遥か彼方で   作:アズマオウ

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第一話:破壊神とサイヤ人

 

 

 

 

「やっ、はあっ! でりゃあっ!!」

 

 ここはあの世からも、この世からも切り離された場所。そこに、一人の青年と一人の破壊神が戦っており、そして一人の創造神がパフェを食べながら見守っていた。目に求まらぬスピードで展開される戦いを前にしても全く動じることなく、満面の笑みでスプーンを口に運んでいる。

 一方、二人は互角以上の戦いを見せていた。青年は薄い青の胴着をボロボロにしながらも、猫にそっくりな破壊神へと飛びかかっている。破壊神は腕を背に回したまま、青年の攻撃を回避していく。そのまま破壊神は体全体を捻ってその反動を生かして青年の体を蹴りつけた。青年は大きく横に吹っ飛んでいき、近くにある岩に激突する。だが、青年の体は丈夫に鍛えられており、この程度のことなど訳もなかった。岩を気合いで吹き飛ばし、再び破壊神に迫る。虚を突かれた破壊神は青年の素早い攻撃に反応できず、顔面にストレートを浴びせられた。

 大きく後ろへと殴られ、地面に太い轍が刻まれる。 破壊神は続く攻撃に備えて守りを固めるも、青年はそれすらも許さないほどの速度でキックを腹に浴びせた。よろめく体にさらに頬にエルボー、そして両足蹴りという連続攻撃を食らった破壊神は今度こそ大きく吹き飛ばされ、土煙を立てながら派手に地面に沈み込んでいった。

 

「っぅがあぁぁっ!!」

 

 地についた破壊神は雄たけびをあげながら青年へと接近する。青年はすっと腰を落として集中する。するとごうっと空気を揺らし、白のオーラをまとい始めた。気を瞬時に高めたのである。彼のオーラのすさまじさのあまり石ころやら砂やらがゆっくりと宙へと浮かび上がる。

 破壊神は目を細めて青年を見る。まるで隙がない。いつでも打ち掛かれるような構えだ。ならば、少し崩してみようか。

 

「―――!?」

 

 青年は破壊神の一挙一動をじっと見つめていたが、突然目の前で消えた。パチンと意識の加速が解け、何が起こったかをとっさに探る。だが、それはこのハイスピードバトルにおいて絶対的な隙だった。しかも、相手は神であるので気を察知できないので目で探るしかない。

 

「こっちだよ!」

 

 破壊神の声が聞こえ、青年はすぐに振り向く。だが、その時には破壊神の組まれた両手が迫っていた。

 

「くっ……!!」

 

 青年は瞬時に考えた。ガードするか、避けるか、反撃するか。時間は一秒以下。もう本能に任せるしかない。青年は足に力を込めて、拳を握りしめた。そして―――。

 

「がぁっ!?」

 

 青年の拳は破壊神の胸板を強打した。まさかの攻撃を予想していなかった破壊神は驚きでいっぱいだった。まさかあの一瞬で反撃に転じようだなどと考えもしない。普通ならば防衛本能が働いて腕でも交差しようとするのだが、彼はもはや脳で考えていなかった。本能で動いていた。破壊神の攻撃の方向や時間、威力などをすべて計算しつくした絶妙なカウンターだった。

 青年は生まれた隙と間隔を利用し、破壊神の脇腹を強く蹴った。大きく吹っ飛ばされた破壊神はどうにか体勢を立て直そうとするも、青年がそうはさせなかった。再びすさまじい気のオーラを起こし地面を蹴って、猛スピードで破壊神を追った。やがて破壊神に追いついた青年は、足を掴み上げてぐるんと180度回し、上空へと放り投げた。だが、青年の攻撃は終わらない。青年は自身の姿を消して、上空へと飛ばされていく破壊神のさらに上空へと瞬間的に移動したのである。青年は両手を組んで威力を溜めていく。破壊神は大きな衝撃のせいで動けそうにない。今しかチャンスはない。青年はがら空きになった破壊神の腹に強烈なハンマーを浴びせた。

 かなり鋭い角度を描いて落下する破壊神。このまま放っておいても地面に落下し、大きなダメージを喰らうだろうが、青年はまだまだやるつもりだった。

 組まれた両手を解き、腰に回す。両手の間に小さな隙間を作り、そのまま気を溜めていく。するとその隙間に小さな青の塊が生まれていく。

 

「かー……めー……はー……めー……!」

 

 青年の包むオーラは天を貫くほどに高く高く燃え上がり、隙間に出来た気の塊は圧迫されてしまうほどに大きくなっていく。漏れだした光は、今まさに狙われている破壊神に、その威力の大きさを伝えていた。

 

「波ぁーーーーーーっ!!!!」

 

 青年は掛け声と共に両手を前に突き出す。すると気の塊が極太のレーザーのように放射されていき、吹っ飛ばされている破壊神に迫る。破壊神は避けようとするも、先程の衝撃によって体が動かない。為す術もなくなった破壊神は、“かめはめ波“をもろに食らうことになった。

 かめはめ波を受けた破壊神はそれに流されるようにどんどん地面に近づいていき、そのまま衝突した。瞬間、この場所全体を揺らすほどの爆音と衝撃が響き渡った。パフェの具材もその瞬間に吹き飛ばされていった。誰も、創造神の悲観に満ちた顔など見ていない。

 全てが止まり、静寂が訪れた。土煙が霞み、地面に大の字になって横たわっている破壊神の姿が見えた。青年はゆっくりと空から降りていき地面に着地する。破壊神の特徴的なアクセサリーはすでにボロボロになっていて、汚れややつれが生じている。しかし怒ることもなく彼は立ち上がった。彼はちょっと疲れた様子で終わりにしようと宣言した。

 

「おや、ビルス様から終わりにしようだなどと、随分と珍しいことがあるものですね」

 

 パフェをめちゃくちゃにされて困っている創造神は、めちゃくちゃにした本人たちをじろりと睨む。破壊神・ビルスはふんと鼻息を鳴らして答えた。

 

「正直僕は疲れたんだよ。何せ3年しか寝てないしね」

「とか何とかいって、本当は孫悟空には勝てないからじゃありませんか?」

「……お前、何か恨みでもあるのか?」

「いいえ、別に、ちっとも、ございませんよ」

 

 創造神はにんまりと笑いながら答えた。青年はそれを見て察した。自分達の戦闘によって彼のパフェをめちゃくちゃにしたことを。

 

「あり、ウィス様のパフェがめちゃくちゃじゃねえか! 悪かったな!」

「ああ、そういえばそうでしたね……せっかく楽しく食べていたのに残念です……」

「ああもううるさいなあ……パフェくらいでケチケチするなよ。今度地球に行ったときに食えばいいだろ」

 

 ビルスが面倒くさそうに創造神・ウィスをあしらう。しかしウィスは疑問を持ったようだった。

 

「それはいいのですが、今地球は邪悪龍とかが住み着いているとか。お陰でマイナスエネルギーが充満してしまって我々では近寄れない恐れが……。あれがブルマさんに頂いた最後のパフェですのに……台無しになってしまいました」

「邪悪龍? ああ、聞いたことはあるな。あいつらとは戦ったことはないけど、実際大したことないんじゃない?」

「そんなことねえぞ。オラも戦ったけど、てんでダメだった。ま、最後はどうにか倒したけどな」

「え!?」

 

 ビルスは驚き、ウィスはほほほと上品に笑った。そして横目でじっとビルスを見つめた。

 

「ビルス様ですら少し恐れていた相手を倒してしまうとは、孫悟空もついにビルス様を超えましたね。もしかしたら、孫悟空が最強なんじゃないんですか?」

 

 だが、青年・孫悟空はそれに対しうーんと唸った。

 

「でもよ、オラはそんとき小っこくなっててパワーも落ちてたとはいっても、あいつの強さは次元が違ったから、今のオラでも勝てそうにねえな」

「ほう……小さくなったのですか。しかし、何ゆえですか?」

「ドラゴンボールでだ。それも究極ドラゴンボール」

「何っ!?」

 

 今度はウィスとビルス両方が驚いた。

 

「究極ドラゴンボールといえば、使った星を爆破してしまうあのドラゴンボールのことか?」

「そうそう。んで、オラそれで小っちゃくされちまったんだよ。まあ、結局はどうにかなったけどな」

「しかし、あれはまだ存在していたのか……。かつて邪悪龍たちによって大半の宇宙が壊滅したらしいしな。破壊神がもう一人いるかと思ったよ」

「ま、あいつらはとっても強かったからな。ウィス様と戦う時以上に辛かったぞ」

「まあ、私以上に強いのですか?」

 

 宇宙一の実力を誇るウィスが―――本人はあまり自覚はないが―――目を見開いた。悟空はたぶんなと答える。

 

「しかし先ほど次元が違う強さだと言ってましたね。どうやって倒したのですか?」

「元気玉だ」

「それはいったいどういう技で?」

 

 ウィスが説明を求めると、悟空は両手を空に挙げながら口を開く。

 

「こうやって自然や生物、それに惑星から元気を少しずつ分けてもらってそれをまとめてぶつけるんだ」

「それって、もしかしたら北の界王が持っている技か? まあ、あいつには使いこなせなかったようだけど」

「そうだ。あの技がなければオラたちは負けてた。あのときはサンキューな、ビルス様にウィス様」

 

 あの時のさす言葉の意味をビルスたちは考えた。おそらく、悟空が空に手を挙げてくれと頼んだ時のことだろう。

 

「あの時は何をしたかったのかはさっぱりだったが、とりあえずあげておいただけだ。まあ後で界王に聞いたから、理由はわかったんだけどね」

「おかげであいつを倒すことができたんだ、ありがとな」

 

 悟空は素直な笑顔でお礼を述べた。ビルスはあまり感謝されたことがないから少し戸惑っていたけれど。それを隠すようにビルスは少し強めのトーンでウィスを呼んだ。

 

「ウィス!!」

「はい、なんでしょうか」

「地球に行くぞ。そこでたらふく食べようじゃないか」

「まあ、それはいい考えですね。では早速いきましょう」

 

 ウィスは満面の笑みを浮かべながら賛成した。そして、ウィスは杖を召喚し、ポンと地面に突き立てる。ビルスは彼の肩に手を載せて、早く行けとせかした。

 

「では、孫悟空さん。また会いましょう」

「ビルスさまたち地球に行くんだったら、チチ達によろしく言っておいてくれ。いつも勝手にやってて悪ぃなと」

「了解した。では行くぞ、ウィス」

「はい。アニメでも見ながら行きましょう。アニメ鑑賞が出来るように私の杖をアップデートさせておきました」

「おお!! これで退屈じゃなくなるぞ。何を見るんだ?」

「では、"銀河パトロールジャコ"などはいかがでしょう?」

「ああ、あの子供向けの小さな主人公が出てくるやつか。いいだろう、たまには」

 

 そんな他愛のない会話を繰り広げながら二人の神は、消え去った。

 悟空は一人取り残された。以前ならば、瞬間移動ですぐに地球に行けたのに、もう行くことはかなわない。なぜなら悟空は、もう存在していないから。

 

「さて、皆元気にしてっかな……」

 

 悟空は、ぱさっと音を立てながらごろりと草原に寝転んだ。気持ちいい風が肌を撫でていき、やがて睡魔によって心地よい眠りへと誘われていった。

 

 

 

 




映画が公開されたので思わず作りました。もう一つドラゴンボール小説投稿しているのでよろしければ是非ご覧ください。
GTの最終回を見ていると、神と神や復活のFとの設定が変にマッチしているんですよね。(していないところもあるけど)それはいつか話できればと思います。

では、感想やお気に入りなど待ってます。亀仙人更新ですが、よろしくお願いします。
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