さて、その気持ちはどういうものなのか、というお話。
「……で、どこまで行くのでござるか、アレク殿」
「もう妾は足が疲れたのじゃ~。
チリパウダーちゃん、おんぶして♪」
「うわっ、パピロンちゃん急にそんな、ひゃうん。
む、胸が当たって……」
「てめぇらうっせーよ。
黙ってついて来い!」
「「は~い……」」
一飯の恩ということで、何やら用事があるというアレク殿を手伝うことになった拙者とパピロンちゃんの二人。
しかしアレク殿はずっと歩き続けるだけで、何処まで行くのか目的地がまるで見当がつかないのでござるよ。
「……てめぇらに付いてきてもらっているのは理由がある」
「それはそうでござろう。
流石に恩があっても理由がなければ拙者達も付いて行かぬでござるよ」
「というか、お主も魔王ならいつもの元気で乗り越えれば良いじゃろうに、何をそんなに悩んでおるんじゃ?
さっきから見ても、単純な意味で強い“破壊神”らしからぬ態度じゃのぅ」
確かにパピロンちゃんの言うことはもっともでござる。
拙者の知るアレク殿は、魔王としての力量は勿論だが、その行動力にこそ優れた方だ。
普段のアレク殿なら、何かに困るという状況が想像出来ないでござる。
「実はな……オレ様は今、恋をしているんだ」
「鯉……のぅ、妾は幼き頃、病気になった時は鯉の生き血が効くのじゃ、とよく飲まされたものじゃ」
「拙者は以前、どこぞの将軍様の飼っている鯉を盗む現場を見られたというだけの理由で、目撃した子どもを殺そうとしていた鯉泥棒をとっちめてやったことがあるでござる。
最初の旅に出てすぐであったから、あの子どもも、今はもう立派な若者になっておるかもしれんでござるなぁ~(しみじみ)」
「ちっがぁぁ~う! オレ様が言っているのは『恋』だ!」
「ジョークでござる♪」
「ジョークなのじゃ♪」
「ったく、ガキかテメェらは……」
てへっ♪ 拙者の遊び心というものでござるよ♪
「まぁ、いい。
だがオレ様の惚れた相手ってのが問題でな。
オレ様のライバル魔王ゼタの一人娘のペタなんだ」
「それは……確かに問題でござるな。
ペタちゃんは拙者達も親しくしているでござるが、その父であるゼタ殿の溺愛ぶりは、拙者たちですら寒気がするほど恐ろしいものでござった」
ちなみに、ゼタ殿は、今では地獄でプリニー教育係をしているヴァルバトーゼ殿とライバル関係を結んでおられるがスルーした方が良いか。
アレク殿が知っているのかいないのか……。くぅ、なんと哀れな方だッ!
「ペタちゃんならば、妾はついこの間会ったばかりじゃな。
チリパウダーちゃんは武芸修行の旅じゃったから知らんじゃろうが、あの子もずいぶんと大きくなっておったぞ。
特に胸の成長は、悔しいが妾よりも大きかったのじゃ」
「ガーン! こんなところでも胸囲の格差社会というものが……。
拙者が同世代ガールズの中で一番小さいとは……」
「あ、でもほら! チリパウダーちゃんは妾よりもペタちゃんよりも背が高いのじゃ!
足もスラリと長いし、スレンダーなモデル体型というやつじゃから落ち込まんでくれ!
妾はそんなチリパウダーちゃんが大好きなのじゃから!!!」
「うぅぅぅ~、やっぱり自分を必要としてくれる存在はありがたいでござるよ。
ありがとうパピロンちゃん。拙者はこれからもパピロンちゃんから必要とされるように頑張っていくでござる」
そうだ。偉い人は言っているじゃないか。
貧乳はステータスだ! 希少価値だ、と。
「おーい、茶番は終わったか?」
拙者たちの夫婦漫才じみたコントに愛想がつきたのか置いていこうとさえしているアレク殿。
まるで拙者たちが足手まといみたいではござらんか。
「実際、足手まといだろ、てめぇら。
まぁ、オレ様としては本人の前に出ると緊張しちまうから少しでも場を和ませることが出来たら、なんて考えからお前たちに同行してもらってるだけだしな」
「なら、もう帰ってもいいかや?
妾とチリパウダーちゃんは修行の旅(本当はもっとねっぷりと仲良くなる旅)の最中じゃし、お主に付きあっている暇はないわ」
「しかし恩は返さねば武士としてはいかんでござるからなぁ~。
せっかくだし付き合うでござるよ、パピロンちゃん」
パピロンちゃんの心の声はスルーするでござる。
まぁ、拙者もパピロンちゃんとなら悪い気はしないでござるし、「チリパウダーちゃんに全てをあ・げ・る♪」などと言われた日にゃあって、うにゅぁぁっぁ~流石に、妄想とはいえパピロンちゃんの可愛さに負けてしまいそうな自分に喝!
凛とした行動と思考からこそ「根性・呪術師」らしさは生まれるのでござる!
「さてと、なんだかんだで<ゼタ魔界>には着いたぞ」
「む、早いでござるな」
「妾たちは迷子になっていたというのにこれほど早くに着くとは、もしや同じ場所をぐるぐる回っていただけなのかも知れぬな」
「いい加減ダラダラとした会話はおしまいだぞガキども。
オレ様は今日、一世一代の勝負の時なんだ!
オレ様は! ペタちゃんに! 告白する!!」
「「おぉ~」」
「と言う訳で、早速行って「あ、ペタちゃんにはさっきメールでアレク殿が告白しに行くと伝えてあるでござる」……はぁぁ!?」
「あと、妾もついでに彼女の父親である魔王ゼタに伝えておいたぞ♪
盛大な出迎えをしてくれるそうじゃ。
楽しみじゃの♪」
実はパピロンちゃんと拙者の二人で、すでにゼタ殿とペタちゃんへの連絡は済ませていたのだった!
「っておい! オレ様が華麗に告白する作戦を台無しにしてんじゃねぇーよ!
どうすんだよ!? 不意打ちでゼタの野郎をぶち殺したあとにペタを攫って告白しようと計画してたってのによぉ!」
「何と!? それは男らしくないでござるよアレク殿。
こうなれば拙者も世の乙女の味方としてアレク殿を成敗せざるを得ないでござる!」
まぁ、アレク殿なんかの不意打ち程度でゼタ殿に勝てるとは思わんでござるが、それでも攫うというのは男らしくないでござる!
「あら? ようやくチリパウダーちゃんったらアレクを殺す気になったの?
それなら妾も本気で潰してあげましょうか♪」
「おぉーっし、かかって来いやガキども!
オレ様の将来ビジョンを台無しにした報いを受けさせてやるぜ!」
ふっふっふ、しかしながらアレク殿。
拙者はアレク殿の強さを知っていると同時に、この全宇宙で最強の魔王を知っているでござる。
言うなれば、召喚の術(携帯電話)というものでござるな。
「おらぁ! 行っくぜぇぇぇぇ「行かさん!」ぼへあぁぁぁー!」
予想通り、アレク殿の強襲を止めたのは事前に連絡をしておいた宇宙最強魔王ゼタ殿。
適当な会話劇に興じていた間にゼタ殿はすでにやって来ていたというわけでござるな。
やはりアレク殿も敵わないのでござろう。
「まったく、元ライバルでありながら、我の娘のペタに手を出そうとするとは、許せん行いだ。
二度とペタにちょっかい出せんようにしてくれるわ!」
ボコボコに殴られ続けるアレク殿。
おまけとして拙者とパピロンちゃんも槍と銃を手にゼタ殿の攻撃範囲に入らないように手伝ったでござる。
途中からは拙者の<削り取る槍>がアレク殿の装備を完全破壊してしまったので防御力が下がって死んでしまったのではなかろうか?
と思ったが、かろうじて生きていたので良しとするでござる。
まぁ、ヤローの裸なんて誰得だ!? という声が聞こえそうなのでその辺の描写はカットしよう。
こうして拙者とパピロンちゃんはアレク殿のペタちゃんへの強襲を未然に防いだと言うことで、ゼタ殿からお小遣い(旅費として1億ヘル)をもらって次の目的地へと旅を続けるのであった。
うん、何やら旅行記のようで楽しい始まりとなったでござるな♪
チャンチャン
悪魔は基本的にツンデレですけど、正直になれないのは損ですよね~。
昔、ゲームで知り合った人に、「私は現実ではツンデレです」と言われたことがありますが、かなり面白い人だったのでよく遊んでいました。あの人も現実では苦労しているのかも……。
チリパウダーとパピロンの今後は私の好みとなりますね♪
あと、明日でこの第二部も完結です。
小話と、百合百合した最終話ですので、お楽しみに~♪