紅茶のおかわりはいかがですか?(GJ部二次創作に移行しました) 作:橘田 露草
くーさんこと露草です。
お久もお久!大お久ですよ!!(;^ω^)
年末なのにまだ9月の話という状態から抜け出すためにちょっち頑張ろうと思う露草さんです(^^♪
今回は特別回と称しまして本編とはまた違う未来の話にしようと思います。
といいますのもですね~、この「紅茶」は10話で1ヶ月の時間軸なのですが、各10話目は「あるかもしれない未来シリーズ」という甘々な恋愛模様を書こうかと思ってます。
もし好評であれば次の9月編でも書こうと思いますが、いかがでしょう?(^^)
では、記念すべき50話どうぞ!
初回は、風鈴ちゃん!
あたたかな春のある日。
仔犬は、お腹に重さを感じて目を覚ました。
「あっ、パパおはよっ!!」
「……おはよう
「は~い!」
ぴょんとベッドから飛び降りる娘を横目に時計を手に取る。
「まだ5時30分……」
仔犬がかけたアラームまでまだ1時間以上ある。
軽く風里を睨むと、にぱっと笑い返してきた。
その悪気の一切ない笑顔にため息をついて諦める。
「パパ!今日なんの日か知ってる?」
「はいはい……風里」
にこにこ笑う娘に仔犬も笑う。
何て言ったって今日は。
「誕生日おめでとう」
「えへへ、ありがとう♪」
彼女の誕生日なのだから。
火を点けたフライパンに溶いた卵とベーコンを入れて焼く。
ダイニングテーブルにできたものを並べる頃、母親を起こしに行った娘の声と階段を降りる2つの足音が聞こえてきた。
「ほら、ママ!ごはんもうできるよ!」
「勘弁してくれよ……。まだ6時だぞ……」
元気よく母親の手を引っ張る娘と半分寝ているような声を出すその母親が台所に入ってきた。
その様子を見て思わず苦笑してしまう。
「おはよう、風鈴ちゃん」
「おはようじゃねーよ……。こっちは昨日遅くまで仕事してたんだぞ……。」
あくびをしながら仔犬を睨む彼の妻で風里の母親の風鈴。
その姿は、7歳になる娘がいるのかと疑うほど小柄だ。
というか幼い。
大学を卒業して8年も経つというのに、その姿は彼が知っている高校2年生の頃とほとんど変わらない。
「えっと、お疲れさま……なのかな?ごはん食べれる?」
「……食べるけど」
纏わりついてくる娘を軽くあしらいながら席に座る。
仔犬も粗方用意を終え席に着く。
「ほら、風里。ごはんだから席に着きなさい」
「は~い」
元気だが、しっかりと言うことを聞く風里の頭を軽く撫で、手を合わせる。
「じゃあ、いただきます」
「「いただきます」」
3人そろって挨拶した後、食事に手を付ける。
3人暮らしになってからは、風鈴の仕事がある日はごはん、休みの日はパンとなっている。
もちろん用意するのは、主夫の仔犬だ。
「ママ!きょうはかざりのたんじょうびだよ!」
「知ってる。だからさっきおめでとうって言っただろ」
「もー!それだけじゃやだ!」
「じゃあ、商品券やるよ。昨日うちの部下からもらったから」
「さすがに7歳の子に商品券はないと思うよ、風鈴ちゃん」
子供がいるからか食事の時間はまあまあ賑やかだ。
思わず、寮にいた頃のことを思い出す。
「パパどのー!かざりはゆうえんちをしょもーします!」
「遊園地?僕は構わないけど、風鈴ちゃんは?」
仔犬は風鈴に顔を向ける。
うつらうつらしながらパンをはむはむと噛んでいた風鈴は、あくびをして答える。
「別にいいけどさー、コイツがいける遊園地なんてあるのか?こんなチビじゃ何も乗れないだろ?」
「むー、ママだってちびっこじゃん!」
「おまえよりはデカいっつーの」
「まあまあ。そこは多分大丈夫だと思うよ」
仔犬は中学の時、風羽と行った遊園地を頭に浮かべる。
ここからじゃ少し距離があるものの、あそこなら風里の身長でも大丈夫だろう。
「じゃあ行こうか、遊園地」
「ホント!?ぱぱだーいすき」
「おまえは相変わらずコイツに甘いな……」
時間は朝6時30分。
雛森風里の誕生日はまだ始まったばかりだ。
「わあ~!!パパいっぱい乗り物があるよ!」
「あっ、勝手に行ったらダメだよ!」
嬉しそうに飛び回る風里。
その様子を見ただけで連れてきた甲斐がある。
「ふ~ん、よくこんな遊園地あるの知ってたな」
移動中に軽く寝たおかげか、軽いあくび一つだけで仔犬に近づいてくる風鈴。
「昔よく行っていたところなんだ。前、風羽ちゃんとも来たことあるよ」
「ほぉ~、妻の前で浮気自慢とは勇気あるな」
「違うって!中学の時の話だよ!」
「……まあ、おまえは私にメロメロだもんな」
「はいはい、メロメロですよ……」
普段の仕事に加え、次期社長のための研修が忙しく、最近あまり話せなかったためか、いつも以上に仔犬をからかってくる。
最も、仔犬がメロメロだと言った時には仄かに顔を赤くしていたが。
と、不意に2人手が引っ張られる。
「もー!パパもママも2人でしゃべってないでよ!今日はふうりの日だよ!」
「ごめんごめん」
「ダメですー!罰としてパパはふうりとメリーゴーランド乗ること!」
「え!?さすがにあの子供向けのメリーゴーランドは恥ずかしいんだけど……」
「よし、私がビデオ撮ってやるから行ってこい」
「よろしくママ!」
メリーゴーランドに引っ張られていく夫を見ながら、にやりといたずらっぽく笑う。
「さてと、久し振りの家族サービスと行くかな」
そう言って2人を追いかけて歩いて行った。
「くぅ……くぅ……」
「すっかり疲れて寝ちゃったな」
「あはは、そうだね」
仔犬に背負われた娘を見ながら2人で笑いあう。
あれから遊び続け、時間はすでに夕方。
後1時間もすれば閉館の時間だ。
と、目の前にベンチを見つける。
「ちょっと座ろうか?」
「ん」
園内の小さな池のそばのベンチに座る。
眠り続けている娘は膝の上に乗せる。
「今日はありがとね。風里すごく楽しそうだった」
膝の上の娘をなでながら風鈴に言う。
風里はくすぐったそうに微かに笑みを作る。
「別に私も楽しかったしな。それに……あんまりコイツに構ってあげられてないからな。忘れられたら困る」
ふにーっと愛娘のほっぺを軽く引っ張る風鈴。
母親譲りのぷにぷにほっぺをいじられ風里はわずかに顔をしかめる。
そんな姿も可愛くて仔犬もまたつい笑みがこぼれる。
「ふふっ、そうだね。もしかしたら風羽ちゃんの方が家にいるかも」
「まあ、いつの間にか旦那と娘が妹に取られていたら負けた気がして悔しいし、もう少し帰るようにしないとな」
「風羽ちゃんはそんなことしないって」
「ん?だってアイツは今でも……ってそういえば鈍感だっけなおまえ」
呆れたようにため息をつく風鈴。
こんな様子では、きっと気づいていないだろう。
20歳を超えさらに可愛くなった妹が義兄である仔犬を奪い取ろうと虎視眈々と狙っていることに。
「あ、そうだ」
「ん?」
横に置いてあったカバンを手に取る仔犬。
そして中から1個の箱を取り出した。
そしてそれを風鈴に差し出す。
「誕生日おめでとう、風鈴ちゃん」
「……おまえな、30歳の誕生日がめでたいわけないだろ」
軽く睨みながら箱を受け取る風鈴。
そう、今日は風里の誕生日でもあり、風鈴の誕生日でもあったのだ。
最も、7年前に風里が生まれてからは、風鈴自ら風里メインの誕生日にするようになったが。
それでも毎年プレゼントをくれる仔犬は優しいというか、律儀というかという感じだ。
「……ネックレス」
「この前、可愛いの見つけたんだ。ちなみにこの子がね」
「……ありがとな仔犬。風里もな」
ガシガシと雑に風里の頭を撫でる。
と、風鈴が不意に仔犬の顔を見た。
だが、なぜか顔を赤くし目を泳がしている。
「……その、さ」
「うん?」
「もうひとつプレゼントもらっていいか?」
「え?えっと、これしか用意してないけど。ケーキなら家だし」
仔犬は風鈴の様子が変なことには気づいているが、なぜかはわからない。
「そうじゃなくて……その久しぶりにさ……ち、チューとかさ……?」
「……へ?」
思わぬ言葉にまぬけな声が出てしまう。
と、言葉の意味が分かり、なぜ風鈴の顔が真っ赤なのかも気づいた。
「あ……うん……。チューだよね……?」
「い、いやならいいけど……」
「ううん、いやじゃないよ!」
不安げな表情に慌てて首を振る。
「じゃあ……ん。」
目をつぶり、少し唇を突き出す風鈴。
完全にキス待ちの顔だ。
「う、うんわかった……。」
顔を近づける仔犬。
何度もしているのになぜか自分まで顔が赤くなってくる。
そして。
「ん」
軽く触れるようなキス。
10秒ほどで離れる。
「えっと、これでいいかな?」
「いや、もっとしてほ……うあ!?お前いつから!?」
トロンとした顔をしていた風鈴がぎょっとした顔をする。
風鈴の目線を追うとそこには。
「じー」
顔を仄かに赤くし、ぼおーっとしている風里がいた。
「か、風里!?いつから起きてたの!?」
「ママとパパがちゅーしてたときからだよ~」
いたずらっぽく笑う風里。
まだ少し顔が赤いが。
「パパ!かざりにもプレゼントちょうだい!」
「だ、だめだ!このプレゼントは私専用だ!」
「えー!?ママばっかりずるい!かざりもパパとちゅーしたい!」
「ち、ちゅーとか言うな!恥ずかしいだろ!」
同レベルで争う母子とそれに苦笑する父親。
誕生日終了まで後5時間。
家に帰ってからが大変だなぁと思う仔犬だった。
ちなみに風鈴も「かざり」なんですよね~。
まあ、あだ名であまり呼ばれない子なので初回のフリガナ以来出番はなかなかありませんが(笑)
次回は9月編……と言いたいのですが、実は8月編はまだ1話足りなくて……(^^;
新ヒロインも出るので水曜日までにはあげないなーって思ってたりいなかったり(笑)
では、次回もよろっ!です。
あ、ちゃんと続けるので感想・評価もよろっ!です(^ω^)