新機動闘争記ガンダムW LIBERTY   作:さじたりうす

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新機動闘争記ガンダムW LIBERTY の読者の皆様、

誠に勝手ながら諸事情によりストップさせてしまい、大変申し訳ありませんでした。

今後は不定期(投稿間隔が早い時と遅い時があるという意味で)の連載ではありますが、改めてよろしくお願い致します。

それでは長らくお待たせ致しました!!




エピソード16「流転する混迷」

ヒイロの自爆。

 

それは間近にいた者達へあらゆる意味合いの衝撃を与えた。

 

間近にそれを目撃したゼクスは、好敵手との望まぬ結果に憤りを重ねに重ねる。

 

「くっ……!!!自爆しただと!??我々の決着を着けるのではなかったのか!??ヒイロ・ユイ!!!!」

 

ゼクスにも、自爆した経緯は解っていた。

 

組織的にヒイロ達は敗北した。

 

それ故の覚悟をヒイロは受け入れたのだと言うことを。

 

だが、連邦の不粋な真似に望まぬ結末が重なり、騎士道精神に長く浸かっていたゼクスにとって屈辱の極みであった。

 

「自爆した……メテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムはここまでやるのか!??」

 

初めて垣間見たガンダムの自爆に、長年ガンダムに携わったブライトは衝撃を受けていた。

 

敵とはいえ、機体の顔は紛れもなくガンダム。

 

衝撃を受けないのは無理があった。

 

その隣でケネスは自爆したヒイロの姿勢に不思議なまでに感心の感覚を覚えていた。

 

(敗北したが故の自爆なのか……!!?敵ながら見事な姿勢と覚悟だ……少なくとも連邦にもああもやれるやつはいない!!!)

 

「……時代と我々連邦組織に歯向かった者の末路とでもいうのか……?!?」

 

ローナン議長は哀れなと言わんばかりの視線で自爆したウィングガンダムを見つめていた。

 

一方、まだウィングガンダムの自爆を知らないアディンは、元に戻ったユニコーンガンダムとアデレートの広大な道路で対峙していた。

 

アディンとリディは、息を切らせながらモニター上で互いの姿を睨み合う。

 

その最中、リディのコックピットに入り込んだ通信が響く。

 

それは、メテオ・ブレイクス・ヘルの敗北と、ガンダム自爆の情報を伝えるものであった。

 

「ガガ……ガガッガ……メテオ・ブレイクス・ヘル、敗北を宣言!!奴らのガンダムの1機も自爆した模様!!」

 

「ガガ……ガガッ……自爆したガンダムのパイロットの生存は……極めて困難と見られる!!だが、砕けた残骸は貴重な応酬だ!!近辺の者はこれを回収されたし!!」

 

対峙するリディは、聞いた通信の内容からアディンに対し通信を入れざるをえなかった。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……っっうっ……ガンダムのパイロット……貴様達は事実上の敗北をしたわけだが……貴様も自爆する気か!??」

 

リディのその言葉にアディンは耳を疑った。

 

「な……なんだと!??敗北!!?自爆!!?どういう事だ!??」

 

「敗北はともかく……自爆はこっちが聞きたい……!!!」

 

「くっ!!!」

 

アディンは急いで現状の把握をしようとサイドモニターパネルを操作した。

 

表示される情報には、敗北たる事実の情報、現在の情勢、メテオ・ブレイクス・ヘルの拠点へのアクセスエラー等が表示される。

 

「くそ!!どーなってやがんだ!??組織にアクセスできねー!!!」

 

「解ったか?貴様達は事実上敗北したと言った……貴様達の組織は既に我々の特殊部隊とOZによって壊滅に追いやられた……くそもどうもない……」

 

リディは目を閉じながら諭すかのような口調でアディンに言った。

 

敗北を認めないアディンは、無言でディスプレイを素早く苛立ち任せに操作する。

 

「っっ……!!!」

 

「……お前の仲間は自爆して散った……せめて亡骸を迎えにいったらどうだ?」

 

リディは敵であるはずのアディンにヒイロを助けに行くように言う。

 

ゼクスに感化され、騎士道精神を備えつつある表れであった。

 

「お前に言われるまでもない!!!いや、勝手に殺すな!!!」

 

アディンはガンダムジェミナス01を自爆したウィングガンダムの場所へと向かわせた。

 

その姿をリディは追う事なく見続けた。

 

「……運命に抗えきれないだろうが……生き延びてみせろ……今の貴様と決着をつけても仕方がないさ……」

 

去るガンダムジェミナス01から目を離したリディは、一呼吸しながら自らの手を見る。

 

手は小刻みに震えていた。

 

体が発動したNT-Dを味わい、恐怖を覚えていた。

 

「しかし……一体なんだったんだ!?さっきのシステムは……!??気がつけば物凄いGの中で奴と戦っていた……」

 

リディは未知なるシステムであるNT-Dの感覚に戦慄すら感じていた。

 

一方、ガンダムジェミナス01は自爆したウィングガンダムの所へと降り立つ。

 

アディンの目には変わり果てたウィングガンダムの姿が飛び込む。

 

GNDドライブを中心に装甲やフレームも砕け散り、最早ウィングガンダムの原型を留めていなかった。

 

アディンは、置かれた状況に敗北を認めざるをえないコトが悔しくて堪らなくなり、怒り任せにコントロールグリップを叩く。

 

ヒイロを探そうとした直後に、ヒイロの変わり果てた状態を確認したアディンは絶句した。

 

どう見ても生存は絶望的である様に、アディンは更に絶望した。

 

「ヒイロ……っっうっ……畜生ぉおおおおおおっっ!!!!」

 

コックピットに響き渡る声で叫ぶアディン。

 

そこへオデルのガンダムジェミナス02が降り立つ。

 

そして右のマニピュレーターにヒイロを乗せてアディンに撤退を呼び掛けた。

 

「アディン!!ここは撤退だ!!!近海の洋上にいるイスタンダルに戻るぞ!!!」

 

「兄さん……っっ!!!ヒイロは、ヒイロのやつは……!!!!」

 

「諦めるなっっ!!!まだ希望はある!!!ヒイロは……ヒイロ・ユイは簡単には死なないさ!!!」

 

確かな根拠は無かったが、今はそう言い聞かせるしかなかった。

 

その時、オデルはトールギスに気づき、警戒をする。

 

「くっ……OZ!!」

 

「これ以上の手出しは出来ん!!!融通の効かない連邦に囚われる前に去ることだ!!早く行け!!!」

 

「何?!!一体どう言うコトだ!!?」

 

しかし、オデルに来た通信は想像を覆した。

 

敵であるはずのゼクスからの通信のその言葉に、オデルは逆に驚愕させられる。

 

「私は特別に騎士道に浸りすぎている身……好敵手の無事こそが今の私の望みだ!!」

 

オデルはしかとゼクスの騎士道精神を確認した。

 

その騎士道精神にオデルは感謝し、早急の撤退に移る。

 

「……恩に切る!!アディン!!行くぞ!!!」

 

「あ、あぁ……!!!」

 

2機のガンダムジェミナスがアデレートを去る。

 

それを見送り出したゼクスとリディはライバルとの再戦を願うばかりであった。

 

「ふ……敵であるはずのガンダムを送り出すとは……だが、これは好敵手と認めたが故だ……!!!!」

 

去る2機のガンダムジェミナスを見ながらゼクスはそう呟き、リディもまた自身の行動に僅かな驚きを覚えた。

 

「憎むべき敵であるガンダムを逃がす……だが、今はそれがいいと思えてしまう自分に驚く……つくづく思い知るな。騎士道精神に染まりつつある事を……」

 

 

 

 

 

 

 

 

メテオ・ブレイクス・ヘルの敗北より半年余りの月日が経過した。

 

カトル達はこの半年間、輸送機一つに自分達のガンダムをまとめた状態で場所を転戦していた。

 

その転戦の日々の果てに、アラブ首長国連邦を目指す。

 

メテオ・ブレイクス・ヘルを支援するマグアナック隊の本拠地がある国だ。

 

半年間、断続的に連戦で疲弊したガンダムを、潜伏も兼ねながら出来うる限りのメンテを施す為だ。

 

輸送機の操縦は最も冷静なトロワが行う。

 

トロワはヒイロ同様、幼き時代から戦場に身を投じていたが故に、敗北を認めざるを得ない現状に置いても動じていなかった。

 

その隣では疲れきった表情のカトルが座席に背を持たれていた。

半年前のロニが死んだものと思って絶望していた時間や敗北をした状況、そしてこれまでの転戦生活により、彼の精神も疲弊していた。

 

「……はぁ……」

 

「疲れきった感じだな、カトル」

 

トロワの言葉にカトルは疲れた表情の中に穏やかさを現す。

 

「トロワ……そうだね……色々と重なりすぎて気力を使いすぎたみたいだ……でも、その中でもロニが死んでいなかった事が最大のはげみだよ……」

 

「あぁ……それだけは不幸中の幸いだった。だが、俺達の闘いはここからより深刻になっていくだろう……今は補給と体制の立て直しが必要だ。彼女を助けたい気持ちはわかるが、今の状況上耐え凌ぐしかない」

 

トロワの発言は最もであった。

 

今の状況のまま悪戯に攻めたとしても、愚の骨頂なのは明らかだ。

 

「うん……。辛い闘いなのは承知さ。僕達はGマイスターなんだから……(それまでどうか無事にいてくれ、ロニ……!!!)」

 

輸送機の格納庫では、デュオがガンダムデスサイズのコックピットにとどまっていた。

 

デュオはガンダムデスサイズに話しかけるように呟く。

 

「なぁ、相棒……俺達は負けちまって……転戦生活しながら半年も経っちまった……やっぱ連中に一泡、二泡でかくふかしてやらなきゃ気かますまねーよな?!!それに、せっかくPXが使えるようになった事だし……!!!!」

 

デュオは、コックピットのメインモニターの画面にPXシステムのインターフェースを仮表示させた。

 

「宇宙にいる奴らが連邦やOZの連中にやられたとありゃ、今度は俺達が宇宙に戻るべきじゃねーか?いつまでも地球の球っころでさ迷う訳には行かないぜ!!!!宇宙も再び荒れに荒れているしな……馬鹿が多すぎるんだ……ったくよ!!!」

 

 

 

L2コロニー群宙域

 

 

 

宇宙では、ネオジオンの動きが活発になり、第三次ネオジオン抗争の真っ只中の状況が拡大していた。

 

ムサカ級、エンドラ級の艦隊のメガ粒子砲による砲撃が、宇宙空間をはしる。

 

その先にいるクラップ級の艦隊からもメガ粒子の砲撃が放たれ、飛び交うビームが双方の艦に被弾。

 

連邦サイドからはジェガン、スタークジェガン、リゼル、ジムⅢ部隊が出撃する。

 

ネオジオンサイドからはギラズール、ギラドーガ、バウ、ガザDの部隊が出撃していく。

 

次第に始まる撃墜戦。

 

ビームが飛び交い、幾つもの爆発光が発生する。

 

その中では幾多の生にしがみつく感情達が入り乱れ錯綜する。

 

ジェガン3機の小隊が連発させるビームが、射撃するガザDを1機、2機と粉砕させ、3機目に三本のビームが貫き爆発させた。

 

駆け抜けるジェガン小隊に、ギラドーガのビームマシンガンが撃ち注がれ、1機が蜂の巣にされ爆発。

 

2機目はシールドを失いながら反撃するも、反撃斉射されたビームマシンガンに撃たれ爆発する。

 

ジェガンはビームサーベルに切り替え、ギラドーガにビームサーベルを突き刺した。

 

だが、そのギラドーガは道連れにするようにビームトマホークをジェガンのわき腹に斬り込ませる。

 

その2機が爆発を撒き散らす向こうで、ジムⅢ部隊とガザD部隊とが銃撃戦をし、それぞれが撃ち撃たれ生死を別つ。

 

駆け抜けるリゼル部隊とバウの部隊の銃撃戦が飛び交う中、それぞれがすれ違い際にMSへと変形する。

 

各機はビームライフルやビームキャノン、メガ粒子砲を撃ち合う。

 

1機のリゼルがビームライフルを幾つか撃ち込まれ爆発。

 

バウが撃つビームライフルやメガ粒子砲がリゼルを破砕させていく。

 

一方では、バウとビームサーベルを激突させ、捌きながらビームサーベルでバウを斬り払うリゼルもいた。

 

そのリゼルに別のバウが迫り、ビームライフルを連発。

 

撃ち穿つビームにリゼルは爆散した。

 

ギラズール部隊が攻撃を躱しながら一斉にビームマシンガンを撃ち、ジェガン部隊を撃墜させていく。

 

そのギラズール部隊に、スタークジェガン部隊のバズーカが撃ち込まれ、ギラズール部隊は壊滅的に破壊されていく。

 

更に放たれたミサイルが飛び交い、ギラドーガ部隊を撃墜させていった。

 

1機のスタークジェガンに、ギラズールが突っ込みコックピットにビームマシンガンを突き刺して零距離射撃してみせた。

 

そして飛び交う両者のMS部隊に、艦隊のメガ粒子砲撃が重なり、直撃を受ける者、掠める者とに別れ運命が入り乱れる。

 

だが、この戦闘は一部に過ぎず、至箇所で戦闘は勃発していた。

 

L1コロニーの周辺ではネオジオン勢のMS部隊が展開し、哨戒中の艦隊に強襲を仕掛けていた。

 

ズサやガルスJがミサイルやエネギーガンを撃ちながらジェガン部隊やリゼル部隊、クラップ級のブリッジ付近に攻撃を加えていく。

 

機体群が破砕されていく中、スタークジェガンやリゼルが反撃に転じ、ビームライフルやバズーカの砲撃を浴びせ、ズサやガルスJを破砕させていった。

そこへムサカ級の主砲が撃ち込まれ、数機のジェガンが破砕されながら爆発光と化す。

 

またL2付近のコロニーでは、民間機が航行する近くで戦闘が巻き起こっていた。

 

ギラズールとギラドーガの主力MS部隊とジェガンやリゼルの部隊がビームライフルやビームマシンガンを撃ち放ちながら激突する。

 

ビームが飛び交う中、ジェガンが放ったビームがギラドーガを破壊しながら民間機を流れ弾で破壊してしまう。

 

更にもう一方で、ギラズールのビームトマホークを斬撃されたジェガンが、爆発しながら上半身をコロニーの港に突っ込ませ爆発を巻き起こさせた。

 

リゼルが放つビームライフルのビーム群が3機のギラドーガを破壊し、ギラズール1機を駆け抜けながら1機のリゼル斬撃して破壊する。

 

機体を反転させたリゼルは、向かい来るギラズールにレフトアームのビームキャノンを撃ち込む。

 

直撃を食らうギラズールだったが、その勢いで突っ込み、もつれ合いながらまたもや宇宙港に突っ込み、更なる被害を拡大させた。

 

その最中、レウルーラ艦隊は既に確保している廃棄コロニーを目指していた。

 

ブリッジ内ではフロンタルとライルが今後を語り合う。

 

「ライル艦長。今度はオペレーション・ファントムの一環であるコロニー落としに尽力していただく事になる」

 

「……このオペレーションはかつてのシャア総帥を始めとするジオンの英雄達が成し獲なかった作戦を実現させ、かつ、コロニー共栄圏実現に繋げるもの……」

 

「左様……我々はこれよりパラオから来る艦隊と補給を兼ねて合流する。その後にL1コロニー群のA1786廃棄コロニーを目指す。そこで核パルスエンジンを取り付け、地球を目指してもらう。その時には他の艦隊と合流している頃だろう……」

 

「他にも掌握している資源衛生を移動させるとも聞いています。こちらはいかに?」

 

「そちらはいずれ同胞の別動隊に動いてもらう。時間差をかけ同時期に地球へ落とす……連邦を徹底的に陥れ、揺するのだよ……だがその前にルナ2とグリプス2に陽動攻撃をかける!!」

 

その時、ブリッジに緊急の警報が鳴り響いた。

 

直ぐ様オペレーターが状況を知らせる。

 

「連邦の艦隊を探知!!クラップ級3隻の艦隊です!!恐らく哨戒中の小規模艦隊です!!」

 

「そうか……ならば私が出よう。確かアンジェロの新型はメンテナンス中だったな……だが、一人で充分だ。直ぐに沈める。ではライル艦長、後は頼む」

 

「は!!では、総員第一種戦闘配置!!砲撃体勢に移行せよ!!フロンタル大佐を援護する!!」

 

レウルーラのカタパルトハッチが開き、シナンジュがカタパルトに足を乗せる。

 

シナンジュのバックパックを見送りながらアンジェロは不敵に笑っていた。

 

「大佐が出撃される……あいにく私のローゼンズールはメンテナンス中だ……大佐を追えぬのが口惜しい……さぁ、連邦の愚者達よ……赤い彗星を思い知るがいい!!!」

 

カタパルトから高速でシナンジュが打ち出され、シナンジュは更なる加速を重ねて突き進む。

 

その速さは正に赤い彗星。

 

ライルはブリッジからその瞬間に立ち合う。

 

そして心中において、未だ信頼性が薄いフロンタルに言ってみせる。

 

(……赤い彗星の再来に相応しいか今一度改めて見極めさせてもらうぞ……フロンタル大佐)

 

「砲撃体勢に移行しました!!いつでも行けます!!」

 

「よし!!砲撃開始せよ!!」

 

ブースターをフル加速させて飛び立っていくシナンジュに続くように、レウルーラのメガ粒子のビームが撃ち放たれ、クラップ級艦隊に吸い込まれるように突き進んだ。

 

メガ粒子砲撃は2隻のクラップ級の側面を破壊した。

 

出撃するスタークジェガンとジェガン部隊。

 

前面に出た各機が、母艦を防衛する形でシナンジュを迎撃する。

 

シナンジュは高速で駆け抜けながらビームライフルをかざす。

 

ビームが高速で三発撃ち放たれ、一瞬でジェガン2機とスタークジェガン1機を射抜いて爆破させた。

 

更に左側面上に通過するジェガン2機を撃ち抜いた。

 

そして出撃直前のジェガンにビームを撃ち込み、カタパルトハッチ上で破壊してみせる。

 

その爆発はドック内にも悪影響を与え、出撃前のジェガンを巻き込みながら爆風でメカニック達を死に追いやる。

 

クラップ級の対空砲火のレーザー機銃も撃ち放たれる中でシナンジュは軽快に躱しながらクラップ級の側面に何発もビームを撃ち込み、直撃部を破壊させる。

 

高速で屈折するように上に突き進む。

 

再び機体を反転させ、急降下するかのごとく突き進み、ビームライフルを両端のクラップ級のブリッジ目掛け放つ。

 

直撃を食らうブリッジは、瞬く間に破裂するように爆発した。

 

滑空するような軌道で駆け抜けたシナンジュは、クラップ級の動力炉を撃ち抜く。

 

クラップ級は動力炉を爆発させながら物凄い破壊を起こして轟沈した。

 

この時点でシナンジュは3隻のクラップ級を破壊した。

 

向かい来るジェガン4機を高速で撃ち抜き爆発の華に変える。

 

スタークジェガン部隊はミサイルを一斉に放つが、シナンジュは高速の加速で全てを躱す。

 

そして高速でスタークジェガン3機の胸部を撃ち抜き、ビームサーベルで挑んできた1機の斬撃を躱す。

 

旋回しながらレフトアームに握り絞めていたビームトマホークを発動させ、一気に襲い掛かり斬撃を食らわせた。

 

斬り裂かれたスタークジェガンは虚しく爆砕した。

 

更に駆け抜けながら2機のジェガンとスタークジェガンを斬撃し、MS部隊を壊滅させた。

 

この戦闘を目の当たりにしたライルは、確かなフロンタルの実力を認めざるを得なかった。

 

(確かに……シャア総帥に迫る戦闘能力だ。赤い彗星の再来と言われても不思議ではない……だが、相変わらず何かが感じられない……一体なんなのだ?)

ライルは、フロンタルの信頼性に欠ける何かに疑問符を抱きながら壊滅したクラップ級艦隊を見つめていた。

 

 

 

宇宙でネオジオン勢との戦闘が活発化する一方で、地上において残存群も活発化させていく。

 

だが、大概の戦闘は性能差から来る一方的な駆逐戦闘になっていた。

 

とある連邦軍基地において、8機のドムトローペンの一味がラケーテンバズーカで連邦軍基地に強襲をしかけていた。

 

それぞれが高速に走行しながら基地に砲撃を仕掛け、警備のジムⅢやネモを破壊していく。

 

その最中、基地から3機編成のスタークジェガン小隊が出撃する。

 

高められた機動力でバズーカやマシンガンの弾丸を躱しながらビームライフルを撃つ。

 

2機のドムトローペンが放たれたビームライフルに貫かれ横転。

 

地表を転がるように爆破した。

 

更にスタークジェガン3機はミサイルを撃ち放つ。

 

ミサイルは正確に撃ち込まれ、4機のドムトローペンを破壊した。

 

そしてバズーカを装備した隊長機のスタークジェガンは残りの2機に一気に仕掛け、バズーカの砲撃を食らわせ瞬く間に撃破した。

 

またある地帯では、ザクやグフの群れをフライトユニットへ搭乗したジェガンが上空より、ビームライフルを駆使して蹂躙する。

 

残存群は上空からの攻撃には圧倒的に不利であった。

 

反撃するマシンガンの弾丸が虚しく虚空に消え、それがビームとなって帰ってくる。

 

実質的に第三次ネオジオン抗争の火蓋はきって落とされている昨今、地上の地球連邦軍は思いきった展開を出せずにいたのもまた事実であった。

 

そこにはメテオ・ブレイクス・ヘルの度重なった攻撃が影響を与えていたのだ。

 

その為、地球連邦軍は戦後従来の散発的な展開を余儀なくされていた。

 

しかし、地球規模でそれが起こり始めたのは他でもない事実であり、世界のメディアは連日報道をし続ける。

 

中国エリアの反地球連邦ゲリラ・斗争の野戦キャンプ地でも、ラジオ放送で各地で起こる戦闘のニュースが流れていた。

 

トレーズとの戦いに破れた後、彼らと行動を共にしていた五飛は、未だ敗北を引きずり続けていた。

 

五飛がニュースに聞き入る中、李鈴が温かな中華スープを差し入れに出して来る。

 

いつになっても、五飛の視点ではどうしても妹蘭に見えてしまい、彼女に見入ってしまう。

 

「五飛、差し入れだ……」

 

「……謝謝」

 

軽く礼を言いながら五飛はスープを飲む。

 

李鈴は五飛と斜めに向き合う位置に腰掛けスープを飲み始めた。

 

「五飛は何故メテオ・ブレイクス・ヘルに?やはり何か特別な想いがあっての事なのか?そろそろ教えてくれ……私は知りたい」

 

李鈴は女性的な勘からか際どい質問をし、際どい所を突いてきた。

 

五飛は妹蘭を想い起こし、表面的に話した。

 

「特別な想い―――無論だ……誰もが相応の想いでガンダムに乗っている。俺は地球圏の悪を叩く為に戦っていた……」

 

「戦っていた……か」

 

「今の俺は弱い……俺は強いやつに負けた……!!!!」

 

「何度も聞いた……強いやつに負けたならもっと強くなればいいじゃない?いい加減ふっ切れなよ……もう半年も経つんだよ!?」

 

「……強い奴に勝ってこそ正義は貫ける!!!そいつに負けた俺にはもう戦う資格はない……では妹ら……いや、李鈴は何故戦い続ける!??」

 

李鈴は逆に放たれた五飛の問いかけにすんなり答えた。

 

「故郷の為……これまで、この地は連邦に圧制されてきた。その連邦に反抗する為にはこの方法が一番良いものと信じ行動をしてる……変?」

 

「弱いのに何故戦い続ける!??あの戦力では死にいくようなモノだ!!!」

 

「機体が弱いのは承知。でも、何もせずにいるよりはいい。心は強くいるつもりよ。五飛こそ凄い力をもっているのに何故いつまでも戦う事を止めてしまっているの……?私は不思議でならない」

 

李鈴は強大な力を持っているにも関わらず戦うことを止めてしまっている五飛の考えが不思議でならなかった。

 

「言ったとおりだ……完膚なきまでにやられた……ある強い男にな……」

 

「だからといって戦うことを止める理由にはならないよ?勿体なさすぎる……せっかくガンダムという力を持っているのに……」

 

李鈴の言葉は最もであった。

 

故に五飛の言葉はぐうの音も出なくなってしまう。

 

「っく……!!!」

 

「少なくとも五飛の持つ強さは……私達からすれば高嶺の位置に……いや、宇宙(そら)の位置にあるほどの強さだ。いくらでもその強い奴を超える可能性はあると思うぞ」

 

「超える可能性……!??」

 

「そう、可能性……いつまでもその可能性に触れないままだとダメだ。ガンダム……泣いてるよ、きっと」

 

五飛はスープをすする李鈴の傍らで、普段意識しない言葉に気づきにも似た違和感を感じ続けた。

 

 

 

半年前・北米・オーガスタ研究所

 

 

 

薄暗い収監室の中で、マリーダとロニは捕らわれの身とされる中で寄り添い合いながらいた。

 

マリーダは静かに目を閉じ、ロニは疲れきったようにうつ向いて寝ていた。

 

マリーダは以前に襲われた苦痛を思い返していた。

 

(あの苦痛は……ヒイロの感覚を感じた痛み……ヒイロの身に何かがあった……一体、今どうしているんだ!?ヒイロ……!!!)

 

ヒイロから感じた苦痛というのは解っていた。

 

それ相応の事があったのは間違いない。

 

マリーダは捕らわれの身としていたにもかかわらず、ヒイロが気がかりでならなかった。

 

「う……ん」

 

その時、マリーダの肩に寄り添っていたロニが目を覚ました。

 

「ロニ!目が覚めたか?」

 

「うん……ゴメン、マリーダ。寝ちゃった……」

 

「いや、ロニも疲れていたんだ……気にするな」

 

マリーダには不安と恐怖で疲弊したロニの心が直に伝わってくる。

 

マリーダはそんなロニへと頭を寄せて囁く。

 

「大丈夫……いつかは必ずチャンスは来る……今は耐えよう……」

 

「うん……」

 

その時だった。

 

突如と扉が開き、研究所の男達が入室してきた。

 

ロニは怯え、マリーダはロニをかばうように鋭い視線を向ける。

 

男達の誰もが冷徹な眼差しをしており、押し寄せるかのようにマリーダとロニに迫る。

 

「……出ろ……準備は整った……」

 

「何の準備だ?貴様達からは邪な感覚しかしない……何をたくらんでいる!??」

 

マリーダは毅然と研究所の男達に立ち向かう姿勢でいた。

 

「立場をわきまえろ……」

 

そう言いながら研究所の男達はロニから連れ出そうと動く。

 

「嫌……触らないで!!嫌ぁっ!!!」

 

ロニはただならぬ嫌悪感から必死に拒絶して身体を振るわせる。

 

「黙ってこい!!!」

 

「あぅっ!!」

 

「貴様っ……!!!ロニをどこへ連れていく?!!」

 

研究所の男は容赦なくロニの頬を殴打し、強引に引きずり出すようにロニを連れ出す。

 

研究所の男の行為にマリーダの怒りの表情が露になる。

 

「黙れ、貴様も来い!!」

 

「ちぃっ……!!!」

 

マリーダは立場上、どうにもならないことに耐えながら連れ出される。

 

すると廊下通路からマリーダとロニは、別々に別れさせられてしまう。

 

「マリーダっ、離れ離れは嫌っ!!!マリーダぁ!!!!嫌ぁああっ!!!」

 

「ロニっ!!!っく……!!!」

 

この状況で唯一の味方であるマリーダとの離別にロニは、思いの外拒んだ。

 

ロニの悲痛な叫びにどうしてやる事もできない状況に、マリーダはひたすら悔やみ悔やむしかなかった。

 

更に研究所の男はロニの髪をむしるように掴み、凄みを叩きつけた。

 

「黙れというのがわからんかぁああっっ!!?きーきーきゃーきゃー言いやがって!!!!黙って歩けぇっっ!!!!」

 

「………っ!!!?」

 

ロニは怯えすくみ、力を失なったように連れていかれた。

 

マリーダを連行する研究所の男は、囁くようにいい始めた。

 

「あの被験体にはな……精神操作と最新の強化剤投与と手術をじっくり施させてもらう……そうすれば……くくく」

 

「ふざけるな!!!人体実験などと……貴様達は本当に人か!??」

 

「強化人間風情に言われる筋合いはない!!!!」

 

マリーダの怒りは研究員のその一言で頂点に達した。

 

「ちっっ……貴様らぁああああ!!!」

 

抑えきれない怒りに駆られたマリーダは、頭突きで研究所の男の一人をぶっ飛ばす。

 

「ぐぁっ!??」

 

「立場をわきまえろぉぉぉっっ!!!」

 

突如のマリーダの抵抗に対し、研究所の男はスタンガンをマリーダの胸に押し当てながら電撃を浴びせた。

 

「ああああああああっっっ!!!?」

 

マリーダは全身を襲う激痛に耐えきれず、悲痛な叫びと共に床に倒れてしまう。

 

更にスタンガンを浴びせた研究所の男は、倒れたマリーダの髪を掴み上げながら強引に立たせると、再びマリーダを連行していった。

 

オーガスタ研究所は0084以降、長きに渡り強化人間の研究を行ってきた地球連邦軍が所有する研究機関である。

 

マッドサイエンティスト達の実験場と言っても過言ではなく、非人道な人体実験を行ってきた。

 

近年では難民や戦災孤児を拉致して人体実験をしており、そしてその大半は、過剰な人体実験の末に死に至り、「廃棄処分」という人道外れた概念で闇に葬られていった。

 

例外にジオン残存勢力から手に入れたニュータイプは大切に保護されていた。

 

そこには純真なニュータイプと思われる者は貴重視されていた傾向があった。

 

プルが正にそれであった。

 

だが、プルはメテオ・ブレイクス・ヘルの行動開始時のテロで、大半はエージェント達によって救助された。

 

それ以降に拉致した被験体の中で見事に成功した存在がキルヴァである。

 

キルヴァは元より闘争心が過剰な分、更なる戦闘狂となり、悲劇的な強化人間とは一線を画す存在となっていったのである。

 

キルヴァはロニの強化実験にガラス越しに立ち合いながら、かじりついたフライドチキンを片手に意気揚々と見学する。

 

「……んぐ……きひひ、ダカールで俺が感じた被験体の女……か!!よく見りゃ、ネオジオンの女と並んで俺の好みだぁ……ひゃはーっ!!」

 

「嫌ぁっ!!嫌ぁあああ!!!あぅぅっ、はなしてぇ……!!!」

 

ロニの悲痛な悲鳴が響くが、狂気の固まりのようなキルヴァにとっては余る程の至福の瞬間であった。

 

「きひひひ!!いい光景にイイ声だぜ~……!!!なぁ、ベントナのおっさんよぉ!??」

 

キルヴァが話しかけた禿頭、痩せぎす、猫背のベントナという男は、オーガスタの人体実験の元締めを勤める所長である。

 

ベントナは卑屈な笑みを浮かべ、キルヴァに答えながら研究員に指示を出す。

 

「くくく……ひひひ……相変わらず非情なやつだな……キルヴァ。よし、各筋肉にネオ・グリフェプタンを投与しろ」

 

研究員は頷きながら筋肉注射的機能がついた装置をロニに取り付ける。

 

そして装置を起動し、ロニの全身に味わった事のない激痛がはしった。

 

「―――っっ、きゃぁああああああああっっ!!!!」

 

甲高いまでのロニの悲鳴が実験室に響き渡る。

 

更なる悲痛な叫びが聞こえる中で、キルヴァとベントナはニヤニヤと笑い、研究員達は無表情で苦しみあがくロニを監視する。

 

「あぁあああああっっ、嫌ぁああああああああっ!!!」

 

「かぁーっ!!イイ声♪なぁ、ベントナのおっさんよ……これで見事に乗りきったら洗脳処置すんだろ!?そんときは俺の女と洗脳してくれ!!」

 

「お前も好きだなキルヴァ……イイだろ。希望に答えてやる」

 

「キヒヒ!!まぁ、Ξガンダム乗る手前、ヒロインは欲しいからな!!!ヒロインは必須だぜぇ……!!!」

 

 

現在―――

 

アフリカエリア・ジオン残存軍戦闘ポイント上空

 

 

 

アフリカエリア上空を飛ぶオーガスタ所属のガルダから禍々しいシルエットのガンダムが飛び出す。

 

狂気の鳥とも悪魔とも呼べるそのガンダムは、眼下で連邦サイドに攻撃をかけるジオン残存軍の部隊目掛け下降していく。

 

そのガンダムのモニターにはドム・トローペンや重装型グフ、ドワッジ、イフリートが展開し、ジムⅢやネモ、ジェガン部隊と決死の交戦を繰り広げる光景が広がる。

 

そして直ぐに多数のロックマーカーが表示され、同時に禍々しいシルエットのガンダムは機体から複数のミサイルを放った。

 

だが、ミサイルは撃ち出された直後、直ぐに敵機に向かわず空中をホバリングした。

 

そして次の瞬間、意思を持ったかのようにミサイル群は不可思議な軌道でジオンサイドのMSに向かい、縦横無尽に飛び交いながらこれらを駆逐していく。

 

それはΞガンダム同様のサイコミュ兵器・ファンネル・ミサイルだった。

 

突然の奇襲に対応できずに、ドワッジやドム・トローペンの機体群は次々に破砕され爆発。

 

重装型グフにはビームバスターの高出力エネルギーが襲いかかり、爆砕させた。

 

駆逐され、燃え上がる機体群を見下すかのような冷酷な眼差しで見る女性パイロットが呟き、眉間にシワを寄せる。

 

それは強化人間に変わり果てたロニだった。

 

「ジオンの下等機械め……煩わしいんだ……!!!!さぁ……次ぎは貴様だ!!!」

 

ロニのコントロールの下、禍々しいシルエットのガンダムはビームバスターを連発し、ジオンサイドのMS達を更に破砕させた。

 

 

中東アラブ国境付近

 

 

 

グリニッジ標準時の時同じくして、デザートザクやデザートゲルググ、ドワッジの部隊が展開する砂漠の上空で、フライトユニットに搭乗したジェガンの部隊が空中よりビームを撃ちながら迫る。

 

撃ち注がれるビームは旧式化したMS達に襲いかかり、直撃を食らわせられたデザートザク数機が爆発四散する。

 

「ちきしょう!!なめるなよ!!!」

 

ドワッジに乗った残存兵は、上空のジェガンに向かいバズーカを連発する。

 

砲弾は幾つも掠めるが三発目が直弾し、そのジェガンは撃墜された。

 

「しゃあっ!!見たか―――がぁっ!??」

 

だが、直ぐ様に撃ち注がれるビームに空しくドワッジは破砕された。

 

デザートゲルググがブースターでステップをかけ、タイミングを合わせて同胞を撃ったジェガンへとビームライフルを放つ。

 

空中に吸い込まれたビームは再びジェガンを仕止める。

 

不利な戦況の中で、ジオン残存勢力は意地を見せ付けるかのようにジェガン部隊に対し、拮抗し始める。

 

だが、直ぐに増援として来たロトの部隊による砲撃が開始され、ジオン残存勢力は次々と直弾を受けながら破壊されていく。

 

「くっそぉ……!!!退避せざるをえんかっっ……!!!」

 

だが、今度は地上より走り始めたビーム弾雨がロトやジェガンを撃ち墜とす。

 

それはマグアナック隊の攻撃によるものであった。

 

ラシード機、アブドル機、アウダ機を筆頭に量産機の部隊が自国の自衛の為に攻撃を仕掛ける。

 

「俺達の国は俺達で守るしかねぇっ!!!野郎共、怯むなよ!!!」

 

「もちろんでさぁ!!!」

 

「みっちりやらせてもらいますぜ!!!」

 

ラシード機とアブドル機は撃ち放つビームライフルでロトやジェガンの部隊に直撃をあびせ、アウダ機はクロー攻撃でロトの胸部を貫通させ爆破させ、ヒートトマホークの斬撃で一刀両断して見せる。

 

「中東の反抗勢力か!??く!!!体制を立て直す!!!展開中の部隊はガルダ及び駐屯基地へ帰還せよ!!!繰り返す……」

 

「隊長!!!!ガルダが!!!!」

 

「何!!?」

 

隊長機がガルダを向いた先で、ガルダと輸送機が空中で激突し合う光景を目にした。

 

「あれは……一体どういう……!??」

 

 

 

ディディッガイィイイイイン!!!

 

ダダァズゥガアアアアアアン!!!

 

 

 

その刹那に、ガンダムサンドロックのヒートショーテルの斬撃が2機のジェガンを破断させ、そこからステップするかのように周囲のジェガンへ個々に取り付き、更なる斬撃を浴びせ続けた。

 

瞬く間に斬撃された5機のジェガンが空中爆破した。

 

 

 

ザシュガガガォオオオオッッ!!!

 

ドドドゴォバァアアアアアアア!!!

 

「ここも連邦とジオンの戦闘が及んでいましたか!!!勿論、連邦を叩かせてもらうよ!!!」

 

目を光らせたガンダムサンドロックは、ビームサーベルで斬り掛かるジェガンをクロス・スラッシュで破断させてみせた。

 

「おおお!!!隊長、カトル様です!!カトル様ですよ!!!」

 

「あぁ!!!勇者達が帰って来てくれた!!!野郎共、援護射撃怠るなよ!!!空中と地上に別れ展開しろ!!!」

 

「おおお!!!」

 

ラシード機、アブドル機を筆頭に援護のビーム射撃を強め、ジェガン部隊を撃墜していくマグアナック隊。

 

地上ではロト部隊への攻撃が更に強まる。

 

半年ぶりにカトル達と再会したことによる、士気の高まりは確かなものであった。

 

アウダも士気を上げてロトに攻め混む。

 

「カトル様達が来たなら百人力だぜ!!!おらぁあ!!!」

 

アウダ機のクローがロトを突き貫く。

 

その時、近くにいたデザートゲルググの肩に砲弾が直撃する。

 

「ぐおあ!!?」

 

「!??させっかよ!!!」

 

早速アウダはデザートゲルググを守るようにアームクローを盾にして踏み込む。

 

アームクローはガンダニュウム合金性な為、かなりの耐久性がある。

 

「俺達はアラブのマグアナック隊だ!!!ジオンの残存兵、早く行け!!!」

 

「す、すまない!!」

 

アウダ機や他のマグアナック隊の攻撃でデザートゲルググは辛くもマグアナック隊側へと逃がれた。

 

一方でガンダムデスサイズのビームサイズの一振りが3機のジェガンをまとめて斬り裂き破砕させる。

 

そこへジェガン3機がビームライフルを撃ち込みながら迫る。

 

ガンダムデスサイズは高機動性を活かし、左右に機体を動かしながら加速。

 

ビームサイズでジェガンを斬り払い、斬り伏せ、斬り裂く。

 

致命的に装甲を焼灼されたジェガン3機は、駆け抜けたガンダムデスサイズの背後で四散して砕け散った。

 

「近くには民間都市があるってのにドンパチしやがって……死神が地球のバカ野郎共を制裁してやんぜ!!!」

 

大きく振りかぶったビームサイズを掲げながらビームサーベルで斬り掛かるジェガンを斬り伏せ、一瞬に分断させた。

 

 

 

ヴォドドドドゥルルルルルルルルゥゥゥ!!!!

 

ディギャギャギャガガガゴォオァァアアアアン!!!

 

 

 

地上で砲撃展開していたロトの部隊にガンダムヘビーアームズのビームガトリングとブレストガトリングが撃ち込まれ、砲撃展開中のロトの機体群が瞬く間に蜂の巣にされて爆発。

 

更にガンダムヘビーアームズは1機のロトの真上に降り立ってこれを踏み潰した。

 

ロトを踏み潰したままビームガトリングを突き出し、

前面上のロト部隊を個々に粉砕させてみせる。

 

「これまでと変わらないやり方で格下のジオンのMSを人権無視で破壊する。だが、俺達がそこへ出会(でくわ)した事によりそれは逆転する……あくまでこの戦闘だけだが……」

 

ガンダムヘビーアームズにロトの一斉砲撃とミサイル群が襲いかかるが、全く動じずにマシンキャノンを含むガトリング系武装を一斉に連射し、ロト部隊を横軸状に破壊し尽くしていった。

 

その頃、斗争の野戦キャンプ地の周辺で戦闘が巻き起こっていた。

 

李鈴の陸戦ジムや仲間のジムコマンド、ザク、グフが空中から迫るサポートユニットに搭乗したジェガン5機に反抗の攻撃を仕掛けていた。

 

無謀な弾丸が躱され、空中へと吸い込まれていく。

 

だが、李鈴は再度ロックオンし、バズーカを撃ち放った。

 

「墜とす!!!」

 

陸戦ジムが放ったバズーカが、僅かなズレでジェガンの肩を破壊し、サポートユニットから墜落させた。

 

「仕留めた!!!旧式だからといってナメるからだ!!!みんな、攻め続けろ!!!攻めこそが最大の防御だ!!!」

 

「了解だぜ!!!」

 

「おうさ!!!」

 

「しゃあっ!!!」

 

李鈴の仲間達は気合いを入れ直し、マシンガンやミサイルランチャーを撃ち放つ。

 

その攻める行動は知らず知らずの間に弾幕を作っていた。

 

正に攻めの防御。

 

それをサポートするように斗争のゲリラ達がミサイルを撃ち放ちジェガンへと当てていく。

 

だが、ジェガンの装甲を砕くことはできない。

 

ジェガンの幾度も放つビームライフルが、斗争のゲリラ達に降り注ぎ、抉るように地表を吹き飛ばす。

 

斗争のゲリラ達もその攻撃をまともに受け吹っ飛ばされてしまう。

 

「おのれぇ……!!!食らいやがれっっ!!!」

 

斗争のゲリラ達は仲間の犠牲に更なる怒りを燃やし、抵抗の限りを尽くそうと行動をするが、やはりミサイルはチタン合金の装甲に阻まれ、虚しく終わる。

 

ジェガンのパイロットは対人モードに切り替え狙いを定めた。

 

「反乱分子が……!!!」

 

先程の射撃とは異なり、ピンポイントの射撃がゲリラ達を襲う。

 

「……――――!!!!」

 

迫ったビームは瞬く間にゲリラ達を蒸発させ爆発を巻き起こす。

 

この蹂躙状況に李鈴は怒りを燃やし、ミサイルランチャーを撃ち放った。

 

「くっっっ!!!貴様らぁああああっ!!!」

 

怒りを賭したミサイルが、1機のジェガンのサポートユニットを破壊した。

 

そのジェガンは地表に落下するが、姿勢制御をして着地してみせた。

 

更に近くにいた斗争仕様のグフに片腕を無くしたジェガンが迫り、ビームサーベルの斬撃を浴びせる。

 

グフは性能差に負け、ヒートサーベルを断ち斬られながら胸部を斬撃された。

 

そのグフは野戦キャンプ地に倒れ混み、爆発を巻き起こしながら同胞達を巻き込んだ。

 

更にその最中、OZからの増援でエアリーズ5機が迫る。

 

ビームチェーンガンやミサイルが地上へ撃ち込まれ、更なる犠牲を出していく。

 

陸戦ジムのモニターには、変わり果てた同胞達の姿を捉えていた。

 

その最中、ジムコマンドやザクもエアリーズのビームチェーンガンの餌食になり爆発する。

 

李鈴はこの光景に耐えれなくなり、声を荒げながら陸戦ジムを加速させた。

 

「どれほど……どれ程仲間の命を踏みにじる気だぁああああああああっ!!!」

 

李鈴の怒りを賭したビームサーベルの斬撃がジェガンの装甲を斬り込む。

 

ジェガンに食い込んだビームサーベルはジェガンを爆発させた。

 

だが、同時にその爆発は李鈴の陸戦ジムの腕を吹き飛ばしながら倒れ混ませる。

 

「ぐぅっ……!!!まだだぁ!!!私達は決して連邦の蹂躙に屈しはしない!!!」

 

李鈴は倒れた衝撃に襲われながらも機体を起こそうとする。

 

だが、武装はシールドのみになり、敵の武装からして防戦すらもままならないのは必至だった。

 

李鈴は最期を覚悟してまだ戦おうとしない五飛に呼び掛けた。

 

無論、この状況下。

 

五飛がどこの場所にいるかは解らない。

 

李鈴は、五飛が戦闘に巻き込まれ犠牲になったという思考を決して持つことはなかった。

 

「五飛……!!!あんたは充分すぎる力を持っているんだ!!!こいつらを……理不尽なこいつらを斃せる力があるんだっ!!!そのあんたが戦えなくてどうする!!!」

 

陸戦ジムから放たれる音声が周囲に響く。

 

その声は虚しく響いているかのようにも見えた。

 

倒れた李鈴の陸戦ジムにエアリーズが見下すかのように降り立つ。

 

ビームチェーンガンの銃口を突き付けたエアリーズのカメラアイが発光する。

 

李鈴の勝ち気なメンタルが限界を迎え、その心は遂に恐怖に変わり、同時に女性のか弱さをさらけ出してしまう。

 

「……っっ!!!いやっっ……死にたくないっっ……助けてよっっ!!!五飛っっ!!!」

 

「叫ばなくとも聞こえている……!!!」

 

「五飛!??」

 

突如李鈴のいる陸戦ジムのコックピットに響く五飛の声。

 

その時だった。

 

 

BGM ♪ 龍が泳ぐ時、全ては終わる

 

 

 

ギャザァガァアアアアアアア!!!

 

 

 

叩き下ろすかのように振るわれたビームグレイブが、エアリーズを斬り潰す。

 

ひしゃげるように潰したビームグレイブの斬り込み口が爆発を起こし、エアリーズを爆砕させた。

 

 

 

ダァガギャアアアアアアアアッッ!!!

 

 

 

巻き起こる爆発の中で、シェンロンガンダムが光学迷彩を解きながら出現。

 

そしてもう2機のエアリーズにビームグレイブの斬り払いを浴びせ、機体を斬り飛ばした。

 

「俺は……過去に守りきれず助けることができなかった人がいた……」

 

静に呟く五飛。

 

無論、その助けることができなかった人とは妹蘭を指していた。

 

そこへ爆発と衝撃が巻き起こる。

 

地上へと墜落したジェガンが、空中からは3機のジェガンと2機のエアリーズがシェンロンガンダムへと攻撃を仕掛ける。

 

「め、メテオ・ブレイクス・ヘルのガンダム出現!!!突然現れやがった!!!」

 

「何故こんなところに!??各機、ありったけの火力を加えろぉっっ!!!」

 

怒涛の攻撃を浴び続けるシェンロンガンダム。

 

五飛はその最中にも呟き続ける。

 

「……俺は……二度と目の前にいる者を見殺しにはしない……!!!」

 

ジェガンへと振り返ったシェンロンガンダムは、加速をかけながら飛びかかる。

 

その間に受けるジェガンの攻撃は無駄でしかない。

 

ジェガンの胸部にビームグレイブを突き刺し、そのままジェガンの機体を持上げて飛び立つ。

 

そしてそれを叩き付けるようにサポートユニットに搭乗するジェガンの1機にぶつけた。

 

2機のジェガンは空中爆砕し、炎の華を咲かせる。

 

その炎の華を突き抜けながらシェンロンガンダムはレフトハンドにビームグレイブを持ち換え、もう1機のジェガンを斬撃。

 

その攻撃から更にドラゴンハングを伸ばし、斬撃してきたジェガンを砕き貫いた。

 

瞬く間にシェンロンガンダムはMS部隊を壊滅に追い込む。

 

この戦闘状況に李鈴は直にメテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムの凄まじさを垣間見た。

 

「凄い……あっという間に2機だけになった……!!!これが五飛のガンダムの力……!!!」

 

理不尽を叩き潰すその様は正に英雄の姿を見せていた。

 

OZのパイロットも撤退を余儀無くされ、機体を退かせようと試みる。

 

「これはまずい……一旦撤退!!!体制を立て直す!!!」

 

「は!!」

 

だが、五飛は決して逃さなかった。

 

モニターに確実に捉えたエアリーズ2機をめざして襲いかかる。

 

「逃がすと思うか……?貴様達のような悪は必ず斃す!!!」

 

「わぁああああああああっ!??」

 

迫るシェンロンガンダムに一瞬にして追い付かれたエアリーズ2機。

 

1機はビームグレイブで斬り飛ばされ、もう1機のエアリーズにはドラゴンハングが突き刺さった。

 

その突き刺さったドラゴンハングの火炎放射が零距離で放射され、エアリーズの機体を吹き飛ばすように爆砕させた。

 

 

 

 

戦闘が終わり、荒れ果てた斗争の野戦キャンプ地にシェンロンガンダムが立つ。

 

その中で機能不全になった陸戦ジムを李鈴は見つめていた。

 

「……やはりジムでは限界か……また闇ルートでMSを手に入れなきゃな……」

 

「まだ戦うのか?」

 

そんな李鈴に五飛は声をかけた。

 

李鈴は髪をなびかせながら五飛に振り向く。

 

「五飛……ああ、無論だ。ああも仲間を犠牲にされて引き下がれはしない。私達の闘いは終わらない!!!」

 

「確かに当然だ……」

 

「五飛もようやく戦えるようになったみたいだな……しかし、初めてガンダムの力を垣間見た。正直感服した。素晴らしい力だ……できれば五飛……これからも私達と行動して欲しい。是非その力が欲しい」

 

「……俺は俺の闘いを続ける……悪いが気持ちだけは止めておく……世話になった」

 

「そうか……残念だ。だが、仕方がないな。それぞれの選択肢がある。強要はしない……」

李鈴は少し寂しげな笑顔を見せる。

 

「また何処かの戦場で会うぞ……絶対に死ぬな!!!」

 

李鈴は五飛のその言葉に寂しげなものが晴れ、ならばと五飛に投げ掛けた。

 

「当たり前だ!!だったら五飛のガンダムの通信コードを教えろ!!知らないままじゃ会うもこうもできないだろ!!」

 

すると五飛は何かを悟ったように口許に笑みを浮かべて静に言い放った。

 

「いいだろう……」

 

 

 

その頃、オーガスタ研究所ではロニに同様、マリーダへの人体実験措置が施されていた。

 

マリーダは遺伝子操作による、完成され過ぎた先天性強化人間であり、ロニのように容易く洗脳仕切れずにいた。

 

その為、バンシィのテストパイロットとしては保留となり、この半年間ベントナ達は日々人体実験を重ね続けていたのだ。

 

拘束椅子に体の自由を奪われた状態で、ネオグリフェプタンとは別の薬物がマリーダの全身に投与され、凄まじい激痛がマリーダを襲う。

 

最早マリーダの体は限界をむかえていた。

 

「ああああああああっ!!!ああああああああっうっうっかはっ……ぁぁああっっ!!!!」

 

苦しむマリーダを平然と嘲笑いながらベントナは実験を続行させる。

 

「ひーひひひひ!!言い声だ!!!もっとだ!!!!もっとマインドグリフェプタンを投与だ!!!!」

 

「体温、脈拍数がレットゾーンですが……」

 

「構わん!!もっとやれ!!人形に仕立てるには、更なる処置が必要!!!精神操作の為に一度自我を破壊する!!!!完全な人形戦士に仕立てる!!!たまらんなぁ……!!!!」

 

「御意……」

 

マリーダに更なる別の薬物が投与される。

 

「っっ……!!!嫌!!!嫌ぁああああああああ!!!」

 

半ば趣味も加味されたベントナの非情な人体実験にマリーダは引っ掻き回され、半年絶えた心が遂に崩壊していく。

 

マリーダが悲痛な叫びを上げれば上げるほどベントナは薄ら笑いを浮かべ続ける。

 

「かはっ……かはぁぁっ……うっくぅぅ……ぁぁああああっっ!!!」

 

「壊れろ、壊れろ!!!壊れてしまえ!!!壊れれば新しい人形に生まれ変わる!!!以前調べさせてもらったが……ニュータイプ部隊の生き残りなのだな……プルシリーズ………ひひひひ!!」

 

ボードに挟んだ資料に目を通しながら卑屈にベントナは笑い続けた。

 

「マスタァ……ヒィロォ……ねぇ……さんっ!!ワタシ……コワレチャウ……ぅぅぁぁ……あ、くぁああああああああっっ!!!」

 

マリーダは自我崩壊寸前の中でジンネマンとヒイロ、プルを想うも、やむ無く超絶な苦痛に見舞われ、幾度も悲痛な叫びを上げ続けた。

 

 

大西洋上・オルタンシア

 

 

 

アディンとオデルはミーティングルームにて、ラルフと共に今後の行動を模索する。

 

ラルフは、たばこを吸いながらポケットデータベースを手にし、世界情勢のメディア情報を見ながら表示文を呟く。

 

「L1コロニー郡にて、メテオ・ブレイクス・ヘルのアジト一斉排除・壊滅から現在……第三次ネオジオン抗争激化。連邦宇宙軍軍備強化及び本格的な戦闘体制へ……地球ではメテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムが行方をくらます……未だ鹵獲できず」

 

オデルは腕組みをしながらそれらへの意見をこぼす。

 

「流転するな世界が………どう行動しても時代は簡単には変えれんか……」

 

「あぁ。そして半年前、完全にオペレーションメテオは終った。物の見事に内側からやられた」

 

「ヒイロもその運命を受け入れた結果……失敗の最終手段たる自爆にはしった……生命はあるが未だ意識が戻らない……」

 

オデルとラルフの傍らで、アディンは悔しげに拳を握り震わせていた。

 

無論、叩きつけられた現実に対してだった。

 

「くっそぉ……!!!俺達のやってきた行動は無意味だったのか!!?どーすりゃいーんだっ!!!」

 

「アディン!!Gマイスターたるものが嘆くな!!!このような状況だからこそ現実と闘うんだ!!!!」

 

オデルは嘆き紛れに叫ぶアディンに厳しく言葉を吐く。

 

無論、兄としての厳しさだ。

 

「兄さん!!じゃあ、どうやって闘うんだよ!?!?」

 

「耐えることだ!!!チャンスは時代の流れに乗ってやって来る!!!その来るチャンスに今を耐え、備える闘いをするんだ。MSに乗るばかりが俺達の闘いじゃない」

 

「耐えるって……もう半年だぜ!??ヒイロは未だ意識は戻らねー、組織の仲間はみんなやられちまった、ネオジオン抗争は始まる、デュオ達とも連絡できねー……!!!限界だぜ!??」

 

若さ故にアディンの忍耐は限界にきていた。

 

現状を打破できない煩わしさが積み重なり過ぎていた。

 

「アディン……限界と感じ始めた所からが真の闘いだ!!!それにもう一つ。お前はプルを守ってやる闘いがある!!!彼女自身、お前を一番慕っているだろ!?」

 

「な、何言ってんだ、兄さん!!!真面目にしろよ!!!」

 

「俺は大真面目だ……ニュータイプは護るべき存在。これまでの宇宙世紀の歴史では幾多のニュータイプと思われる人々が戦死していった記録がある……その中でもプルはネオジオンのニュータイプの生き残り……もっと突っ込めば、公式記録にある戦死した彼女の片割れが今俺達が知ってるプルだ」

 

アディンはオデルから初めて聞かされる事実に驚愕する。

 

「な!?!そうなのかよ!!?一体どこで!??」

 

アディンの驚愕に答えるようにラルフも言葉を流す。

 

「メテオ・ブレイクス・ヘルの過去記録のデータベースからだ。連邦の名士官・ブライト・ノアが記した記録上の話だが、確かに第一次ネオジオン抗争の最中、ダブリンでエルピー・プルという彼女と同姓同名の少女が戦死している……」

 

それを知ったアディンは、プルの面影と死のイメージを想像してしまう。

 

煩わしく、かつ拒絶したくなる哀しみを抱いてしまう。

 

「俺達の知ってるプルは何度も言うように一番お前を慕っている。ま、要はプルが異性的にお前を好きなんだろうが、そんな彼女の為にも今を堪え忍ぶ闘いに勝てなくてはGマイスターが廃るぞ、アディン!!!」

 

「へっ……好きになってくれるのは……その……嬉しい……かな!?ま、そういう過去も絡んでると知ったら益々守らなきゃって思えてきた!!!ダブリンで死んだもう一人のプルの為にもな……!!!」

 

アディンは堪え切れない忍耐を思い改め、拳をバシッと叩いて見せた。

 

その一方で、当のプルはハワード達が回収したMSを前にして、ある意味でアディン達の想いに反する決意を固めようとしていた。

 

そのMSとはキュベレイMkⅡであった。

 

プルはそっと歩みよりながら、ぬいぐるみのように脚を広げて寝るキュベレイMkⅡに寄り添った。

 

「あたし……何故かこのコのコト解る……キュベレイ……なんだか懐かしいような不思議なキモチ……」

 

プルは自身の記憶には無いはずのキュベレイMkⅡを解り、不思議な気持ちに駆られる。

 

同時に彼女の中の決意を口にした。

 

「今……アディン達は下手に戦えない……なら、あたしがこのコでアディン達を守ってみせる……!!!決めたよ!!!」

 

プルのアディンを慕い想う気持ちが、皮肉にも彼女を戦いの世界の方向へ流す。

 

だが、その決意と想いは、プルの従順純心な心に変わりなかった。

 

 

 

 

二週間後―――

 

 

 

オーガスタ研究所

 

 

 

サイレンが響く中、警備にあたるジェガンやジムⅢが、一斉にビームライフルを射撃する。

 

その最中を3機のガンダムが駆け抜ける。

 

ガンダムサンドロックを筆頭にガンダムデスサイズ、ガンダムヘビーアームズが左右両端から続く。

 

「敵襲!!敵襲!!メテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムの強襲を受けている!!全戦力をもって……がぁあああっっ―――!!!!」

 

 

 

ディギィギャガァアアアアン!!!

 

 

 

ズゥジュガァアアアアアッッ!!!!

 

 

 

ザガギャアアアアアアアッ!!!

 

 

 

敵機に接近次第、ヒートショーテルとビームサイズ、アーミーナイフの斬撃が連邦サイドのMSを各々に斬り裂いて爆破させていく。

 

デュオはロックしたジェガン3機、ジムⅢ3機を連続で斬り裂きながらカトルに言いかける。

 

「アディン達が以前に痛手を負わせたとはいえ、戦力がまだこうもあるなんてな!!!」

 

「きっと増強されたんだ!!でも、この程度の増強はどうって事ないけどね!!!」

 

ガンダムサンドロックは勢いをつけた斬撃でジムⅢ4機を連斬し、クロススラッシュをジェガン2機に食らわせ撃破する。

 

「気合入ってんな!!カトル!!!」

 

その光景を見たデュオがジェガン2機を破断させながら言うと、トロワがジムⅢを連続で斬り砕きながら静に言った。

 

「囚われた女が掛かっているんだ。気合も入るだろう……」

 

ガンダムヘビーアームズは、アスファルトをスライドしながら減速。

 

停止した位置からビームガトリング、ブレストガトリングをぶっぱなし、前面上のジェガン、ジムⅢ部隊を砕き散らす。

 

この攻撃を受け、オーガスタ研究所のベントナは卑屈に笑いながら迎え撃つ思考でいた。

 

「くーくっくっく!!!我々連邦の現在のガンダム……味わうがいい!!!」

 

オーガスタ研究所のMSドックにはΞガンダムと共にもう一つの巨大なガンダムが控えていた。

 

そのガンダムのコックピットシートに座るロニへ、モニターに映ったキルヴァが不敵に言いかける。

 

「ロニ……来たぜ……お披露目タイムがよぉ!?!キヒ!!」

 

「そうね……邪魔な感覚―――ガンダム……ガンダムは叩き潰す!!!」

 

ロニは低くい声で呟いた。

カトル、デュオ、トロワが現状に抗うその一方で、ヒイロは未だ意識を戻さず、オルタンシアの病室で眠り続ける。

 

戦士の覚悟の代償として意識を手放したかのごとく……。

 

 

 

To Be Next Episode




次回予告

カトル達は捕らわれ続けているロニとマリーダを救出するため、宇宙への帰還を兼ねながらオーガスタ基地のシャトル基地へ強襲を実行する。

しかし、そこには強化人間に変わり果てたロニとの再会が待っていた。

一方、宇宙では半年前から続く第三次ネオジオン抗争が継続され、各地で戦闘が及んでいた。

OZと連邦、ネオジオンが攻防を繰り広げるその最中、フロンタル率いるネオジオンの部隊が、かつてのコロニー落としを再び実行しようと動き始める。

だが、歴史の水面下では新な動きが生じようとしていた。

次回、新機動闘争記ガンダムW LIBERTY

第17話 「星屑の赤い彗星」

任務……了解!!

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