あの異変から数日が経ったある夜、零は不思議な夢を見た。
「やめてください!」
その夢はさそりとその妹らしき人物が村人の集団に囲まれている光景が広がっていた。
(・・?この子はこの間のさとりって子か?でも隣にいる子は・・?」
「私達は何も悪い事はしていません!」
「うるせえ!てめえみたいな厄介な能力を使う奴はいてはいけないんだよ!オラァ!」
「きゃっ!」
さとりの腹に蹴りが入った。
「うっ・・。私達は・・・何も・・してない・・のに・・。」
「お姉ちゃん・・。」
「おっと、もう一匹いやがったか。くたばれ!」
「きゃあ!」
一人の村人の攻撃があたりそうになったが、間一髪でさとりが受け止めた。
「ぐっ・・!」
「お姉ちゃん!しっかりして!」
すでにさとりは血まみれで、もはや意識があるかすらもわからなかった。
「こいし・・あなただけでも・・逃げて・・。」
「う・・うん!」
こいしと呼ばれた女の子は走って逃げようとしたが、すぐに村人に見つかってしまいーーー
「はっ!・・・夢・・?」
壁にかかった時計を見ると、まだ三時を指していた。
「なんて夢だよ・・。」
眠気が覚めてしまった零はよろよろと立ち上がり、縁側に座って夜空を眺めていた。
すると、目の前に先程夢の中に出てきたこいしらしき人物がいた。
その姿は夢で見た人物と驚くほど似ていた。
「・・・こんなところでなにやってんだ?」
しかし、本人は気付いていないのか、うろうろ歩き回っていた。
仕方なく零はこいしに近寄った。
「お~い。」
顔の前で手を振ると、ようやく気付いてくれた。
「私が見えるの?どうして?」
「さあ?ほぼ偶然。」
「お兄さんの名前は?私の名前は古明地こいし。」
「俺は柊零。ってか、古明地ってことはさとりの妹か?」
「うん。でも、お姉ちゃんみたいに心は読めない。」
「何故だ?」
「嫌われちゃうから。」
嫌われちゃうからーーーその言葉を聞いた瞬間先程の夢が脳裏をよぎった。
「・・お姉ちゃんみたいに心が読めると、皆に嫌われちゃうから。」
「・・・。」
「それだから、ほら。瞳を閉じたの。」
確かに姉のさとりと同様にサードアイらしきものはついていたが。その瞳は固く閉ざしていた。
「でも、一度地霊殿に戻った方がいいんじゃないか?」
「良いの。どうせ、私は忘れられてる。」
「そんな事は無い。きっと覚えているよ。」
「でも、何日も帰ってないし・・。」
「そうか・・。じゃあ、俺が連れていくよ。」
「良いの?」
「でも朝まで待って。寝かしてくれ。」
「分かった。」
そして、朝になった。
「霊夢~。俺ちょっと出掛けてくるわ。」
「こんな朝っぱらからどこいくの?」
「地霊殿!」
零はガルスに変身した。
「凄い! 変身出来るの?」
「ああ。じゃ、乗りな。多分お前も疲れてるだろ?」
「え、あ、うん。じゃあ。」
こいしはガルスにまたがり、ガルスは地霊殿を目指して飛んだ。
「ちょっと早くなるからしっかり掴まれよ!」
ガルスは異変の時に残った穴から一気に下に降りた。
「よっと。大丈夫か?」
「うん。」
ガルスはこいしを一旦下ろし、変身を解除して零に戻り、こいしをおぶった。
「じゃあ、いくぞ。」
地霊殿に向かう途中、勇儀に声をかけられたが、声でわかってもらい、付き添って貰った。
「零、ところで何背中を丸めてるんだい?」
「見えないのか?今はさとりの妹をおぶっているんだ。」
「へえ。あいつの妹をかい?」
「ああ。姿を見せてくれ。」
すると、勇儀の目にこいしが映った。
「こいしじゃないか!いままでどこいってたんだい!? 」
「いろんなところをね。」
零達が地霊殿に付いた瞬間、建物が崩れ始めた。
「何!?」
「そんな・・。」
地霊殿の中から出てきたのは地底怪獣テレスドンだった。
「何だいこいつは!?」
「勇儀!こいしを頼む!」
「あ、ああ。」
勇儀にこいしを渡し、零は巨大なガルスに変身した。
「セヤッ!」
「ガァァ!」
「やれ!テレスドン!・・ん?お前はこいしじゃないか。まだ生きていたのか。」
横を振り向くとサングラスをかけた女性がおり、向こうもこちらに気付いた。
「ひっ・・!」
こいしは怯えるようにして勇儀の後ろに隠れた。
「おい、こいしに何したんだ?」
「星熊勇儀、貴様もいたか。グドン!こいつらを殺せ!」
すると、勇儀達の後ろから両手にムチを持った肌色の怪獣、グドンが現れた。
「ゴァァ!」
「そいつは今凄く腹が減ってるんだ。早く逃げないと食べられちゃうよ?」
「くっ!」
勇儀は逃げようとしたが、前ではガルスが戦っており、後ろからはグドンが迫って来ていた。
「・・!」
「勇儀さん・・私達、助かるの・・?」
「こいし、大丈夫だ。きっと助けるよ!」
勇儀はガルスの足下を素早く潜り抜け、地霊殿のメンバーを探した。
「さとり!お空!お燐!どこだ!?」
すると、瓦礫の下から、さとりを肩に担いだお空とお燐が出てきた。
「三人とも!大丈夫か!?」
「私達は大丈夫だけど・・。さとり様が気を失ってしまって・・。」
「怪我はないか!?」
「なんとか・・。」
「どこか安全な場所に移動するよ!付いてきな!」
二人は頷き、とにかく隠れる場所を探した。
「こ、ここなら・・。」
勇儀達は少し残っていた地霊殿の壁に隠れた。
ガルスの方を見ると、二匹の怪獣に手を焼いているようだった。
「セヤッ!」
テレスドンとグドンの同時攻撃でガルスは倒れ混んだ。
「グゥッ!・・勇儀・・これを・・。」
ガルスの手から光が飛び、その光は勇儀の手のひらで姿を現した。それはガイアの変身アイテムのエスプンダーだった。
「そいつを握って振り上げろ!」
「わ、分かった。」
勇儀はそれを振り上げた。すると、勇儀の体は光に包まれ、赤き大地の巨人、ウルトラマンガイアに変身した。
「おお!?体が!?」
「大丈夫だ。少し巨大化しただけだ。それより、行くぞ!セヤッ!」
「何だか分かんないけど、力が溢れてくるよ!」
ガルスとガイア(勇儀)は戦闘の体勢を取った。
そして並んで同時に蹴りを入れた。
「おお!いつもより強い!これがウルトラマンの力って奴か!」
驚く勇儀に、どこからか声が聞こえた。
【いいや、違う。誰かを守りたいって心が君を強くしているんだ。】
「ガ、ガイア・・?」
しかし、それっきりなにも返事は来なかった。
「まあ、とにかくやってやるよ!」
しかし、テレスドンにこいし達が気付かれてしまい、ガイアが立ちふさがったが、テレスドンの放った火炎がこいし達に襲いかかった。
「し、しまった!」
しかし、そこで救世主が現れた。
「デュワッ!」
等身大となって現れたダイナがバリアを張り、防いだ。
「ダイナ!すまないね!」
「こっちは任せとけ!」
ガイアは頷き、テレスドンを一旦掴んで投げ飛ばした。
「チュワッ!」
ガイアは両腕を頭上に持って行き、光の球を作って、自分に当てた。
すると、ガイアの体の模様が変わり、より強くなった。
「これは・・!いける!」
ガイアは究極の形態、スプリームヴァージョンに変身した。
「テアッ!」
「よし、行くぞ勇儀!」
「ああ!」
「ゼノクロスレイ!」
「フォトンストリーム!」
勇儀の体は勝手に動き、光線を放った。
そして、二匹の怪獣を倒した。
「ぃよし!」
二人はガッツポーズをした。
一方、こいし達の下には先程の人間が近寄っていた。
「今度こそお前達姉妹を殺してやる!覚悟しな!」
「ひっ・・!」
女性は攻撃を仕掛けたが、ダイナに防がれた。
「・・・うん?」
「あ!お姉ちゃん!」
「・・・!」
「おお、ちょうど良いところに起きてくれたじゃないか。お前達姉妹に地獄を見せてやるよ!」
「そ、そんな・・!あの時完全に追い払ったのに・・!」
「私はまだお前達殺す事を諦めちゃいないんだよ!」
それを上から見ていたガルスが、二人に力を貸した。
「・・・あれ?」
「どうして攻撃が・?」
前方を見ると、女性は何か苦しそうだった。
そして、さとりの左腕にはメビウスブレスが、こいしの右腕にはナイトブレスが付いていた。
「これは・・?」
【いつまでも過去を振り返っていてはいけない!】
【過去は変えられなくても、未来は変えられるんです!】
「分かったわ!いくわよ、こいし!」
「うん!お姉ちゃん!」
「「メビウース!」」
二人は同時にブレスを振り上げ、一人のウルトラマン(等身大)に変身した。
「なに!?なんだお前は!?」
「「私達はもうお前なんかに負けはしない!」」
二人はメビウスとヒカリが合体したウルトラマンメビウスフェニックスブレイブに変身した。
「「私達には、かけがえのない家族がいるのだから!」」
「ふざけやがってぇぇぇ!もう許さん!絶対に殺す!」
女性は昔二人を殴った鈍器で何度も殴った。
しかし、傷一つ付かず、メビウスは鈍器を奪い、投げ捨てた。
「もう、過去を振り返ったりしない!いくわよ!こいし!」
「いつでもいいよ!お姉ちゃん!」
「あ、あわわ・・。」
「「メビュームナイトシュート!」」
メビウスとヒカリの必殺技が合わさった最強の光線、メビュームナイトシュートを女性に放った。
「ぐっ・・!がっ・・!」
相手はただの人間。怪獣を倒せる光線にかなうはずがなく、女性はどこかへ飛ばされていった。
「やった!」
「これでもう苦しむ事もないんだね!お姉ちゃん!」
「ええ。そうよ。」
全員は元の姿に戻り、さとりとこいしの腕からも二つのブレスは消えていた。
「怪獣は倒せたけど、地霊殿が壊れちゃったわね。」
「私がひとっ走りして助っ人を呼んで来ようか?」
「いえ、良いですよ。」
「俺達も直すの手伝うからさ。」
「そうですか?じゃあお願いします。」
「よっしゃ!」
早速、零、アスカ、勇儀の三人は助っ人を呼びに行った。
そして、一分と経たない内に大勢の助っ人を連れ、戻って来た。
「さっきの轟音を聞いてさ。こいつら全員もこっちに来てたみたいだぜ。」
「うわ~、これはまた酷く壊されたね。」
「じゃ、一仕事いきますか。」
全員は早速工事現場用のヘルメットを被り、地霊殿の再建に取り掛かった。
材料も一緒に持ってきていたため、半日と掛からずに地霊殿は復活した。
「いやー、直って良かった、良かった。」
「ありがとうございます。皆さん。そして・・ってあれ?零さんとアスカさんは?」
「あれ?そういや居ないな。」
零とアスカは既に帰った後だった。
「ま、良いか。さとり~。飯食おうぜ。」
さとり達は新・地霊殿で食事をしていた。
零達はというと・・。
「そういや、アスカいつ来たの?」
「ああ。テレスドンが出てきた辺りで地上も揺れてよ。いてもたってもいられなくて、そっちに向かったんだ。そしたら、お前がいたって訳。」
「なるほどね~。じゃあ、こっちも戻りますか。」
零とアスカはガルスとダイナに戻り、地上に戻った。
「あ、帰ってきた。」
「お帰り、零、アスカ。」
「おう。疲れたぜ~。まさか建物を建てるとは思わなかった。」
「何があったんだ?」
零は地底で起きた事を全て話した。
「そうか。あの姉妹にそんな過去があったなんてな。」
「多分、過去に襲ったのは地底人だろうな。テレスドンを操っていた辺り、そうとしか考えられない。」
「地底にも怪獣の魔の手が・・。」
「なんにせよ、あの二人は試練を乗り越えた。きっと、大きな進歩だろうな。」
零は誰も一人じゃないんだ、とそう感じた一日だった。
今回は三人ウルトラマンに変身しましたね。
多分、変身しても良いって人もいるだろうし、やめてくれって人もいるんでしょうね。
でも、まだまだやりますよ。多分。
次回は・・未定!