新機動闘争記ガンダムW LIBERTY   作:さじたりうす

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メテオ・ブレイクス・ヘルのガンダム達は、アジア諸国各地に展開する地球連邦軍及びOZの基地や工場、駐屯基地へ次々と攻撃を展開する。

その攻撃活動は、ロンドベル旗艦の破壊や派遣空母艦の破壊、最新基地の一つであるシンガポール・セントーサ基地を陥落させ、更には配備されていた連邦製のガンダムをも破壊するに至っていた。

その驚異を把握しつつも、トレーズは二つのトールギスを手配し、二つの戦士に想いを馳せるのであった。






エピソード7 「崩壊へのテロリズム」

メテオ・ブレイクス・ヘルのガンダム達が行ったアジアエリアでの破壊活動は、連邦軍に衝撃を与えた。

 

その影響もあり、アジア諸国の反抗勢力討伐隊の動きも少なくなりつつあった。

 

それは中東諸国にも影響をもたらしていた。

 

ガンダムサンドロックのコックピット内で、ロニと通信を取り合うカトルは、彼女からの感謝を受ける。

 

ロニは、モニター越しに地元新聞の見出しをかざしている。

 

「地球連邦アジア・中東エリアの軍事活動撤退へ……新聞の見出しよ!あなた達のお陰よ。これで少しは私達も楽になる。ジオンの人達や他の反抗勢力の人達も救われる……ありがとう!」

 

ロニの口から感謝の言葉を受け、カトルは安堵を覚えた。

 

「そうか…それを聞いたら僕達の行動に、兆しが見えてきた気がするよ。きっとこれはその一歩だね」

 

「そうかもね。一方であなた達の行動を非難する声があるけど……私は全身全霊であなた達を支持するわ」

 

事実、メテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムによって多くの連邦軍・OZの兵士達が死んでいる。

 

それは、彼らの遺族や関係者にとって憎みの対象に他ならない。

 

それは、避けられないジレンマであった。

 

「ありがとう……そう言ってくれるだけでも嬉しいよ、ロニ」

 

「世論がどう言おうと……私とガーベイ・エンタープライズは味方よ。話を変えるけど、あのお守り…無くしてないでしょうね?」

 

急にお守りの話題に切り換えるロニ。

 

カトルはくすっと笑いながら、お守りのアクセサリーを見せた。

 

「ふふっ、大丈夫だよ。ほら、この通り!」

 

「ならぁ~…よし!」

 

「願掛けって程じゃないけど、任務の前にきゅって握り絞めてるよ」

 

ロニは頬杖をつく仕草をしながら笑って見せた。

 

「くすっ、それ聞いたら私、また嬉しくなったなぁ」

 

カトルは嬉しげなロニの笑顔を見ながら、彼女とのつかの間の時間をしっかりと噛み締めた。

 

危機は一時的に後退したに過ぎない。

 

何故なら中東諸国には、テロリストとの戦闘の側面もあるからだ。

 

況してやロニはガーベイ・エンタープライズの令嬢でもある。

 

テロリストに狙われる可能性は充分にあった。

 

(ラルフさんは臨機応変にと言っていたけど……もしもの時は任務を放棄してでもロニを守る!!)

 

任務放棄はGマイスターにとって禁忌とも呼べる暗黙のタブーである。

 

カトルはロニを守るコトに、それほどの覚悟を抱いていた。

 

 

 

一方でゼクス達は、佐世保工厰の強襲跡の調査に赴いていた。

 

バスターライフルで破壊された施設や隣接する断崖、そして、轟沈されたラー・カイラムの残骸の破壊状況から、状況の深刻さを物語る。

 

ミスズもガンダム調査隊に配属される事となり、ゼクスと共に被害状況を視察する。

 

「話に聞いていた以上の破壊力だな。この有り様は唖然を食らってならない………基地施設をここまで破壊できるMSは類を見ない」

 

ミスズの視線は破壊され尽くされた佐世保工厰から、破砕されたラー・カイラムの残骸へと移った。

 

連邦屈指のロンドベル隊の旗艦故にその衝撃は大きい。

 

「ラー・カイラム………現在の連邦の要の戦艦………こんな姿になろうとは誰が想像しただろうか…」

 

「想像は不可能さ。想像を超える力が相手なのだからな」

 

ゼクスが見上げながら呟いたミスズの疑問符に答える。

 

それに対し、ミスズはさりげなくゼクスを見て、再びラー・カイラムを見ながら言う。

 

「ゼクス……まさか、恐れてはいないだろうな?」

 

「いや、むしろ私は彼らの刃と交えたい………特に佐世保をこのようにしたガンダムとな…」

 

「ふふふ………ゼクスらしいな。ホントに…」

 

瞳を閉じて軽く笑うミスズ。

 

相変わらずの騎士道精神であることを確認し、安心感を懐く。

 

ミスズ自身は、口調には出さないものの、若干の恐怖を覚えていた。

 

「佐世保でも多くのOZの兵士達が犠牲になった。その無念は我々に託されている……この後はミンダナオ基地とセントーサ基地の視察調査に向かう予定だ。それは同胞達の無念を掬う行為であるとも捉えている」

 

「……余り意気込みすぎて、いざと言うときに無茶をするなよ。現段階はデータを取ることが重要だからな。万が一の事があれば、お前を慕う部下達が大いに悲しむ結果に繋がり兼ねない」

 

かなりの意気込みすぎを感じたミスズは、敢えてゼクスが万が一の時に悲しむのは「部下」だとゼクスに注意した。

 

「ふふ……わかっているさ」

 

その時、佐世保の兵士が失礼ながらも割って報告を告げた。

 

「失礼します!ゼクス特佐!!OZのトレーズ上級特佐から通信が入っております!!」

 

「閣下から直々にか!?」

 

「はい!!直々にです!!」

 

「わかった、すぐにいく!!」

 

ゼクスはその場を後にして、調査本部のテントに向かっていった。

 

ミスズは溜め息をつくと、髪をなびかせながら調査書類を手に歩き始めた。

 

「ゼクスが死ねば、私も悲しむんだからな…」

 

一方で、リディは破壊されたMS部隊の残骸を視察していた。

 

海上から回収されたMSの残骸が並ぶ中で、リディは怒りを覚えずにはいられなかった。

 

原型を留めていないリゼルの破壊具合から伝わるモノがそうさせる。

 

「っっ………!!!こんな間近で同胞の亡骸を見るのは初めてだ……くそっ!!!どこまで連邦を踏みにじるっっ!!!」

 

歯軋りが鳴る程に噛み締めて怒りの感情を露にする。

 

すると、ホマレが傍らで口を開いた。

 

「同感です。個人的ではありますが、自分もミンダナオの工場基地にいた同期生のヤツを失いました………世界中の連邦兵は皆、同じ思いをしている頃だと思います」

 

「ホマレ中尉…」

 

部下ではあるが、元々はリディの上官であったホマレは、口調を変えながら怒るリディを宥めさせた。

 

リディは拳をきゅっと握り、悔しさを溢す。

 

「わかっています………わかっている………!!!しかし、まだ奴等に何も一矢報いていないのが歯痒い!!!」

 

「時を待つことですよ………時を」

 

リディは、反乱ガンダム調査隊でありながら未だにガンダムに一矢報いていないのが歯痒くてならなかった。

 

実際問題、レーダーにも捉える事ができない神出鬼没のガンダムの行動は、後手に回らざるを得ないのも事実であった。

 

「時か………そうだな。耐え難いが、今は耐えるしかないよな………合同軍事演習まで!!俺は合同軍事演習が反撃のキーパーソンになると踏んでいる!!」

 

リディは、今を耐える事を自らに押し付けた。

 

一方、トレーズと通信中のゼクスが新な任務をトレーズから賜っていた。

 

「トールギスの護衛ですか?」

 

「そうだ。トールギスⅡの護衛任務を頼む。既にⅡはメルボルン基地を離陸している状態で、現在、ベンガル湾上空とのことだ。最寄りのスリランカ基地に着陸待機するよう命じてある。輸送経路上でガンダムが確認されているエリアにぶつかった。直ちに合流して欲しい」

 

トールギスⅡの護衛。

 

それがゼクス達に下された命令であった。

 

ゼクスはトールギスを駆る者としての運命を感じてならなかった。

 

 

「尚、もう一方のトールギスⅢはアイスランド工場を先刻離陸した。こちらは確認されているガンダムの行動エリアから逸れている為、問題はない。エアリーズとアンクシャの部隊で手を打った。急な押し付けですまない。事が間に合わなければ私のミスとしてもよい」

 

「いえ…とんでもありません。もしかしたらガンダムと遭遇する絶好のチャンスになるかもしれません故……」

 

「当初は敢えて護衛無しの方向で踏んでいた。重要性を無くしたかのようなカモフラージュの為だ。だが、輸送経路上にガンダムが表れては、やはり危惧せざるを得ない」

 

「そうでしたか……ではこの一件、拝命致します!!直ちに向かいましょう!!」

 

「頼むぞ…ゼクス」

 

ゼクスは通信を終えると、バッと振り向きながら颯爽と部下達へこの件の命令伝達に赴く。

 

ゼクスは予感していた。

 

この出撃でガンダムと相見える事になると。

 

「いよいよ来るかも知れないな!!時が……!!」

 

 

 

その時のヒイロとデュオのガンダムは、とある無人島に機体を潜ませていた。

 

ウィングガンダムとガンダムデスサイズが並列に木々の中で寝ている。

 

コックピットハッチの上で、ヒイロとデュオは休憩をとっていた。

 

デュオは軽食の栄養スナックをかじりながら、ヒイロとこれからの行動についてのやり取りする。

 

「さぁーて………お次はどこから攻める?そろそろヨーロッパ巡りしながらアメリカ目指すか!?来月には賑やかな祭りが開かれるみたいだしなぁ」

 

ヒイロは栄養ドリンクを一飲みして答えた。

 

「……あぁ。現時点の大きな任務は、来月に行われる、ニューエドワーズ基地の大規模演習に武力介入する任務だ。ここを目刺しながらヨーロッパの基地や周辺のエリアの勢力域に強襲をかけながら行くのも手の一つだ」

 

「中東はカトル達に任せて俺達は一気にヨーロッパ………ってか!?」

 

ヒイロは出されている任務のラインナップを選択しながら答える。

 

「待て。オルタンシアに戻ってそこからニューエドワーズを目指す手もある。いずれにせよ、その前にスリランカ基地を叩く。どうやらOZの新型機を輸送中の輸送機が停泊中のようだ。破壊命令が出ている」

 

「そんじゃー、そちらに寄り道しながらのんびりといきますか!なーに、時間はたっぷりある……そーいえばよ、ヒイロ!」

 

「何だ?」

 

「マリーダとは連絡とってんのかぁ?あんなイイ女のコ、滅多に巡り会えないぜ?どーなんだぁ~!?」

 

軽いノリでマリーダの話題を引っ張り出すデュオ。

 

ヒイロはしれっと答えた。

 

「いや」

 

「おいおい………マメにでも連絡とればいいのによ~。一応は御互いの回線コード知ってるんだろ?」

 

ヒイロは敢えて連絡をせずにいた。

 

彼女がヒイロ達との関わりを伏せておきたいと思っている事を知っていたからだ。

 

下手にこちら側から連絡を取って、彼女に不利な問題を発生させてしまう可能性もある事を、ヒイロは念頭に置いていた。

 

「あぁ。だが、マリーダにはマリーダの都合がある………それに再会すると約束している。今はそれでいい」

 

「ヒイロ…女性は油断してほったらかしにしてると直ぐに離れちまうもんらしーぜ………誰かが言ってたぞ」

 

「マリーダに限りそれはない」

 

「おお!!豪語しやがった!!って……………ヒイロをここまでぞっこんにさせる女性って………世界……いや、宇宙は広いぜ~……にしても、やっぱ暑いな…この無人島は~……」

 

 

 

ソマリア戦線のジオン残存軍の勢力域において、戦闘が巻き起こっていた。

 

中東と言えど、アフリカ大陸エリアともなれば状況は変わる。

 

地球連邦・OZソマリア基地から派遣される部隊が反抗勢力の討伐に動いていた。

 

余談ではあるが、ソマリア基地においてジオン残存軍以外にも現地のテロリストとも戦闘を継続している為、近隣であるアラビアエリアに手が回らないのも現状であった。

 

アンクシャに搭乗したジェガン部隊が、一方的に上空から攻撃を仕掛けている。

 

デザートザクや、トロピカルドムがジェガンとアンクシャが放つビームライフルの餌食になり、機体を四散されていく。

 

この光景を全周モニターで確認しながら接近するマリーダ。

 

細かいスイッチ操作をしながら、くしゃみの前兆の感覚を覚えていた。

 

「っ……―――っっ、ひょっとして、ヒイロ達が噂でもしてるのか?今は目前の任務に集中だ!!いくぞ、クシャトリヤ!!!」

 

レバーを押し込み、クシャトリヤを加速させるマリーダ。

 

凛とした目付きが戦闘の鋭い目付きに切り替わる。

 

重い重低音の加速音を響かせながら、目標ポイントへ向けてクシャトリヤが加速していく。

 

「どのエリアでも、空から蹂躙するかっ!!連邦め!!!」

 

旧式MSに対し、余りにも理不尽な連邦軍の攻撃にマリーダは怒りを示す。

 

マリーダは、目線のモニターに捉えたジェガン部隊3機をロック・オンする。

 

「メガ粒子ブラスター、ファイア!!!」

 

クシャトリヤの胸部に備えられた四門のメガ粒子ブラスターがビーム渦流を撃ち放つ。

 

 

 

ヴィギュルヴァアアアアアアア!!!

 

 

 

突如発生した高熱源に反応するジェガン3機。

 

だが、斜め上より撃ち注ぐビーム渦流は、瞬く間に3機のジェガンを叩き潰すかのように呑み込む。

 

 

 

――――ヴァズゥガァアアアアアアアッッ!!!

 

 

 

むろん、搭乗しているアンクシャも同時に巻き込まれた為、実質的に6機のMSを墜とした。

 

クシャトリヤは四枚のウィングバインダーを展開させながら、ジェガンが爆発した所でホバリングする。

 

突如の介入者にジェガン部隊は、体制を整えるため、緊急離脱していく。

 

離脱したジェガン部隊7機は、様子を伺うかのようにクシャトリヤの周りを旋回する。

 

切り裂く空気の音に包まれながら、ジェガン部隊はクシャトリヤを注視していた。

 

クシャトリヤもこれらを追うように自転旋回しながらモノアイカメラを動かす。

 

「どうかかってこようと無駄だ!!!」

 

マリーダは全周モニターに映るジェガン部隊に向かい叫ぶ。

 

それに反応するかのように、ジェガン部隊は一斉に機体をクシャトリヤへ向けて降下した。

 

各機がビームライフルを放って迫る。

 

だが、そのビームはクシャトリヤが展開させるIフィールドに阻まれ、弾き消えていく。

 

「無駄だと言っている!!!ファンネル!!!」

 

マリーダの気迫に乗るように、クシャトリヤのウィングバインダーからファンネルが射出された。

 

個々のファンネルが意志を持つように、縦横無尽に空中を駆け巡る。

 

マリーダは、一時空間感応の為に目を閉じ、2秒後かっと目を見開く。

 

一斉に各ファンネルが展開するジェガン部隊目掛け、ビーム火線を次々と撃ち放っていく。

 

連続で装甲を貫かれていくジェガンとアンクシャ達。

 

ジェガンを乗せながら射貫かれた3機のアンクシャが爆発した。

 

落下していく3機のジェガン達にも、ファンネルは容赦なくマシンガンのごとく撃ち貫く。

 

ズタボロになった機体が次々と空中で爆発・四散した。

 

1機のジェガンがビームサーベルに武装を切り替える。

 

そのジェガンを乗せたアンクシャが、クシャトリヤ目掛け、斬り込もうと突っ込む。

 

ギンとモノアイを光らせたクシャトリヤは、手首のビームサーベルを取り出し、向かい来るジェガンのビームサーベルに、エネルギー刃を激突させた。

 

ビームエネルギー同士が干渉し合うスパーク音が鳴り響く。

 

更に旋回していた3機のジェガンもビームサーベルを取り出す。

 

それらを乗せたアンクシャが左右斜め上と左斜め背後から一気に加速する。

 

四方向同時の攻撃。

 

「なめるな!!!」

 

ファンネルは迫るジェガンとアンクシャに向かい、一斉にビームを放つ。

 

どのファンネルもマリーダのイメージに従い、ビームを連続撃ちする。

 

3組の機体群がボロボロに撃ち砕かれた。

 

更に撃ち砕いた2機3組をウィングバインダーのメガ粒子ブラスターが、かき消すかのように撃ち飛ばした。

 

瞬く間に爆砕するジェガンとアンクシャ。

 

クシャトリヤはパワーでジェガンのビームサーベルを押し退けてみせた。

 

圧倒されたジェガンは、アンクシャから墜落。

 

瞬く間にファンネルのビームの餌食になり、空中で爆砕していった。

 

残ったアンクシャはその場で変形し、クシャトリヤに向かい、ガンダムサンドロックのごとく二本のビームサーベルを振りかぶって斬りつけた。

 

だが、クシャトリヤは一気に後退してこの斬撃を躱し、再び一気に迫って斬り払いの斬撃をアンクシャに見舞った。

 

上下に破断されたアンクシャの半身が爆発した。

 

マリーダは、休むことなく鋭い目付きでクシャトリヤを加速させる。

 

これらを放ったガルダ級輸送機を捉えていたのだ。

 

クシャトリヤはファンネルを従わせながら、四枚のウィングバインダーを羽ばたかせて向かっていく。

 

切り裂く空気の音が、クシャトリヤのボディーに響き、コックピットにもガタガタと加速振動が伝わる。

 

マリーダは、旋回しながらガルダ級を睨みつけ、クシャトリヤをガルダ級に接近させる。

 

その時、マリーダのニュータイプの勘がはしる。

 

「……!!出てくる!!!」

 

すると更にガルダ級からリゼル部隊が7機発進。

 

左右に旋回しながらビームライフルを撃ち放ってきた。

 

マリーダは、ビームライフルを撃ちながら突っ込んでくる1機に意識を集中させる。

 

「はぁあああ!!!」

 

振りかぶったビームサーベルを轟と振るい、豪快な袈裟斬りでリゼルを叩き斬った。

 

クシャトリヤの眼前で爆砕するリゼル。

 

マリーダは目を更に見開き、意識をファンネルへ飛ばす。

 

「―――っ!!!」

 

周囲を旋回するリゼル部隊目掛け、ウィングバインダーのメガ粒子ブラスターと組み合わせて、一気にビームを撃ち飛ばさせる。

 

その狙いは狂いなくリゼル6機を撃ち仕留めた。

 

空中に広がる炎の華の下をクシャトリヤは駆け抜け、一気にガルダに接近。

 

ビームサーベルをガルダの外壁に突き刺し、一気にクシャトリヤは加速する。

 

「沈んでしまえ!!!連邦!!!」

 

 

 

ザギャジュゴオオオォォ…――

 

 

 

ビームサーベルが、加速と共に横一線にガルダの外壁を斬り裂いていく。

 

斬り切ったと同時にクシャトリヤはガルダから離脱し、機体を反転させた。

 

「これで止めだ!!!」

 

ファンネル達の銃口が、ガルダの斬り口を狙う。

 

ファンネルの銃口にエネルギーがチャージされていく。

 

「……墜ちろ!!!」

 

 

 

ヴィヴィァアアアアアアアアアッッッッ―――!!!

 

 

 

一気に溜め込んだビームを撃ち飛ばすファンネル達。

 

一斉に放たれたビームが、ガルダの外壁に出来た斬り口に注ぎ込まれた。

 

ガルダ級に刹那の静穏が流れた。

 

次の瞬間、ガルダ級は凄まじい爆発音を上げて一気に機体を爆砕させながら砕け散る。

 

その光景を見つめながらマリーダは、一呼吸ついた。

 

「――――ふぅ………任務完了…これより現地残存軍と合流する。クシャトリヤ、ここで一休みしよう…」

 

マリーダは、クシャトリヤに語りかけると、機体を野戦キャンプのポイントへ向かわせた。

 

 

 

ジオン残存軍と合流したマリーダは、野戦キャンプのテントで援軍報告をする。

 

互いに敬礼をし合う。

 

「ネオジオンのマリーダ・クルス中尉だ。オペレーション・ファントムの一環で貴君らの援軍に来た」

 

「お疲れ様です。我々共のためにありがとうございます、マリーダ中尉」

 

ジオン残存軍の兵士達は、皆ネオジオンの兵士達に敬意を評し、階級や年齢に関係無く敬語を使っていた。

 

「こちらこそ。日々の抵抗は大変であろう」

 

「全くです。ですが、比較的連邦の攻撃頻度が落ちています。きっとオペレーション・ファントムの効果が出てきているのでしょう…」

 

マリーダは自分達ではなく、大半はヒイロ達の行動によるものだということは解っていた。

 

だが、マリーダは名目上、敢えてジオン兵士に話を合わせた。

 

「……そうかもしれないな。少しずつではあるが…」

 

その時、一人の少年がテントに入ってきた。

 

見かけはヒイロと同じくらいの少年であった。

 

「食料持ってきたよ、ジオンのおっちゃん……って―――」

 

少年は、マリーダを見るなり固まる。

 

マリーダは突如の訪問者に唖然とした。

 

するとジオン兵士は、入って来た少年について軽く触れた。

 

「ああ、彼は協力してくれている現地人の一人で、食料面で世話になっています」

 

少年は赤面しながら、しどろもどろで答えた。

 

「は、はじめまして…―~その、あ、カレッタです!!」

 

「ネオジオンのマリーダ・クルス中尉だ。カレッタ、食料面の協力………感謝する」

 

「い、いえ……出来ること、やらせてもらってます!!じゃ、これで!!」

 

「あ…」

 

早々と立ち去るカレッタ少年。

 

マリーダは直ぐに彼の感情を読みとり、軽く笑みを浮かべた。

 

(ふふ……そういうことか)

 

テントから飛び出したカレッタ少年は、走りながら感情を抑えていた。

 

(うあ~……!!なんて綺麗な女性(ヒト)なんだぁ~!!やべー!!好きになっちまったぁあああ!!)

 

カレッタ少年はマリーダに一目惚れしてしまったのだ。

 

カレッタは芽生えたての恋心を抱えてひたすら走る。

 

ジオン兵士は飛び出したカレッタの行動に首を一瞬かしげ、マリーダに野戦キャンプ施設の案内に移行する。

 

「なんだ……?まぁいいか………ではマリーダ中尉、簡単に我々の野戦キャンプ施設をご案内します」

 

「ん?あ、あぁ、頼む」

 

マリーダは好意を寄せられた嬉しさと、ヒイロを想う気持ちとで複雑な心境を覚えた。

 

(好意を寄せられるとは参ったものだな………ヒイロと同年代のようだが、本当に少年だな。余りにも幼い)

 

ヒイロとカレッタを比べたマリーダは、違いすぎるギャップに違和感を感じてならなかった。

 

だが、ヒイロ達の場合は育った環境が特殊過ぎていたが為に、16歳ながら二十代半ばの精神年齢に至っていたのだ。

 

アディンはオデルと共に比較的一般に近い環境で育ったが、今は亡き資源衛生MO-5でテストパイロットをしてきている。

 

マリーダは初めて一般的な少年と出会ったのだ。

 

カレッタを通して感じた違和感は当然の違和感であった。

 

(環境が違えば人は変わるか……よく思えば、ヒイロ達は環境が余りにも特殊だったな……環境が……)

 

マリーダはヒイロ達と自分の境遇を重ねながら、暮れていくソマリアの空を振り返るように見上げた。

 

 

 

数時間後

 

 

 

連邦軍・OZスリランカ補給基地内で巻き起こる連続爆発。

 

唸る焼灼音。

 

ガンダムデスサイズのビームサイズで斬られたジムⅢ3機が、燃える鉄屑と化す。

 

ガンダムデスサイズは背後から迫るリーオー2機とスタークジェガン1機に振り向きながらビームサイズを振るった。

 

リーオーの胸部にビームサイズの刃が斬り込まれ、一気に機体が斬り飛ばされた。

 

ガンダムデスサイズは次から次へと撃ち注ぐバズーカやビームマシンガンの攻撃を物ともせずに、ビームサイズで各個撃破していく。

 

袈裟斬り、斬り上げ、斬り払いの斬撃を食らったスタークジェガン2機とリーオー3機は爆砕された。

 

ガンダムデスサイズはビームサイズを転がるジェガンの残骸に向けてかざす。

 

「っとまぁ…相手が悪かったな!!軽く遊ばせてもらうぜ!!」

 

ビームサイズを振るいまくり、デュオは補給物資をとことん破壊して回った。

 

上空では、リゼルとエアリーズの部隊が、バスターライフルを構えるウィングガンダムにビームライフルやビームキャノン、ビームチェーンガンの射撃で迫る。

 

ヒイロは敢えて躱さずに攻撃を受け続けながらモニターに集中する。

 

ウィングガンダムの装甲の表面で、ビームが弾くように着弾していく。

 

バスターライフルにエネルギーが充填され、コックピット内のモニターに複数のロック・オンマーカーが、攻撃をかけ続ける敵機達を捕捉する。

 

そしてマーカー表示が赤くなった。

 

「ターゲット、ロック。破壊する」

 

直後、バスターライフルの凄まじいビーム渦流が放たれ、荒れ狂うビームが複数機のリゼルとエアリーズをかき消すかのように呑み込む。

 

奔るバスターライフルのビーム渦流の周囲で、直撃を免れたリゼルとエアリーズも誘爆を起こし、幾つもの爆発光を拡げた。

 

MS隊を一掃したヒイロは、トールギスⅡを搭載したソニック・トランスポーターに狙いを定めた。

 

ロック・オンカーソルをターゲットに合わせて絞り、チャージさせたまま、バスターライフルの銃口を向ける。

 

その先で、低空にいたリゼルとエアリーズの部隊がウィングガンダムに向け発砲する。

 

「中にはトールギスⅡが搭載されている……二発の最大出力で叩く!!」

 

ヒイロは抵抗するMS部隊を無視するようにソニック・トランスポーターに集中し、トリガーを引いた。

 

バスターライフルの銃口から大容量のエネルギーが爆発する。

 

 

 

ヴィヴゥヴァアアァアアアアアアアッッッッ!!!

 

 

 

重く凄まじいビームエネルギーが、唸りながら一直線にソニック・トランスポーターへ直進。

 

上空から叩き潰すようにMS部隊を破砕させ、ソニック・トランスポーターを押し潰した。

 

 

 

ダグゥガシャアアアアアアアッッッッ――

 

 

 

アスファルトの地表に注ぐ図太いビームの渦。

 

銃口から唸り続けるビーム渦流が、一瞬爆発したかのように出力を上げた。

 

二発目分の出力を放ったのだ。

 

バスターライフルは膨大なエネルギーを注ぎ続け、ウィングガンダムはそれを維持させたままビームを右旋回させる。

 

バスターライフルの破壊範囲が拡大し、あらゆる設備を破壊し尽くしていく。

 

注ぎ続けるエネルギーがやがて収縮すると、注ぎ切った破壊エネルギーが大爆発を巻き起こした。

 

空中高く舞い上がる炎の柱は、圧巻の一言に尽きる。

 

モニターに映るこの光景を見ながら、ヒイロは不敵に笑って見せた。

 

「ふっ………任務完了」

 

トールギスⅡは事実上、最大出力のバスターライフルで破壊された。

 

この情報は東シナ海を通過中のゼクス達にも入った。

 

「っ………間に合いませんでしたか!!」

 

「あぁ………先刻、スリランカ補給基地から連絡があった。トールギスⅡはガンダムによって破壊された。報告内容から佐世保やミンダナオ、シンガポールの基地を壊滅させたガンダムに間違いないだろう…」

 

ゼクスに間に合わなかった事と、守りきれなかった屈辱感が交錯する。

 

その意思をなだめるかのようにトレーズはゼクスに言った。

 

「気に病めないでほしい。この損失は私のミスなのだ……ゼクス、君達のせいではない」

 

「閣下……しかし…」

 

トレーズはゼクスに奮い起たせるように言葉を選んだ。

 

「ゼクス……今の刻の先にガンダムがいる……今は耐えるのだ…反旗の時は合同軍事演習からだ」

 

「………承知しました。その時にはガンダムを仕止めてみせましょう!!ライトニング・バロンのプライドに掛けて!!」

 

「ああ、頼む……」

 

ゼクスは、すっと敬礼をしながらトレーズとの通信を終えた。

 

 

 

L1コロニー群 メテオ・ブレイクス・ヘル主要アジト

 

 

 

エージェントから寄せられる情報や、任務の進行状況が表示される大画面モニターを、ドクターJとプロフェッサーGが見上げながら目を通す。

 

その傍らでオペレーター達が状況を報告していく。

 

「ウィングガンダム、ガンダムデスサイズ、地球連邦軍・OZソマリア基地破壊任務を受領しました」

 

「ガンダムベビーアームズ、ガンダムサンドロック、地球連邦軍・セバストポリ宇宙港基地を目指し中東エリアを飛行中」

 

「ガンダムジェミナス01、02の両機が地球連邦軍・OZバイカル基地に接近。間もなく任務着手する模様……」

 

オペレーター達からの情報を基に現状把握するドクターJとプロフェッサーG。

 

反射するモニターの光が、二人を怪しげな印象にさせる。

 

「順調にやっているようだが、事は単純ではない。地球圏規模の敵を相手にしているんだ」

 

プロフェッサーGが呟き、それにドクターJが答えた。

 

「左様………このくらいでは奴らはビクともせんわ!まだまだ衝撃を与え続けねばなならん!!まだ始まったばかりじゃ!!」

 

「地球のエージェントから新たな情報!!」

 

オペレーターの一人がドクターJに振り向きながら通達する。

 

「む!?」

 

「オーストラリア・トリントン基地において新たな新型機が確認されました!!映像出します!!」

 

オペレーターの操作でモニターにホバリングする新型機の映像が映し出された。

 

「ふむ………こいつはグリプス戦役の時のバイアランだな。きっとこいつも合同演習に出るかもしれん…よし、新型機の破壊任務を追加しろ!!」

 

「了解!!任務情報送信します!!」

 

素早い操作でオペレーターは任務情報を送信した。

 

シェンロンガンダムのコックピット内。

 

腕を組ながら瞑想する五飛の許に情報受信ブザーが鳴り響いた。

 

瞳を開けて五飛は受信情報を開示する。

 

「任務か……」

 

サイドモニターに映る任務情報に目を通す五飛。

 

任務内容を確認すると、不敵に口許をニヤケさせてシェンロンガンダムに語りかけた。

 

「ナタク……この任務、少しはまともかもしれん。強い奴の感覚を覚える。距離は離れてはいるが、行く価値がありそうだ」

 

五飛は自動操作を解除し、自らの手でシェンロンガンダムをオーストラリアの地へと向かわせた。

 

 

 

オルタンシアでは、プルが手作りデザートを作って作業員達に振る舞っていた。

 

テーブルには彼女が作ったデザートが並ぶ。

 

デザートは彼女も大好きなパフェだ。

 

「あたしがみんな作ったんだよ!どーぞ召し上がれー!」

 

「おー!!仕事の合間の甘いもんは最高だぜ~」

 

「甘いもんは疲れにもいいしな!!頂くぜ!!」

 

喜作な作業員達がプルの手作りパフェをがつがつと食べていく。

 

だが、ハワードは口にしようとしなかった。

 

「ハワードお爺ちゃん……食べないの?」

 

「あ、いや………この歳になるとどーもこういう甘いもんは苦手でな………そうだ、アディンの分にとっておくといい。その方がいいだろ?」

 

「そっか………でもアディンの分は特別に作ってあるんだぁー♪」

 

嬉しそうにするプルを見たハワードは、もしかしたら居たかもしれない孫のように映っていた。

 

「なんじゃ、そうか。ならこのパフェはプルにやるわい」

 

「え!?やった!!あたしの分は後で作ろうかなって思っていたけど、いただきまーす!!」

 

幸せそうにパフェを食べる無邪気なプルはオルタンシアの作業員の癒しでもあった。

 

若い作業員には妹、中堅層の作業員には娘のような存在になりつつあった。

 

(このような娘がニュータイプの戦力として軍に利用される………あってはならんことだ…彼女はアディンを慕っておる。故にアディン、彼女を守ることもまた任務だぞ)

 

ハワードは無邪気なプルの姿を見て感じた事をロシアの地に赴くアディンに託す。

 

プルもまた、冷蔵庫に閉まったアディン用のパフェを楽しみにしながらパフェを食べる。

 

スプーンをくわえながら、プルはアディンを想った。

 

(早く帰って来てねアディン………パフェ痛んじゃう前に… )

 

「俺が決めるぜ!!!」

 

アディンは不敵に笑みを浮かべながらガンダムジェミナス01を進撃させる。

 

コントロールグリップを握りしめた手からは、力のみなぎりを感じさせた。

 

突き進むモニター画面上に、リーオーとジェガンの部隊がビームライフルで攻撃をかける。

 

向かい来るビームを軽快に躱しては、シールドで時折防御する。

 

加速の勢いを付けて構えたアクセラレートライフルの銃口から、中出力のビームを連発させながら撃ち放った。

 

一発、二発と撃ち放たれたビームが、リーオーとジェガンの胸部を融解させながら貫く。

 

2機が爆発を起こす間を駆け抜けるガンダムジェミナス01。

 

更なる加速をかけながらアクセラレートライフルを撃つ。

 

サイレンが鳴る中で射撃をかけるジェガン3機が、ビームに機体を抉られて爆発を巻き起こした。

 

「へへへ!!このまま一気にスペースポートへ行かさせて貰うぜ!!!お!?」

 

アディンは、加速させたスピードを維持しながらビームサーベルに切り替えて迫るスタークジェガンをロック・オンした。

 

ロック・オンマーカーが赤く点灯する。

 

「俺に接近戦は通用しないぜ!!!」

 

ガンダムジェミナス01は、アクセラレートライフルをシールドに収容し、ビームソードに切り替えた。

 

スタークジェガンのビームサーベルが、勢いを付けてガンダムジェミナス01へと襲い掛かる。

 

だが、その斬撃よりも先にビームソードの横凪ぎの斬撃が先手を取った。

 

 

 

ザギャガアアアアアアアッッッ!!!

 

ドゴォガァアアアアアアン!!!

 

 

 

その斬撃で分断されたスタークジェガンが、駆け抜けたガンダムジェミナス01の後方で爆発、四散した。

 

「おおおおおおっ!!!」

 

ガンダムジェミナス01はその勢いを繋げ、1機、また1機と取り付いて斬撃を食らわし、リーオーの機体群を斬り飛ばす。

 

撃破された5機のリーオーが立て続けに爆発し、ガンダムジェミナス01を爆煙が包み込んだ。

 

直後にガンダムジェミナス01が爆煙を突き破って飛び出す。

 

その一方でも、ガンダムジェミナス02が射撃を仕掛け、MS部隊を攻撃する。

 

シールドに添えたアクセラレートライフルが連続で唸り、4機のジェガンを立て続けに射抜く。

 

爆発していくジェガン達を尻目に駆け抜け、加速と共に迫るジェガンやロトの部隊を撃ち抜いて撃破させていく。

 

「攻撃目標は、スペースポートの破壊と搬入された新型機、ライトニングゼータの破壊だ。アディンじゃないが決めさせてもらう!!!」

 

オデルは、低空で再びガンダムジェミナス02の機体をホバリングさせてアクセラレートライフルを連発して撃ち放った。

 

正確に撃ち込まれたビームが、ロト3機、ジェガン2機を貫き、爆発四散させる。

 

その側面から、ビームライフルやビームマシンガン、バズーカの射撃が、ガンダムジェミナス02に連続で直撃した。

 

「っ!!まとめて仕止める!!!」

 

機体を自転旋回させ、モニターに映るジェガン2機、リーオー2機、スタークジェガン1機をロック・オンするオデル。

 

アクセラレートライフルの銃口にエネルギーが充填され始めた。

 

 

 

ヴィギュリリリィィィ………ヴヴァダァアアアアア!!!

 

 

ドゴォガァアアアアアアッッ――――!!!!

 

 

 

チャージショットされたアクセラレートライフルのビーム渦流が、斜め上から叩き潰すかのようにMS部隊を呑み込んで破砕させる。

 

同時に地表も爆発破砕させた。

 

ライトニングゼータを搭載した輸送機の前にリーオーとジェガンの部隊が弾幕を張る為の射撃を開始する。

 

しかし、唸り続けるビーム弾幕を物ともせずに、2機のガンダムジェミナスは進撃し続ける。

 

2機が唸り散らすアクセラレートライフルのビームが、リーオーとジェガン達を次々と穿ち砕いた。

 

連続爆発を潜り抜けたガンダムジェミナス01と02。

 

動きをシンクロさせながらアクセラレートライフルの銃身を構えた。

 

連続で撃ち放つビームが、スペースポートを砕き散らしていく。

 

スペースポートが破砕される中、上空へ向いた滑走路が折れ、地表へと落下した。

 

落下した先にはロトやジムⅢの部隊がおり、それらを諸とも捲き込んだ。

 

そして、2機のガンダムジェミナスが再びアクセラレートライフルを構える。

 

銃口の先には、ライトニングゼータを搬入した輸送機がしっかりと捕捉されていた。

 

「ターゲット、ロック・オン……!!!」

 

「あんたに恨みはないけど、消さして貰うぜ!!ゼータさんよっ!!!」

 

エネルギーチャージを開始し、銃口にエネルギーが充填されていく。

 

タイミングを合わせて2機のガンダムジェミナスは、アクセラレートライフルのエネルギーを解き放った。

 

重厚な二本のビームエネルギーが突き進み、輸送機を抉り飛ばしてライトニングゼータ諸とも破砕する。

 

ライトニングゼータはパイロットを見ることなく破壊され、吹き飛ばされた輸送機から転がり出た。

 

まさにガンダリウムの塊と化した姿だった。

 

アディンは、モニターで破壊されたターゲットを視認すると、どこか物足りなさを感じた。

 

「ターゲット破壊確認!!任務完了………あー……できれば直接戦ってみたかったな~……ライトニングゼータ!!」

 

「そんな事言っても、実は手強かったかもしれんぞ?特にお前には」

 

「なっ!?どー言う意味だよ!?」

 

「油断するなと言うことだ。さ、とりあえずオルタンシアへ戻るぞ」

 

「あいよ!!」

 

 

 

一方、カタールの主要都市で中東テロ組織、カッザム・ラデマによるテロ攻撃が勃発していた。

 

彼らの戦力は横流しされた元ティターンズのMSであり、マラサイやジムクゥエル、ゼクアインを運用していた。

 

近代的な市街地に容赦ない攻撃が加えられる。

 

ビームライフルとビームマシンガンのビームエネルギーが、ビルや一般車両、はたまた民間人へと注がれる。

 

無差別にビルが撃ち砕かれ、車両が吹き飛び、捲き込まれた人々は、ビームの熱エネルギーで蒸発させられ、爆発により、体を吹き飛ばされていく。

 

この事態をカトルとトロワはコックピットのサイドモニターで確認していた。

 

世界メディアのチャンネルでの映像だ。

 

これを見たカトルは、真っ先にロニの身が心配になる。

 

「そんな……!!カタールでテロだなんてっ!!ロニ………!!!」

 

トロワはモニターでMSに確認できる、ターバンを被るドクロのエンブレムに着目し、彼らのデータを簡潔に調べおこす。

 

「中東テロ組織・カッザム・ラデマ。主に神の信心を主張し、近代的文化に反発するテロ組織だ。場所的に恐らく、ガーベイエンタープライズの本社と工場も狙われるだろう……」

 

「……っ!!!!」

 

カトルは絶句の中で、任務の一時中止を瞬時に決めた その時だった。

 

ガンダムサンドロックのサイドモニターに、ロニからの通信が直接入った。

 

「カトル!!今何処!!?」

 

「ロニ!!!よかった!!無事だったんだね!?たった今、世界通信で確認したよ!!!僕達はアラブとカタールの国境上空だよ!!」

 

「話はわかってるようね。私達は今の所は無事………今、お父様と本社の最上階にいる。いつやられてもおかしくない常態………」

 

事態を深刻に受け止めたカトルは、血の気が引く思いを受けた。

 

少しの刻のイタズラが大切なモノを奪っていくかもしれない。

 

ロニはいつになく冷静にカトルに状況を伝え続けた。

 

緊迫感がかえってそうさせているのだろう。

 

「ビームでの破壊活動が続いてる……まだこっちには銃口を向けてはいないけど……ちょっと待って…」

 

ロニが映像場所を移動し、ビルからの外の映像を見せた。

 

マラサイやジムクゥエルがビームライフルで市街地に攻撃する映像が確認できる。

 

「……これでも普段はガーベイ・エンタープライズの副社長をしてる身……社員の避難が終わるまで去るわけにはいかない」

 

ロニの言葉は、御曹司の立場にいるカトルにもわかった。

 

モニター越しに伝わるプライベートとは違う彼女の雰囲気も。

 

カトルは任務中断を決意した。

 

「…………ごめん、トロワ!!任務は中断だ!!行かせてもらうよ!!」

 

「かまわない。俺も加勢する」

 

「ありがとう!!トロワ!!!ロニ!!今、行くよ!!!」

 

「了解……早く来て。本当は私は恐い……」

「わかってる……待ってて!!!」

 

カトルはロニの本音を聞きながらレバーを押し込み、ガンダムサンドロックを加速させる。

 

それにガンダムヘビーアームズが続いた。

 

通信を終えたロニが、父親であるマハディーに振り返る。

 

「お父様………カトルがこちらに来てくれます」

 

「カトル君がか………ふふん………アイツの息子が、大企業の御曹司が、ガンダムで戦うとはな」

 

「それを言うなら私とて同じですわ。令嬢がMSに乗っているんですもの」

 

「………ロニ、私を残して逃げろ!!お前は死ぬべきではない」

 

マハディはロニに避難を促す。

 

無論、ロニはこれに反発する。

 

誰もが父親と望んで死別はしない。

 

「な!?!急に何を仰るの!??そんなの嫌に決まっているじゃない!!!」

 

「ロニ………聞き分けてくれ」

 

「そんな事を聞き分けられる娘がいて!!?私はいくらお父様のお言葉でも無理です!!!」

 

マハディも無論、望んで言っているのではない。

 

避難させるべき社員達、社長としての立場故にであった。

 

「……まだ社員達の避難はかかる。ロニも逃げろ。跡取り娘を失いたくはない。もしもの時は頼む」

 

「嫌です!!!!」

 

「…………」

 

頑なにマハディの言葉を拒むロニに、ガーベイは歩み寄りながら、腕を回して抱き締めた。

 

「お父様………」

 

「わかってくれ………」

 

ロニは改めて、かつ幾年ぶりに父親の温もりを感じた。

 

その時、非情にもついに本社に攻撃が加えられた。

 

二発のビームが本社ビルに撃ち込まれる。

 

はしる衝撃に二人は足許をぐらつかせられた。

 

「!!!!」

 

市街地にマラサイが2機、ジムクゥエルが3機、ゼクアインが1機が進攻してきていた。

 

2機のマラサイは、モノアイを作動させながら人々へと銃口を向け、ジムクゥエル3機が建造物への発砲を開始する。

 

そして、ゼクアインがビームマシンガンをガーベイエンタープライズ本社に向けた。

 

唸るビームの連射銃声と共に、連続でビルを撃ち砕く。

 

砕け散った瓦礫が、避難する人々に注ぎ、犠牲が拡大していった。

 

ビルの眼下に拡がる悲劇をロニとマハディは人としての恐怖感を覚えた。

 

その時だった。

 

市街地の低空を滑空しながら高速で突き進みながら、ガンダムサンドロックが姿を見せた。

 

その勢いを乗せて、マラサイ2機をヒートショーテルで連斬。

 

一瞬で寸断されたマラサイ2機が爆発、破砕される。

 

更にガンダムサンドロックは、3機のジムクゥエルに斬りかかり、駆け抜けながら3機の胴体部を連続で叩き斬り、破壊する。

 

次の瞬間、ゼクアインにヒートショーテルのクロススラッシュの斬撃が斬り込まれた。

 

 

 

ディギャガァアアアアアアン!!!

 

ズドォガゴゴゴォオオオオオン!!!

 

 

 

ガンダムサンドロックの背後でテロリスト達のMSが連続で爆発した。

 

ガンダムサンドロックは炎を背に、姿勢を立て直して両眼を発光させる。

「間に合った!!さぁ、ロニとマハディ社長を助けよう!!!」

 

ガンダムサンドロックに語りかけながら意気込むカトル。

 

ガンダムサンドロックもカトルの意気込みに合わせるようにガーベイエンタープライズ本社のビルを見上げた。

 

だが、その次の瞬間、別の場所にいたゼクアインの両肩のユニットからナパームミサイルが放たれた。

 

「熱源………しまった――――!!!」

 

四つのミサイルが容赦無く本社ビルを目指して突き進む。

 

ミサイルはビルの上階層に直撃するコースで突き進んだ。

 

カトルは少しの可能性をかけて、ガンダムサンドロックを飛び立たせた。

 

「サンドロック!!!力の限り飛んでくれ!!!」

 

 

 

一方で、ガーベイ・エンタープライズの工場地帯にもMSテロが巻き起こる。

 

マラサイ4機、ジムクゥエル8機、ゼクアイン2機が逃げ惑う社員達へ容赦無い攻撃をかけていた。

 

男女問わず破壊の爆発に巻き込まれていく。

 

非情・無情の攻撃を仕掛ける中で、ジムクゥエルの1機が突如上空からの連射撃に粉砕され砕け散った。

 

突如の攻撃に各機が振り向く。

 

すると上空から迫るガンダムヘビーアームズの姿が飛び込んだ。

 

ガンダムヘビーアームズはビームガトリングを連射し、また1機のジムクゥエルを砕き散らしながら着地した。

 

「民間人への無意味かつ非情な行動は旧世紀からなにも変わらないな………人として見過ごすわけにはいかない………」

 

トロワは、淡々とモニター上の敵機をロック・オンし、ビームガトリングで射撃しながらブレストガトリングハッチを開放し、同時に連射撃を開始する。

 

ガンダムヘビーアームズの射撃が、立て続けにジムクゥエルの装甲を粉砕させていく。

 

3機のジムクゥエルがビームライフルで反撃をかける。

 

狙いは急所とも言えるブレストガトリング部だ。

 

だが、トロワはその狙いも考慮し、ハッチを閉じながらビームを受けた。

 

マラサイやゼクアインも続くように射撃を慣行する。

 

ガンダムヘビーアームズは、ビームを食らいながら飛び立ち、テロリスト達の頭上を舞った。

 

そして着地と同時に敵機達の背後を取り、ビームガトリングの銃身を突き出しながらブレストガトリングを再びぶっ放す。

 

 

 

ガギャン、ヴガドゥルルルルルルルルルルゥゥゥ!!!

 

ヴァガァララララガガガガゴゴゴバァガガガァア!!!

 

 

 

耐えること無く撃ち出されるビーム弾が一気に面前のMS達をボロ切れの布のように破砕させていく。

 

ビームガトリングを撃ちながらブレストガトリングとマシンキャノンを連動連射させる戦法は、ガンダムヘビーアームズのスタンダードな攻撃法だ。

 

その威力の前に、カッザム・ラデマのMS群は瓦礫の如く瞬く間に崩れ去った。

 

「―――まだ残存機がいるな……」

 

トロワは、レーダー上にいる残存機の方角へと機体を向けた。

 

次の瞬間、そのターゲットが狙撃を連続で慣行。

 

三発の高出力ビームが、ガンダムヘビーアームズに直撃した。

 

だが、装甲には何も影響は出ていない。

 

トロワはターゲットをズームし、機種を確定しようと試みた。

 

「狙撃か………ターゲット、機種照合……ゼクツヴァイか」

 

再び来る狙撃。

 

ガンダムヘビーアームズは狙撃を物ともせず、ビームを食らいながら飛び立った。

 

ガンダムヘビーアームズに向かってバレルビームライフルを連発するゼクツヴァイ。

 

しかし、向かい来るガンダムヘビーアームズは、軽快にビームを躱していく。

 

機体を翻しながらビームガトリングで、バレルビームライフルを破壊。

 

レフトアームに握り締めたグレネードランチャーの銃口をホバリングしながらゼクツヴァイへ向けた。

 

「高出力のビームによる狙撃。腕は悪くないな。だが………」

 

 

ディシュゴォオオオオオォォ!!!

グレネードランチャーの銃口からプラズマエネルギー弾が撃ち出された。

 

一直線にゼクツヴァイの装甲を熔解させながら、エネルギー弾が食い込み、機体を破裂させる勢いのエネルギー爆発を巻き起こす。

 

 

ギュゴヴァァガァアアアアアアア!!!

 

 

ゼクツヴァイは半球状のエネルギー爆発を拡げて消滅した。

 

「圧倒的な火力の前では無意味だ」

 

トロワは、破壊跡を見下ろしながら呟くとその場を後にした。

 

 

 

ガーベイ・エンタープライズ本社ビルの最上階付近が爆発を巻き起こす。

 

ロニとマハディは虚しく犠牲になった。

 

 

 

 

「……」

 

 

 

かに思えたが、まだ二人は現世にいた。

 

きゅっと目をつむったロニの瞳が開く。

 

「え………!?」

 

「大丈夫だ……ロニ」

 

マハディの言葉の後に、ロニは窓の方を向いた。

 

するとそこには、ガンダムサンドロックの雄姿があった。

 

GND合金の特質である装甲高強度を利用して盾になったのだ。

 

「カトル!!!!」

 

『ロニ!!マハディ社長!!下がっていてください!!今、脱出口を開けます!!!』

 

スピーカー越しに伝わるカトルの指示を受け、ロニとマハディはその場から下がる。

 

カトルは二人の安全を確認すると、ガンダムサンドロックのライトアームをビルに打ち込み、すぐに脱出口にコックピットを取り付けた。

 

ガンダムサンドロックのコックピットハッチが開く。

 

「さぁ!!乗って下さい!!」

 

「カトル!!」

 

「ロニ、先に乗りなさい」

 

「お父様は!?」

 

「大丈夫だ、すぐに乗る!!一人づつでなければ入れんだろう?」

 

マハディの言うことは合理的であった。

 

ロニはその言葉にうなずくと、ガンダムサンドロックのコックピットに入った。

 

「カトル!!!」

 

「ロニっ…!!」

 

ロニはすかさずカトルに包容し、カトルは顔を赤くして包容を返した。

 

「よかった…!!!さぁ、マハディ社長も乗って下さい!!」

 

「あぁ…」

 

マハディがガンダムサンドロックへ歩を進めたその時、突如新たな機体の反応を捉えた。

 

「!!?新たな機体!?!」

 

「え!?!」

 

次の瞬間であった。

 

マハディの背後の壁が一瞬で崩壊。

 

その刹那に謎のMA(モビルアーマー)が突っ込んできた。

 

ガンダムサンドロックを突き飛ばしながらMAはビルを貫通。

 

マハディは吹っ飛ばされ、即死常態で落下していった。

 

カトルとロニは何が起こったのか分からなくなった。

 

カトルは落下していくガンダムサンドロックの中で、我に帰り、落下するガンダムサンドロックにフルブーストをかけながら着地させた。

 

ロニは呆然としていた。

 

カトルは次第に怒りの感情を抱き始めた。

 

「ロニ………掴まってて」

 

「ウン…―――」

 

かっと目を見開いたカトルは、残っていたゼクアイン2機に急加速をかけて接近させた。

 

 

 

ドォバォオオオオオッ!!!

 

 

 

ガンダムサンドロックは、ヒートショーテルを振り上げて、駆け抜けながら一気に左右のゼクアインに斬り込んだ。

 

 

 

―――ヒュフィンッ、ザギャオオオォォ!!!

 

ヴァグガァアアアアアアア!!!

 

 

 

火柱を巻き上げて爆発するゼクアイン。

 

ガンダムサンドロックはそのまま空中へと一気に加速して舞い上がった。

 

カトルの眼光はいつに無く鋭かった。

 

モニター上にはしっかりとMAを捉えている。

 

ガンダムサンドロックを操縦するカトルの横ではロニが放心常態で無言のまま固まっていた。

 

カトルは彼女の無言の哀しみを怒りに変えて、その感情をガンダムサンドロックに賭した。

 

その最中でMAはMSへと変形した。

 

それは、ギャプランであった。

 

両腕のビームランチャーを下方から迫るガンダムサンドロックに撃ち放つ。

 

だが、ビームはガンダムサンドロックの肩を掠める。

 

ならばと交互にビームランチャーを連発するギャプラン。

 

無論の事ながらカトルとガンダムサンドロックには通用しない。

 

高速で突き進んできたガンダムサンドロックはギャプランの上を捕った。

 

「……はぁあああああああっっっ!!!」

 

カトルの怒りと共にガンダムサンドロックは轟とクロススラッシュを食らわした。

 

 

 

ヒュゴフォンッッ、ギャディガガァアアアアアアアアン!!!

 

ヴァズガァアアアアアアアアアンッッ!!!

 

 

 

その後―――

 

 

 

事態は芋づる式に更なる悪化を辿った。

 

このテロをきっかけにガーベイ・エンタープライズは連邦軍の調査を受けることとなる。

 

更にそれをきっかけに、ジオン残党との側面発覚。

 

各地で極秘に所持していたMSも押収された。

 

更に追い討ちをかけるかのように主要工場がテロで破壊され、会社の全データがハッキングによって消滅。

 

一気に企業が機能停止に追い込まれ、ガーベイ・エンタープライズは解体され、ロニや関わった者も国際指名手配の汚名を着せられる事となった。

 

たったの三日間の出来事である。

 

尚、後日のテロやハッキングはOZによる巧妙な工作であった。

 

全てを失い、深く傷心し、放心常態になってしまったロニを匿う為、カトルはオルタンシアへ戻ていた。

 

カトルとロニは二人の時間を作って、バルコニーのある部屋にいた。

 

「カトル………私……どうすれば……」

 

「今はここにいよう………ロニは何も考えなくていいから……」

 

かける言葉を探すカトルは、ロニの肩を引き寄せ、後は何も言わずただただ………互いの温もりで励まし合う。

 

ニュータイプであるプルは、ひしひしとロニの哀しみを感じ取り、せめて自分にできる何かをと、手作りパフェを差し入れに持っていく。

 

(カトルが連れてきたロニって人………凄く哀しみを感じる………あたしまで涙が出ちゃうよ…)

 

プルはすっと手作りパフェを手にバルコニーの部屋に入った。

 

「よかったら食べて………何かあたしにできることで少しでも哀しみを和らげたかったから…置いとくね?」

 

「あぁ…ありがとう、プル。君も優しいんだね」

 

「あ、えと………ありがとう…じゃ、また何かもってくるから」

 

照れ臭くなったプルはその場を後にした。

 

カトルは、一般企業でも反逆の要素があれば容赦しないやり方に、静な怒りを覚えた。

 

(……合同軍事演習で連邦とOZをまとめて叩くよ………必ず!!!!今は破壊するしかない!!!)

 

廊下通路を歩くプルの背後からは、ロニの哀しみがひしひしとまた感じとれる。

 

「あたしまでブルーになっちゃダメだよね?しゃんとして、プル!」

 

プルは哀しみに呑まれそうな自分に言い聞かせるとMSドックへ向かった。

 

中では、ガンダムサンドロックとガンダムヘビーアームズ、2機のガンダムジェミナスがメンテナンスを受けている。

 

「アディン!!」

 

プルはガンダムジェミナス01のCPUをセットしているアディンに駆け寄り、コックピットまで登っていった。

 

「おー!!プル!!ちゃんと渡せたかー!?」

 

「うん、一応ね。ロニって人から感じる哀しみが辛くてあたしまで哀しくなっちゃったよ…」

 

「らしくないぜ!!プルはムードメーカーなんだからな~。いつもみたいに明るく頼むぜ!!」

 

「ありがと、アディン!」

 

アディンに励まされ、嬉しげにプルは微笑んだ。

 

「そーそ!!笑顔、笑顔!!」

 

「エヘヘ……所でなにやってるの?」

 

「ジェミナスの新しいCPUのセットしているとこ!!初期の奴だと反応が悪くてさ…」

 

暫くアディンの作業を見守るプル。

 

プルはその瞬間の幸せを感じていた。

 

そして、一日も早くロニの哀しみが癒されること膝を抱えながら想った。

 

「あたし…今、幸せ!作業してるアディン見るの好きだよ!!」

 

「え、あ、そっか……サンキュ!!あ!!やべ!!」

 

照れ臭くなったアディンは動揺して、コネクターの挿す所を間違えた。

 

「アディン、がんばれー……あ!!パフェ食べてよね!!」

 

「オーライ!!」

 

そんな会話を聞き流しながら、トロワもガンダムヘビーアームズのセットアップをしていた。

 

「………」

 

トロワは物も言わず淡々とセットアップに勤しむ。

 

だが、カトルへの気づかいは忘れなかった。

 

(カトル………今は彼女の為に働け………その間のガンダムのメンテナンスは任せろ)

 

オデルはビアホールでビールを呑み交わしながらラルフと過ごしていた。

 

「カトルとトロワの任務放棄………目を瞑ってやってくれないか?ラルフ…」

 

「無論さ………トロワにも免じて瞑ってやるよ。それに、その話はヒイロとデュオが補う事になった。ソマリアを後回しにしてな」

 

「行ってまた南下か?効率悪いな…」

 

「この際、オルタンシアへ一度集結してもらう形にする………Gマイスターとガンダムの両方のメンテナンスができる…」

 

「違いない………にしても、やはり黒ビールはうまいな…」

 

 

 

その頃、五飛はオーストラリアに到達し、シェンロンガンダムと共にトリントン基地を望んでいた。

 

「やはり強い者の臭いがするな………ようやく骨のある敵と出会えそうだ………」

 

不敵に五飛は、にやりと笑って見せる。

 

ヒイロとデュオも余裕の表情でカトルから譲渡された任務エリアに向かっていた。

 

 

 

 

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