キルシュバウムとの約束   作:Chelia

1 / 2
どうもmerumeruです。
今回はみなさんのリクエストにお答えするべく、思い切ってオリジナル小説に初挑戦して見ました。
いつもの通り中二病全開のノリと勢いだけで書いていくのでよろしくおねがいします。
私の作品を好んでいる方ですと、あれ?このキャラとか技名みたことあるぞ?って思う人がいるかもしれませんが、それは偶然じゃないのでご了承を。


幼馴染みのシノ先輩!

普通の学校で普通の学生やって普通に卒業する。

両親は海外で仕事をしており、幼い頃から特殊な生き方をしてきた主人公『桐城 煌』(キリジョウ キラ)にとって、そんな『普通』の生活をするというのが、子供の頃からの夢だった。

 

ところで普通ってなんだろう?

物事を1から100に分けたとして、50に近けりゃ近いほど普通で、どちらか片方によればよるほど異端なのだろうか?

 

 

「春休みに引越しの短期バイトやっててさー。 1日10時間ずっと力仕事でめっちゃきつかったんだよな!」

 

「うっそ、マジやべー(笑) 労働基準法どこいったんだよ(笑)」

 

そんな声が聞こえる。

というのも、ここは教室。

4月1日。今日からここ『私立桜ヶ丘高校』の新学期がスタートしたのだ。

自分の席に付きながら、キラは再び考える。

 

(それでやばいなら、俺の仕事はどのくらいのやばいになるんだ?超やばいとか、スーパーやばいとかか? まあ、そんな日本語あるかどうかも知らないけどな…)

 

両親の影響で、僅か4歳の頃から始めている今の仕事。

(…この時点で、さっきのクラスメイトの労働基準法の異端さなど遥かに上回っているが)

キラは幼い頃から特殊軍事工作員『ラグナロク』と呼ばれる組織に属し働いていた。

 

この世界には表舞台では語られないような不思議な事、そして、都合の悪い事実を隠蔽する嘘なんてものがたくさんある。

この組織『ラグナロク』はまさにそれで、普通を大きく逸脱したものの象徴とも呼べるような日本政府が裏でこっそりと承認している会社だった。

やっていることは様々で、簡単に言うと武力を使った何でも屋である。

表舞台で活躍する警察や自衛隊が手に負えないような事件を解決する組織で、仕事の規模も個人依頼の護衛や暗殺などの小さなものから、国家戦争発生防止や、新たに出現した魔法の存在の隠蔽などの大きなものまで様々だ。

 

『魔法』と言う言葉が出てきたので補足をするが、この世界に魔法なんてなく、それはおとぎ話の世界の話である…なんてのは真っ赤な嘘でありそれを隠蔽するのもラグナロクの仕事だ。

今日は始業式ということで学校に来ているが、ついさっきまでどこの誰かも知らない魔法使いが街中で人を殺したという現場の証拠を徹夜で掃除し、そのままその足で学校に来たキラにとって先程のクラスメイトの会話のレベルの低さに溜息をつきたくなるのも無理ない話であった。

 

「疲れた… やっぱもう帰ろうかな…」

 

そんなことを誰にも聞かれないようにボソッと呟くと、そうはさせないと見慣れた顔がものすごい勢いで教室の中に突っ込んできた。

 

「キラくうううううん!!!!」

 

「先輩、うるさいですよ… あと、今日から学年変わったんでもうここ先輩の席じゃないです。」

 

「そっかー! キラくん頭いいから学年スキップして私のクラスになったのかと思ったよ!!」

 

普通の学校は学年が上がらない留年制度はあっても、頭がいいからといって1年生がいきなり2年生になるような進級制度はない。

教室に入ってきた女の子に羞恥心はないのか、キラの席の前でキキーッと音を立てて止まるとてへっと舌を出してやっちまったぜアピールをする。

すると周囲の男達から「新学期早々いちゃいちゃしてやがる!」とか「リア充死ね!」とか悪口が聞こえてくる。

目立つからやめてくれ。

 

「キラくんキラくん!いつもの!」

 

「…もちろんありますよ。あと、受け取ったらちゃんと3年生の教室に行ってくださいね?」

 

このテンションの無駄に高い先輩の紹介をしよう。

名前は卯月 梓乃(ウヅキ シノ)。

身長163cm。

肩にかかるくらいのストレートで綺麗な黒髪。

更に、すらっとした体型で大きすぎず小さすぎずのCカップの胸をいつもキラの前にドンと突き出してくる。

傍から見れば、学園のアイドルのように綺麗な見た目の女子生徒が毎朝やってきて話しかけに来るのだから恋人か何かと勘違いされやすいが全くそんなことはない。

関係は、小さい頃からの幼馴染み兼仕事の同僚だ。

だから自然と一緒にいる時間も長くなり、互いに色々な事情を知っている為話しやすい。それだけである。

今朝も一緒に仕事をしていたのだが、シノ先輩からは血の臭いなんて全くせず、むしろシャンプーのいい匂いが漂っている。

陰気なキラとは大違いだ。

 

「今日のメインは唐揚げです。ただ、カロリーが高くならないよう、他のおかずは野菜を中心にヘルシーにしてあるので安心してください。」

 

「いやー、いつもいつもすまないねぇ。今度デスソース入りのカレーをご馳走しよう!」

 

「…結構です。」

 

そんなシノ先輩が毎朝何しに来るかというと、会話から想像できるように俺の作った弁当を貰いに来ているだけだ。

両親が幼い頃からほとんどいなく、家で一人で過ごすことが多かったキラは料理をする機会が多々あった。

別に特別料理がうまいわけではないが、逆にこの人の腕が壊滅的なので気づいたら毎朝弁当を二人分作るようになったというだけである。

 

「そのせいで全然コスト節約になってないし、そんなに羨ましいなら誰か代わってくれよ…」

 

「ん?何の話?」

 

「誰かさんの料理の腕の話です。」

 

「やだなー!それは言わないお約束だよ?私はちゃんと仮は返すって言ってるのに、断って来るのはキラくんじゃん。」

 

「料理の仮は料理で返すって主義を変えてもらえませんかね… 前にケーキをもらったとき、何故かほうれん草の味がして次の日丸一日トイレからでられなかった俺の話します?」

 

「…ごめん、何か考えとくわ。」

 

「別にいいですよ。仕事では世話になってますから。」

 

「あ、そうそう!仕事で思い出したけど、君の上司からお呼び出しがかかってたよ?放課後よろしくねって。」

 

「へーい。」

 

教室内を騒がしくするだけして帰っていくシノ先輩。

周りの男子からの目線が怖いが、誰もキラに直接関わってくるような奴はいない。

以前は、直接喧嘩を吹っかけてくる人間もいたが全て返り討ちにされたこと。

そして、学園内で暴力を奮った者は生徒会長に嫌われるという謎の噂が広まったのが主な理由だ。

どうせ手を出す勇気がないなら悪口なんか言うなよ、と内心思いつつもキラは自分にとって意味もない授業を淡々と受けていくのであった。

 

 

 

放課後。

朝、シノ先輩が言っていたとおりに職場へ向かう。

ラグナロクは東京にある本部を除いて、支部はそれらしい建物を構えず、空き地や空きビルなど普段人が使ってない敷地を借りては破棄、借りては破棄と探りを入れられないような方針を取っている。

現在、桜ヶ丘市にある支部は学校から10分程度歩いた場所にある巨大なビルだ。

とはいえ、これも空きビル。

観光名所としてランドマークタワーのようなものを作ろうとしたのだが、計画が失敗し廃ビルに。

取り壊し待ちだったところを確保したんだそうだ。

 

ビルの入口に到着すると、先に来ていたのかシノ先輩が待っていた。

 

「学校お疲れキラくん!ちゃんとサボらず来て偉い偉い!」

 

「学校はともかく、こっちはサボりませんよ… それより、なんで待ってるんです? 俺達は組織と言っても基本は個人活動。誰と組むかは直接現場に派遣されないとわからないようになっている筈ですが?」

 

それどころか、下級の人間は名前ですら呼ばれず番号で呼ばれているのだ。ちなみにキラは中学生の頃までは「K134番」と呼ばれていた。

これは、職務において余計な馴れ合いや、不要な感情を互いに持たせないようにするための処置である。

そのため、この会社は基本的に上司が部下に一方的に命令を出すだけであり、その中に絆なんてものはこれっぽっちもない。

 

「うーん… それがね、今回は私達2人で来いって言われたんだよねー」

 

「…何を考えてるんだあの人は。まぁ、そういう事なら一緒に行きましょう。あの人の考えることなんて詮索するだけ無駄です。」

 

「一応君の上司なんだけどなぁ… それじゃあ行こっか!」

 

ビルの中に入ってエレベーターを押して待つこと38階。

流石元観光名所にしたかっただけはあるという高さだ。

40階より上は削り取られているのでこの建物が何階立てなのかはわからないが、こういう無駄な情報を極力カットするのもうちの組織らしい。

 

「失礼します。」

 

目的の部屋に到着し、キラがそういうと中には予想通りの人物が椅子に座って待っていた。

身長は190cmくらいの長身。アメリカ人顔で色黒。

のび〇くんのような丸メガネをかけており、横幅の広いガッチリとした体格(ぶっちゃけ言えばデブ)の人物こそキラ専属の上司である。

 

「Bランク桐城 煌、同じく卯月 梓乃両2名到着いたしました。」

 

2人は片膝を立てて頭を下げ、キラが上記のように挨拶をする。

上司の人物は、椅子を回転させこちらに向き直ると顔を上げるように指示した。

 

「よく来たねぇ私のキラくん。2人で来いなんて言うから、驚いてしまっただろう?」

 

「…全くです。俺達は互いに馴れ合わない。そう教えたのは貴方だったと思いますが?」

 

「私も不思議です。…っていうか、キラくんの上司ってこんな人だっけ?名前忘れちゃった!」

 

「見た目に反して存在感が薄いからって本人の前で名前忘れたとか言うなよ… 彼の名はオブリビオン。階級は大佐で俺の専属上司です。」

 

「おほん!君たち聞こえてるんだがね!?」

 

「まあいいじゃないですか。大佐の影が薄いことなんて今に始まったことじゃないですし。本題に入りましょう。」

 

「キラく〜ん…君は基本的に真面目だから私はすごく評価してるんだよ?だからせめて私の心の傷を少しくらい塞いでくれたっていいじゃないか!おじさん悲しいよ?」

 

「おじさんが自分のことおじさんっていうと完全に不審者よね… ………なんかキモっ…」

 

………シノ先輩、そういうことを本人の前で言うのはやめましょう。

一応上司です。

 

「………もういい。本題に入ろうか。最近、この桜ヶ丘市において非常に様々な事件が多発。そのため、我々ラグナロクも桜ヶ丘支部に多くの人員が増援されたことは知っているね?」

 

「私達2人も、その増援で回された人間ですから当然です。ここは私達の育った場所だから、事件の多さで呼び戻されたのは複雑な気持ちですけど。」

 

「この世界には不思議なことがたくさんある。」

 

大佐は突然そう言い出すが、キラにとってはもう随分と聞きなれた言葉だ。彼はことある度に、このセリフを何度も口にしていた。

そして、この言葉を口にする度に常識から離れた事件を処理していたことが多いのを思い出す。

 

「今回は、ラグナロクの総長が極秘に回してきた依頼だ。」

 

「…総長、だと?」

 

ラグナロクの総長。

簡単に言うと、この組織のトップに君臨する人物だが、顔は愚か、名前すら知るものもほとんどいない謎の人間だ。

 

「総長に関しては、私も名前は知らない。だが、その総長から私に桜ヶ丘市に眠る最大の封印を解き放てという謎のメッセージが届いていた。メッセージコードを解析したが、本人からで間違いはなく冗談ではないようだ。」

 

「最大の封印を解き放て?」

 

「全く意味がわからない… 大体、総長のようなトップクラスの人間の依頼なら、何で俺たちなんですか?SランクやAランクの人間を総動員させるべきです。」

 

「だが、総長はこうも言っている。この任務は私一人で行え。情報を漏洩させることは絶対に許さないと。つまり、私が管轄している人間以外を使ってはならないという事だ。私は大佐という階級を持ってはいるが、主な業務は君達一部のBランカーの指導者及び責任者だ。そして、私の持つ最強のBランクの人間がキラくん、君なのだよ。」

 

と、本人は言うがキラは組織内ではBランク最弱と呼ばれている。

先程話したとおり、この組織には互いの交流というものがほとんどない。

その為、AランクやBランクといった階級がその人物の実力を想像させる階級社会だ。

しかし、Bランク以上の人間は本来、シノのように専属上司を持たないのが基本で、キラは全Bランカーの中で唯一専属上司を持つという例外に該当する人物なのだ。

それがどういう意味なすのかは総長以外知る人間はいないが、キラは大型武器や銃器も使わず、魔法も使えない為、特に突出した部分はない。

その為、組織内ではBランク最弱だから上司が尻拭いしているなんて噂もたっている程だ。

 

「貴方が何故俺を最強と呼ぶのかは知りませんが、周りがしている噂を貴方が知らないわけないでしょう?」

 

「私達は互いのことを詳しく知らない。そんな低レベルの情報で作られた噂など当てにならないし、私は何人ものBランカーを見てきているが、君ほど優秀な人間を見たことはないよ?嘘はつかん。」

 

「あのー… お話中悪いですが、私が呼ばれた理由って一体…」

 

「おっと、すまないね。この任務を言い渡されてから、私はキラくんの人間関係を調べ直した。お世辞にも、友達とかいないからね。ただ、この任務は内容が漠然としすぎている為、一人での解決は難しいだろう。だから君には暫くの間、キラくんとペアになってこの件を追ってもらいたい。」

 

「話をまとめると、俺とシノ先輩で、この街の謎の封印を解けってことですよね?小学生みたいな依頼内容で反吐が出そうです…」

 

「そっかー!キラくんと街探検だね!!楽しそう!!」

 

いや、明らかに馬鹿にされているのに何故そんなに目を輝かせてるんですか貴女は。

 

「バカバカしい依頼だと思うのは充分わかるが、内容は総長からの極秘任務だ。これがどれほど重い話かはわかるだろう?受けてくれるね?」

 

「分かりました。正直どう行動すれば全くわかりませんが、封印というワードからこの街にいる魔法使いを調べる所から始めてみようとは思います。」

 

「私の方からも何か情報に進展があれば連絡する。特に決まりはないから、情報漏洩さえしなければキラくんが指揮を取ろうがシノくんがリーダーになろうがそれは任せる。大変だとは思うがよろしく頼むよ。」

 

桜ヶ丘市に眠る最大の封印を解き放て。

…どう考えても軍事会社も工作員も行わない依頼内容だ。

唐突に言い渡されたこの依頼をどう攻略していくのか?

キラ達の物語が今始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。