噛ませ転生者のかまさない日々   作:変わり身

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四年目

●月 ●日

 

 

さて、四年生である。

 

これで通算三度目のクラス替えなのだが、俺、原作メンバー、メガネっ娘、オリ主の何時もの面子は誰一人欠ける事無く同じクラスになった。

絆というか腐れ縁というか、ここまで来ると何らかの意志を感じなくもない。多分残り二年も一緒なんだろうな。きっと。

 

で、今回も三人娘からは「うひゃー」という顔をされた訳だが、今回はそこにフェイトとはやても加わって「うぎゃー」という顔になっている。

仕方ないので以前練習した蠱惑的なスマイルとウインクをしてやったら、「ほぎゃー」という表情で顔を背けられた。俺の勝ちだ、ウフフ。

 

 

しかし四年生となるとあれだ、確か保健体育の授業が性の分野に入る時期じゃなかったかな。オリ主もこれから大変になりそうだ。

今までは耳年増のクセに、オリ主の近くに擦り寄ったり昼食の時に隣に座ったりといった地味なアプローチしかして来なかったなのは達だが、今以上にしっかりとした知識を付けたらどんな行動をしてくる事やら。

見る限りじゃフェイトとはやてもハーレムメンバーに加わっているようだし、もしそれにアルフやアリシアやヴォルケンリッター達も含まれるのならば人数的にもヤバイ事になりそう。

 

少なくともboat.に乗るような展開にならないよう注意しろよ。とポケモン対戦していたオリ主に語れば、彼は絶望した表情でフォレトスに大爆発を使わせた。落ち着けよ。

 

 

そうそう、今年アニメ関係でとても嬉しい事があった。そう、あの妖逆門が放映開始されたのだ。

正確には「っぽい何か」で展開的にも多々違う部分があるのだろうが嬉しい事に変わりない。ワクワクとドキドキ、そして少しの寂寥感を感じさせるげぇむを再びリアルタイムで見る事が出来ようとは望外の喜び。転生して良かった。

 

それに妖逆門には清、鳥妖、きみどり、アキと言った可愛い女の子も多いし、ストーリーにもかなり熱い物がある。俺的に今期一番の期待作である。あぁ楽しみだ。

 

……前回は入手できなかった鳥妖の同人誌、今回は手に入れられるだろうか。コミケへの不法侵入を考える俺であった。

 

 

●月 ●日

 

 

以前ゴーヤーチャンプルを作ってからというもの、ちょくちょく料理をするようになった。

 

と言ってもそんなに手の込んだものではなく、味噌汁やらオムレツやらカレーやらの手軽に作れる家庭料理が殆どである。

何たらのソテーだの何たらのスパゲッティとかはそこらのファミレスに行った際に良く食べるので、それ以外の物が食べたかったのだ。

 

いやしかし前世含めてまともに料理をした事のない俺だったが、結構いい感じに料理できる物なんだな。無論初心者臭さは抜けないが、少なくとも美味しいと感じる物は安定して作れるようになった。

これも身体チートの影響かとも思ったものの、味見をしているのはあくまで俺である。流石に味覚まではチートの範囲に含まれないと思うのだが……はてさて。

 

それはさて置き手料理の味をしめ始めた俺は、今度は煮物類に挑戦しようと思っている。そう、肉じゃが、かぼちゃのそぼろ煮、お煮しめ等の家庭の看板とも言える料理だ。

各々の家庭の味がモロに出るタイプのものであるが、前世含めお袋の味がコンビニ弁当であった俺に果たしてどこまでの物が出来るのか。楽しみでもあり不安でもある。

 

……まぁ、とりあえずやってみない事には始まらんか。これまで出来た物からしてそれなりの物は作れるだろうし、頑張って六千六百六十六堂院の家庭の味を生み出してみせようじゃないか。

俺は気合を一つ入れ、煮物用の鍋をポチった上で近所のスーパーに材料を買いに走ったのだった。

 

 

そうして出来上がった肉じゃがはまぁまぁの出来だったが、少し甘かった。

だが醤油をひと匙加えたらいい感じになったので、これからはそれを隠し味として一先ずの完成とする事にしよう。中々家庭的っぽくて良いんじゃなかろうか。うむ。

 

 

●月 ●日

 

 

どうやら林間学校という物があるらしい。

 

何でも以前訪れた自然公園にはキャンプスペースもあるらしく、そこで男女分かれて一泊二日の共同生活を送るそうな。

 

プリントを見る限りじゃ、短い時間とは言え自然の空気に触れ感受性やら何やらを養う事を目的としているらしいが……まぁ場所も場所だし泊まりがけの遠足という認識でよかろう。

実際他のモブ達も同じ認識でいるようだし、特に難しく考える必要もあるまい。俺は鼻歌を歌いつつ大きめのリュックに旅のしおりで禁止されているゲーム、漫画類を詰め込んでいくのだった。全く持ってタチの悪い不良生徒である。

 

 

――そうして迎えた当日に訪れたキャンプ場。深い緑に覆われた山中にあるその場所は、街に溢れるコンクリートジャングルとは一線を画す青々とした別世界だった。

 

左に目を向けても右に目を向けても視界に映るのは木々と葉の群れだけで、俺たち男子一同が一泊する予定の宿ですらも木材で出来たログハウスだ。当然部屋の中も簡単な蛍光灯があるだけでベッドすら無く、寝袋を床に並べて寝るらしい。

……正直言って現在の快適な文明的生活に慣れ切った俺達には割とキツい物があるが、何となく心は高揚する。冒険家とかキャンプ、旅好きな連中の気持ちの一端を理解したような気がした。

 

ともあれ班ごとに決められた宿に荷物を置いた俺達は、同じく班で固まったまま引率の教師に連れられて移動を始める。しおりに書かれた予定に従い、山中のハイキングコースの散策を行うのだ。

 

まぁ班とは言っても俺は名前と言動のせいで、オリ主はいつもなのは達女子と行動しているため思春期男子モブの嫉妬やら反感を買っているらしく、自然と溢れて二人組になってしまう訳で。転生者には厳しい世の中だよ全く。

せっかくなので、この際お互いの一般人から逸脱した身体能力を持って好き勝手に山中を跳ね回る事にした。木の枝を猿のように飛び渡りつつ忍者ごっこをしたり、山頂から思いっきり飛び上がって空からの絶景を楽しんだり、結構充実した時間を過ごせたのではなかろうか。

 

 

そうして正午の時間を回れば、ハイキングの途中で合流した女子達と共にバーベキュー場での昼食である。

生の肉や生の野菜と言った加工されていない食材を用いて、各班ごとに協力して調理するのだ。流石に小学生という事もありレシピくらいは配布されるのだが……まぁ、子供のやる事だからね。大変だよね。

 

ピンク色の生肉にキャーキャー言ったり、火加減に四苦八苦したり。あちらこちらで悲鳴が聞こえてくる。特に生肉は鶏の頭と内臓だけをとっぱらったシンプルな物で、俺達の班の男子も刃物を差し込む事を躊躇っているようだ。

仕方がないので多少なりとも料理に慣れた俺が引き受けてやる事にする――――と、何やらモブ男子とオリ主がこちらを尊敬の目で見つめてくるようになった。何だよ気持ち悪いなお前ら。

 

と言うかモブは良いとしても、何でオリ主までそんな目で見るんだ。確かお前もテンプレに沿って両親居ない設定だった筈だから調理くらい……何? 家ではなのはが料理作って来てくれてるから作った事無い? 最近ははやてからも?

馬鹿お前何でも面倒くさがってそんな事までやらせてっからハーレムなんて事になるんだよ。おいモブども、この六千六百六十六堂院ベルゼルシファウスト様が許可してやるからコイツちょっとどうにかしろ。

 

そんな号令に従い嫉妬のままにオリ主に襲いかかるモブどもを他所に、俺は黙々と調理を進めカレーを完成させ白米を炊き上げる。まぁ特別良くもないが、絶対に不味くはないだろう出来だ。

他のサラダとかスープはオリ主と彼に一瞬で返り討ちにされたモブに任せておいた。途中ギャースカギャースカ喧しかった物の、それなりの形にはなったようなので良しとしておこう。

 

そうして出来上がった昼食をバーベキュー場横に設置された食事場に座り食べていると――同じく調理が終わったらしいなのは達が近付いて来た。当然メガネっ娘を除きこちらには来ず、オリ主の元に向かっていった訳だが。

 

さて、原作キャラの料理はどんなもんか。隣に座ってきたメガネっ娘に許可を貰い、カレーを一口味見させて貰う。

うむ、当然だが俺のより数段うまい。あっちにはやてが居る以上当たり前だけど。

 

話を聞けば、なのはとはやて、そしてメガネっ娘の三人で作り上げたらしい。……残りの連中は? と聞けばそっと目を逸らされた。なるほどなるほど、正直なやつめウフフ。

 

半笑いになりながらアリサ達の事について更に詳しい話を聞こうとすると、突然オリ主の傍にいた原作メンバー全員がくるっとこちらを振り向いた。

多分、俺が料理出来る事か何かを聞いたのだろう。その目には「このカレーほんとにアンタが作ったの?」という猜疑心が色濃く現れている。

 

……ほぅほぅそんな目を俺に向けてもいいのかな? 俺はニヤリと笑み一つ。

そうしてまず最初に調理担当のなのは達三人を指差し、首を落として負けを認めるポーズをとった。その上で残りのアリサら三人に向かって、髪を掻き上げ唇を釣り上げた勝ち誇った表情をくれてやる。

 

――そして、一言。

 

 

「すまんなァ。お前らより料理が上手くって」ドヤッフォォォゥゥゥゥゥゥゥゥゥォォォァァァァァァ

 

 

――――その時のアリサ達メシマズ(推察)組の表情たるや、鬼が降臨したかと思った程で。

 

流石にヤベェと思った俺は手持ちのカレーをかき込み「あーうっめぇなぁ俺の作ったカレー!」大声で最後のひと押し。チートを用いて全力で高飛びしたのだった。

 

 

 

その後は特に予定の無い自由時間だったので、木陰でゲームして遊んだり、人知を超えた水切りをしてビショビショになったりと自由気ままに時を過ごし。

日が落ちた後は用意された夕食を食べ、大浴場で俺の美しい肉体を特別にモブの目に晒してやった。さーて何人のショタホモが誕生したかな? ああ、罪な男だな、俺。

 

そうして最後の締め括りはログハウス内で携帯ゲーム大会だ。そう、班員の奴らにもこっそりとDSを持ってきた奴らがいたのである。

 

持ち寄ったのはパワポケ8やマリオカート、テトリス……っぽい何かといった対戦もできるソフト達。

俺達はこういった場の定番である好きな女の子の話を修学旅行に持ち越す勢いで全力で楽しみ、それはもう盛り上がり。盛り上がり過ぎて教師が怒鳴り込んできた。

 

瞬間に俺の身体チートでモブ達の意識を飛ばさなければゲーム機を没収されていただろう。何故かオリ主がこちらを外道でも見るような目で見てきたが、ゲーム没収と気絶なら気絶を選ぶだろう普通。

 

 

まぁそんなこんなで終わった林間学校だったが、何かモブ達との距離が縮まったような、そんな一日と少しだった。また来たいもんだ。

今度は来年の臨海学校と六年時の修学旅行か。旅行イベントが多くていいね、この学校。

 

 

●月 ●日

 

 

以前からチマチマと続けている棒人間格闘ゲームのキャライラストのドット打ちをしていると、オリ主とユーノが遊びに来た。

去年の一件からこちら、彼らとは二週間に一回程度の割合で顔を突き合わせ俺の家に集まりゲーム合宿を開いているのである。

 

当初こそ「いやらしい、いやらしい」等と文句ばっかり言っていたユーノであるが、最近はもう俺達の側にどっぷりだ。

バテン・カイトスっぽい何かに感動したり、いっきっぽい何かの理不尽さに狂った様に笑ったり、Piaキャロ3っぽい奴のアドバンス版をプレイし本家に手を出したり。ある意味では俺以上に楽しそうにやっている。

 

中でもユーノが得意としているのは、SRPGと格闘ゲームだ。前者は分かるが、格闘ゲーム? 俺も最初は疑問符を浮かべたものだが、侮ってはいけない。

何とユーノはその女顔に見合わぬ変態じみた観察眼を駆使して一つ一つのフレームを見極め、その隙間を縫い的確に攻撃を当ててきやがるのである。

 

どれだけ防御を固めても、どれだけ当て身を張っても。的確なレバー操作とキー入力によりタイミングをずらされ、そうして晒されたほんの一瞬の空白にフルコンボが叩き込まれるのだ。

流石はデバイスなしでヴォルケンリッターと渡り合うだけの事はあるのだろう、俺が言えた義理ではないがチートも良い所である。

 

彼に格闘ゲームで勝てる方法と言ったら、オリ主と二人結託してユーノ自身にちょっかいをかけるくらいしか無い。そうすればリアルファイトで俺たちの勝利だ。卑怯くせぇ。

 

 

ともあれ、そうして今日もやいのやいのと騒いでいた訳なのだが……休憩時間、ユーノ達が棒人間格闘ゲームの事に興味を持ってきた。どうやら放置したままだったパソコン画面を覗いたらしい、作りかけのエディット画面を指差し何やらワクワクとした表情を浮かべている。

まぁその気持ちは分からなくもない、俺も初めてツクールをプレイした時は言い知れぬ高揚感を抱いたものだ。完成させた試しがないけど。

 

とりあえず特に隠す気もないので事のあらましを話してやっていた所、その場の流れで「お前らならどんなキャラを作るよ」という話題に発展。

そこらにあったチラシの裏にマジックペンで適当な絵を描き、やれ投げキャラだ中距離キャラだ自爆技だと好き勝手に案を出し合い。そうして気づけば調子に乗って三キャラ分のプログラムまで組んでしまった。

当然グラフィックは凸凹棒人間であり、その不格好さに三人でバカ笑いしながら適当に動かしていたら調整まで完了していた始末。何やってんだろな俺達。

 

しかしこのまま埋もれさせるのも勿体ないので、続編としてベクターに上げておく事にする。いや図らずもクリエイティブな行動をしてしまった、何となく満足感を得た俺達はそのまま打ち上げにファミレスへと旅立ったのであった。

 

 

――後日、この三キャラ分のイラストがメガネっ娘ファイルに追加されていた。それを二人に見せると、片方は顔を手で隠し片方は床に突っ伏し悶える事になったとさ。

 

そうだろうそうだろう、嬉し恥ずかし変な気分だろうよ、フフフ。俺もだ。

 

 

●月 ●日

 

 

シャマルとリィンフォースとはやてが家に来た。

 

まぁ以前来た時とは違って皆どこか真剣な表情で、面倒事の匂いがプンプンしたので居留守させてもらったが。チャイム? 無視無視。

彼女達はしばらくエントランスで俺の反応を待っていたようだったが、やがて諦めたのかポストに手紙を突っ込んで踵を返していった。何だったんだあいつら。

 

後でその手紙を確認してみれば、俺の体の事で少し話があるらしいとの事だった。これはあれかな。俺のリンカーコア関連かな。

 

……以前A'sの時にリンカーコアらしき部分に異常を感じていたが、この様子だと本気で何かありそうだ。いや、もしかして結構やばい事になってたりして?

少し不安になった俺は翌日学校ではやてに話を聞いてみる事にした。いやお前俺に話しかけられただけでしょっぱそうな顔するなよ、呼んだのお前じゃねぇか。

 

ともかく放課後に八神家に招かれ、詳しい説明を受ける事になった――のだが。玄関通ってヴォルケンズと面通しした瞬間「やらしい奴だ」「いやらしい男だな」「いやらしいな」「い、淫靡な男の子……」「やはりエッチだ」もう帰っていいすか。

 

そうしてぐったりとやる気の無くなったまま話を聞くと、魔法関連の事を掻い摘んで説明された後に俺のリンカーコアの話に移った。

心なし背筋を伸ばして聞けば――――何と、俺のリンカーコアが破損し、妙な具合に自然治癒してしまった為に魔法を行使をする際痛みを伴うようになったらしい。

 

「……お、おう」何か思っていた以上にどうでもよかった。はやて達は何故か悲痛な表情をして頭を下げているが、ちょっと拍子抜けも良い所である。

他に何か悪影響とか無いのかと聞いてみてもそれだけっぽいし、なーんだ不安になって損した。来なくても良かったなこりゃ。

 

え? いやだってねぇ。チートされた俺の頭脳は魔力なしでも変わんないだろうし、そもそも魔法なんて何年も使ってない上に今後使う予定も無いし。ねぇ? ならいいよ許すよ何かくれ。

 

いい加減面倒になってきた俺は、何やら鬼気迫る様子で謝ったり管理局がどーだ入局が云々と続けている八神一派を適当に流し、再び用意されていた菓子折りを半ば強奪。呼び止める声を聞かずに八神家からスタコラサッサと退散する。

そうしてチート脚力で宙を舞いつつ、ちらりと菓子折の中身を覗いてみれば――そこにあったのは、やはりというべきか翠屋製のコーヒー豆の姿だ。ふむ、これがタダで貰えるんならリンカーコア破損の元手は余裕で取れたんじゃなかろうか。

 

俺はプラスに傾いた等価交換に鼻歌フフン。調子に乗って手近にあったビル壁をアクロバティックに駆け上り、くるくる回りつつダイナミック直帰を果たしたのであった。十点満点!

 

 

……で、まぁ後日判明した事なのだが、どうやらはやてはリンカーコア破損の代償として、ひょっとしたら俺にいやらしい何かを強要されるのではと思っていたようだ。

何ておぞましい事を考えるのだろう、はやての自意識過剰ぶりに体の震えを禁じ得ない俺だった。

 

 

●月 ●日

 

 

枕をな、新調したんだ。

 

暑かったし、何時も使っていたクッションの物ではなく、蕎麦殻の詰まった涼し気なやつ。最初はちょっと高さがあって使いにくかったのだが、中身を少し抜いて調節したら大変素敵な事になった。

後頭部から側頭部にかけて独特の薄い香りと軽い感触が包み込み、同時に柔らかく支えてくれて。そして頭を動かす毎に耳元でザラザラとした音が聞こえ、それがまた落ち着く事落ち着く事。のび太君程とは言わずとも、5分あれば余裕で夢の中である。

 

そこから何となく蕎麦殻製品にハマり、蕎麦殻のクッションだとか抱き枕だとか、更には蕎麦殻お手玉なる物も買ってみた。

どれもこれも触り心地がよく、特にクッションなんかは体を埋めているだけで気持ちがよくて寝落ち率がとんでもないレベルにまで急上昇してしまった。これはイカンな、変えるつもりは全く無いけど。

 

しかし勢いで買ったお手玉だけが使い道が無いままだ。かと言って捨てるのも勿体なくて嫌な感じであるし、どうした物か。ポンポンしながら考える。ポンポンしながら考えて、ポンポンしながら考え続けていたらそれが結構楽しくて、いつの間にやらの俺の密かなマイブームとなっていた。

アニメを視聴中に手慰みにポンポン、鍋が煮えるまでの時間潰しにポンポン。主に家の中での空いた時間にポンポンポンと。これが結構良い感じに心が安らぐのだ。

 

流石にチートを使っての全力お手玉はしないように心がけている。

一度調子に乗って外出先の公園で全力ポンポンしていた時があったのだが、うっかり手を滑らせて道を走る黒塗りのベンツに直撃させてしまい、車を横転させてしまったのだ。チートって怖いね。

 

いや待ってくれって違うんだ聞いてくれよ刑事さん、よもや飛び出した蕎麦殻が散弾の如くタイヤを穿ち貫くとは思っていなかったんだ。だって所詮は蕎麦殻なんだぜ?

……にしても、中に乗ってたチンピラみたいなオッサンどもは大丈夫だったかね。事故を察知したのか、後ろから凄い殺気のイケメンが走ってきたからつい吃驚して、乗員の救助もそこそこに慰謝料の札束だけ投げつけて逃げてきたんだけど。ヤクザ関係だったら嫌だなぁ。

まぁ離れた所で警察とか救急車とか色々呼んだし、ニュースにはなってないから大きな事態にはならなかったのだろう。ならまぁ、金も払ったし俺の美しさに免じて許してくれるはずだ。きっと。

 

……そういや後日、その件に関して何故かすずかに(嫌々ながら)感謝されたんだが、あれは意味が分からんかった。まぁ俺の知らんとこで何かあったんだろうな、いつもの事だ。

 

 

「……ぽーんぽーんと」

 

 

……ポンポン、ポンポン。

そうして今日も俺はクッションに身を埋め、コーヒーメーカーから漂う深い香りにうつつを抜かし、アニメを見ながらお手玉をする。

 

うむ、幸せである。

 

 

●月 ●日

 

 

もうそろそろニヨニヨ動画ならぬニカニカ動画がサービスを開始する。

 

一年前に始まったTheytubeと並び、ニカニカ動画は健全な動画ライフには必要不可欠な存在だ。

前世でよく利用していたアニメチャンネルが本格的に始まるのはもう少し先だろうが、他のコンテンツにも面白い動画が沢山投稿されるだろうし、来たるべきその日が楽しみな事この上無い。

 

……そういえば、以前投稿した俺のスタイリッシュダンスであるが、寄せられたコメントが殆ど英語の物だった為どのような評価を受けているのかが全く分からなかった。

試しに翻訳サイトで訳してみたのだが、【あなたはゴブリンだを長く動かしたことの目的で行きました、何地球の世界で!】と言ったエキサイトな文となっていて意味が把握できないのだ。せめて一目で分かる評価ゲージのような物が欲しかった。

 

しかしニカニカ動画は付けられるコメントも日本語であるだろうし、サービスが始まったらあの動画をもう一回投稿してみても良いかもしれない。

そうだ、本人だと証明するためにまた新しいダンスを踊ってみるのはどうだろうか。今度はそうだな、A'sで花開いた俺の淫靡さを前面に押し出した感じで……。

 

……そんな事を思いつつクネクネやっていると、オリ主が気味の悪い物を見るような目でこちらを見ている事に気がついた。

超格好いいだろ? という意味を込めて先日会得した淫靡ウインクをしてやると、奴は口に手を当てて蹲る。どういう意味だよお前。「全く失礼な奴だよなぁ」とひっそり近くまで擦り寄って来ていたメガネっ娘に同意を求めれば、何とも微妙な表情で目を逸らされた。だからどういう意味だっつーに。

 

全く本当にダメだな三次元は。やはり俺の美しさを理解できるのは二次元女子だけのようだ。謝るメガネっ娘の頭をくしゃくしゃしながら、俺はアンニュイな溜息を吐きだした。

 

 

……あ、そうだ、なんならゲーム合宿の時にでも実況動画撮るのも良さげじゃね。タイトルは「【ガヤ実況】小学生三人がガチ対戦やってみた」とかで。

おお、なんか結構いける気が。え? しない? ああそう。

 

 

●月 ●日

 

 

今更だが、原作の五人娘は結構モテる。

 

良くラブレターを貰うだの貰わないだのアリサやすずかが言っているのを耳にするし、フェイトやなのはも告白を受けたとか何とか言っていたのでまぁ間違いないだろう。はやては知らんが。

 

ともあれ、確かに彼女達は(三次元の)ガキにしては整った顔をしているとも思うし、体のバランスだって(三次元にしては)悪くない。レベルで言えば三・二次元くらいだ。単位がわからん? 察しろ。

多分世を生きる男共にとって、そんな彼女達は物凄く魅力的に映るのだろう。そんなのより虹野さんとかメイ様の方が良いと思うんだけどな、ホント理解できん。

 

今でも時々思うんだが、もしこの世界が二次元だったならあの五人でハーレム作ってた筈なんだよなぁ。

何で二次元の世界に生まれてこなかったんだ、そうすればこの六千六百六十六堂院ベルゼルシファウストの伴侶になる事が出来たのに。ホント勿体無い勿体無い。

 

……いや、そもそも二次元の世界に飛び込んできたのは俺の方か。あれ、つー事はこの世界を三次元にしたのは俺なのか? 俺戦犯? いやいやんな訳ねぇだろ、こんなに二次元を愛しているのに。

それを言うなら俺の他にもう一人この世界に飛び込んできた奴が居るから、そいつの方が戦犯に違いない。なぁオリ主君、もしそうだったら絶対に君を許さないよウッフッフ。

 

……でもアイツも結構二次専の気があるしなぁ。この前俺の部屋からときメモGS2と六ツ星きらり……っぽい物を持ってったし。つか後者は修羅場ゲーなんだが大丈夫なのだろうか。

結局何が悪くてこの世界は三次元になったんだろなぁ。ぽっくんちっとも分からんちーん。

 

 

そうそう、そのオリ主は容姿で言うとレベル三・五次元程度である。それなのに五人娘にモテるもんだから俺以外の男子の嫉妬を買って日々大変であるらしい。

しかも五人娘は場所を問わずにオリ主スキスキオーラを放つもんだから倍率ドン。さらに倍! てなもんで。

 

この前の林間学校以来、ウチのクラスの連中とはそれなりに仲良くなったようだが……しかしあと少しで五年生に進級しクラス替えが待っている。それを伝えた時のオリ主の表情と言ったら、もう。

とりあえず近々またゲーム合宿を開くつもりでいるが、それで少しでも元気になれば幸いである。俺は深く溜息を吐き、視界の端でハーレムに囲まれるオリ主に深く合掌したのであった。

 

 

ちなみに後日、そりゃもう渋ーい顔をしたオリ主から六ツ星きらりが返却された。だろうよ、ハーレム築いてる奴にはまぁキツかろう。

流石に哀れに思った俺は、もう一つの人生たるCLANNADっぽい何かを貸してやる事にした。それを見たオリ主は感動に打ち震え、お互いにチートを用いてガッッチリ握手。バゥッ! と辺りに衝撃波が撒き散らされたが何処もおかしくはないのだ。




レベル=二次元に近いほど高評価。

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