事を言いなさいよ。少し遅いわ。

 

 レベル50程度に負ける奴なんて、決意したばかりの勇者見習い位でしょうに。

 

 

「しっかし、シードルもずいぶんと過保護になっちゃったわねぇ~。

 まっ、それじゃロザリン。あたしらものんびり娘たちを探しに行こうじゃないの」

 

 

「そうじゃな、ちなみに余の娘パピロンもレベルは500じゃ。

 装備も普通の服じゃがHIT屋19998にDEF屋19998じゃから心配ないはずじゃがな」

 

 

「うちの子もレベルは500ね。

 装備はアイテム界で鍛えた訳じゃないけど、武器の扱いは極めてるから問題ないはずよ」

 

 

 むしろ問題があるとすれば、飛び出していったシードルによる二次災害でしょうけど……。

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

 で、話の冒頭に戻るわけよ。

 

 シードルがここに来る途中で出会ったんでしょうけど、アデルまで混ざっちゃって脱獄犯をボッコボコ♪

 

 おまけに「近くにいたから」ってだけの理由っぽい、脱獄犯とは関係なさそうな悪魔までボコられてるしw

 

 

「うちのチビどもに手ェ出して生きて帰れると思うなよォォォォ!」

 

 

「オレの拳がほとばしるぅぅぅぅぅぅー!」

 

 

 男親ってのはどうしてこう、過保護になるのかねぇ~。特に娘に対して。

 

 

「……それじゃロザリン、帰ってお茶の続きでもしましょうか」

 

 

「そうじゃな。アデルへの折檻は帰ってからにしよう」

 

 

 そうして離れた場所で脱獄犯とはまるで関係なく遊んでいた子ども達と一緒に、あたしらは先に帰宅。

 

 なんか子ども達が花冠を作ってくれていたらしくてね。

 シードルやアデルは、それを頭に乗せたあたしとロザリンにえらく羨ましげな視線を向けてきたから今度は魔界の果てまで吹っ飛ぶパンチをお見舞いしておいたわ♪

 

 一応チリ達も、パピロンちゃんも、シードルやアデルパパの分も作ってたから帰ってきたら狂喜乱舞で鬱陶しいことになるでしょうけど。

 

 こうしてロザリン一行の旅行に彩を加える出来事は終了したのでした♪

 

 

 

 ~パピロンの日記~

 

 

 今日はチリちゃんとパウちゃんとダーちゃんと一緒に遊んだよ。

 

 三人ともそれぞれに槍の扱い、拳の扱い、刀の扱いが達人レベルだったのに驚いたの。

 

 パピロンだって、ママに銃の扱いを習ってるから百発百中くらいの腕はあるけど、それでも三人には勝てないと思ったわ。

 

 だって三人ともそれぞれの武器で空の彼方に輝く他の魔界に衝撃波を届けるくらい威力がケタ違いなんだもん。

 

 でもパピロンも負けないよ!

 

 桃の木の下で三人と約束したけど、いつか銃を極めたら四人で一緒に冒険に行くんだから!

 

 そんな訳で、シュナムクルさんの魔界での初めてのお友達との約束は、パピロンの夢になりました♪

 




 シュナムクルやロザリンは、危険に対しては積極的に向かってこそ強くなれると思っておりますが、シードルとアデルは安全第一を考えているので、そのために起こる温度差ってな感じでしょうかね。
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