新機動闘争記ガンダムW LIBERTY   作:さじたりうす

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エピソード15「閃光に散る戦士」

ガンダムサンドロックのブースト加速がMAXとなり、Ξガンダムへ上昇しながら突っ込んでいく。

 

ブースターからは最高出力のGNDドライブのエネルギーが爆発していた。

 

カトルは歯を食い縛りながら険しい表情でレバーを押し込む。

 

「くぅぅ―――っっっ!!!」

 

ガンダムサンドロックは、脇を締めながらヒートショーテルを構えた。

 

「キヒヒャ!!!!」

 

その瞬間、キルヴァは狂気の嗤いと共にシャンブロに押し当てたビームサーベルを発動させる。

 

「カトル……助けて……」

 

涙を流すロニの声が哀しくシャンブロのコックピットに染み込んだ。

 

Ξガンダムはシャンブロに押し当てたビームサーベルを非情に発動させ、焼灼音を響かせてシャンブロの胸部に突き刺さす。

 

その瞬間は斬撃を押し当てる矢先のカトルの目に飛び込む。

 

「ロニっっっ―――!???」

 

カトルは目の前で起こった光景に真っ白となった。

 

その優しくも強い心に、鋭利な現実が突き刺さる。

 

Ξガンダムは、振りかぶったまま突っ込むガンダムサンドロックの頭部へ、ビームバスターを撃ち込んだ。

 

「っしゃあぁあっっ!!!」

 

ガンダムサンドロックは至近距離から受けた高出力ビームに、機体をのけ剃らせながら吹っ飛ぶ。

 

ガンダムサンドロックの頭部はやや焦げ、右片方のメインカメラが破壊された。

 

カトル自身は、精神が一瞬でやられてしまい、放心状態のままで落下の衝撃に襲われた。

 

ビルに落下したガンダムサンドロックは何も動かず、糸が切れたマリオネットのように崩れ込む。

 

その様子を見て、キルヴァは更に狂った嗤いと共にビームサーベルを斬り払い、内面から焼灼させてシャンブロの胸部を外側へと斬り裂いた。

 

「キヒヒャ~………なーんつってな!!なーんつってな!!!!殺しちゃいねーよ!!これからお持ち帰りすんだからな!!!!」

 

キルヴァいわく、ロニはビームサーベルの直撃を免れ、気を失いつつも九死に一生を得ていた。

 

が、カトルはロニを失ったものと思い、絶望に絶望を重ね続ける。

 

キルヴァの感覚にもその絶望が伝わり、人の不幸は蜜の味と言わんばかりに喜ぶ。

 

「くくく~………!!!こりゃ傑作だ!!!!このガンダムのやつ、この女と知り合いなのか~!??伝わる絶望、ぱねーぜ!!!!ま、いーや……死ね!!!!」

 

キルヴァはガンダムサンドロックをロック・オンしながら機体を上昇させ、ビームバスターを幾度も撃ち込む。

 

直撃と共にガンダムサンドロックの装甲表面で幾つもの爆発が起き続ける。

 

「ああ……たまんね~……だが……なんなんだぁ~!??なんてタフなんだ!??どんな装甲してんだよ!??」

 

余裕とは裏腹に、キルヴァもメテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムの耐久性には驚きを隠せなかった。

 

しかし、直撃を受けた部分は焦げた上に、わずかではあるが装甲が陥没していた。

 

更に内部機器に影響し、サイドモニターに異常エラー項目が幾つか表示された。

 

それほどの威力がビームバスターにあった。

 

それに目を送ることなくカトルはひたすらに絶望を続けた。

 

一方、ガンダムデスサイズとガンダムヘビーアームズは向かい来る連邦軍勢を次々と撃破させていく。

 

ガンダムデスサイズへビームサーベルの斬撃が襲うが、ビームサイズで受けとめて跳ね返す。

 

体勢を崩されたネモはバッサリと胸部を斬り裂かれ爆発。

 

更に後方から叩き斬ろうと試みるジムⅢの斬撃を見抜いたかのように斬り払った。

ジムⅢ部隊がガンダムデスサイズ目掛け、ミサイルランチャーを全弾発射し、撃破を試みる。

 

無論、ミサイル群はガンダムデスサイズの装甲面で爆発するだけに止まる。

 

その爆発を突き破った、ガンダムデスサイズはビームサイズを一気に振るい、ジムⅢ3機を斬り払った。

 

そして前面に出たジェガン部隊の攻撃を直に浴びながらも、突っ込んで1機を斬り伏せ、側面側の2機へ斬り上げ軌道の斬撃を見舞う。

 

デュオはトロワに通信をかけながら戦う余裕を見せる。

 

デュオ達の位置からはガンダムサンドロックは死角位置にあり、崩れ倒れたカトルに気づけていなかった。

 

「このペースなら、すぐに片付くな!!このレベルの雑魚掃除は容易いぜ!!」

 

「あぁ。戦力はニューエドワーズを思えば強力ではない。このまま推し進めて壊滅させる……」

 

トロワもいつものように淡々と少ない言葉をはしらせ、敵機を撃破させていく。

 

だが、雑魚よりも突然現れたΞガンダムが気掛かりであるのは言うまでもない。

 

「そらよっとぉ!!!とっとと片づけて、不気味に浮いてるあの化け物ガンダムを斬り刻みたいぜ!!!」

 

「あぁ、わかっている……恐らくは俺達のガンダムに匹敵するかもしれん……」

 

「へへっ、見かけそのままってか!?」

 

「敵機の戦力的特徴からの推定だ……」

 

ガンダムヘビーアームズは街中の道路に配置されたジェガン、ジムⅢ、ネモの部隊が押し寄せる中、ビームガトリングとブマシンキャノン、ブレストガトリングを撃ち放ち続ける。

 

攻め立てるジェガンやジムⅢの機体群は一瞬で蜂の巣に砕き散らされ、崩れ込むように道路に堕ち爆発を起こしていく。

 

路地の側面から迫るネモ部隊がいたが、そちら側にビームガトリングの銃口を突き出し、連続で破壊して容易く殲滅させた。

 

そして再び迫る部隊へガトリングの嵐を叩き込んで破壊の限りを尽くす。

 

その一方で、ガンダムサンドロックはビームに撃たれ続けていた。

 

ロニが無事であることに気づかず、カトルはひたすら不甲斐なさを憎み続ける。

 

「……僕は何て……無力なんだ……ロニを……ロニを……」

 

ロニが自分の不甲斐なさで救えなかったと思い込んだカトルは、終わらない絶望を繰り返していた。

 

ガンダムサンドロックの装甲は他の機体よりも更に硬いため、撃破は免れていたが、エラーは更に増加していた。

 

対し、気が収まったキルヴァはビームバスターの銃を収める。

 

「け!!ま、いーや……せーぜー勘違いして絶望しててくれ……じゃ、女を二人ほど持ち帰る!!!」

 

Ξガンダムのレフトアーム側のマニピュレーターが、むき出しになったシャンブロのコックピットにかざされ、気絶したロニを捕らえる。

 

ロニを捕らえたキルヴァは、更にクシャトリヤに降り立ち、ライトアームで装甲を引き剥がした。

 

そこからビームサーベルを取り出し、出力を抑えながらコックピット周りを焼灼させ、コックピットポットを摘出した。

 

コックピット内のマリーダは、まるで眠り姫のように気を失ったままだった。

 

この瞬間、遥か遠方にいるプルに良からぬざわめきがはしった。

 

入浴中だったプルは、自らの肩を抱くような仕草で体を丸める。

 

「何……!??今の!??なんだかスゴク不安な感じがした!!マリーダ……ロニお姉ちゃん……大丈夫なの……??」

 

プルのニュータイプ的な予感は適中し続ける。

 

「キヒヒャ!!ついでにもっと斬り刻んでこーか……」

 

キルヴァは、Ξガンダムをシャンブロへ振り向かせると、一旦クシャトリヤのコックピットポットを置き、シャンブロの機体面積を調度よい斬撃テスト対象に見立てた。

 

「キシャアアア!!!!」

 

奇声と共にビームサーベルを取り出し、シャンブロを豪快に幾度も滅多斬りに斬り刻んでみせる。

 

その大型かつ高出力のビームサーベルはシャンブロの装甲を容易く斬り刻んでいく。

 

シャンブロは原型を崩され、無惨に血のような赤い固まりと化した。

 

キルヴァは気が済むとビームサーベルを収め、ライトアーム側のマニピュレーターでクシャトリヤのコックピットポットを掴み取ると、キルヴァは振り返りながらΞガンダムを浮上させた。

 

「キヒヒャハハハハハハ!!両手に華ってか!??キヒヒャハハハハハハ~……さてさて……オーガスタへ帰還する!!!」

 

先程まで蹂躙を楽しもうとしていたかに見えたキルヴァのΞガンダムは、マリーダとロニを確保すると直ぐに戦場を離脱する。

 

ジェガンを斬り裂いた先に見えたその瞬間を、デュオは見逃さなかった。

 

「あぁ!?あのガンダム、逃げやがんのか!??させるかっっ!!!」

 

デュオは、斬りかかるジェガンを斬り伏せ、ガンダムデスサイズをΞガンダム目掛けて飛び立たせた。

 

キルヴァは直ぐに気づき、ビームサイズを振りかぶって迫るガンダムデスサイズへとΞガンダムを振り向かせる。

 

「やはりそう来るか!!!ヒャハハハ!!!」

 

ビームサイズを振り下ろすガンダムデスサイズの攻撃を、キルヴァは余裕を見せるかのようにかわす。

 

「キヒ!!!いいねぇ!!!!」

 

「こいつ、躱しやがった!!!へへ……ガンダムってからには、そうこなくっちゃなっ!!!!」

 

デュオは、Ξガンダム目掛けビームサイズを斬り上げる。

 

だが、この攻撃も躱された。

 

「やるな、このやろー……こんちくしょうっ!!!」

 

「キヒヒヒハハハハハハ!!!ちょっと待ちなー!!!」

 

キルヴァは次に来るガンダムデスサイズの斬撃で、脱出ポットのマリーダと生身のロニを盾にとった。

 

デュオは攻撃を止めざるをえなかった。

 

「何ぃ!??」

 

「キヒヒヒ……赤い化け物から引きずり出した女と、緑の四枚羽から取り出したコックピットだぁ!!!ケンゼンナやつならてぇ出せねーだろ!??これから攻撃を加えたり、追撃したらソッコーで握り潰します!!!!ヒャハハハハハハ!!!!俺はどっちに転んでも愉しいケドナ♪」

 

「ちっきしょう……パイロットは卑怯極まりない上にイカレ野郎ときやがったか!!!じゃあ、なんだ……そのまま見逃せば身の保証すんのか!??」

 

キルヴァの言動からあらゆる意味で危険と判断したデュオは、全くてが出せなくなる。

 

「そーいうこと……!!!じゃあな!!!オーガスタへ帰らせてもらうぜ!!!」

 

(…………ちっ!!ここから手首を斬り落とそうとしてもヤツの動きに間に合わない!!!!もしものことやっちまったら……あいつらに、ヒイロとカトルに会わせる顔が無くなる!!!何もできねーっっ……!!!)

 

手を出すこともできない歯痒さを押し殺しながら、デュオは去っていくΞガンダムの背部を見続けるしかなかった。

 

戦場を去るΞガンダムであったが、その途中で撤退するバト達の機影を確認した。

 

最早まともな戦闘力は、彼らに残されていなかった。

 

にも関わらず、キルヴァはニヒッと笑い、ゼーズールをロック・オンした。

 

「ついでに蹂躙してやんよ……ファンネルミサイル、エクスターミネートッッ!!!!」

 

ファンネルミサイルが再びΞガンダムから放たれ、幾多のファンネルミサイルが、ゼーズールに集中的に向かった。

 

「何!!??ロックオンされた!??」

 

側面と上空にファンネルミサイルが狂気の意思を宿して屈折した軌道で迫りターゲットの付近でホバリングする。

 

アヴリルが戦慄した瞬間、ファンネルミサイルがゼーズールに集中した。

 

アヴリルは叫ぶ間もなくゼーズールと共に破砕されて砕け散る。

 

「アヴリル中尉ぃぃぃ!!!!」

 

「くっ!??」

 

「やってくれんじゃねーか!??お前らはとっとと行け!!!!」

 

ビランチャは、バトとゼクストに先に行かせようとさせるが、勿論、二人はそれを拒む。

 

「何いってんすか!??」

 

「ビランチャ中尉……!!!」

 

「アヴリルの二の舞起こさせる気か!??これ以上、お前らのような若者に死んで貰いたくねーんだよ!!!!」

 

「しかし……!!!」

 

そうこうしている間に、ファンネルミサイルが撃ち放たれた。

 

奇怪な動きでファンネルミサイルの弾頭が迫る。

 

「早くしろ!!!!」

 

「くっ!!!!」

 

悟ったゼクストは、ヤクトドーガにバトのザクⅢのライトアームを掴ませ、フル加速で後にした。

 

「お、おい、ゼクスト!!?」

 

ビランチャは去り行く2機を見て、笑みを溢しながら上空のΞガンダムにシュツルムガルスを向かわせる。

 

正面から来たファンネルミサイルの弾頭をナックルシールドで殴り、ナックルシールド諸とも爆発させた。

 

シュツルムガルスは、機体ごとΞガンダムに突っ込んでいく。

 

だが、シュツルムガルスの背後よりファンネルミサイルが次々と集中し、一瞬で機体が砕き散らされた。

 

バトとゼクストは背後で散るビランチャに哀悼と悔しみを噛み締め全力で逃げた。

 

「キヒヒャ……んだ!?残弾ゼロだぁ!??めんどくせっ、帰る、帰る!!!!終了!!!!」

 

奇しくもビランチャの分でファンネルミサイルの残弾が尽き、キルヴァ自身も突然の嫌気に見舞われ、今度こそ機体を帰還させた。

 

デュオは、直ぐにヒイロへ通信をかけようとするが、その行為がこれからの重要な任務への妨げになるとふみ、葛藤の末に断念した。

 

「ちっきしょう……今すぐ言ってやりたいが……アデレートの重要な任務の中だ……言えねぇな。しょーがねー!!!あのイカれヤロウ、ぺらぺらと行き先吐いてくれたかんな!!!ダカールで一暴れさせてもらった後にお邪魔するぜ!!!」

 

吹っ切れたデュオは、再びダカールの戦場へと身を投じた。

 

一方で、部下を裏切ったフロンタルはコムサイと合流し地球からの離脱準備の段階に入っていた。

 

コムサイは、かつてデラーズフリートが用いていた物と同型の機体である。

 

シナンジュを積み込ませ、直ぐにでも離陸できる状態であった。

 

アンジェロのギラズールカスタムは、既に乗り捨てられており、砂漠に放置されていた。

 

「ふふ……ここから我々が歴史を動かすのだ……オペレーション・ファントムの真髄はここからなのだよ」

 

「はい!!大佐!!!部下達の礎は口惜しいものがありますが、それもその為の布石となってくれています!!!」

 

「その通りだ、アンジェロ。我々は示さねばならない。では発進してくれ。艦隊との合流ポイントは旧地球連邦首相官邸・ラプラスだ」

 

「は!!」

 

コムサイはブースターを点火させ、大出力で加速を開始した。

 

大地を舐めるように突き進み、徐々に浮上しながら上空の空へと舞上がって行った。

 

宇宙空間の衛生軌道上で浮遊する旧地球連邦官邸・ラプラスの残骸内にはネオジオン旗艦レウルーラを始め、ムサカ級、エンドラ級、元・デラーズフリートのムサイ級と同級艦のジークフリートなどの戦艦が身を潜ませていた。

 

レウルーラのブリッジには艦長のライル中佐が座していた。

 

かつてのシャアの反乱時においても艦長の任務を任されていた男だ。

 

今、彼の視線先にはラプラスの残骸の隙間から見える地球があった。

 

その時、通信兵からの通達が入る。

 

「ライル中佐!!フロンタル大佐のコムサイが地球を離脱したとの報告がありました。後、三時間後に合流予定との事です!!」

 

通信兵からの情報を受けたライルは、次なる指示を伝えた。

 

「うむ、では予定通り、このラプラスにて待機する。フロンタル大佐と合流後、我々はまず手始めに手配した核パルスエンジンを指定の廃棄コロニーへ設置する作業に移る。指定のコロニーはL1宙域に漂流するA1752コロニーだ。ここでデラーズフリートが成しえなかった事を実現させるのだ」

 

「はっ!!!」

 

「赤い彗星の再来……フロンタル大佐。実際には初めて面識することになるな。果たしてシャア総帥に値する人物なのか……」

 

ライルもジンネマン同様、フロンタルに信頼感を感じていなかった。

 

シャアの許で直に任務を勤めていた経験がある故になおさらであった。

 

ライルは視線先の地球から目をそらすことなく頬杖をしながら地球へと視線を送り続けた。

 

「どちらにせよ、また歴史が動くのは間違いはない」

 

ライルいわく、歴史は動こうとしていた。

 

宇宙の各地に潜伏していたネオジオン艦隊が、オペレーション・ファントムの為に活動を開始させていく。

 

各ラグランジュポイントの宙域でネオジオンの艦隊が艦を発進させ、連邦軍を欺ける陽動の為に動き出す。

 

どの艦隊も、テロリストレベルではない戦力を維持した状態で航行していた。

 

地上においても、地球連邦にこれまでの屈辱を晴らさんと、ジオンの残存軍も各地で立ち上がりを見せていく。

 

中には早くも連邦管轄の施設に攻撃を仕掛ける残存軍も現れ、事態は事実上の第三次ネオジオン抗争の勃発に発展していった。

 

それはフロンタルの宣言から僅か数時間足らずの出来事であった。

 

この事実とレウルーラからの情報を見たジンネマンは憤りを感じながらガランシェールのブリッジ入り口の壁を叩いた。

 

「フロンタル……!!!やはりねらいは第三次ネオジオン抗争だったか!!!だが、それ以上にだっ!!!マリーダを置き去りにしやがった………!!!くぅぅっ!!!」

 

ジンネマンが、どうすることもできない事態に歯痒さと怒りを覚え歯軋りをする隣で、部下のフラストがジンネマンに問う。

 

「キャプテン……確か元々は蹂躙されるジオンの同胞を助ける名目でしたよね?」

 

「フラスト……あぁ……初めはそうだった。初めはな!!だが、今蓋を開ければこれだ!!!ネオジオンの民衆とて、極力平和を望んでいるのもいる!!!」

 

「こんなことは思いたくはないですが……まさか、フロンタル大佐は鼻からマリーダや他の兵士を利用視して………」

 

ジンネマンは想像にフロンタルを思い浮かべ、更なる怒りを覚えた。

 

「くそっっ!!!!それを思うと怒りが収まらん!!!フラスト、今日の荷の積み降ろしが終了し次第、パラオへ帰還する……我々の体勢もそこで整えるぞ!!!」

 

「了解しやした!!」

 

 

 

ダカール市街地での戦闘は引き続き継続され、ガンダムデスサイズの斬撃がジェガン3機を斬り裂き、ガンダムヘビーアームズは、巧みにビームガトリングの銃身を動かして狙い定めたジムⅢの機体群を連射撃で破砕させていく。

 

「兎に角、暴れまくってとっととヅラかろうぜ!!」

 

「残りおよそ90機……個々の戦力がとるに足らなかったな……」

 

デュオとトロワは、完全に自分達側へペースを引き込んだ形で攻め続けた。

 

その中で戦意を失っていたカトルのガンダムサンドロックは、集中放火を浴びながらゆっくりと立ち上がる。

 

「ふふふふ……連邦は……ロニを奪ったのか……なら、破壊し尽くすまでだよ!!!!」

 

だが、ロニを失ったと思い込んだカトルは、普段の優しくも強い性格が一変する。

 

ゆらりと立ち上がったガンダムサンドロックは、攻撃を受けながらゆっくりと歩き出す。

 

そして近づいたジムⅢやネモを手当たり次第に叩き斬っていく。

 

6機程叩き斬った後、ガンダムサンドロックは突如加速。

 

荒れ狂った剣捌きでジムⅢの機体群を破断させていく。

 

振るいかざしては豪快な斬撃を食らわせ、破壊の限りを尽くすガンダムサンドロック。

 

ネモ部隊は射撃を慣行するも、弾丸はガンダムサンドロックの装甲で砕け散り全く意味をなさない。

 

振り回される嵐のようなヒートショーテルの斬撃が襲いかかり、ネモ部隊は瞬く間に斬り刻まれ尽くされていった。

 

「あは!!あははははは!!!」

 

狂喜の嗤いをあげながら敵機を破壊するカトルは、最早普段のカトルではなかった。

 

それ程までにカトルにとってロニは特別な存在であったのだ。

 

哀しみと怒りが混ざるクロススラッシュが、2機のジェガンを叩き斬って爆発させた。

 

両端の爆炎に照らされながら、ガンダムサンドロックの片目が光った。

 

「もう……連邦もOZも皆殺しだよ……ははは……!!!」

 

 

メテオ・ブレイクス・ヘルの武力介入。

 

各地で断続的に起こるジオン残存軍の反連邦政府活動やその他のテロ組織の紛争。

 

そしてネオジオンの宣戦布告。

 

宇宙世紀の歴史は再び激震の時代を迎えつつあった。

 

それらの情報に目を通すトレーズは、巡り巡る歴史を傍観する。

 

(ネオジオンが宣戦布告したか……これで再び地球圏は激震の時代を迎える。また数多くの尊い犠牲が生まれていくであろう……歴史はまだ平和を拒むか。多くの犠牲の糧を欲しているかのようだ)

 

トレーズは、机の上に飾ってあった薔薇を手に取り、その香りを堪能して再び歴史に想いをはせる。

 

(彼らが大きく出たが、我々が優先して相手すべきは無論、あのガンダム達だ。彼らはこの時代には余りにも異質。だか故に純真な戦士達だ……特に私と剣を交えた彼はな……)

 

五飛との戦闘を振り替えるトレーズ。

 

その当の五飛は頑なにシェンロンガンダムのコックピットに居続けた。

 

ひたすら悔しみを噛み締め落ち続けていた。

 

「……俺は……戦う資格はない」

 

眠るシェンロンガンダムの周囲にはガンダムを守ろうとする反連邦ゲリラの陸戦ジムやザクのMSが周囲を固めている状態にあった。

 

その中の女性パイロットは無言でシートに座していた。

 

(ガンダムのパイロットは一体どこへ……それともずっと乗っているのか!?)

 

そう察した女性パイロットははシェンロンガンダムへと呼び掛けた。

 

「ガンダムのパイロット!!乗っているのなら我々の声に耳を傾けてほしい!!単刀直入に言う!!我々にその力を貸してほしい!!」

 

しばらく沈黙が続いたが、それまで閉じていたシェンロンガンダムのコックピットハッチが開き、五飛が姿を見せた。

 

女性パイロットは初めて見るGマイスターの五飛に釘付けとなる。

 

「あれがガンダムのパイロット……!!」

 

「ふん……弱い者達がよくも集まったものだ。無論、俺もだがな……」

 

五飛は、見渡す限りの陸戦ジムやザク等のMS達を見ながら悲観的に吐き捨てた。

 

そして五飛はメテオ・ブレイクス・ヘル以外の反抗勢力と初の邂逅を果す。

 

だが、五飛はこの邂逅で言葉を失う出来事に直面した。

 

「……!??」

 

「私はこの辺り一帯の反地球連邦ゲリラ・斗争(ドウジェン)のリーダー、楝李鈴(レン・リーリン)だ。日々連邦の圧制たる姿勢と闘っている……」

 

李鈴と名のる女性は五飛にとって運命を感じざるを得ない人であった。

 

(な……妹蘭(メイラン)!??っば、ばかな!??)

 

奇しくも李鈴は、今は亡き五飛の妻である妹蘭の生き写しとも呼べる女性であった。

 

かすかな風が吹く中、五飛はひたすら言葉を失い続けた。

 

 

 

とあるコロニーの広大な一室。

 

プラネタリウムとも言えるような巨大なスクリーンモニターを見つめるベットに寝たきりの老人と白髪の中高年の男がいた。

 

寝たきりの老人は静かに男に語りかけた。

 

「カーディアス……世界の情勢を見せてはくれんか……改めて確認をしたい……」

 

「はい……」

 

カーディアスという男は、モニターをニュースに切り替えた。

 

「つい先日にネオジオン残党は、連邦政府に対し宣戦布告をしました。既に世界や地球圏各地でジオン残党やネオジオン残党と連邦軍との戦闘が確認され始めています。今後の動向について……」

 

ニュースではネオジオンと連邦のMSが戦闘を展開させる映像が流れていた。

 

「宇宙世紀も後五年で百年を迎える。にも拘らず戦いは繰り返し繰り返されていく……このままでは世界はいずれ衰退の一途を辿ることとなる」

 

「はい……一年戦争を皮切りに始まった地球とコロニーの戦いは終わりを告げる事なく続いています。おっしゃる通り、人類は衰退していくことになります……」

 

「ラプラスの箱を……解放させなければならんな……その為の手筈を……」

 

「はい……現在、我がビスト財団が総力を持って準備を進めています。準備が整い次第、ラプラスプログラムを発動させます」

 

「うむ……かつて、ジオン・ダイクンが唱えたニュータイプ理論とヒイロ・ユイ、ピースクラフト王が唱えた完全平和主義。ラプラスの箱をよき方向に使えばこれらの主義の後押しになるだろう……」

 

「ですが……その反面、更なる混乱を招くかもしれません……ニュータイプを根絶させる計画と背中合わせの計画なのですから……」

 

「構わんよ……混乱の果てに可能性の希望を示めさせる……激しいまでの矛盾は覚悟の上だ……」

 

カーディアスは振り返って部屋を出ようとする。

 

その矢先に老人は引き留めるかのように言った。

 

「カーディアス……このサイアムを赦すか?」

 

「私以外、誰が貴方を赦すのです?」

 

カーディアスはそう答えると再び部屋を後にしようと歩き出した。

 

サイアムは瞳を閉じて、願うように呟いた。

 

「ラプラスの箱を託す者は……純真たる者でなければならない……いや、純真たるものでなければラプラスへの箱へ導けん……願わくばラプラスの鍵をその純真たる者に託したい……」

 

オルタンシアのプルの部屋では、航行しながら過ぎ去る波をプルが窓から見つめていた。

 

「……さっきの感じ……嫌な感じしかしなかった。マリーダやロニお姉ちゃんの身に何かあったのかも……」

 

プルは窓を開け、せめてもの気分転換に外の潮風を浴びる。

 

空と下に広がる青がプルの心を癒す。

 

同時にプル自身が今あるもどかしさを吹っ切ろうと言う思いに駆られた。

 

「あたし……何かやりたい!!もっと力になれるようなこと……!!アディンやみんなを直接助けれるようなこと!!今のままじゃいられなくなってきてる……!!」

 

プルは皆を支えたり癒したりする以外に自分の価値観を欲した。

 

その頃、オルタンシアのサルベージ物保管庫では驚くべき回収物にハワードが頭を抱えていた。

 

「はぁ~……こいつがさっきの場所で回収されたのか!?どーしたもんか……状態は!?」

 

「へい!!長い間海中にあった為、可動に不安点はあるっすけど、起動に関してはOKっすね!!一応動きます!!」

 

「そうか……お前さんはなんか知らんか?ネオジオンの関係者だったろ!?」

 

「恐らくは……極秘に計画されていたニュータイプ降下作戦の片鱗と思われます!ハマーンさんが地球降下する際に、別の場所で行われていた作戦でして。ですが大気圏降下後の事故で降下母艦ごと海に墜落したと聞いています」

 

「ふむ……できればプルには内緒にしておいてくれ……あの子までもが戦うのはなんか気が引ける」

 

「そうですか……わかりやした!」

 

ハワードは例え本人の意思とて、純真なプルに戦って貰いたくはなかった。

 

少年少女を戦いの場にこれ以上巻き込むべきではないと捉えていた。

 

「戦うのは……ヒイロ達だけでいいんじゃ……本来、戦いは男の仕事なんじゃからな」

 

 

 

翌日

 

オーストラリア・アデレート 地球連邦政府新本部

 

 

エイジャックスやジェスタ部隊、ジェガン部隊、エアリーズ部隊が哨戒する最中、地球連邦政府の緊急特別会議が前日より引き続きで執り行われていた。

 

会議には地球連邦議会議長であり、リディの実の父であるローナン・マーセナスや若き連邦高官であるケネス・スレッグ、更にはエイジャックスからブライト・ノアが出席する形となっていた。

 

会議が進められる中、突如会議場を巨大な音が襲った。

 

相染となる会議場。

 

ブライトやケネス、ローナンは直ぐに何か察しづいていた。

 

「遂に来たのか!?反乱分子のガンダムが……!!!」

 

「この攻撃音……彼らか!!?」

 

「やはり……こうなるか!!!」

 

連邦新本部の上空には、既に爆発したジェガン部隊の爆煙が拡がっていた。

 

その爆煙の先にはバードモードのウィングガンダムの姿があった。

 

ヒイロは上空を哨戒するMS部隊に接近すると共に、上部のレバーをスライドさせ、ウィングガンダムを変形させる。

 

変形しながら減速したウィングガンダムは、雄々しく翼を展開させ、突き出したバスターライフルの銃口からビーム渦流を撃ち放った。

 

 

 

ヴゥヴゥゥゥッ……ヴァグゴォァアアアアアア!!!

 

ドドゴゴゴババババァガァアアアアアアアア!!!

 

 

 

荒れ狂ったビームが、迎撃に向かうフライトユニットに搭乗したジェガン部隊を次々と呑み込み、連続爆発を発生させた。

 

モニター上に展開する青空のスクリーンを見つめるヒイロは、機体を加速させながら次なるターゲットへとバスターライフルを向ける。

 

「地球連邦政府・新本部破壊任務を開始……警戒網は流石に堅く張り巡らしているな……!!!」

 

ビームライフルを放ちながら向かい来るジェスタ部隊。

 

ウィングガンダムは銃口をターゲットへと移動させながらバスターライフルを撃ち飛ばす。

 

ジェスタ部隊の8機の内、4機が躱しきれず機体をかき消されていった。

 

だが、躱したはずの4機のジェスタ部隊の内2機が、掠めた時に受けたプラズマ渦流エネルギーで誘爆した。

 

ジェスタ2機はビームライフルをウィングガンダムの胸部めがけ集中して撃ち込む。

 

直撃面で爆発を起こし、体勢を崩されるウィングガンダム。

 

マイナーチューンにより、ジェスタのビームライフルの威力は上昇していた。

 

だが、体勢を崩されながらもヒイロは2機をロック・オンし、バスターライフルを低出力で撃ち飛ばす。

 

低出力といえど、ビームマグナムと同威力。

 

ジェスタ2機は機体を容易く撃ち砕かれて空に吹き飛んだ。

 

哨戒飛行中のジェガン部隊が旋回飛行しながら、展開する全戦力に通達する。

 

「各機に継ぐ!!メテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムが現れた!!総力を持ってこれを撃破せよ!!繰り返す!!メテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムがあら……がっ!??」

 

通達を発信するジェガンに高出力のビームが撃ち込まれ、機体が破砕された。

 

「た、隊長!!?くっ!!新手かぁ!??」

 

「今日はいつも以上にキメさせてもらうぜ!!連邦新本部をぶっ潰す!!!」

 

いつも以上に気合を入れ、鋭い目差しをコックピットモニターに突きつけるアディン。

 

ロック・オンしたジェガン部隊目掛け、アクセラレートライフルをチャージショットで撃ち込み、その後連続でビーム撃ち込む。

 

ガンダムジェミナス01が放つビーム渦流がジェガン部隊に襲いかかる。

 

ドゥドヴァアアアアッッ!!! ドァアッッ、ドァアッッ、ドゥバァアアッ、ドダァガァアアアア!!!

 

ヴァズズズズグゥアアアアアア!!! ドゴォバッ、ドゴォバッ、ズダァシャ、ゴゴゴバガァアアアア!!!

 

チャージショットのビーム渦流が4機のジェガンを破砕させ、個々に3機のジェガンを墜とし、再び放ったチャージショットで4機のジェガンを破壊した。

 

その中を駆け抜けるガンダムジェミナス01はアクセラレートライフルを納めてジェスタ部隊に飛び込んでいく。

 

そして個々に集中するビームライフルの攻撃を防御しながらビームソードを取り出し、十字の斬撃を食らわせた。

 

斬撃を受けた1機のジェスタが爆砕四散。

 

そこから個々のジェスタに取り付くようにして、ビームソードの斬撃を食らわせていく。

 

斬り飛ばされたジェスタ部隊の残骸が、ガンダムジェミナス01の背後で連続で爆発を巻き起こす。

 

「流石に敵の数が多いな……けど、この程度どうってことないさ!!」

 

ガンダムの攻撃を受け、ロンドベル艦隊がいよいよMS隊を発進させる。

 

オペレーターが報告を叫ぶなか、不在のブライトに代わって副艦長が出撃命令を下す。

 

「メテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムの攻撃を受け、哨戒中のMS部隊が多数撃墜されています!!」

 

「MS部隊はいつでも出せます!!」

 

「くっ……では我々も攻撃に移る!!全艦、MS部隊出撃せよ!!OZのMS隊にも同命令を出す!!」

 

エイジャックスやクラップ級艦隊から飛び立っていくジェスタ部隊とリゼル部隊。

 

OZのエアリーズ部隊も出撃していく。

 

その時クラップ級のカタパルトに一つのビーム渦流が撃ち込まれた。

 

 

 

ヴァズゥダァアアアアアアッッ!!!

 

ドッ……ヴァゴォガギャァアアアアアア……ドドッドドドドゴバガッドドォ……ズズゴゴゴゴバババァ!!!

 

 

ビーム渦流は出撃するリゼル部隊やエアリーズ部隊を砕き散らし、内部のMSドックを抉るように破砕させ艦を貫いた。

 

クラップ級は内外部からの誘爆を発生させながらアデレートの市街地へと墜落する。

 

そのビーム渦流を放ったのはガンダムジェミナス02であった。

 

エイジャックスのブリッジでオペレーターがその報告を促す。

 

「僚艦のクラップ轟沈!!3機目のガンダムです!!」

 

エイジャックス副艦長は眉をひそめながらエイジャックス側のMS部隊にガンダムジェミナス02への攻撃命令を出した。

 

「リゼル部隊!!攻撃を集中させよ!!」

 

ガンダムジェミナス02は今回の出撃から高機動レッグユニットを装備させていた。

 

「任務の弊害となるモノは破砕させていく……!!!」

 

オデルは機動力を向上させたガンダムジェミナス02を上昇させ、リゼル部隊の攻撃を躱す。

 

躍動する機体のレスポンスはこれまでのワンランク上を行っていた。

 

アクセラレートライフルを構えたガンダムジェミナス02は、ロックしたリゼル4機を個々に撃ち飛ばし、機体を瞬発的に旋回させる。

 

上方から回り込まれたリゼル部隊は、幾つも撃ち注がれるアクセラレートライフルのビームにより、瞬く間に7機が破砕された。

 

エアリーズ部隊が援軍に回るも、チャージショットの一撃で4機がまとめて破砕された。

 

そして撃ち漏らした3機をアクセラレートライフルの銃口が追い、個々にビームを撃ち注いで撃破した。

 

アクセラレートライフルを構え直し、ガンダムジェミナス02は次なるターゲットへと加速をかけた。

 

避難するために外へ出たブライトは、メテオ・ブレイクス・ヘルのガンダム達を目の当たりにし、驚異を覚えるしかなかった。

 

「あれが……メテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムなのか……!!!!聞きはしていたが、なんと言う性能だ……ガンダムに恐怖すら感じる!!!」

 

ブライトの口からその言葉を聞いたケネスが興味深げに言葉を交わした。

 

「ガンダムに恐怖ですか……歴代ガンダムの母艦の艦長を務めた貴方の口からそのような言葉が出るとは……失礼、私はケネス・スレッグ中佐です」

 

「名乗らずとも知っているようだな……自分の星回りは認めるが……あのようなガンダムを自分は見たことがない……明らかに異質だ」

 

「異質……確かに……味方であり、象徴たるガンダムに攻撃を受け恐怖するのですからね……」

 

「いや、意味は別にある。少なくとも私の知っているガンダムはもっと正当たる機体だった。彼らのガンダムの性は良くも悪くもデタラメだ……」

 

その時、バスターライフルのビーム渦流が再び空をはしり、リゼル部隊、エアリーズ部隊を呑み込む。

 

連続爆発を巻き起こしながら、更にビーム渦流の先端は地球連邦新本部ビルを霞め、プラズマエネルギーでビルを小破させた。

 

「確かに……ブライト大佐の仰る通り……デタラメですね……!!!」

 

避難中に居合わせた二人が会話する中、ローナンも上空で展開するウィングガンダムを見上げていた。

 

「あれが……例のガンダム……」

 

迫り来るエアリーズの攻撃を、シールドで防御しながら再びバスターライフルの銃身を突き出してビーム渦流を撃ち放つウィングガンダムの姿がローナンの目に焼き付いた。

 

その時、地上に向けたビームがビルを破壊する。

 

所属不明のMS部隊の攻撃によるもので、彼らもまた、ジェガンやジェスタ同様フライトユニットに登場したMSであった。

 

ギラドーガのカスタムメイドの機体達は連邦関連のビルや車両へと攻撃を加えていく。

 

エイジャックスのオペレーターが更に変わった事態を報告する。

 

「ガンダム以外の別勢力がアデレートへの攻撃を開始しました!!反連邦ゲリラと思われます!!」

 

「次々と楯突く者達が集まりだしたか……!!」

 

「トールギス、ユニコーン、オーバーエアリーズ、発艦します!!」

 

左右のカタパルトデッキからゼクス達が発進。

 

トールギス、ユニコーン、オーバーエアリーズが順にエイジャックスから飛び出し、編隊を作って平行加速していく。

 

この時、ミスズは自ら反連邦ゲリラを叩きに向かう。

 

「ゼクス、私は先に反連邦ゲリラを叩く!!それからあの蒼いガンダムに当たる!!ゼクスとリディ少佐は……言うまでもあるまい……」

 

「了解した……だが、ミスズ」

 

「なんだ?」

 

「無茶はするな。相手は彼らのガンダムだからな。死んでもらっては今後の私に支障をきたすかもしれん」

 

ゼクスは遠回しにミスズへの本心の気遣いをした。

 

「ふっ……素直なような……そうではないような言い回しだな……」

 

ミスズは鼻で笑いつつもどこか嬉しげに言って見せた。

 

「ふっ……どうとるかは任せる。現れたガンダムは、我々が元より相手にすべきガンダムだ……では、行かせてもらう!!!」

 

ゼクスはトールギスの機体を加速させ、ウィングガンダムを目指す。

 

リディは、二人の会話に自分の場合を重ねながらモニターの視界にガンダムジェミナス01を捉え、機体を加速させた。

 

「いい二人だな……俺もミヒロに会ってやれていないな……だが、今は目先にいるガンダムを叩く!!!」

 

ユニコーンは真っ先にガンダムジェミナス01を目指しカスタムギラドーガの機体群を突っ切る。

 

カスタムギラドーガ達は、直ぐにユニコーンへ銃口を向けた。

 

だが、次の瞬間にオーバーエアリーズのビームライフルが2機のカスタムギラドーガを撃墜する。

 

カスタムギラドーガ達は一斉にオーバーエアリーズへ射撃を開始する。

 

ミスズが操るオーバーエアリーズは、それらの攻撃を寄せ付けることなく高機動力で躱す。

 

「オーバーエアリーズの機動力を侮るなよ……反乱分子!!!」

 

ロックしたカスタムギラドーガを撃ち漏らすことなくビームライフルで射貫いていくオーバーエアリーズ。

 

ビームサーベルを手にして更に加速をかけ、個々の機体を斬撃して撃破させた。

 

「私の手に掛かれば……弱小なものだ……!!!」

 

オーバーエアリーズはミスズの戦意に連動するように、振り返りながらビームライフルで2機のカスタムギラドーガを破壊。

 

瞬発的な加速をかけてもう1機をビームサーベルの串刺しにして撃破させた。

 

一方、ヒイロは地球連邦新本部のビルをモニターでロック・オンしていた。

 

ロック・オンカーソルは確実に新本部を捉えている。

 

「ターゲット……ロック・オン」

 

そこへアディンも加わり、サイドモニター画面にアクセラレートライフルをかざすガンダムジェミナス01の姿が映る。

 

「俺にも撃たせてくれ……ヒイロ。ここが今の連邦なら、俺にも撃つ資格がある……散ったMO-5のみんなの為にも!!!兄さんも俺に託して敵機の撃破に回ってくれてるしな……」

 

いつになく真剣なアディンの意思を感じたヒイロは共に銃口を新本部へと向けた。

 

「アディン……いいだろう……新本部を破壊するついでに脱出シャトルも破壊する」

 

「オーライ……!!!」

 

ウィングガンダムのバスターライフルとガンダムジェミナス01のアクセラレートライフルの銃口にエネルギーが充填されていく。

 

だがその時、急接近する熱源アラームがコックピットに響いた。

 

「!!?」

 

2機に襲い来る二つの高出力のビーム。

 

瞬発的な動きでこれを躱すウィングガンダムとガンダムジェミナス01。

 

ヒイロとアディンはモニターにビームを放った主を捉える。

 

「トールギス!!!」

 

「角ヤロー……!!!」

 

トールギスとユニコーンは、並列しながらドーバーガンとビームマグナムを構え直し、チャージショットを2機のガンダムに見舞う。

 

更に迫り来るビームにウィングガンダムはバスターライフルを、ガンダムジェミナス01はアクセラレートライフルのチャージショットを放つ。

 

高出力ビーム同士が干渉し合い、アデレートに衝撃波を伴った爆発が巻き起こった。

 

結果的にその爆発の衝撃波で地球連邦新本部のビルは崩壊の一途を辿っていき、粉塵を撒き散らして地に沈んでいった。

 

それに構うことなく、ウィングガンダムとトールギス、ガンダムジェミナス01とユニコーンは刃に武装を切り替えて激突した。

 

「ゼクス・マーキス……!!!このアデレートで決着を着ける!!!」

 

「ガンダムのパイロット……!!!私も同意見だ!!!存分にプライドをぶつけてこい!!!」

 

激突したビームサーベル同士がギリギリと拮抗し合いながらスパークを撒き散らし、弾き合うと幾度もビームサーベルをぶつけ合わせる。

 

ビームサーベル同士のスパークが断続して響く中、ゼクスはヒイロに確認を促す。

 

その確認とは戦士たるに当然の事であった。

 

「改めて確認する!!私はOZのゼクス・マーキス!!貴様の名は!??」

 

「俺に名など無い。あるのはコードネーム『ヒイロ・ユイ』だ!!!」

 

「ヒイロ・ユイ!??かつてのコロニー指導者と同じ名か!??」

 

「ただ与えられたに過ぎないがな!!!」

 

再び重い斬撃ぶつけ合って拮抗させるパワーとパワーに、両者のライトアームが小刻みに震える。

 

「角ヤロー!!!」

 

「反逆のガンダムゥ!!!」

 

ガンダムジェミナス01とユニコーンは幾度もビームサーベルをぶつけ合った後に、重い斬撃をぶつけて拮抗し合った。

 

「確かに……俺達は屈指の反逆者さ……住んでたMO-5を破壊されちゃ反逆するに決まってんだろ、角ヤロー!!!」

 

更にパワーを押し込むアディン。

 

リディも己の言い分を持って反撃する。

 

「くっ……聞いていれば角ヤローとばかり……コイツにはユニコーンの名がある!!!それに……元より得体の知れない新兵器の開発に着手していればこちらも手を打つさ!!!」

 

「なんだと!??こんのぉおおおお!!!」

 

アディンの怒りの感情が爆発し、ビームサーベルを捌き飛ばして再びビームソードを打ち込む。

 

それに激突させるようにユニコーンのビームサーベルが斬り上げられた。

 

一層激しくなるガンダムジェミナス01とユニコーンの激突。

 

遠方から見れば、アデレートの上空で四つの閃光が激突し合うように見える。

 

ジェガン部隊に射撃をかけて連続で撃破を慣行するガンダムジェミナス02へ、ミスズのオーバーエアリーズが迫る。

 

「はぁああああっ!!!」

 

ミスズの戦意と共にビームサーベルの斬撃がガンダムジェミナス02に振るいかざされた。

 

ビームサーベルはシールドで受け止められる。

 

「くっ!!エアリーズが頭に乗るな!!!」

 

オデルはパワーで勝る特性を活かし、ビームサーベルをはね除けてアクセラレートライフルを見舞う。

 

「くあああああぁぁ!!!」

 

ヘッドユニットを撃ち飛ばされたオーバーエアリーズは吹き飛ばされたままビルに突っ込み、崩壊したビルと共に崩れ倒れていった。

 

ウィングガンダムと一騎討ちする最中に、ゼクスはミスズの安否に気を取られてしまう。

 

「オーバーエアリーズがロスト!??ミスズ!??」

 

ゼクスの感情に影響され、一瞬制止するトールギス。

 

その時、ウィングガンダムの唸るビームサーベルの斬撃がトールギスのレフトアームに目掛けて迫る。

 

間一髪の所でシールド防御するトールギス。

 

「くっ!!!私としたことがっ!!!ならばっ!!!」

 

ゼクスはシールドの丸みの部分でビームサーベルを滑らせるように捌き、横薙ぎの斬撃をウィングガンダムへ食らわせた。

 

「がっっ!!!」

 

「おおおおおお!!!」

 

ゼクスは直ぐ様気迫を取り戻し、ウィングガンダムへ十字斬撃を素早く食らわせる。

 

「ぐっぅぅっっ!!!」

 

斬撃を食らって吹っ飛ぶウィングガンダムを見るゼクス。

 

優勢にはなったが、感じる斬撃感は相変わらずの硬さを覚える。

 

「やはり、硬い!!!これ以上は斬れんか!??」

 

加速をかけて攻め混むトールギスは、ビームサーベルの唐竹斬撃を打ち下ろす。

 

対し、ウィングガンダムは体勢を整え、その斬撃を躱して見せた。

 

そして今度はウィングガンダムがトールギスの上をとり、斬撃を撃ち下ろす。

 

ウィングバインダーの加速もかかり、威力は更に上がる。

 

トールギスは斬り上げてその斬撃にビームサーベルを打ち込む。

 

重く拮抗し合う両者の斬撃。

 

互いに捌き合うと、二、三撃の袈裟斬りを打ち合い、間合いをとる為に2機はその場を離脱する。

 

ウィングバインダーとブースターバーニアの加速を掛け合い、ウィングガンダムとトールギスは、アーチを描くかのような軌道で激突し合った。

 

斬り払らいの斬撃同士が高速で衝突し合ってアデレートの空を駆ける。

 

一方のガンダムジェミナス01とユニコーンの激突は拮抗に拮抗を重ね続けていた。

 

何度も打ち合う斬撃が上空から地上へと移っていく。

 

時折危うい斬撃をユニコーンはIフィールドシールドで防御してみせる。

 

そして捌いては斬撃が重なり合う。

 

「せやぁああああっっ!!!」

 

「づあああっっ!!!」

 

拮抗するパワーに両者の足はアスファルトにめり込んだ。

 

「ユニコーンとはここで絶対に決着着けてやるぜっっ!!!俺はっっ……キメる!!!!」

 

ガンダムジェミナス01の強力なビームソードの薙ぎが打ち込まれ、ユニコーンはビームサーベルで受け止める。

 

「ほざけぇえええっっ!!!」

 

再びビームソードを捌いたユニコーンは、袈裟斬りをガンダムジェミナス01へ打ち込んだ。

 

「がぁああああっ!!!っっのぉやらぁあああ!!!」

 

「はぁあああっっ!!!」

 

4機のMSが激突し合う頃、遂にメテオ・ブレイクス・ヘルの本部の所在が明かになり、ECHOESとOZ宇宙軍が連携をして攻め混んでいた。

 

「遂にここも見つかっちまったのかよぉ!!?」

 

「冗談じゃねー!!!今頃Gマイスター達が闘っているってのによぉ……がぁああっ―――!!!」

 

「お、おいっ―――ぐがっ!!!」

 

メテオ・ブレイクス・ヘル側は、ネモやジムⅢで抵抗をし続けるが、ECHOES仕様のジェガン部隊のバズーカやリーオーのビームバズーカの攻撃を受け、悉く破壊されていく。

 

ECHOES仕様ジェガンやOZのリーオー各機は、容赦無き攻撃を加えて反抗するメテオ・ブレイクス・ヘルのMS達を破壊し尽くす。

 

同時刻、ECHOESが逆探知したメテオ・ブレイクス・ヘルの各潜伏場所にECHOESの特殊部隊が入り、マシンガンで次々とメテオ・ブレイクス・ヘルのメンバーを銃殺していく。

 

「がぁああっ!?」

 

「ぐぐぐげべっ……!!!」

 

「いやぁあああううううぐふっ!!」

 

男女問わず無情の排除を慣行。

 

またある連邦軍基地では、素性がバレて逃亡を測るエージェントの姿があった。

 

「はっはっはっはっ……くっ……」

 

逃亡をするエージェントに連邦軍兵士達が先回りし、一斉銃撃を行う。

 

「しまっ……ががががぐぐはぁ!!!」

 

エージェントの男は一瞬で銃殺され、哀しく床に斃れ込んだ。

 

そして、各地の至る場所において、メテオ・ブレイクス・ヘル自体がこのような状況に見舞われていた。

 

モニターに映る各地の悲惨な状況を見ながらドクターJは、悟りきったかのように吐き漏らした。

 

「やれやれ……そうだと思っとったわい……」

 

ドクターJの目の前には、ドクターペルゲがECHOESの隊員と共に銃口を構えていた。

 

「くくく……時代は変わる……この宇宙世紀に更なる変革が必要だ。だから私はECHOESと結託し一度綺麗に掃除をしたのだ。我々の技術も提供してな!!!!」

 

「なぜ裏切った!??ワシらは同じ志だったはず……!!」

 

「私は自分の才能が利用されれば、提供できればそれでいい……無論、あんた達も利用法はあるからな!!殺しはせんさ……」

 

「ならばっ、他の若いやつを見逃せ!!!何故巻き込む!??」

 

「なぁに……若い犠牲もあれば面白いからだ……変革には痛みが必要!!!メテオ・ブレイクス・ヘルだったものは私の手で有効に利用する!!!」

 

 

 

その頃、カーディアスはラプラスプログラムを発動させる準備の最終段階に入っていた。

 

立ち上げているディスプレイモニターを操作しながら

カーディアスの秘書兼ボディーガードの男、ガエルに問いかける。

 

「ガエル……この行為……どういう事態を招くと予想する……」

 

「カーディアス様……自分は想像を越える事態を予想します……予想はできません」

 

「そうか……私は今の世界情勢に対し、火に油となることを予想する。更なる犠牲が増えるとな……」

 

カーディアスはラプラスプログラムの発動に対し、複雑な気持ちを抱いていた。

 

「更なる……犠牲……」

 

「あぁ……一度暴れ馬を覚醒させれば……それは危険極まりない殺戮マシーンと化す。特にニュータイプ的な因子に対してな……無論、敵と認識すればそれまでだがな……」

 

カーディアスはプログラムの最終段階の作業を進め続ける。

 

「では……暴れ馬を沈める方法は無いと?」

 

「いや、そこが際どい所だ……沈める方法は純真なニュータイプが暴れ馬を沈める事……そうすることで初めてラプラスの箱への道が開いていく……だが、それまでは……暴れさせるしかない。プログラム発動後、ユニコーンガンダムはこれから激化する宇宙に配備するよう手筈を頼む」

 

「は!!」

 

カーディアスはガエルにそう指示すると、最後の操作をし、ラプラスプログラムを発動正規に発動させた。

 

同時刻、ガンダムジェミナス01かと激突していたユニコーンに異変が生じ始めた。

 

機体の至る箇所の溝の隙間が紅く発光を開始し始めたのだ。

 

アディンはただならぬ何かを感じとり、直ぐにヤバイモノと察した。

 

「な!??機体が光り始めた!??なんか……ヤバ気だな!!!」

 

アディンは直ぐに間合いを置くために離脱した。

 

そして、機体とパイロットの両者にそれは起こった。

 

「な!??機体のコントロー……がっ!??な、なんだ!??なんなんだ!??」

 

リディは訳が解らぬまま変形を開始するコックピットに身を委ねるしかなかった。

 

「がぁああっ!!?な、なん……がっ?!?」

 

突如リディを襲う苦痛。

 

薄れる意識の中でリディが見たのは、立ち上がったディスプレイに浮かんだ「NT-D」の文字であった。

 

同時にユニコーンは、腕、脚部、胸部を変形させ、内部に仕込まれたサイコフレームを露にさせていく。

 

そして、頭部が変形を開始。

 

瞬く間にガンダムフェイスに変形した。

 

アディンは戦慄した。

 

「が、ガンダム……!??こいつ、ガンダムだったのか!??」

 

ユニコーンもとい、ユニコーンガンダムはこれまでとは桁違いのスピードでガンダムジェミナス01に攻め入る。

 

「な!??がぁああっ!??」

 

瞬時にビームサーベルの食らわせるユニコーンガンダム。

 

シールドでガードするも、格段に上がったパワーにガンダムジェミナス01は吹っ飛ばされてしまう。

 

が、その吹っ飛ぶ背後には既にユニコーンガンダムがいた。

 

豪快な斬撃を背部に受け、更に吹っ飛ぶガンダムジェミナス01。

 

ユニコーンガンダムは更に追従し、斬り伏せながら蹴りを浴びせてガンダムジェミナス01を吹っ飛ばした。

 

「ぐがっ……なんなんだよ……ぐがぁああっ!!!」

 

ユニコーンガンダムは縦横無尽に斬撃を浴びせ、完膚なきまでにガンダムジェミナス01を玩ぶかのように傷め続ける。

 

そして蹴り上げたところで、ビームサーベルの強烈な斬撃を叩きのめし、ガンダムジェミナス01をアスファルトにめり込ませた。

 

アディンは既に気を失い、意識は完全に遠退いていた。

 

ユニコーンガンダムは尚も踏み砕こうと攻撃を加え続ける。

 

その中で、Gマイスターは勿論の事、地球圏にドクターJからの通信が配信された。

 

「Gマイスターと地球圏全域の者達に次ぐ……今我々、メテオ・ブレイクス・ヘルは……同胞の裏切りと連邦とOZにより各地の拠点が制圧され、事実上の壊滅を迎えた。よってここに敗北を宣言する!!!繰り返す!!!!敗北を宣言する!!!!」

 

世界に配信されたこの放送は 大衆の誰もが大いに喜んだ。

 

大衆はメテオ・ブレイクス・ヘルはコロニーや主要都市を破壊した集団と認識している為だ。

 

静に歯軋りするヒイロ。

 

悔しげに壁を叩くデュオ。

 

その隣で腕を組んだまま淡々と悟るトロワ。

 

落胆するカトル。

 

斗争の野戦キャンプで静に悟る五飛。

 

レバーを握ったまま屈辱に耐えるオデル。

 

Gマイスター達が様々な想いで敗北に投じる中で、ドクターJは最後の任務を言い渡した。

 

「コロニーや主要都市を破壊した事は濡れ衣じゃ……信じるか信じないかは大衆次第じゃ……さて、Gマイスター諸君のガンダムにPXシステムを解放させておいた……使い道は任せる……そして最後の任務……ガンダムは渡すな……」

 

配信は切れ、暫く沈黙が流れた。

 

ウィングガンダムも動かない。

 

ゼクスはヒイロ達の立場を悟るしかなかった。

 

「動けんか……こうなっては……む!??」

 

だが、ゼクスの予想を越え、ウィングガンダムは斬撃を繰り出した。

 

ゼクスは斬撃を受け止めながらヒイロに吐き叫ぶ。

 

「戦えんだろう?!?貴様達は!!!」

 

「決着は着いていない!!!」

 

「あくまで戦う……否、闘うか……!!!よかろう!!!それでこそ戦士の在り方だ!!!」

 

ウィングガンダムとトールギスは激突を再開させた。

 

プライドを賭した斬撃をぶつけ合い、拮抗させる。

 

ヒイロは闘う姿勢を一切捨てていなかった。

 

一方、アディンは朧気な意識の中でプルの幻を見る。

 

 

 

「アディン……待ってるからね……」

 

 

 

「う……プ……プル……っっ、プル!!!」

 

アディンはプルの名を叫びながら意識を取り戻す。

 

「俺……気を失ってたのかよ……へへっ、サンキュー!!プル!!」

 

そしてコックピットのディスプレイに「PX-SYSTEM STANDBY」の文字が表示されていた事に気づく。

 

「PX……ってことは事態はかなりヤバイって訳か……組織的な危機にさらされたら開くブラックボックスのシステムだからな……けど、やってやるぜ!!!PXオーバードライブ!!!」

 

アディンはPXを発動。

 

アディンにヘッドユニット・ディスプレイがスライドして装着される。

 

ガンダムジェミナス01は真上に超高速で上昇し、青白く発光しながらNT-Dに引けをとらない速度でユニコーンガンダムに斬り掛かった。

 

両者の超高速の斬撃が激突し合う。

 

そして、青と紅の光りの軌道を描きながら弾き合うかのように激突を開始した。

 

目まぐるしく戦闘の次元が変わる。

 

ガンダムジェミナス01とユニコーンガンダムは斬撃を超高速で重ね、拮抗しては弾き合い、薙ぎの斬撃を激突させ激しいまでのスパークを撒き散らす。

 

「今の俺ならやれる!!!ユニコーンガンダム!!!!一気に叩いてやるぜっっ!!!」

 

スパークが一瞬打ち消され、再び超高速の斬撃をぶつけ合い始めた。

 

そこから2機は互角のスピードで上昇し、上空で激しく激突を繰り返す。

 

ウィングガンダムとトールギスもまた激しく激突し合う。

 

「おおおおおお!!!」

 

「ヒイロ・ユイ!!今一度問う!!!貴様は我々との戦いに負けた!!何故に闘う!??」

 

「戦い続ける事が俺の存在意義だからだっ!!!」

 

「ふっ……正に戦士だ!!!はぁあああ!!!」

 

ビームサーベルを打ち下ろすトールギス。

 

ウィングガンダムがそれを斬り上げようとビームサーベルを激突させる。

 

そこから弾き合い、大きく間合いを取り合った。

 

アデレートの空で静止する2機は、ビームサーベルをかざしながら加速を開始する間を見計らう。

 

そして、ヒイロとゼクスは眼光と眼光を見えるはずのないコックピット越しにぶつけ合う。

 

二人の間が重なった瞬間、2機は加速する。

 

高速ですれ違う2機の斬撃は再び激突し合い、双方を斬ることはなかった。

 

ウィングガンダムとトールギスの2機はターンして再度激突しようと加速した。

 

だが、トールギスにウィングガンダムが迫ろうとした矢先、突如ウィングガンダムの左右から電磁プラズマエネルギーが襲いかかった。

 

「―――?!?」

 

ヒイロとゼクスは何が起きたのか把握出来なかった。

 

ウィングガンダムの機体のあらゆる箇所に電磁エネルギーが浸食。

 

ヒイロ自身にも電撃のダメージが及ぶ。

 

「がぁああっあああああ!!!!」

 

ヒイロの苦痛の叫びの中で、ウィングガンダムは機体の機能を停止させ落下。

 

ビルに背を持たれるような形で静止した。

 

「メテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムを捕獲!!OZのゼクス特佐ですね!?捕獲エリアへの誘導感謝します!!」

 

ゼクスの空気を読まないジェガン部隊がウィングガンダムを取り囲む。

 

ゼクスはこれまでに無い憤りを感じ、怒りを露にして吐き飛ばした。

 

「貴様達は……!!!!これはどういう事だっっっ!??!」

 

「ゼクス特佐!??」

 

「不粋な真似をしてくれる!!!!目障りだ!!!!去れ!!!!」

 

「し、しかし……」

 

「今の私ならば貴君らを撃ち兼ねんぞ!??OZであることを忘れるな!!!!」

 

「は、は!!!!」

 

ゼクスの騎士道のプライドたる威圧でジェガン部隊はその場を後にした。

 

「く……!!!!連邦め!!!!」

 

一方のガンダムジェミナスとユニコーンガンダムの激突も両者のシステム解除し、決着を着ける事なく終了した。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……っく……手強いぜ、ユニコーンガンダム!!!」

 

激しく激突し合っていた2機は互いに立ち膝常態で静止したままで今回の対決の幕を閉じた。

 

そして機能を停止させたウィングガンダムのコックピットハッチが開き、中からヒイロが姿を見せた。

 

ゼクスはヒイロが少年であることに驚愕した。

 

「少年!??あの少年がヒイロ・ユイだと言うのか!??あの少年が……!!!」

 

驚愕するゼクスを他所にヒイロは最後の任務を覚悟しての行動に踏み切ろうとしていた。

 

「組織は壊滅し、このままではガンダムも鹵獲される……ガンダムは渡さない……任務を実効する!!!!」

 

ヒイロがかざした手に持つもの……それは自爆装置のスイッチであった。

 

ヒイロは瞳を閉じながら暫くマリーダを思い浮かべ続けた。

 

「さよなら……マリーダ……!!!!」

 

マリーダへの想いを賭して遂にヒイロは自爆を決行した。

 

スイッチを押すと共に、ウィングガンダムの各部が紅く発光を開始し始めた。

 

そしてGNDドライブを核にしてウィングガンダムの自爆装置が解放。

 

ウィングガンダムは全エネルギーを破裂させるかのように爆発した。

 

まさに自爆。

 

直に吹き飛ばされたヒイロは、アデレートの道路に叩きつけられて転がる。

 

ヒイロは瞳孔を開いたまま動く気配もなく、仰向けのままで居続けた。

 

この感覚を察したマリーダは、オーガスタ研究所の収監室で激痛にも似た苦痛に見舞われる。

 

「あっ……くはっっっ……ああうっっ……かはぁっあああ……あああああああっっ!!!!ああああああああああ―――!!!!」

 

マリーダの悲痛な叫び声がオーガスタ研究所に哀しく木霊する。

 

流転する二人の運命は、確実に狂う方向へと動き出した。

 

 

 

 

To Be Next Episode






次回予告


始まる第三次ネオジオン抗争。

Ξガンダムの出現。

発動されたラプラスプログラム。

拉致されたマリーダとロニ。

崩壊するメテオ・ブレイクス・ヘル。

そして自爆したヒイロ。

戦士達の運命の歯車は、流転する情勢の中で静に狂い始める。

だが、戦士達は立ち止まりながらも狂い始める歯車に逆らうように闘う姿勢を止めなかった……。

次回、新機動闘争記 ガンダムW LIBERTY

エピソード16「流転する混迷」

任務……了解……!!!
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