新機動闘争記ガンダムW LIBERTY   作:さじたりうす

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エピソード41「禍々しきガンダム達」

月下のオーブに立ち込める張り詰める空気。

 

五つの反抗の意志と六つの凶気(狂気)の意志とが今正にぶつかろうとしていた。

 

 その間にも残存するバーナムジェガンやプライズリーオー、プライズジェスタの機体群が四つの意志に攻撃をかける。

 

 だが、彼らには些末な攻撃に過ぎない。

 

 群がるように射撃を仕掛ける三機種の群れに対し、ウィングガンダム・ゼロは二挺持ちに分離させたツインバスターライフルで幾度も小中出力の威力のビーム過流を左右交互に放つ。

 

その一発 一発が押し迫る敵機群を吹き飛ばし、その状況に追い打ちをかけるように左右に銃身を突き出しての高出力ビーム過流を見舞って一掃させてみせ、ヒイロは静かに呟く。

 

「奴らの前にコイツらを排除する。ゼロのシステム判断と同じだ」

 

ヒイロは左右に突き出していた二挺のツインバスターライフルを全面に向け、迫る敵機郡に強大な一撃のビーム渦流が撃ち放たれる。

 

図太い面積の二本のビーム渦流が幾多の敵機群を立て続けに破砕・爆破し呑み込む。

 

 ガンダムデスサイズ・ヘルはバーナムジェガンの機体群をアームド・ツインビームサイズのビーム連刃で次々に斬り飛ばしては叩き斬り、大ぶりの一撃で一挙に5機のバーナムジェガンを破断・爆砕させる。

 

 その爆発から上昇し、プライズリーオーのビームサーベルの攻撃を受け止めながら文字通りに押し斬り、そこからかざしたバスターシールド・アローのビームの刃を四発撃ってプライズリーオー4機の胸部に直撃、爆砕させた。

 

「ワラワラ来やがる、来やがるっ!!!そんなに死神様の無双祭りの来客になりたいってかぁ?!!」

 

そしてそこから爆煙を突き抜けるように加速し、強烈なアームド・ツインビームサイズの斬り払いの斬撃を放ち、バーナムジェガン4機を一斉に斬り飛ばした。

 

ガンダムヘビーアームズ改はダブルビームガトリングとバスターガトリングキャノンの連射撃を撃ち撒きながらアームバスターカノンを断続的に撃ち続ける。

 

超高速で無数のビームの弾丸がターゲットのMS達をバラバラに粉砕させ、断続に放たれる中出力ビーム渦流がMS群をまとめて吹き飛ばし破砕させていく。

 

トロワは、メインに使用するダブルビームガトリングの銃身を素早くかつ的確に操作しながらロックした敵機群を砕き散らせる。

 

「これ程の戦力をオーブだけに集中させているとはな。ロームフェラ財団は余程予算があるらしい……」

 

トロワの操作の下、次に向けたターゲットのプライズリーオー3機の頭部と胸部をダブルビームガトリングで立て続けに砕き散らし、同時にバスターガトリングキャノンでプライズジェスタ1機とバーナムジェガン2機、プライズリーオー2機を完膚無きまでに連続破砕させてみせた。

 

 ガンダムサンドロック改もまた、縦横無尽的な軌道で敵機群を斬り砕き続け、月下に爆発の華を咲かせ続ける。

 

 その華麗に振るうバスターショーテルの連続的斬撃の流れの中、ギンと眼光を放ったガンダムサンドロック改が1機のプライズジェスタをクロスクラッシャーで破断・爆砕。

 

 その向こう側にいたもう2機のプライズジェスタもクロスクラッシャーとバスターショーテルの左右交互の斬撃で斬り払ってみせた。

 

 爆発する2機を尻目に、ガンダムサンドロック改は更に爆発的かつ瞬発的な加速でドーバーバスターを放つプライズリーオー3機に飛び込む。

 

 高出力ビームを躱しながらクロスクラッシャーとバスターショーテルの斬り払いと袈裟斬りの斬撃で破断させた後、バーナムジェガンの部隊へと立て続けに切り込む。

 

「これ程の戦力を島国に投じる意図が分からない。でも、これじゃあ僕らの仕業に仕立てるのも無理があるね……!!!」

 

 ガンダムサンドロック改を目掛けて撃ち飛ばされたビームランサーだったが、当のターゲットの本人はこれを叩き落としては打ち飛ばす。

 

 次の瞬間にはバーナムジェガン達をクロスクラッシャーとバスターショーテルの連続斬撃が駆け抜けていき、これに反撃するように突貫する1機のバーナムジェガンに対し、クロスクラッシャーの刺突を見舞った。

 

一方、第一北部都市においてΞガンダムと2機のバイアラン・イゾルデが激突していた。

 

Ξガンダムが振りかざしたビームサーベルを唸らせ、青いバイアラン・イゾルデαの振るうビームサーベルとすれ違い様に刃を交える。

 

瞬間的にスパークする双方のビームサーベル。

 

「それなりに骨があるな……!!!」

 

マフティーは瞬間的感じた敵の感じをつかみながら姿勢制御と方向転換の操作を

 

2機は高速で駆け抜け、多角的な軌道を描き再びその刃を機体ごとぶつけるかのように激突させた。

 

互いの力が拮抗し、持続的に激しいスパークがはしる。

 

「禍々しい感じとこのパワー……ガンダムフェイスに恥じないだけはあるか……っ!!!」

 

しかし次の瞬間に、もう一方のバイアラン・イゾルデβがアームビームキャノンを放ってΞガンダムへと狙い中(あ)てにかかる。

 

三発の高出力の小規模ビーム渦流がはしる。

 

Ξガンダムはレフトアーム側でビームサーベルを握っているが故に、トラストシールドで防御することはできない。

 

三発の内の一発がΞガンダムの右肩部の装甲を掠める。

 

「っ……!!!」

 

マフティーは舌打ち混じりに離脱移行する操作をした。

 

Ξガンダムはビームサーベルを弾き捌いて更に撃ちはしるビームキャノンを躱し、瞬発的に離脱しながらビームバスターを放って牽制する。

 

放ったビームバスターの小規模ビーム渦流が

 

バイアラン・イゾルデβは執拗に追うように射撃を繰り返し迫り、バイアラン・イゾルデαもまたアームビームキャノンに切り換えて攻撃を慣行し続ける。

 

幾つかのビーム渦流を躱したΞガンダムは高速旋回軌道を描きながら2機のビーム射撃を振り切ると、切り裂かれる空気が唸る中で旋回しながらビームバスターを撃つ。

 

バイアラン・イゾルデα、βもまた共にビームバスターの射撃軸線から離脱すると弾幕射撃戦へと移行していった。

 

 ヒイロ達が攻撃、戦闘を繰り広げる中、禍々しい色を放つビーム過流が飛び込む。

 

 ウィングガンダム・ゼロには二本のビーム過流が、ガンダムデスサイズ・ヘルとガンダムサンドロック改には一本のビーム過流、ガンダムヘビーアームズには三本のビーム過流が突き進んだ。

 

「来たか……」

 

「おいおい……派手がましいご挨拶なこった!!!」

 

「禍々しい色のビーム……この攻撃が……!!!」

 

「奴らのガンダムか……!!!」

 

この状況にある空の上にいるネェル・アーガマからもこの状況が把握され、クルー達は息を呑んでいた。

 

その最中にも現在状況をエイーダが伝える。

 

「ガンダム4機、敵ガンダム4機と臨戦体制に入った模様……いよいよオーブを支配下に置いているOZプライズのガンダムと激突します!!!」

 

続けてミヘッシャもまたΞガンダムの状況を知らせた。

 

「Ξガンダムは2機の新型バイアランと交戦中!!!」

 

「例の2機か?!」

 

「はい!!!」

 

ケネスはΞガンダム側が不利な状況にある事を懸念し、口元に手を当てながら割り当て指示を考える。

 

(Ξガンダムが若干不利か。ヒイロ達もそれぞれのガンダムと交戦している……ではどうする??)

 

その時、思考に悩める様子に感じたミヘッシャが憂いを抱えながらもケネスに言った。

 

「彼ならば……彼ならば大丈夫です。メッサーでも色々な修羅場潜ってきましたから……私は彼と彼の今在るガンダムを信じます。部下としてもパートナーとしても信じなきゃいけませんから……」

 

「ミヘッシャさん……わかりました。マフティーメンバーがマフティーを信じるのは至極当然。判断は一任しますよ……エイーダ君、民間人解放部隊の動きは?」

 

「はい!!小規模の戦闘を展開させつつも、一ヵ所、一ヵ所を押さえています!!」

 

「そうか……(くれぐれも無茶な戦闘はさけてくれよ……)」

 

ケネスが憂いの懸念を懐く向こうで、民間人収容施設の警備に就いているプライズリーオーとプライズジェスタの小隊にサーペントとマグアナックチームが先陣を切って攻めていた。

 

二挺のダブルガトリングとビームライフル、アームビームキャノンの砲火が各敵機の上半身を穿ち砕き、爆砕させてみせる。

 

彼らの射撃に援護としてカトリーヌとジュリが射撃を撃っていた。

 

ラルフとラシード、アブドゥル、アフマドが射撃し、アウダが接近しながらアームクローでプライズジェスタの胸部を見事に貫く。

 

貫かれたこのプライズジェスタは、爆発することなくカメラアイの光を失いながら動力を力尽かせた。

 

その数分後、このポイントの収容施設の制圧は瞬く間に完了し、ラルフはアブドゥル達にこれまでの要領でオーブ市民の解放を頼む。

 

「……よし!!ここのエリアも押さえた!!マグアナックチーム!!引き続き、解放頼む!!」

 

「おうよ!!」

 

「任せとけ!!」

 

 ラシードはコックピットモニターで部下達のその働きを見守りながら、カトリーヌ達にも気をかけた。

 

「カトリーヌ様、お見事な射撃です。流石はカトル様の妹様ですな。ジュリ嬢もなかなかの狙いです。お二人とも十分に援護射撃としてお役立ちしていますよ」

 

「そんな……流石に兄さんみたいにはいかないよ、ラシード」

 

「私も一杯、一杯です。少しでも足を引っ張らないように必死です。ただでさえ命の駆け引き真っ只中ですし。でも……今こうしてオーブのみんなの為に役に立てているんだよね?私達?」

 

「ええ。お二人とも謙遜なさることはございません。もっと自信をもって下さってよいのですよ」

 

 ラシードの寛大な言葉をもらうカトリーヌとジュリは緊迫した中にも安堵を覚える。

 

 だがその直後、アラートと共にラシードの一変した声が奔った。

 

「む?!!新たな敵機の反応!!!カトリーヌ様、ジュリ嬢!!!お下がりください!!!」

 

「え―――?!!」

 

 一瞬にして一変した状況の空気にカトリーヌとジュリはついていけなかった。

 

次の瞬間、バーナムジェガンが森林地帯から飛び出し、その状況は今にもビームランサーを突き刺すような勢いだった。

 

その刃はカトリーヌのマグアナックに向けられていた。

 

「っ―――……!!!」

 

カトリーヌは急激な危機状況に見回れ、何もできないでいた。

 

しかし、次の瞬間にはビームランサーを持つマニピュレーターがビームに撃ち砕かれた。

 

その一撃を皮切りに数発のビームがバーナムジェガンを穿ち、その直後には全力でヒートホークを振り下ろすラシードのマグアナックが突っ込んでいた。

 

ラシード機のマグアナックのその攻撃は、バーナムジェガンの胸部を斬り潰しながら、機体を豪快に吹っ飛ばす。

 

更にラシードはビームライフルを撃ち、隠れ潜むバーナムジェガンを撃ち砕き続け、見事にカトリーヌの身を守り切った。

 

「カトリーヌ様に刃を向けるなどと……!!!カトリーヌ様をやらさせはしない!!!」

 

「ありがとう、ラシード……」

 

「いいえ……ウィナー家のご子族をお守りさせていただく……その当然の務めに過ぎませんよ。カトリーヌ様もどうか油断をなさらずに……」

 

カトリーヌはラシードの判断と行動の素早さに凄さを覚え、同時に自身の不甲斐なさを痛感させられた。

 

「うん(ラシードも兄さんに続く凄さを持ってる……ボクは兄さんの妹なのに……みんなの足を引っ張ってしまってるように思えちゃうよ……)」

 

カトリーヌは少しばかりブルーになっていたが、間も無くして、今度はジュリのM1アストレイにバーナムジェガンが襲いかかる。

 

「っ?!!きゃあああ??!!」

 

「今度はジュリ嬢か!!?やらさせは……!!!」

 

「ジュリちゃん!!!うぁああああああっ!!!」

 

カトリーヌは咄嗟の操作で自身の機体をバーナムジェガンに向けてぶつけにかかる。

 

その時点でレフトアームのヒートショーテルを振りかぶっており、次の瞬間には見事にバーナムジェガンの胸部を寸断させていた。

 

叩き斬られて寸断したバーナムジェガンの部位が落下と同時に爆発する。

 

「おぉ……!!!カトリーヌ様……(咄嗟とはいえ、ご友人をお守りされた上に敵機を撃破された!!!やはり、カトル様の妹君だけはある)!!!」

 

カトリーヌは機体を着地させると、ゴーグルを外しながらジュリの無事を確認し、安堵の表情を見せていた。

 

「ふぅっ!!よかった……ジュリちゃんを守れて……」

 

 

 

L3 ポイント・旧コア3に向かう航路。

 

かつての第一次ネオジオン抗争の最終戦の舞台の一つだった旧コア3。

 

このエリアにラプラスの座標が符合した為、ラプラスの箱を追うガランシェール一行は目標ポイントを目指す。

 

「かつてのネオジオン抗争の最終決戦宙域……その近辺のキケロにラプラス座標か……」

 

 ジンネマンがそう呟きながら座席に頬杖の拳を当てる。

 

「一体、何を基準にしてるんすかね?座標は。共通項がイマイチ解らないっすよねー」

 

フラストがジンネマンにぼやき気味に答えて言う。

 

「俺が知るかよ。プルだってイイ感じがするとか止まりなんだ。少なくとも悪いモノではないのは確かなようだがな。コア3までの距離は?」

 

「座標確認します……後、うんマイルっ……ちょっと待って下さい………………算出しましたが、大体約一週間かかります」

 

そのフラストの返答を基本聞いたジンネマンは、アディン達への通信回線を開いた。

 

「そうか……プル、アディン。今しばらく休んでおけ。まだまだ到達までに一週間と時間がかかる。ただし、骨の休み過ぎはするな。このご時世いつ宙賊と戦闘になるかわからん。以上だ」

 

「了~っ!!」

 

「はーい!!でも、あたしが嫌な感じ感じたらチューゾク判るから大丈夫だよー」

二人の返事はまるで息子と娘が父親に返事するような返答だ。

 

ジンネマンは頭をかきながらボソリと言った。

 

「……あいつら、遠足気分か?!緊張感の無い返事しやがって!!まったく……」

 

「とか言いつつも、そういう些細な不満がまた嫌いじゃないんじゃあないスか??」

 

「な?!!や、やかましいわ!!!フラスト!!!」

 

フラストのチャチイレに怒るジンネマン。

 

そのやり取りをギルボアが操舵レバーを握りながら聞き耳をたて、染々と呟いた。

 

「ガランシェール、今日も平常運転か……」

 

待機していたアディンとプルは一端コックピットから降りてデッキで小休止をとっていた。

 

アディンがデッキにもたれながらため息まじりに同じく小休止していたディックとトムラにぼやく。

 

 因みにディックはバルジからの脱出時にガランシェールに乗っていた。

 

「はぁ~、ずっとコックピットにカン詰めはしんどいぜー……ったくー」

 

「はっははは!ま、そうぼやくななよアディン!だが、ジェミナス・グリープのコントロール、だいぶ感じは掴めてきているみたいだな?軽くデータ見せてもらったよ」

 

「まぁね!!ケド、あくまで高速移動の感じで、戦闘に関しては今の所目立ったドンパチもないし、これじゃ、操縦の感じ鈍るかもなー」

 

「おいおい、Gマイスターの言う台詞かぁ?困るぞ、それじゃあ?」

 

「ディックさん!!Gマイスターだって人間だからさー!!」

 

 そんなアディンとディックの会話にトムラが言い挟む形で捕捉する。

 

「戦闘に関してはそろそろあるかもな。今向かっているキケロ辺りのエリア区間は宙賊多発エリアで危険なんだ。魔のエリアとも呼ばれている」

 

「へぇ~……そんなに出やがるのか、宙賊?」

 

「ああ。よく襲われる話を聞くよ。ガランシェールは偽装工作船とはいえ、半分は実際に貨物の仕事を請け負ってやってたりするからな。その関係業者では有名さ」

 

危険な領域であれば避ければいいだけの事に何故宙賊事件が多発するのか。

 

誰もが抱く事であり、アディンは言うより先に表情にそれを表した。

 

その表情を読んだトムラは、ため息混じりに理由を吐露する。

 

「……だが、同時に中小規模の資源衛生が多くある。それを利益とする業者も少なくない。ようは争奪戦に近いモノがあるかもな。だからどこの業者もMSを引っ提げて動いているのさ……ま、うちは超~強力なMSばかりで安心安泰だけどな!はははは!!」

 

「はっははは!!違いねーや!!」

 

「ジェミナス・グリープに関しては専門メカニックの俺もいるからな!!」

 

 ガンダムを引っ提げている業者は当然であるが、まずいない。

 

 現在のガランシェールには最強クラスのガンダムジェミナス・グリープやユニコーンガンダム、更にはキュベレイMK‐Ⅱを搭載している上、ニュータイプの感覚で敵の察知をしてくれるプルも居てくれているのだ。

 

「アディーン!!」

 

「お!プル……って、おわああ?!」

 

 少しばかりの優越感のような感覚で眺めながら談笑するアディンとディック、トムラの間に、プルがドリンクを持って飛び込む。

 

 プルは受け止めてもらうこと前提で突っ込んだようで、構えが甘かったアディンはプルのクッションになるように半無重力の空間を飛んだ。

 

「きゃはははは!!」

 

「ぷ、プルゥ~……ぐえ?!!」

 

 アディンは手すりに当たり、軽いダメージを受けたものの、胸元に飛び込んだプルがいることもあり、悪いような心地がいいような複雑な状況を覚える。

 

「おーい!!半無重力でそんな勢いで行動するなよー!危ないぞー!」

 

「アディンのやつ……すっかりプルちゃんとバカップルになっちまってまぁ……」

 

「あはははッ、ごめんなさーい!!はい!アディン!!喉乾いてるでしょ?!」

 

 プルは後方から和らな叱責を放ったトムラに振り向きながら無邪気に謝ると、アディンに向きなおってアディンの口にストローをあてながらドリンクを差し出した。

 

「むぐっ……チュー……」

 

 反射的にそれを口にして軽くストローで呑むアディン。

 

 傍から見ればディックいわく完全バカップルの域だ。

 

「プフー……さんきゅ……てか、いきなり飛び込んでくるなよ~」

 

「ゴメン、ゴメン!!だってずっとユニコーンの中だったんだもーん……」

 

 そういいながら自分もドリンクを飲むプル。

 

 そんな可愛らしいちょっとした仕草の画(え)はどことなくアディンをドキッとさせ、その感覚をごまかすようにドリンクをまた飲む。

 

「そ、そうかっ……」

 

 しかしプルは上目使いでアディンに抱きよりながら追い打ちをかける。

 

 プルはノーマルスーツの上半身を腰巻しているが故に、彼女の可愛らしい胸部のふくよかさがアストロスーツ越しにアディン伝わる。

 

 無論、心境さえも解ってしまうプルにアディンの心境が筒抜けに言われる。

 

「ふふ♪すっかり嬉しがちゃって~……あたしもアディンの人肌恋しかったんだよぉ~??」

 

「ば、ぶぅわぁかなことゆーな!!!」

 

 もはや無邪気な小悪魔のようなプルに、アディンは強引に殺伐な話題を引っ張った。

 

「と、所でプルっ、宙賊の気配とかはどーなんだよ?!な、何か感じるか?!!」

 

 プルは少しばかりの愚痴をこぼしながらも切り替えて自身の感覚で感じた状況を話し始めた。

 

「そーやってまたごまかすぅ~……素直じゃなーい……とりあえずは大丈夫かな??少なくともガランシェールの近くにはまだいないよ……」

 

「そっか……」

 

「ただ……」

 

「ん?ただ……なんだよ?」

 

「この先にね……あたしにとっても、パパにとっても……重大な何かが待ってそうな感覚がするの」

 

 バカップルムードから一転し、意味深な事を言うプルに、アディンが飲むストローの吸い込みが止まった。

 

「……っ……どういうことなんだ?!!」

 

「どういう事かは感覚の範囲から出ないからまだわかんない。でも、悪い感覚じゃないよ。それは安心して……ふふ♪」

 

 そう言いながらまたドリンクを飲みながら抱きよってくるプルに、アディンはポンポンと柔らかく彼女の頭を叩きながら髪をなでた。

 

 だが、次の瞬間、プルの脳裏に沈む木星間航行船、ジュピトリスの映像が過った。

 

「っ……!?!(何?!今の……?!?)」

 

「どうした?何か感じたのか?」

 

 突然表情を変えたプルに、アディンが訊ねる。

 

「え?!えっと……やっぱり、戦闘あるかも?」

 

「じゃあ、その時は俺に任せときな!!うん!!!」

 

 アディンはいつになく自信に満ち溢れながら答えた。

 

 

 

 

 オーブ首長国連邦 首都上空

 

 

 

 弾圧を受けるオーブ国民解放の正義を掲げたガンダムと悪しきガンダムとが月下に激突する。

 

 上半身にバックアーマーを被せたフォビドゥンガンダムの放つフレスベルグのビーム過流とエクツァーンのレールガンがガンダムデスサイズ・ヘルに迫る。

 

「死ーね」

 

 テキトウ調な口調でシャニはその引き金を引く。

 

 フォビドゥンガンダムから放たれた超火力はガンダムデスサイズ・ヘルに突き進む。

 

「あーらよっとぉ!!!」

 

 しかしながらその機動力はあっさりとフォビドゥンガンダムの攻撃を躱す。

 

「攻撃火器は強力だが、中らなきゃ意味ないぜぇ??それに俺は逃げ……いんや、よけるのも得意なんでな!!!」

 

「生意気ーっ……!!!」

 

 シャニは苛立った感情を芽生えさせながら武装を乱発し始める。

 

 その攻撃は悉く躱されていくが、同時にオーブの市街地に被害をもたらしていく。

 

「数撃てば中るなんて甘くないぜ……だが、躱せば躱すほど街がやられていっちまってやがる……お?!!」

 

 だが次の瞬間、フレスベルグのビーム過流がデュオの想像を超える軌道を描きながらガンダムデスサイズ・ヘルに向かった。

 

 

 Jの字を描きながらガンダムデスサイズ・ヘルの背後を捉え、徐々にその高出力ビームが迫る。

 

「おいおい……なんだよその軌道はよ?!!反則だぜぇ……!!!」

 

 直撃の瞬間、ディオはガンダムデスサイズ・ヘル背面のアクティブクロークを閉じる操作をした。

 

 

 

 ディギイイイイイイイ!!!

 

 

 

 ガンダムデスサイズ・ヘルはビーム過流の直撃を受け軌道を一時的に崩すが、滑空しながら再び軌道をフォビドゥンガンダムに向けて舞い上がる。

 

「お♪直撃ー……ってアレ??ムカつくー……!!!」

 

 撃破したと思ったシャニは思い通りにいかない現状に苛立ちを増させ、更にフレスベルグとエクツァーンを乱発。

 

 だが攻撃は次々に躱され、時折中るエクツァーンのレールガンも前面に防御するアクティブクロークに弾かれる。

 

「そんなにッ……挨拶が好きならッ……挨拶返してやんぜ!!!」

 

 レフトアームのバスターシールド・アローからビームアローを連発する。

 

 だがビーム偏向特性のシールド、ゲシュマイディッヒパンツァーに阻まれ、明後日の方向にビームアローが飛ばされていった。

 

「ありゃりゃ、マジかよ……こりゃ通常MSじゃとても歯が立たないぜ……それ以前、ガンダムだから余計にか……オーブのアストレイの兵士さん達の事を想うと気の毒だよな……!!!」

 

「近づけさせないよ……ウザイし死んでよ??」

 

 シャニの冷徹な呟きと共に再度フレスベルグが、ガンダムデスサイズ・ヘルを目掛けて火を噴いた。

 

 その一方、映画のアクションのような撃ち合いがMSサイズの次元で展開する。

 

 ガンダムヘビーアームズ改とカラミティガンダムの双方の火器が飛び交い、一方は虚空に吸い込まれもう一方は街を抉り破砕させていく。

 

 上空からのシュラークのビーム過流、トーデスブロックのプラズマ砲、スキュラのビーム過流、ケーファー・ツヴァイの二連高出力ビームがガンダムヘビーアームズ改を狙う。

 

「ぎゃははは!!!市街地なら隠れれるとでも思ったか!!!市街地ごとぶっ飛ばしてやんよ!!!」

 

「全てが高出力の武装のガンダムか……確かに敵を殲滅するには合理的な武装だ……」

 

 襲い来る高出力火器を冷静に躱し、ダブルビームガトリングとアームバスターカノン、バスターガトリングキャノンを駆使して反撃する。

 

 だがカラミティガンダムは瞬発的に躱しては、再びフルショットで見舞う。

 

 ガンダムヘビーアームズ改はこれを駆け抜けながら躱し、時折ビルの陰からダブルビームガトリングを撃つ。

 

 しかし次の瞬間に放たれたカラミティガンダムの攻撃は持続性を帯びており、再び飛び立ったガンダムヘビーアームズ改を追うようにビーム過流が流れていく。

 

 それは凄まじい破砕と爆発を巻き起こしながら都市部を破壊していった。

 

 ここにおいても躱せば民間施設が破壊されてしまうジレンマが巻き起こる。

 

「逃げても無駄だァ!!!大人しく潰されちまえ!!!」

 

「……そろそろ仕掛けるか……!!!」

 

薙ぎ払われるかのようなビーム渦流が迫り、市街地の施設を吹き飛ばす。

 

直前でフルブーストで飛び立ったガンダムヘビーアームズ改は、旋回軌道を描きながら上昇していき、ダブルビームガトリングと連発性に重視した低出力単発のバスターカノンを放つ。

 

 間合いを詰めながらのガンダムヘビーアームズ改の接近射撃は、肩や脚部、シールドといったカラミティガンダムのトランスフェイズ装甲に被弾していく。

 

だが、実弾の無効とビーム兵器の威力半減により、カラミティガンダムに未だイニシアチブはあった。

 

「無駄だぁ!!!効きゃしねーよ!!!」

 

間合いが接近し、トーデスブロックとケーファー・ツヴァイをメインに切り替えて射撃をし続けるカラミティガンダム。

 

ガンダムヘビーアームズ改にも断続的に被弾が及ぶ。

 

「射撃系ガンダム同士の撃ち合いだ。それなりの被弾は想定内だ」

 

ダブルビームガトリングの唸るビーム射撃にアームバスターカノンのビーム渦流が交互にカラミティガンダムを直撃する。

 

だが、カラミティガンダムはその直撃爆発を掻い潜り、ケーファー・ツヴァイの鋭利なシールドをガンダムヘビーアームズ改の胸部目掛け刺突した。

 

コックピットにはしる衝撃。

 

「くっ……!!!」

 

「クタバリやがれぇあああ!!!」

 

 

 

ディシュバァアッッ、ディグゥゴォオオオオオオッッ!!!

 

 

 

直後、カラミティガンダムは至近距離からの高出力ビームをガンダムヘビーアームズ改の胸部装甲に直撃させ、更に間髪いれずにトーデスブロックを狙い同じくさせてガンダムヘビーアームズ改を吹っ飛ばした。

 

一方、ガンダムサンドロック改は飛び交うバードモードに可変したレイダーガンダムの多方向の射撃を受けていた。

 

クロービームキャノンのビームが、ガンダムサンドロック改の肩や背面、シールド、バスターショーテルの刀身に被弾していく。

 

「ヒャッハー!!!滅殺!!!滅殺ぅ!!!」

 

「くっ……少し……うざったい攻撃だね……!!!」

幾度も縦横無尽にクロービームキャノンを見舞いながら飛び交うレイダーガンダムに対し、カトルはいつになく苛立ちを募らせる。

 

反撃に転じるタイミングを狙っていた矢先に、レイダーガンダムはクロー直接の攻撃に転じたアタックに切り替わった。

 

バスターショーテルとクロスクラッシャーで防戦していた状態に、クローによる鋭利な打撃と慣性が加わった衝撃がガンダムサンドロック改を襲う。

 

「くぅああああっ!!?」

 

レイダーガンダムそのものが突っ込んだに等しい衝撃で、ガンダムサンドロック改は体勢を崩されて吹っ飛ぶ。

 

そこへ更にレイダーガンダムは高速可変して一気にガンダムサンドロック改に飛びかかった。

 

「しゃあああああああ!!!」

 

殴りかかるように右マニピュレーターに装備した破砕鉄球・ニョルミルをガンダムサンドロック改へとぶち当てた。

 

 

 

ディッガギャアアアアアアアアン!!!

 

 

 

「うぁああああ!!?」

 

ニョルミルは無論ガンダニュウム合金製であり、ガンダムサンドロック改はガードを弾かれて市街地に吹っ飛ばされながら激突する。

 

激しい破壊音と白煙が巻き起こった中へ、二連ビームキャノン、フレイアを執拗にレイダーガンダムは撃ち繰り返す。

 

「滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺、滅殺ぅううううううううう!!!」

 

乱発するフレイアの高出力二連ビームは爆発と爆煙を重ねていく。

 

「うぉぇらああああああああ!!!」

 

最後に止めとばかりにレイダーガンダムの真骨頂である、口部にあたるバスターメガ粒子砲、ツォーンを見舞った。

 

 

 

ヴィグヴァアアアアアアアアッッ!!!

 

 

 

Ξガンダムには、2機のバイアランイゾルデが襲いかかる。

 

バイアランの派生機と言えど、そのフェイスはガンダムであった。

 

マフティーも相対したバイアラン・イゾルデに対してふっと笑みを浮かべてこぼす。

 

「……さしずめ、バイアランガンダムか」

 

マフティーから見ての左方からのクローによる刺突攻撃、右方からのクロービームキャノン射撃。

 

マフティーはシールドでクローを受け止めながら掠めさせるようにビーム射撃を躱し、ビームバスターで牽制した。

 

クローでシールドを引っかくように捌いた紫のバイアラン・イゾルデβはビームサーベルを取り出して斬りかかる。

 

Ξガンダムはビームサーベルで受け止め、一瞬スパークを散らさせると、捌き弾かせながら機体を一気に離脱させる。

 

2機のバイアランイゾルデは蒼いα、紫のβ共に、離脱したΞガンダムをクロービームキャノンを乱発しながら執拗に追撃する。

 

Ξガンダムはビームを躱しながらビームバスターで反撃するが、現時点では牽制の次元に留まった。

 

バイアラン・イゾルデβはビームサーベルを振りかざして更に加速し、その後方からバイアラン・イゾルデαが連続したクロービームキャノンの乱射をする。

 

ビームを躱し、シールドで受け止める中にバイアラン・イゾルデβの斬撃がΞガンダムに迫る。

 

再び斬撃受け止めると、パワー巻かせに跳ね捌いて今度はΞガンダムが斬撃を見舞った。

 

両者のビームサーベルが断続的スパークし合う中、バイアラン・イゾルデαがΞガンダムの後方に周り込んでの直接クローによる打撃を加えた。

 

「ちっ……!!!」

 

それを皮切りにΞガンダムに幾度も殴りかかり、更には近距離からのクロービームキャノンを浴びせる。

 

表面で爆発し、更には斬撃がΞガンダムを襲う。

 

バイアラン・イゾルデα、βは息を合わせるようにクロービームキャノンとビームサーベルによる斬撃を左右交互に与えてΞガンダムを翻弄し始めた。

 

攻撃に耐えれていたのはガンダニュウム合金の強度に迫るガンダリウムγ合金のお陰であった。

 

振り払い切るようにΞガンダムはビームバスターを連発する。

 

小規模の高出力ビーム渦流を躱したバイアラン・イゾルデα、βは次のタイミングで左右からクローの刺突打撃を食らわし、斬撃を重ねてΞガンダムを退ぞかせるように弾き飛ばした。

 

 

 

ダッディガァアアアッッ、ザザダギャアアアアアアアン!!!

 

 

 

オーブの首都を舞台にガンダム達が戦闘を巻き起こす月下に、張り積めた間合いの銃撃戦闘の空間が生じていた。

 

ノワール・フリーダムガンダムはルプス・ビームライフルとクスィフィス・レールキャノンの銃口を向け、ウィングガンダム・ゼロへと攻勢をぶつける。

 

 

 

 ヴィギュディギインッ、ヴィギュディギインッ、ヴィギュインッ、ヴィギュインッ!!! ディギン、ディギン、ディギン、ディギイイイイイイイン!!!

 

 

 

「気にいらん、気にいらん、気にいらん、気にいらんっっ!!!我々の統治を邪魔する者は特になぁ!!!」

 

 ウィングバインダーを展開させながら、素早いスパンで超高速の弾丸を乱発操作するユセルファーだが、この攻撃はゼロシステムによって見通しされている。

 

ウィングガンダム・ゼロはビームの弾道の全ての攻撃を躱していく。

 

「ユセルファー・ツーセンタ。貴様は自身が気に入らないものは全て淘汰し、抱いた欲望は利権をかざしてまで満たす……その最悪な身勝手がこの状況を創った……!!!」

 

ヒイロはその言葉を言い放つと、二挺に構えるツインバスターライフルを左右交互に射撃する。

 

 

 

 ヴヴァッ、ヴァアアアアアアッ!!! ヴヴァッ、ヴヴァッ、ヴヴァアアアッ、ヴヴァアアアアアアア!!!

 

 

 

 瞬発的な小出力のビーム渦流がノワール・フリーダムガンダムに迫り、ユセルファーは辛くもこれを躱す。

 

 だが機体ギリギリを掠めるように駆け抜けるビームの威力は、ビームマグナムと同等の威力を有している。

 

 左右交互に発生したプラズマ奔流の衝撃によりノワール・フリーダムガンダムは体勢を崩しかける。

 

「ぐぅうぅっっ……!!!黙れっ、反逆者風情がぁあああ!!!」

 

 ユセルファーは荒ぶる感情に乗せるようにバラエーナ・プラズマキャノンを展開させ、鮮やかなビーム渦流をウィングガンダム・ゼロに放った。

 

 

 ヴィギイィァアアアアアアアアアアア!!!

 

 

 

 バラエーナ・プラズマキャノンから放たれたビーム渦流は、飛び立つように上昇したウィングガンダム・ゼロに躱され、市街地に直撃する。

 

 

 

 ァアアアアアア……ドォグバアアアアアアアアンッッッ!!!!

 

 

 

 吹き飛び爆発する市街地に爆炎の火柱が吹き上がる。

 

 ユセルファーは瞬時に照準をウィングガンダム・ゼロに向け直して再度発射するが、狙いは瞬発的な加速で容易く回避された。

 

「愚民は搾取対象でしかない!!!統治する者の道具であるべきなのだぁ!!!それをどうするかは統治する者の自由だぁ!!!」

 

 無茶苦茶な持論を叫びながらユセルファーはエネルギーチャージさせたバラエーナ・プラズマキャノンを放った。

 

 機体をフル加速させながら、ヒイロはビーム渦流の回避を開始。

 

 ウィングガンダム・ゼロのウィングバインダーが瞬発的な加速を断続させながらオーブの月下を駆け抜ける。

 

 追従するバラエーナ・プラズマキャノンのビーム渦流は、市街地で展開していたバーナムジェガンやプライズリーオー、プライズジェスタを巻き込みながら旋回軌道で周囲のあらゆるものを破砕させていた。

 

 それはオーブの首都を吹き飛ばし、更なる業火に染めていく。

 

 オーブを解放できたとしても、オーブの市民の非日常は長きに渡ることは免れない。

 

 ノワール・フリーダムガンダムの狂気の攻撃はそれだけに止まらず、攻撃対象を地上に移し変えて高速移動をしながら無作為に各ビーム兵器を地上に放ちまくる。

 

 その攻撃は民間人収容施設にまで及ぶ。

 

 更に一つのポイントに止まり、ローリング・ツインバスターライフルのようにバラエーナ・プラズマキャノンを全周に向けて回転射撃を放った。

 

 

 

 ヴァギアアアアアアアアアアァァァ……ァアアアァァ……ァアアアアァァアアアアア!!!!

 

 ヴァグガアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!

 

 

 

 舐めるように撃ち注がれる鮮やかなビーム過流は、吹き上がるような爆炎を巻き上げた。

 

 業火に照らされ浮かぶノワール・フリーダムガンダムのその様はあたかもヒイロに見せつけるかのようでもあった。

 

「はははははははは!!!見るがいい!!!何度も言わせてもらうが、弱者は所詮強者の欲望に食いつぶされる糧に過ぎんのだ!!!」

 

「ユセルファー……貴様のオーブジェノサイドは今日をもって終わらせる……!!!」

 

 ゼロ・システムを介して、収容されたオーブ市民達の悲痛な叫び声がヒイロに伝わる。

 

 ギンと光るウィングガンダム・ゼロの両眼はヒイロの静かなる怒りの闘志に呼応するかのようにも見えた。

 

 そしてウィングガンダム・ゼロはウィングバインダーのクイックなジョイント展開と共に、爆発的加速を開始し、離れていったノワール・フリーダムガンダムへ一気に接近する。

 

「何!??」

 

 ウィングガンダム・ゼロは瞬発的な可動でツインバスターライフルの銃身を合体させながらレフトアーム側に装備し、ビームサーベルを抜刀する。

 

 その一線の斬撃はルプスビームライフルを切断、爆破させた。

 

 ノワール・フリーダムガンダムもやむを得ず抜刀し、次に来たウィングガンダム・ゼロの斬撃を受け止め、2機はスパークの閃光に照らされる。

 

「ぐうううう!!!」

 

「ユセルファー……貴様を殺す!!!」

 

 次に刃同士が捌き合った瞬間に、ウィングガンダム・ゼロは三連続の斬撃を打ち込んで圧倒。

 

 その斬撃はビームサーベルで受け止められたが、その直後のマシンキャノンの近距離射撃が連続した着弾煙を生じさせる。

 

「ぐううっ?!!」

 

 煙幕を張られ、虚を突かれるユセルファーに容赦ないヒイロの攻勢が重なる。

 

 レフトアームにツインバスターライフルの銃口を押し当て、零距離で単発の低出力の一撃が放たれた。

 

 低出力とはいえ、ビームマグナムに匹敵するビームが、ノワール・フリーダムガンダムのレフトショルダーアーマーを吹き飛ばす。

 

「ぐおおおお?!!ちいいいいい!!!」

 

 強力な反動で吹き飛んだノワール・フリーダムガンダムはクスィフィス・レールキャノンとバラエーナ・プラズマキャノンで反撃する。

 

 放たれる超高速弾とビーム渦流だが、ウィングガンダム・ゼロはある程度シールドでレールガンを防御し、高速側方移動の軌道でビーム渦流を躱す。

 

 ゼロ・システムとヒイロの持ち合わせる超絶な戦闘センスの組み合わせが成していた。

 

 ウィングガンダム・ゼロはノワール・フリーダムガンダムの懐へと飛び込み、クスィフィス・レールキャノンの左右両門の銃身をビームサーベルで薙ぎ払い、袈裟斬りの一撃を打ち込んだ。

 

 刹那にかざしたノワール・フリーダムガンダムのビームサーベルとスパークを散らす。

 

「繰り返すが、貴様はここで殺す。ゼロが貴様の愚行の情報を俺に流した……俺は様々な戦場を渡ってきたが、貴様の胸糞の悪さは類を見ないっ……!!!!」

 

「ふざけるな!!!私を殺せるかあああああ!!!」

 

 放たれる近距離のバラエーナ・プラズマビームキャノンだが、捌き弾くと同時に瞬発的な急上昇してウィングガンダム・ゼロは躱す。

 

 そして舞い上がりながらチャージしたツインバスターライフルの一撃が放った。

 

 

 

 ヴウゥゥッッ……ヴァズダァアアアアアアアアアアアッッ!!!!

 

 ドォヴァズゥアアアアアアアアアッッッ……ドォオオオオオオオオッッ……!!!!

 

 

 

 躱そうと高速後退したノワール・フリーダムガンダムだったが、放たれるツインバスターライフルのビーム過流はレフトレッグを吹き飛ばす。

 

「ぐおああああああ……!!!くっうう……バカな?!!シフト装甲はビーム直撃を半減させるはずなのにぃ……くそぉっ!!!」

 

 ユセルファーは圧倒的なヒイロのウィングガンダム・ゼロの攻勢を前に敵前逃亡よろしくフルスラスターでそのエリアから離脱する。

 

「敵前逃亡……無論逃がしはしない。相応の最期を奴に叩き付ける!!!」

 

 ウィングガンダム・ゼロはギンと両眼を光らせノワール・フリーダムガンダムの追尾に飛び立った。

 

 

 一方で、メテオ・ブレイクス・ヘルサイドの各ガンダム達もまた反撃の攻勢に転じ始めていた。

 

 2機のバイアラン・イゾルデに追い込まれかけていたかのように見えていたΞガンダムであったが、マフティーの一瞬の機転により攻勢が逆転した。

 

「……真骨頂はこれからだ」

 

 Ξガンダムから一斉にファンネルミサイルが放たれ、縦横無尽に放たれたそれは2機のバイアランイ・ゾルデに襲い掛かる。

 

 

 

 シュシュシュシュシュゴファアアアッッ―――ディディディディディガガガガガゴゴガアアッッ!!!

 

 

「?!!」

 

 

 ネェル・アーガマが補給を受けた際に、ピースミリオンにΞガンダムの開発に携わった者がいた関係から、ガンダニュム合金製のファンネルミサイルが支給されていた。

 

 実装されたそのガンダニュウム合金のファンネルミサイル弾頭がマフティーの意のままに飛び交い、両バイアラン・イゾルデの装甲をズタズタに破壊し始めた。

 

 鋭利な硬質弾が超高速で穿つ。

 

 無論弾頭は爆破することなく、繰り返し襲い掛かるのだ。

 

 ファンネルミサイルはΞガンダムの代名詞的武装であり、キルヴァの時代から猛威を奮っていた。

 

「これを狙ったのさ。劣勢に見せかけてな。調子乗られちまった分、もう少しファンネルミサイルに付き合ってもらおう」

 

 振り払おうとクロービームキャノンを闇雲に放って抵抗する2機のバイアラン・イゾルデだが、当然ながらファンネルミサイルを撃ち落とすに至らない。

 

 ファンネルミサイル群は嘲笑するように飛び交いながらじわじわとバイアラン・イゾルデ達を嬲り叩きにダメージを蓄積させていく。

 

 苦し紛れにバイアラン・イゾルデβがビームサーベルを奮い、操り手であるΞガンダム本体に襲い掛かる。

 

 だが、次の瞬間に各部の四肢や首元のジョイントに目掛けファンネルミサイルが突き刺さった。

 

 

 

 ガガガガガガガガガガズズズズウゥゥゥウウウウ!!!

 

 

 

「―――!!!」

 

 

 

 ギュイイイイイイィィィィィッッッ…………ディガガガガドォドォドォギャギャガアアアッッ!!!

 

 

 

 次の瞬間、各ファンネルミサイルがドリルのように回転かつ加速を開始。

 

 それらは機体のウィークポイント抉り砕きながら次々に貫通した。

 

 もはやボロボロのマリオネットと化したバイアラン・イゾルデβに対し、マフティーはビームバスターの銃口を向けた。

 

「アディオス……」

 

 

 

 ヴウッ―――ヴァズダアアアッ、ヴァズダアアアッ、ヴァズダアアアッ、ヴァズダアアアアアアッッ!!!

 

 ドォヴァグアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

 

 

 連発で放たれた四本の高出力ビームがバイアラン・イゾルデβに止めを刺し、爆散させた。

 

 バディを撃墜され、怒りに触れたかのようにビームサーベルを両手持ちに装備してΞガンダムへと斬り掛かる。

 

 レフトアームに装備したビームサーベルで斬連撃を受け止めたΞガンダムは、後退する軌道で受け止め続けた。

 

「相棒が墜とされて怒る……感情が伝わってくるな。一応人間らしさは残っていたか……!!!」

 

 斬撃の軌道は規則性はなく、滅茶苦茶に尽きていた。

 

 故に隙も見えやすくなっている。

 

 バイアラン・イゾルデαがガンダムサンドロックのように両手のビームサーベルを振り上げた瞬間、図体のリーチを活かしたΞガンダムの蹴りがボディーを穿ち飛ばした。

 

「……だが、悪魔に変わりはない。くたばれ!!!」

 

 

 ズバシュガァアアアアアアアッ!!!

 

 

 Ξガンダムは加速して踏み込み、大振りに振りかぶったビームサーベルの袈裟斬りの斬撃でバイアラン・イゾルデαのライトアームをまるごと斬り飛ばす。

 

 

 バズゥダァァアアッ!!! バズゥダァッ、バズダァッ!!!

 

 

 すかさず放ったビームバスターがバイアラン・イゾルデαの装甲を穿ち砕き貫通する。

 

 そしてショルダービームバスターを展開させ、前面に向けてビームバスターと共に放った。

 

 

 

 ヴィギュリリリリィィ……ヴィヴダアァアアアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 ドォズゥガァアアアアアアアァァァッッ……ゴゴッバォオォォオオオオオオオオオオッッ!!!

 

 

 

 Ξガンダムのもう一つの隠し代名詞武装・ショルダービームバスターの高出力ビーム過流に貫かれたバイアラン・イゾルテαは豪快に爆砕する。

 

 その爆発の向こう側でΞガンダムの眼光が光った。

 

 

 ガンダムサンドロック改に迫るツォーンのビーム過流。

 

 直撃かと思われた刹那にかざしたバスターショーテルの刀身がこれを弾き飛ばし拡散させる。

 

 バスターショーテルの刀身に発生させたGNDエネルギーがそれを成していた。

 

「なんだよそれぇええ?!!卑怯だぞ!!!ちきしょうがああ!!!」

 

「……僕はまだこんなところで堕ちるわけにはいかないっ……!!!この先にロニがいるんだっ!!!」

 

 カトルが示す意志を現すように発光するガンダムサンドロック改の両眼。

 

 対するレイダーガンダムはニョルミルを振りかざして直上からの急降下打撃を仕掛ける。

 

「滅殺っっ!!!」

 

 

 

 ガオオオオオオオンッッ!!!

 

 

 

「な?!!」

 

 ガンダムサンドロック改はライトアームに装備したクロスクラッシャーのシールド部でこれを受け止めた。

 

 通常のMSであれば文字通りの滅殺に至る一撃だ。

 

 しかし高純度のガンダニュウム合金がそれを許さない上に、元々ガンダムサンドロック改はパワーが並外れており、これを押しのけて見せる。

 

「はああああああ!!!」

 

 

 

 ギギギギ……ガアアアンッ、ダッギャギィイイイイインッ!!!

 

 

 

「ぐぎいい?!!」

 

 押しのけると同時に叩き付けるようなバスターショーテルの斬撃がレイダーガンダムに直撃した。

 

 地上に向けて吹っ飛ぶレイダーガンダムを追尾するようにガンダムサンドロッ改はサブビームマシンガンを連射し、高速かつ連続の着弾爆破を与える。

 

 

 更に追い付いたガンダムサンドロック改は、クロスクラッシャーの前薙斬撃と突きに加え、バスターショーテルの袈裟、薙斬撃を交互に与えレイダーガンダムを一網打尽にする。

 

「くっそがっ!!!なめんじゃねーぞ!!!」

 

 形勢逆転されたレイダーガンダムは、怒り苦し紛れにツォーンを撃ち放つ。

 

「うあ?!!」

 

 ガンダムサンドロック改は咄嗟にガードしながら吹き飛ばされた。

 

 体勢を立て直したレイダーガンダムは、バードモードに変形し、ガンダムサンドロック改から一旦高速で離脱した。

 

 そして瞬時に舞い戻り、フレイアとクロービームキャノンのアフラマズダを乱発しながらガンダムサンドロック改へと突っ込んでいく。

 

「くっ……!!!」

 

 着弾する高出力ビームに加え、クローが激突する。

 

 回避よりも防御を選択したガンダムサンドロック改は、防戦一方に晒された。

 

 レイダーガンダムは、飛び交いながら射撃とクローの攻勢を維持しはじめる。

 

 怪鳥が巨鳥に向ける鋭利な爪とエネルギービームは一方的な攻防の域になったかに見えた。

 

 だが、レイダーガンダムが高速変形しながらガンダムサンドロック改にニョルミルを撃打させようとした刹那、ガンダムサンドロック改の姿が青白い残像に変わった。

 

「なにぃ?!!!」

 

 次の瞬間にはレイダーガンダムにガンダムサンドロック改が縦横無尽に飛び交う。

 

 

 

 ディッガキィッ、ディッガキッ、ディッガキッ、ディッガキッ、ディッガキッ、ディッガキッ、ディッガキィイイイイインッ!!!

 

 

 

 PXシステムを発動させたガンダムサンドロック改の超高速のクロスクラッシャーとバスターショーテルの連続高速斬撃が、レイダーガンダムの装甲にダメージを瞬時に蓄積させる。

 

 

 

「がぁあああああ?!!なんだ、クソッタレェェェ!!!」

 

 

 

 薙と唐竹、斬り上げ下げ、刺突……多彩な軌道の斬撃が、レイダーガンダムをマリオネットのように空中で弾き踊らせる。

 

 

「君達はっ……危険だっ……いい加減っ、この島国の人達を……解放するっ……悪いけどっ……墜とさせてもらうよっ……はぁあああ!!!」

 

 

 ディッガキャアアアアアッッ!!!!

 

 

「がぎいあっ?!!!」

 

 

 クロスクラッシャーがレイダーガンダムのレフトアームを瞬間的にガッチリとホールドした上に、PXシステムの超高速の負荷がそれをもぎ取った。

 

 更にそこから背後に廻ったガンダムサンドロック改の高速滅多斬りの斬撃が加わる。

 

 次の瞬間レイダーガンダムの頭部が半回転し、ガンダムサンドロック改に向けてツォーンを放った。

 

 だが、そのビーム過流が撃ち抜いたのは青白い残像であり、更なる次の瞬間にはクロスクラッシャーによる唐竹斬撃がレイダーガンダムを打ちのめす。

 

 これらの衝撃ダメージは大量にトランスフェイズ装甲のバッテリー出力消費を引き起こし、既に効力切れとなっていた。

 

「があああああ?!!ちっきしょうがああああ!!!」

 

 クロトは怒り任せにPXを発動させた。

 

「な?!!こいつ達もPXを?!!でもっ……!!!」

 

 カトルは一瞬の動揺を見せるも、攻勢の意志を緩めない。

 

 青白い残像を描いての超高速射撃戦闘に事態が急転する。

 

 飛び交う両者の高速射撃の乱れ撃ち。

 

 しかし直ぐにレイダーガンダムはバードモードに変形し、PXの真骨頂を見せつける。

 

 弾き飛び交う合うようにクロスクラッシャーとバスターショーテル、クローが激突し合う。

 

 

 

 ディッギャイッ、ディッガギャ、ディギガッ、ガギイイイッッ、ディギャガッ、ガギアアンッッ……!!!

 

 

 

 巨鳥と怪鳥の激突する一方で、カラミティガンダムもまたPXを発動させていた。

 

「ハッハー!!!なぶり殺しにしてやんぜー!!!」

 

 シールドでの防御体勢のガンダムヘビーアームズ改に向け全方位からの超高速砲撃を浴びせる。

 

「奴らもPXを装備していたか……このまま防御をし続ければ流石のこの装甲も削られていくか……」

 

 トーデスブロックにスキュラ、シュラークの砲撃を浴び、バスターガトリングキャノンやマイクロミサイルのユニットを破壊されながらも、まだガンダムヘビーアームズ改は原形を維持していた。

 

 ガンダニュウム合金の高い耐久値を見せつけているかのようでもある。

 

 同時に周囲の市街地は完全に破砕され、炎と爆発、瓦礫の海と化している。

 

「しぶてーなぁ!!!うぉおおお!!!」

 

「!!!」

 

 オルガはガンダムヘビーアームズ改の胸部目掛け、ケーファーツヴァイを突き出して突っ込み、ビームを連射して放つ。

 

 刺突と同時のビームを浴びたガンダムヘビーアームズ改は胸部面で爆発を起こして吹っ飛んだ。

 

「しゃあああ!!!至近距離から止めだぁ!!!」

 

 カラミティガンダムは超高速の青白い残像を描きながら、吹っ飛ぶガンダムヘビーアームズ改の面前に飛び込む。

 

 オルガが、狂喜の笑みを浮かべながらトリガーを引くその刹那、ガンダムヘビーアームズ改が青白く光りながら消えた。

 

「死ねぇっ………何ぃ?!!!消えっ……がぁえあ?!!!」

 

 はしる衝撃。

 

 

 

 ガドゥルルルルルルゥヴゥゥゥゥゥゥゥッッ……!!!

 

 ディギャララララララララガガガガガガガンッッ!!!

 

 

 PXを発動させたガンダムヘビーアームズ改は、互角の超高速でカラミティガンダムにダブルビームガトリングを浴びせる。

 

 更にそれに上乗せして、ライトアームのアームバスターランチャーの超高速単発射撃も加えていく。

 

 

 

 ヴァズダァッッ、ヴァズダァッッ、ヴァズダァッッ、ヴァズダァッッ、ヴァズダァッッ、ヴァズダァッッ、ヴァズダァアアアアアアアアッッ!!!!

 

 

 

 本家のGNDドライヴの恩恵を得ているPXシステムによる高出力エネルギーと、トロワの卓越したテクニックにより、その攻撃は全て直撃していた。

 

 それ故にカラミティガンダムのトランスフェイズ装甲のバッテリーは、秒単位での大消費を余儀なくされる。

 

 オルガは全く構う事なく、闘争心をむき出しに攻勢を続けていた。

 

「クソがぁ!!!!ゴリ押しだゴラァあああああ!!!!」

 

 

 ズヴァギュアッッ、ドゥバオッッ、ズヴァギュアッッ、ドゥバオッッ、ズヴァギュアッッドゥバオッッ、ドゥバオッッ、ズヴァギュアアアアアッッ!!!

 

 

 真正面からガンダムヘビーアームズ改の攻撃を受けながら、カラミティガンダムは鬼神のごとき砲撃を浴びせようと迫る。

 

 だが、トロワは超次元的領域の中、これらを回避し続けた。

 

「馬鹿の一つ覚えの攻勢か……!!!」

 

 一方、ガンダムデスサイズ・ヘルとフォビドゥンは互いにPXシステムを発動させながら激突を繰り返していた。

 

「死神までパクった挙げ句、PXまでパクりやがるとはなぁ!!!」

 

「ハハハ!!!アヒャハハ!!!たのしー……!!!」

 

 アームドツインビームサイズとニーズヘグとが激しく弾き捌き合い、青白いスパークが連続する。

 

 死神と似非の死神の鎌の激突は、月下に激しくかつ鮮やかな青白い残像を描いていた。

 

「だがなぁ……いくらっ……パクったってよっ……本家にはっ……及べねーっ……ぜっ!!!」

 

 

 ギャギィイイイイイッ!!!

 

 

 正面から激突するガンダムデスサイズ・ヘルとフォビドゥンガンダムの両者の鎌が小刻みにギリギリと震える。

 

「ちぇっ……生意気いいやがってー……俺、お前嫌い」

 

「そこは奇遇だなぁ……こんな外道・下衆行為に加担してる時点で、死神パクってる時点で俺も大嫌い……だぜ!!!」

 

 ギンと両眼を光らせたガンダムデスサイズ・ヘルのパワーが、フォビドゥンガンダムを押し弾く。

 

「くっそ……!!!余計ムカつくー……ん?」

 

 弾かれた一時の瞬間、シャニはモニターに映った一つのポイントに目が止まった。

 

 なんとなくレベルで気が向き、映像を拡大する。

 

 するとそれは、女性達の収監施設に取り付こうとしているM1アストレイとカトリーヌのマグアナックだった。

 

 ジュリは収監施設に呼びかけながらM1アストレイのマニピュレーターを精密操作モードにして、コックピットモニター越しに生態反応が無い収監施設箇所を破壊する。

 

「私達は今のオーブの現状を解放する為に来ました!!これから施設の一部を壊してあなた達を開放します!!少し危険ですからできるだけ窓側から離れててください!!尚、私はこの国の出身です(……まっててね……今助け出すからっ……)」

 

 慎重な操作で施設の壁を崩し、牢屋区画の解体作業に移る。

 

 その間に、カトリーヌが周囲警戒をする。

 

 女性監禁施設故に、ラシード達は近辺で別に行動しており、それにまつわる場所は彼女達だけで担当して解放していたのだ。

 

 可能性として、囚われているオーブの女性達が男性恐怖症の状態にある事も考えられる為だ。

 

 カトリーヌは近く敵機を捉えていたが、精密作業を崩すプレッシャーを与えないように囁くように通信を入れた。

 

「ジュリちゃん……警戒域に機影が……でも、同時に味方……兄さん達の機影もある……多分大丈夫だよ」

 

 通常ヒイロ達のガンダムは機影に捉えられないが、味方間で反応を確認できるように特殊な波長通信波を応用しているのだ。

 

 更にガンダムの強さは凄まじい折り紙付き故に機影を確認できるだけでも、二人はどこか安心感を覚えさえもする。

 

「……わかった……ふぅ……よし、それじゃあ……外部音声で呼び掛け……」

 

 ジュリが収容されている女性達に呼び掛けをしようとした。

 

『民間救出部隊のアストレイとマグアナック聞こえますか?!!敵のガンダムが付近に接近しています!!一旦撤退してください!!!危険です!!!』

 

 オペレーターのエイーダからの緊急通信が突如入った。

 

 エイーダの口調には焦りが見え隠れする声であり、ジュリとカトリーヌはまさかの事態に戦慄を覚え、マグアナック隊、ラルフもまた只事ではないと察した。

 

「え……敵ガンダムって?!!」

 

「ここに迫ってるの……?!!」

 

 エイーダが指摘する敵ガンダムとはフォビドゥンガンダムであったが、進路上では同時にユセルファー駆るノワールフリーダムガンダムも接近していた。

 

 ユセルファーは、ヒイロに勝てないと悟り、ユセルファーにとっての築き上げた不のユートピアを破壊しようとしていた。

 

「くぅっ……ここで終わるっ、クソ!!!気に入らないなぁ!!!私の城が終わるならっ、全てを壊してしまえ!!!女達が使えなくなるなんて気に入らない!!!道連れだぁ!!!」

 

 ノワールフリーダムガンダムの機動力はウィングガンダム・ゼロと同等の機動力があり、追撃は拮抗してしまっていた。

 

 更にシャニが接近したポイントにいたジュリ達に目標を定めようとする。

 

「へっへへへ。なんか上手くいかねーし、八つ当たりしちゃえ!!!へはー!!!」

 

 PXが発動したままフォビドゥンガンダムがジュリ達に向かう。

 

 突如来る敵機アラートに、ジュリとカトリーヌは更なるリアルな戦慄を重ねた。

 

「え……?!!まさか本当に……!!!」

 

『ジュリ機、カトリーヌ機!!直ちに逃げて下さい!!!』

 

 エイーダの警告ナビの声が響く中でジュリが反応が示す方向にカメラを回すと、そこには月下に青白い閃光を見た。

 

 だが、次の瞬間には急接近するニーズヘグを振りかざしたフォビドゥンガンダムを確認する。

 

 一気に迫る死の恐怖が押し寄せ、ジュリは恐怖に固まった。

 

「あっうっ……?!!」

 

 金縛りのような地獄への招待状の空気が彼女達に張り詰めた。 

 

 

 

 

 To Be Next Episode

 

 

 

 次回予告

 

 

 

 エイーダの警告通信の中、ジュリに迫るフォビドゥンガンダムの死へ誘うその鎌に対し、カトリーヌやラシード達も応戦に転じる。

 

 だが、容易くそれは突破されてしまう。

 

 ジュリの命を奪おうとする死神のその鎌が振り下ろされる。

 

 一方で、ヒイロは徐々にユセルファーを追い詰めていき、囚われているマユラとアサギもまたこれまでになかった周囲の戦闘音から救助の予感を走らせていた。

 

 正義と狂気を掲げたガンダム達のそれぞれの闘いは佳境の境地へと向かって行く。

 

 その先に見え隠れするオーブの未来の兆し。

 

 頃合いを見計らったケネスは、オーブに引き起る隠蔽されてきた現実を地球圏全ての回線に繋げて発信するのだった。

 

 

 

 

 次回、新機動闘争記ガンダムW LIBERTY

 

 

 エピソード42 「解放への閃光」

 

 

 

 

 

 

 

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