紅茶のおかわりはいかがですか?(GJ部二次創作に移行しました) 作:橘田 露草
うそです、ただの露草です(*^^*)
女の子との電話ってめちゃくちゃ緊張しますけど、すごく楽しいですよね~。
まあ、そんな機会片手で数えられるくらいしかないんですけどね!(^^;)
ではどうぞ!
今回は林間学校の夜が舞台です。
そしてシリーズです(^^)
着メロが鳴った。
男だらけの枕投げ大会という昼間の疲れと夜中のテンションに任せたイベントも終わり、仔犬がうとうとしていた時のことだった。
スマホの時計を見ると1時を回ったところだ。
「おいヒナ、ケータイ切っとけよ……。」
「ごめん。」
小さく文句を言った一樹に謝り、部屋を出る。
無駄にお金のあるこの学園では、林間学校の建物もバカでかい。
班のメンバーから女子を抜いた仔犬、類斗、一樹で一部屋を占領していた。
そのまま自動販売機以外の電気が消えた休憩所に行く。
着信は切れてしまったので履歴を確認すると意外な名前がそこにあった。
「え?寮長?」
そこにあったのは風鈴の名前だった。
風鈴は小柄で体力もないためすぐに寝てしまう。
だからこんな時間にかけてくるはずはないのだが。
首を傾げながらリダイヤルする。
1回か、二回かの短い通話音でガチャって音がする。
「もしもし?」
「……」
はじめは無音。
かすかに息遣いが聞こえる以外何も聞こえない。
「もしもし?寮長?りょーちょー?」
「……ワンコか?」
何度か呼びかけるとようやく返事してくれた。
やっぱり風鈴だ。
「はい、雛森ですよ。どうしましたか、寮長?」
「その……、なんだ……。」
いつもゴーイングマイウェイな風鈴にしては妙に歯切れが悪い。
何か話しにくい話なんだろうか。
「きょ、今日は青空だな。」
「いやもう夜ですよ。」
「……」
「……」
わけのわからないことを言った風鈴に思わずつっこんでしまう。
そしたら、無言が続いてしまった。
「あの、さ。ちょっとおまえに聞きたいことがあってさ。」
「聞きたいこと?何ですか?」
こんな夜中にかけてくるほどのことだ。
もしかしたら急ぎの用事なのかもしれない。
「おまえさ、1週間前の放課後さ、高等部の中庭にいただろ?」
「え?あ、はい。確かにいましたね。」
「その、さ。見ちゃったんだよ。おまえが5人ぐらいの中等部のやつらと中庭の木がいっぱいある方に連れてかれていたのを。」
「あ……。あはは、見ちゃいましたか?」
風鈴が言っているのは、中等部の3年生に中庭に呼び出された時のことだろう。
放課後は高等部の中庭はほとんど人は来ない。
だから彼らもまさか見られているとは思わなかったのだろう。
「そのさ、おまえってさ、その……いじめられてるのか?」
「へっ?い、いや違いますよ!?僕はいじめられてなんかないです!」
仔犬の言う通りいじめと言うほどのものではない。
単純に男子生徒の嫉妬だ。
ちっちゃくてかわいい風鈴と、クールビューティーな御籤は当然高等部では人気がある。
その彼女らと仲が良く、あまつさえ同居しているというならば気に入らないという人もいるだろう。
もちろん仔犬もこのままでいいとは思っていない。
今はまだ「彼女らと特別な関係になるな」と言われているだけだが、そのうち手が出されるかもしれない。
自分が被害を受けるならまだいいが、もしかしたら彼女らに手を出されるかもしれない。
仔犬自身今どう対処しようか考え中なのだ。
「そのさ、それってさ……。」
「は、はい。」
弁解して解決するかと思ったが、まだ風鈴は何か言おうとしている。
「もしかして私のせい……なのか?」
「……はい?」
「い、いやだっておまえをくちなし寮に誘ったのは私だし……。」
「違います!それは絶対違います!」
変な勘違いをする風鈴に慌てる仔犬。
これはちゃんと弁解しなければならない。
「むしろ僕は寮長に感謝しているんですよ!」
「……感謝?」
「はい、すっっっっごく感謝しています!」
ちゃんと納得してもらうために力強く言う仔犬。
でもこの気持ちはホントだ。
「覚えてます?寮長と初めて会った時のこと。」
「……覚えてるよ。あの時おまえアホ面してたもんなー。」
「いや、そりゃいきなり女子寮に来いって言われたら戸惑いますって。」
寮長―――――その時は琴町先輩と呼んでいた少女に会ったのは初等部の卒業式の3日後のことだった。
中等部の男子寮の申請をしたはずが、なぜか女子寮で登録されてしまっていたのだ。
理由は単純、仔犬の男だか女だかわかりにくい名前を勘違いして登録してしまったらしい。
途方に暮れていると偶然通りかかった風鈴に「おまえどうかしたのか?」と聞かれたのだ。
思わず仔犬が話してしまうと風鈴は少し考えた後、こう言った。
「ならウチの寮に来い。」と。
「だから僕は寮長に感謝しています。だからどんな理由があっても寮長を恨むなんてことはあり得ません。」
「そ、そうか……。」
まだ納得してないのかまだ歯切れが悪い。
「い、いやおまえがそこまで思ってくれてたって思って。」
「もちろんですよ。僕は寮長に感謝してますし、大好きですよ。」
「だいすっ!?」
驚いたのか急に噛んでしまう風鈴。
仔犬としては先輩に敬意と敬愛を現したつもりだったのだが。
と、壁の時計を見ると2時を回っていた。
「寮長さすがにそろそろ戻らないと。」
「そ、そうだな!おまえは戻るだよな!」
なぜか慌ててる風鈴はもはや呂律もまわってない。
「じゃあ、おやす……。」
「ま、待て!」
風鈴が急に大きな声を出し、仔犬の言葉を遮った。
「あのさ、最後にさ……。」
「はい?」
少しためらったような雰囲気を出した後、意を決したように言った。
「あの時みたいに私のこと呼んでくれないか?」
あの時というとさっきまで話していた会った時のことだろうか。
まあ、別に断る理由もない。
「おやすみなさい、琴町先輩。」
ガチャン。
いきなり切られてしまった。
理由はわからないが、これで風鈴の不安はなくなったのだろう。
仔犬はスマホをポケットにしまい、あくびをしながら部屋に帰った。