青春とは、自身の為・他者の為に切磋琢磨する貴重な時間である。
私もその考えに従って行動し輝かしい未来を構築したいと思っている。
しかし、世界を構成する他の存在が、この崇高な活動を邪魔する。
実に遺憾で、残念に思う。
中略
彼らリア充たちからすれば、自身にも劣る矮小な存在である
他人(…非リア充である私もだが)は、虐げる対象でしかない。
然るに健全な生活を送るためには、リア充共から目を付けられない様にひっそりと穏やかに暮らしたい。
この希望すら叶うのであれば、多少の事象に目を瞑っても良いと思う。
自分達の利益を優先し、他者に配慮出来ない存在
俺は、それだけにはなりたくない。
結論……リア充爆発しろ
「で、これは何かね?ん?」
「…ぃ……が…」
「ん?言いたい事が、あれば大きな声で言いたまえ」
「……ぇ」
目の前で生活指導の女教師が、偉そうに踏ん反り変える。
その姿が、余りにも‟男”それも中年を彷彿とさせ
数少ない賛同する人の噂”独神”“婚活ヒラ教師”の符号に納得した。
少年……八幡は、本心を億尾にも出さずに沈黙を続ける。
「最初の一文の良さを他の文書が台無しにしている」
「……」
「何を言っても埒が空かないな。オイ、着いてこい。」
「ひぃ……ぁ」
八幡の小心を恫喝する様に睨む。
とても、女性の出来る眼つきでは勿論無い
縮みあがる少年を女は、曳ずるかの如く連行して行った。
暫く、江戸時代の市中引き廻しも斯くやと言った風情で寂しい校舎の外れの教室の前にたどり着く。
他の教室と違い教師が、立ち止まった部屋からは人の気配が若干感じられた。
そして
遠慮なく扉を開けた。
(開けた……じゃねーよ。中に人にるじゃねーのか?止めろよ。俺まで、アンタの同類とみなされる)
自身の常識を悪い意味で、上を往く女に唖然とする。
しかし、彼が止める間の無く‟問題”は次の行動を起こした。
「雪ノ下居るか?居ないなら返事しろ~」
「平塚先生。入る前にノックをお願いしていた筈ですけれど」
「ん?ノックをしても君は、せんだろう」
「それは、先生が……。いえ、何でもありません」
「そうか。良かった、良かった」
雪ノ下と呼ばれた少女に指摘された事を教師は、何とも思わず反省の色は見られない。
少女も呆れた表情を一瞬、浮かべすぐに消した。
(って言うか。生徒にマナーを注意される教師って何だよ?
雪ノ下?さんもう完全に諦めちゃってるよね?)
恐らく、何度も同じ事を注意しその都度
似た内容を発言したが、聞き入れられなかったであろう事を用意に想像できる。
部屋の主である少女に心内で、同情した。
「先生、御用は?」
「おぉ、そうだった。コイツの矯正を依頼しようと思ってな?」
「あの先生?私を試すつもりですか?」
「ん?何を言っているんだ?」
「‟コイツ”と先程から呼称されているのは、どなたですか?」
「何を言って……って、居ないじゃないか…。雪ノ下、見なかった?」
「知らない存在の事について、所在を聞かれても」
「……アイツ、何処に」
歯軋りが、聞こえそうな程に顔を歪める女?と面倒臭そうな相手を見る様な眼で学習しない教師を見る少女の空気を悪くするだけの光景
少年は、逃げてなかったが居たたまれなくなり様子を息を殺し伺う。
暴力も厭わない教師に恐れる心に負け声を掛ける。
「あの、さっきからここに居ますけど」
「比企谷っ、居たのか?」
「ひっ、彼がお話の生徒ですか?」
「そうだ、コイツは性根が腐っている。このまま、野に放てば間違いなく問題を起こす」
((いや、アンタ(あなた)ほど問題はないよ(でしょう)……))
「この男の人格矯正及び社会適正の高い真人間にするのが、わたしの依頼だ」
生徒の事を面と向かって腐っていると言うのも問題だが、生徒から強制対象よりも問題があると共通認識されている教師も随分と奇異だろう
しかし、問題の中心人物はそれを理解していない。
言葉をさらに続けた。
「何だ、雪ノ下?出来んのか?流石の雪ノ下でも無理か~。
そうだよな人間誰しも不可能はあるよな。うんうん。すまない、この件は忘れてくれ」
(お、何だ?これは、俺。帰れるのか?)
何やら矯正やら腐ったなどの不愉快な記号が上ったがどうやら帰宅を許された雰囲気に安堵しそうになる。
儚い希望は、思わぬ攻撃により粉砕された。
「今、何やら私に対して資質を疑う発言があった様に思われましたが……」
擬音すら足りない鋭すぎる視線が少女以外の人間を刺し貫く。
「ぅう……」
先程まで、横暴を極めて居た教師はその鳴りを潜めた。
少年の方は、
「……」
余りの出来事に硬直してしまっていた。
(怖い、怖いよついでに怖すぎんだろ。俺、何もしてないのに……。小町、助けてくれ。お兄ちゃんが、悪かったから)
内心でありもしない、妹への自分の罪禍を謝罪し現実逃避をする。
逃避は、直も続く。
(何だ?何だ?何が悪かったんだ?にしても雪ノ下?さん、沸点低すぎるよね?皆もそう思うよね?
後、煽り耐性が低すぎんだろ……)
混乱の余り、存在しない“皆”に同意を求める迄に八幡は混乱する。
暫くし、少年の与り知らぬ内に事象は動く。
「私に出来ない事は、ありません。解りました引受けます」
「……っう。そうか、では後は君ら生徒同士で頼む」
「ってえ、先生?ちょ、待って……」
情けなくも暴力教師は、半泣で教室を後にした。
取り残された生徒二人は、顔を見合わせると困惑する。
因みに八幡は、雪ノ下?さんの事をまだ正確に認識していない。
先入観から人を見るのは、いけない事だ。
彼の趣味……趣味としておいていいのか
である人間観察の基本を思い出して改めて、部屋の先人である少女を見た。
「少し良いかしら?えっと、貴方のお名前は?」
「比企谷八幡……です」
「……そう。……比企…谷…君ね。比企谷……」
少年の名前を何か噛む様に少女は、繰り返す。
程無くし、雪ノ下が自身の紹介をした。
「私は、雪ノ下雪乃。よろしく、ひきがえるくん」
「っく」
「どうかしたの?」
「何で、俺の小学校ん時に言われた悪口を知ってんの?」
「えっ?そうなの、ごめんなさい……」
八幡は、初対面の人間に過去の痕を抉られ不快感を露わにする。
只、その後の少女が見せた反応に面喰らう。
(えっ。何で悪口を言った方が辛そうな顔をしてんの?八幡、解んないよ?)
謝罪と自己嫌悪なのか俯いてしまった雪ノ下に八幡は、動揺した。
今迄、悪口を言われ相手に返しを向けた事は、多すぎて覚えていない。
寧ろ、忘れたい苦い記憶だ。
今回の少女は、今迄の輩とは違うように思える。
八幡が、取り留めも無く考えていると声が掛った。
「ごめんなさい。私が、思いつきで発した言葉であなたを傷つけたようね。
本当にごめんなさい。誰でも、辛い記憶や触れれたくない事もあるわよね?」
八幡は、驚くと同時に関心した。
自分が、悪意に対し反抗をしても暴力で抑えられるか上を行く悪意をもった罵詈雑言が返ってくるのかの大体二択だった。
目の前で、後悔の念に堕ちた少女に対して“純粋”に興味が湧いた。