K月A日
本日、草の根妖怪ネットワークへの加入したことを期に、今後何かあればこの日記へ記してゆくことにする。
ひとまず最初の記念すべき一頁目だということで、これまでの俺の——幻想入りするまでの経緯を簡単に記しておこうと思う。
俺の人生と書いたが、正確に書くならば生まれる前に遡る。
生まれたとき、俺には前世の記憶があった。
とはいえ、前世俺はなにか特別な人間でもなく、今世も特に特別なことはなかった。
魔法とか超能力とか忍術とか霊圧とかないかと探したが、前世と特に変わらない世界で落ち込んだのはいい思い出だ。おちんこ揉んだのではない。落ち込んだのだ。
しかしせっかく二度目の人生だ。
テストで良い点数取ったり色々いい思いをして楽しんだ。
そうして中学二年になったとき、東風谷早苗(緑)と同じクラスになり「あ……っ(察し)」となったわけよ。
非常に露骨に喜ばせて頂きましたよ。マジで。
どのくらい喜んだかというと優等生で通っている俺が廊下で小躍りして先生に注意と心配されるくらい喜んだ。
その後も、さりげなく話しかけてみたり、神社を話題に出してみたりしてみた。
本当は「サインください」とか言いたかったけど、流石に怪しまれるので自重。
そうして時間が過ぎ、高校受験が終わった頃、彼女から話があると呼び出された。
聞いてみると「『二度と会えないどこか遠く』へ引っ越すことになった」らしい。
風神録かぁ、などと思いつつ、実際に俺は幻想郷へ行く手段も無いのでじっかりと別れを告げ、卒業した。
……思い出すと、早苗さん高めの高校を受験して落ちて「……やっべ、じゃあやっぱ行くかなぁ……」などと呟いていたのは、知りたくなかったバックストーリーベスト1だ。
呟きは記憶から消し、俺は高校に通いつつある計画を立てた。
『そうだ、佐渡ヶ島に行こう大作戦』である。
東方キャラで外の世界に住んでいて、更に住所が分かっているのだ。会いに行かない理由がない。
高校二年生の夏休み、普通に船で行った。
よく考えれば普通に人が住んでいる島なのだ。彼女は隠れていた。
行きゃ会えるわけでもない。SDS48ならばいつでも会えたのだろうが別に彼女アイドルじゃない。天使だ。
だからといって諦めるわけにはいかない。
買った虫網で暇を潰しつつ、二十日ほど滞在した。
先にぬえさんを見付けた。
正確にはUFO。
全力疾走。
途中から息を殺しながらゆっくりとUFOの着陸地点へ進む。
すると、マミゾウさんとぬえさんが話していた。
姿を見たから目的は達成したと言ってもいい。しかし俺は欲張った。
会話を盗み聞きしようとしてしまった。
見付かった。
おかしいなぜだ!? 俺の尾行は完璧だったと思ったけど肩から掛けた虫籠でセミがジジッと鳴いてた。あちゃー。
ふふっ、バレてしまっては仕方ない、と俺は言い訳をする。
「UFOを追ってきたんだ」
間違っちゃいない。実際そうだ。
マミゾウが「あ……っ(察し)」とぬえに目を向けるとダラダラと汗を流す少女がいた。というかぬえだった。
さらにぬえの落ち度は続く。
空間に亀裂が現れた。その向こうには美しい日本古来の風景。
「え! 今更中止できないし!? こんなの何回もできないし! え~と、その、ゴ、ゴメン!!」という声を聞きながら意識がフェードアウト。
「……お前は昔からどうも抜けている。……あっ! 儂の裸眼研究用の石が!?」という声だった気もする。
気が付くと幻想郷。
現在進行形神霊廟。早苗さん頑張って。
来た時に打ったのか妙に痛い右目を抑えつつ、なんとか人里まで辿り着く。
できるだけ人のいい笑顔を浮かべつつ、里の中にいた数人の老人に声をかけると「あん? 今異変中だから先生は忙し、うわ! 妖怪!?」「なんだその目は。妖怪か?」「いや、妖力はなさそうだが、……どっちにしろ外来人を受け入れるのは反対だ。野たれ死ねばいいんだ」「俺もだ。……ホレ! こっち来んな!」と鎌を投げつけられ里の外へ逃走。
当たらなかったが、時間が経った今も気分が悪い。
地理もわからないので誰のでもいいから家がないかと探し回っていると、ポストとか狸の置物ばど雑多に物が溢れている店を見付けた。
『香霖堂』
天は俺を見放していなかった。
すぐ入店。理知的で物静かなイケメンに事情を掻い摘んで話す。
「どうか少しだけ置いてくれ」と。
非常にあっさりと受け入れてくれた。彼は心に余裕のある大人びたナイスガイだった。
返せないほどの恩を感じていると、「その目はどうしたんだい? 生まれつきならすまない」と言われ、鏡を借りる。
右目に自分の尾を飲み込んでいる蛇の模様があった。
確か『ウロボロス』。
つーか大総統。
断りを入れて眼帯と軍刀、は無かったので日本刀を借りる。
鏡の前に立って自分の姿を満足するまで眺め、礼を言い刀を返そうとすると「気に入ったなら持って行っていいよ。ただの刀でよければね」というイケメンな魂に心撃ち抜かれる俺。
その後、なんやかんやあって一軒家を里の外へ建てて自立することができた。
俺の一人暮らしはそこから始まった。
マイナーなキャラにスポットを当てていきたい