『ピッピッピッ、ポーン♪ 七時の魔界ニュースをお伝えします』
『……………………………………………………』
『以上でニュースを終了します』
昨日の夜は一晩中シードルとモンハンやってて、寝落ちしたみたいな今作の主人公、シュナムクルちゃんです。
それでも自然に朝7時に目が覚めるだなんて健康的ね~。
「さて、それじゃ買い物にいくわよ(ゴスッ)」
隣で一緒に朝食を食べながらニュースを見ていたシードルの頭に自然な流れで拳を叩き込みながら言う。
「ちょっ!? いきなり何をするんだシュナムクル様!?」
「さっきのニュース聞いていなかったの?
せっかく魔界一のニュースキャスター、プレネールさんがコンビニ<イレブンセブン>で生肉チ○コバーの半額セールをするってニュースを可愛らしく言ってたのに」
「くっくっくっ……、なんだそのことか。
プレネールさんの大ファンであるこの“冥王”シードルが、今のニュースでプレネールさんが沈黙に込めたニュースを聞き逃したとでも?
否! 断じて否だ!!」
ありゃ? まさかシードルがプレネールさんのファンってだけでなく、あの沈黙に込められたニュース内容を読み取るレベルだとは驚いたわね。
「……まぁ、それはおいといてシュナムクル様。
<生肉チョコバー>を伏せ字でいやらしいものにしてしまうとは流石だな。
しかし、アレは子ども用の菓子だろう?」
「別に大人が食べちゃダメってわけじゃないでしょ?
あたしが食べたいったら食べたいんだから!」
それに早いところ行かないと、プレネールさんのファンが買占めをしちゃうかもしれないからね。
ニュースによれば、プレネールさんのサイン入りシールの当たり付きみたいだし。
「……ならば主よ、せっかくプリニー隊がいることなのだ。
たまには連中に買いに行かせてはどうだ?
連中も城の掃除しかすることがないのでは退屈だろう。
適度な娯楽をくれてやるのも王というものだ」
「……それもそうね。
あの子たちったら掃除しかできないんだもん。
しかも目を離すとサボるし。
具体的には、掃除をサボってキッチンからつまみ食いをしようとやってきたやつらにいい仕事ね」
あたしが気付かないはずがない。
先ほどからこちらの様子を窺っているプリニーがいるけど、やっぱ話を聞いてたのかな?
あ、背を向けて走り出したみたい、……ってことは逃げる気満々ね。そうはいかないんだから♪
奥儀:プリニーいじめの術。(超速度で背後に近づき頭を鷲掴みにすることで恐怖と苦痛を与え、懺悔と後悔の涙でむせび泣かせる技)
「「「どっひぇぇぇぇぇぇぇーッス!」」」
「なぁ~に驚いてんのよ、あ・ん・た・達。
さっきの話聞いてたんでしょ?
聞いていたんなら話は早いし、行ってきなさいよ。
生肉チョコバーを買いに」
「で、でもオレら魔界最弱ッス!
プレネールさんのファンを押しのけてまでコンビニまでたどり着けないッス!
というか頭を鷲掴みしないでほしいッス!
頭の皮がベリベリ剥がれて、おもにグロ的な意味で、とても15歳以上対象作品とは思えないくらい悲惨な状態になるッス!」
「あぁ~、隊長命乞いしないでほしいッス!
俺達にまで被害が及ぶッス!」
「頭鷲掴みは隊長一人で受けてくださいッス!」
泣かせる友情じゃない(笑)。
それに頭皮が、ずる剥けるだなんてそんなことあるはずないわ。
ヴァルっちが教育したプリニーがそう簡単に壊れたりはしないでしょ。
「ふっふっふ、でもまぁ、確かにあんたらが弱いのも事実。
そのために、こんなこともあろうかと、この超絶プリチー魔王シュナムクルちゃんは、あんたら専用の超合金ロボスーツを用意していました♪(余所の魔王から強奪)
プリチーだからプリニーのために!(ドヤッ)」
「「「オォ~……(スルー)」」」
「さらにさらに、この間、再び地獄に行ってプリニー1000匹を追加発注してきたから、あんたらが全滅しても一向に構わないわよ♪」
「いや、それは構ってほしいッス!!」
「「以下同文ッス!」」
プッw
プリニーって見た目ペンギンみたいで可愛いな~って思ってたけど、こんな百面相されると、ますますいじめたくなっちゃうわね。
こりゃ他の悪魔だってプリニーをこき使うわけよ♪
「そんじゃ、いってらっしゃい。
コンビニ<イレブンセブン>は朝11時から夜7時までしか開いていないから、急がないと売り切れるどころか営業時間に間に合わないかもね。
この魔界は、あたしが新参魔王ってこともあって侵略者との闘争で近場のコンビニは全滅しちゃってるし、余所の魔界に行かないと手に入らないでしょうからね~(ニヤニヤ)」
「そ、それこそ無理ッス!
死ぬッス!
不可能ッス!」
「それよりも業者にワイロでも渡して直接郵送してもらう方が確実に入手できるッス!」
「いや、それを言うならプレネールさんに直接サインもらいに行く方が早いッス!」
……まぁ、こいつらの言うことも間違っちゃいないんだけどね。
でも、プレネールさんって忙しい人だし、あたしのために時間割いてもらうのって、なんか悪いじゃん?
それに、おまけのシールはコンビニ限定みたいだしさ~。
まっ、一番近いところがゼタっちの魔界かな?
でも最近丸くなったとはいえ、腐っても(いや、むしろパパ化して強くなったかな?)宇宙最強魔王のゼタが、余所の魔界から来たプリニー相手に面白半分で殺戮ショーしなきゃいいけどねぇ~♪
「無理かも知れない、死ぬかもしれない、不可能かもしれない。
だけど、お菓子を買ってくるというあたしからの命令を果たせないようなら、この場で死ぬことになるけどいーの?
すでに新プリニーは発注しちゃってるし、あんたらが全滅しても、あたしゃ一向に構わないのよ?」
「「「うっ……」」」
しかし、ここで鞭だけじゃないのがあたしの優しさ。
当然、飴も用意しているわよ。
「……もしも、あんたらがお菓子を買ってこれたら、次の赤い月が昇る夜に転生するのに必要なお金をぜ~んぶ一括で払ってあげるわ♪」
「「「我が命に代えてでもォォォ~ッス!!!」」」
つまみ食いに来ていたプリニーたちは他の仲間の元へ走り出し、急いで魔王城の地下に格納してあった超合金ロボスーツに乗り込んでコンビニへと向かっちゃったわ。
ホント、あいつらって面白いわね~♪
そして、あたしはプリニー隊が出掛けたのを見届けると、電話を手に取る。
(ピッポッパッポッ……プルルルプルルルル、ガチャ)
「あ、もしもしゼタっち~?
あたし、シュナムクルよ」
『なんだ、貴様か。
いま我の子がサロメの腹の中で初めて魔力を発揮したのだ。
これは生まれた時にはすでに魔力を使いこなせるようになっているだろうな。
我に似て♪』
「そりゃ、おめでとう。
生まれたら是非ともお祝いに行くわ。
で、今日電話した用件なんだけどね、あたしのところのプリニー隊の性能テストがしたいからゼタっちの魔界に1000匹、超合金ロボスーツに乗せて送り込んだから、もしも暇なら攻撃してみてほしいんだけど~」
『うむ、貴様には、鬱陶しく突っかかって来るシードルを抑えてもらってるからな。
ちょうどサロメも眠ったところだ。
我が自ら出向いてやろう』
「あり~♪ そんじゃ、あとはよろしくね~ん♪」
そして電話を切ってプリニー隊からの報告を待つ。
ふふっ、どんな結果になるのか楽しみだわ♪
◆ ◆ ◆
次の日、再びモンハンの寝落ちをしながらも朝7時に爽やかに目を覚まし、テレビをつけると、ゼタ魔界にてプリニー1000匹が全滅するっていうニュースが流れていたわ。
それに対する魔界捜査本部も、「よくある事」というコメントを残してさっさと次のニュースに移っちゃったのよね。
詳しい経緯とかは端折られていたからあまり出なかったけど、唯一分かったのは“宇宙最強魔王”ゼタは、やはり最強であるって、プレネールさんの相方兼非常食のウサギさんがヨイショしてたことね。
そのあと、すぐにウサギさんはプレネールさんに耳を食いちぎられていたけど、それも「よくある事」だから別にいいわ。
でも、流石にプリニー達を、ノリノリの“宇宙最強魔王”ゼタ相手に特攻させるのは可哀想だったかしら?
ナンマンダブ、ナンマンダブ……♪
そういえば、このニュースキャスターのウサギさんの中の人もゼタと同じで子安さんでしたっけ。
子安さんも何気に日本一ソフトウェア作品を複数やってるんですよね。