ポケットモンスター~orange~   作:天城黒猫

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リ メ イ ク す る よ !

読み返してリメイクしたくなった。書きたくなった。それが動機。ちょうどポケモンも23年目ですので。
皆さんお付き合いよろしくお願いします!!


プロローグ オレンジという少年

 はじめまして! ポケット モンスターの せかいへ ようこそ!

 

 わたしの なまえは オーキド みんなからは ポケモン はかせと したわれて おるよ

 

 この せかいには ポケット モンスター と よばれる いきもの たちが いたるところに すんでいる!

 

 その ポケモン という いきものを ひとは ペットに したり しょうぶに つかったり… 

 

 そして……

 

 わたしは この ポケモンの けんきゅうを してる というわけだ

 

 では はじめに キミの なまえを おしえて もらおう!

 

 

 ……………

 

 ふむ……

 

 オレンジ と いうんだな!

 

 オレンジ!

 

 いよいよ これから キミの ものがたりの はじまりだ!

 

 ゆめと ぼうけんと! ポケット モンスターの せかいへ! レッツ ゴー!

 

 

 

 

 

 

 

 ポケットモンスター、縮めてポケモン。

 

 この星の、この世界の、不思議な不思議な生き物。

 

 海に森に町に、その種類は、100、200、300、いや、それ以上かもしれない──

 

 そんなポケモンだが、まだまだ分からないことが多い。

 そんなポケモンの謎について研究するのがポケモン研究者だが、ここ数年はこれといった新発見もなく、ポケモン研究界は停滞していた。

 

 だが、そんなポケモン研究界に数年前、一陣の風を巻き起こした少年がいた。その少年はこれまでに知られていなかったポケモンの生態、進化体制など、様々な新発見をした。だが、その少年は僅か8歳であった──

 

 

 

 

 

 

 

マサラタウン
マサラは まっしろ はじまりのいろ

 

 

 

 オーキド博士──ポケモン学会における最高権威──の研究室には、現在二人の人物がおり、会話をしていた。

 

 一人は言わずとも知れたこの研究室の主であるオーキド・ユキナリだ。そして、もう一人はオレンジという名の少年だ。

 まだ10歳と幼いものの、オレンジといえば数年前にポケモンの研究界に突如舞い降り、新たなる発見を次々ともたらした人物として知られている。とりわけ進化に関連する分野は群を抜いていて、これまでに発見されていなかった進化方法や、新たなる進化先を見つけ出したその功績は、たちまちのうちに世間に知れ渡った。

 つまるところ、オレンジという少年は、新たなるポケモン博士としてその名を学会のみならず、世間に広めたのだ。

 

 しかし──世間からは神童やら天才やらと評価されている彼は、ポケモンに関連する知識は人一倍ずば抜けており、それによって次々と新たなる発見をしたのだが、それには()()()()が存在する。

 

 オレンジという少年には前世の記憶というものが存在する。

 

 そのうえ、その前世においてはこの世界はポケットモンスターという名前で発売されている、ゲームとして扱われており、オレンジの前世の人物はポケットモンスターシリーズを非常に好んでいた。

 そのため、あらゆるシリーズにおいて登場したポケモンたちの名前やタイプ、更には図鑑の説明などもほとんど記憶していた。

 

 オレンジが前世の記憶を思い出したのは、3歳の時であった。はじめは戸惑いもしたが、彼は無邪気な子供らしくポケモンという存在を、現実のものとして触れ合えることに喜びを見出し、ポケモン好きの少年として振舞った。

 

 両親の持つポケモンたちに飛び交ったり、なでたりしては喜ぶ生活を送る最中、オレンジはふとしたことで両親ですらも──否、ポケモン学会における最高権威であるオーキド博士ですらも知らないような知識を次々と漏らした。

 それが()()の始まりであった。

 

 オーキド博士は、オレンジの両親が送った手紙を読み、オレンジの元を訪ねることにした。

 その手紙の内容とは簡潔なものであり、自分の子供が、世間に公開されていないポケモンに関連する新たなる発見をしたから、ぜひともそれが本当のことなのか確かめるために、一度訪ねてほしい──といった旨の内容であった。

 

 当初、オーキド博士はその内容を読み、子供を愛するあまり盛り上がっただけの()()()が騒いでいるだけだろう、と思ったものの、予定も入っていなかったしやることもとりわけなかったため、観光のついでと言わんばかりにホウエン地方にあるオレンジの家を訪ねた。

 

 そして、オレンジの部屋を見たオーキド博士は驚きのあまりひっくり返りそうになった。

 というのも、オレンジの部屋に散乱したスケッチブックには、いくつものポケモンの絵がかかれており、その絵の下にはどれもそのポケモンに関連する説明がこと細かく書かれていた。中には驚くことに未発見のポケモンの絵も描かれていた。

 そのうえ、その説明文がこれまた驚くことに、ポケモン学会でも未だ検証中のものや、未発見の生態が書かれていたのだ。

 

 そして、オレンジと顔を合わせたオーキド博士は、彼にいくつかの質問を投げかけた。

 例えば、このポケモンはどこに生息しているのか、このポケモンが覚える技は何か、このポケモンはどのように進化するのか──

 

 オレンジは、投げかけられたポケモンに関連する質問をすべて、正解という形で答えた。

 

 オーキド博士はオレンジの知識の量に驚かされ、彼と別れて研究所へと戻った後、彼が描いたスケッチブックに書かれている未発見のことを検証したり、他地方のポケモン博士にコンタクトを取り、その地方にしか生息していない未発見のポケモンがいるのかどうかを調査したりなど──オレンジの知識を裏付け、実証しようとした。

 そして、そのことごとくが全て本当のことであり、新たなる進化先やタイプ、生態などが次々と発見された。

 

 オーキド博士は、オレンジの元を再び訪ね、ポケモン博士になる気はないかどうかと問いかけた。

 その時、オレンジは5歳であった。彼は少しばかり迷ったそぶりをみせ、少しばかり考える時間が欲しいと頼み込んだ。

 オーキド博士はこれを了承し、一か月後にオレンジからポケモン博士になり、研究会にその身を投げるとの言葉を受け取った。

 

 そして、オーキド博士はオレンジの後見人となり、オレンジにポケモンの研究の()()()を教え込み、彼の図鑑に書かれた内容をオレンジ本人に改めて実証させ、新発見となる研究成果を段階的に発表させた──

 

 こうして、オレンジという少年はポケモン研究会に、新たなるポケモン博士としてその名を連ねることとなった。

 

 

 ……もちろん、前世の知識を持ち、予め知っていて当然のことを新発見として発表することは、オレンジは後ろめたく思っていたが、オーキド博士のフォローにより気にするようなことはなくなった。

 

 過去に一度、オレンジはオーキド博士に己の知識の出所について聞かないのか、と尋ねたが、オーキド博士はオレンジの知識の出所について聞くことはついぞなかった。

 

 

 

「オーキド博士、この前の『なつき度となつき度進化』の発表、どうでしたか?」

 

「うむ、中々に良かったぞ! そうそう……オレンジ君! この前の温泉はどうだったかね?」

 

「ああ、あのシロガネやまの秘湯ですか! かなり良かったですよ。効能もバッチシ!」

 

「そうかそうか。それならばワシも教えた()()があったというものだ。君の温泉好きは凄まじいからのう!」

 

「はははは、いやですね。オーキド博士! 温泉はニ……ジョウト人の魂ですよ!」

 

「キミはホウエン地方出身じゃろ」

 

 わははは、と二人は下らない冗談におかしくなり、笑いあった。

 二人の仲はもはや友人といってもおかしくはないぐらいに親密なものであった(といっても、オレンジは立場上敬語を使用しているが)

 その時、トゥルルとテレビ電話の着信音が鳴り響いた。オーキド博士は、オレンジに断って機械のスイッチを押し、電話に応答した。

 通信相手は、栗色の髪にサイドテールをし、どこか気の強そうな印象を受ける女性──このカントーのジムリーダーの一角である、水のエキスパートであるカスミであった。

 

 カスミは、オーキド博士にレッドの居場所を知らないかと問いかけた。それに、オーキド博士は行方が分からないと答えた。

 

「博士! オーキド博士!」

 

 とカスミは、オーキド博士の答えを聞くなり、慌てて聞き返した。

 

「ちょっと! 今なんて言ったんですか!?」

 

 その声はあまりにも大きく、オーキド博士とついでにオレンジは耳をキーンとさせながら、答えた。

 

「大声を出すのはやめんか! じゃから、『レッドなら挑戦状をもらって、一か月前ふらりと飛び出したきり』といったんじゃ」

 

 むう、とカスミはあきれたかのように言った。

 

「ぜーんぜん連絡つかないと思ったら!」

 

「カスミよ、珍しいことじゃなかろう! レッドがポケモンリーグで優勝して以来、この2年間こんなことしょっちゅうだったぞ」

 

 レッド──オレンジはその名を耳にし、前に聞いたニュースやオーキド博士の言葉を思い出す。

 かつてオーキド博士と偶然知り合い、ポケモン図鑑を手にして旅に出たレッドは、ジムを制覇し、カントーに巣くう悪の組織、ロケット団を壊滅させ、ポケモンリーグで優勝し、チャンピオンとなったのだ。

 つまるところ、彼はいわゆる主人公に相応する人物だろう──とオレンジは考えていたところ、オーキド博士はレッドについての愚痴をカスミへとこぼしていた。

 

「ヤツめ、ポケモン図鑑を完成させる気があるのか? 挑戦を受けたり、ポケモンのレベルを上げたりするだけで、この2年間捕獲がさっぱり進んどらん!」

 

「あの……ハカセ、図鑑の完成ってそんなに急ぐものなの?」

 

 とカスミは訪ねた。

 それにオーキド博士は頷いた。

 

「ウム……始めワシはポケモンはすべてで151いると発表したが、その数をはるかに凌いでいることが分かっての! たくさんのポケモンを調査して、図鑑を作るのに大忙しなのじゃ! まあ、そこにいるオレンジ君が手伝ってくれておるから、助かっとるがの!」

 

 とオーキド博士は画面の前からのき、後ろにいるオレンジを映した。

 オレンジとカスミは目を合わせると会釈し、オーキド博士はカスミにオレンジのことを紹介した。

 

「彼がオレンジ君じゃ! ワシの弟子のような──いや、知識量では最早敵わぬが……ワシのポケモン図鑑の作成と研究を手伝ってくれておるんじゃよ! ほれ、オレンジ君。彼女はカスミじゃ。水専門のジムリーダーじゃよ!」

 

「ああ、彼女が──」

 

 とオレンジは微笑み、画面の向こうにいるカスミに軽く会釈した。

 お互い名前は知っているものの、実際に顔を合わせたことがない状態であったので、挨拶は簡単なものに終わり、カスミがレッドと出会ったときのことや、オレンジが行っている研究のことなどを軽く話した。

 

 その後はオーキド博士も加わり3人でとりとめのない会話をし、その中でカスミは机の上に置かれた1枚の紙に注目した。

 その紙というのは、レッドの元に届けられた挑戦状のことであり、力強く筆で書かれたものであった。オーキド博士は、その挑戦状の差出人の字を読み取ろうとしたとき、ドアが揺れ、爪で引っ掻く音が聞こえた。

 

「お、噂をすれば」

 

 とオーキド博士は挑戦状から目を上げると、ゴム手袋を取り出してドアへと向かった。

 

「何をしているんですか、オーキド博士」

 

 とオレンジが問いかけた。

 

「ホレ、ドアノブに大量の静電気が流れておるじゃろう? これはレッドの手持ちのピカ──ピカチュウのものじゃ。素手で触るとピリッとする程度じゃ済まん。そら……今開けるからのう!」

 

 オーキド博士が扉を開くと、オーキド博士、そしてカスミにオレンジ、つまりこの場にいた全員が驚くこととなった。

 というのも、扉の向こうにいたのはピカ一匹のみであり、そのトレーナーであるレッドの姿はどこにもなかった。そのうえ、ピカの全身は切り傷や火傷、打ち身、凍傷など──傷だらけになっておりボロボロの状態であり、息も切れ切れであった。まさしく立っているのもやっとなほどの、『ひんし』状態そのものだった。

 

「ピカ!? レッドは……レッドはどうした!」

 

 と驚くオーキド博士の元に、「ピ……」という非常に小さい鳴き声ですり寄ると、突然電池の切れた玩具のように意識を失い、バッタリと倒れ伏した。

 

「ピカーッ!」

 

 オーキド博士の絶叫が鳴り響き、オレンジとカスミはただただ茫然とするばかりであった。

 

 しかし、オーキド博士とオレンジ、カスミの面々はすぐさま落ち着きを取り戻し、ピカをボールの中に収め、回復マシンによる手当を行った。

 

 ──挑戦状には、志覇(シバ)という名前が書かれていた。

 

「シバ……」

 

 その名前を聞いたオレンジは、ゴクリと生唾を飲みこんだ。

 オレンジには、その名に聞き覚えがあった。つまり──

 

「四天王……シバか!」

 

 生前においては、全てのジムバッジを集めた後、ポケモンリーグにて立ちはだかる四天王の内、かくとうタイプのポケモンを操る豪傑──それがシバであった。

 

「四天王、じゃと!? 何か知っておるのか、オレンジ君!」

 

「そうですね……」

 

 とオレンジは少しばかり考え込んだ。

 というのも、彼が過去に調べたとき、このカントー地方のポケモンリーグでは、ゲームのように四天王とその最後に控えるチャンピオンと戦うのではなく、八つのバッチを集めたトレーナーたちでトーナメント戦を行う形式であり、優勝者がポケモンリーグチャンピオンの称号を与えられるのだ。

 

 つまり、四天王という存在は存在しないと思っていたのだ。

 

「シバ……オーキド博士、カスミさん。カンナ、キクコ、ワタル……これらの名前に聞き覚えはありますか?」

 

「いえ、ないわね」

 

 とカスミは頭を振った。しかし、オーキド博士はガタリと立ちあがって叫んだ。

 

「キクコじゃと!? オレンジ君、キクコを知っておるのか? あやつは、昔のワシの研究仲間じゃ!」

 

「はい、オーキド博士。キクコはおそらく、四天王の内の一人である可能性が高いです」

 

「なんということじゃ! オレンジ君、四天王の居場所に心当たりはあるか?」

 

「ありません。しかし──一つだけわかることが。おそらく、俺が知っている四天王と同じならば、皆強力なポケモンたちを持った腕利きのトレーナーです」

 

「ふぅむ! とすると……レッドはその四天王に敗れ、行方不明となったと考えるのが妥当じゃろうな」

 

「そんな!」

 

 とカスミは叫んだ。それは、まるでレッドが敗北したという予想を否定しようとしているかのようだった。

 

「あのレッドが! 信じられない! レッドはとても強いトレーナーなのよ! ロケット団を壊滅させて、ポケモンリーグチャンピオンにもなったのよ!?」

 

「じゃが、カスミよ。このボロボロのピカをどう説明するのじゃ!

 ワシは連絡を取れるすべての機関にレッドと四天王の調査を依頼する! キクコにも連絡を取ってみよう! カスミ、おまえは正義のジムリーダーたちにこのことを伝えてくれ!」

 

「では、俺はこの挑戦状の場所に行ってみましょう。……最も、そのレッドさんが行方不明になってから1か月も経過しているのなら……いえ、とにかく行ってみます! 人手は多いほうがいいでしょうから」

 

「いいのか、オレンジ君!」

 

 カスミが正義のジムリーダーたち──タケシ、エリカ、カツラに連絡を取るためにオーキド博士とのテレビ電話を切断したのとほぼ同時に、研究所の扉が開き、ドードーに乗った人物が登場した。

 

 

 ──この人物の名前はイエロー。この人物との出会いが、オレンジの冒険の始まりであった。

 

 その冒険は過酷なときもあるだろう。しかし、幸福なときもあるだろう。ともあれ……その冒険が終わりを迎えるのははるか先になるということだけは確かだと、ここに約束しよう──




最初なので内容は特にない。
次からバンバンやっていきたいけど、序盤はあまり動きがない。四天王編は感覚からして10話ぐらいで終わる気がする。
目標は1か月(3月以内)で10話書くこと。

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