ストライク・ザ・ブラッド~第五真祖と吸血鬼姉妹~   作:戦闘狂の道化師

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補修試験と紅茶

 

「新夜。おかわりを頼む」

 

「先生...こんな事をさせるために俺を呼び出すのはやめてくれません?」

そう言いながらほんのりとブランデーの匂いがする紅茶を差し出されたカップに注いでいると...

 

「仕方ないだろう。お前の紅茶でも飲まなきゃ夏休みに試験監督なんてやってられるか」

暑い夏の日なのに真っ黒なゴスロリを着ている少女のような大人。俺の担任で俺達の正体も知っている、南宮 那月はそう言った。

 

さて夏休みなのに俺と学校の担任が会っていることを不思議に思ったり付き合っているのか?とか変な事を考える奴もいるだろう。それもそのはずただの生徒が夏休みに学校に来て担任に紅茶を淹れたりする理由が無いからだ。でも俺には二つの理由がある。まず一つ目は...

 

「あのー...暑くないんですか?、那月ちゃん それに新夜も...」

だらしなく制服を着崩したこの古城のせいだ。そして俺がいるこの場所は俺達が通っている高校の追試会場。

 

簡単に説明すると、今日俺が6時に目を覚ますとこの時間に起きることがわかっていたかの様なタイミングで、俺の携帯が鳴って出てみると那月先生で内容は...

 

今日、古城の追試をするのだがやる気が出らん。新夜、お前バイト代もやるから学校に来て紅茶を淹れろ

 

との事だった。まぁバイト代は金ではないが今は置いておく。そんな電話を受け取った俺はレミリア達を、起きていた咲夜と美鈴そしてこぁに頼み俺は古城に昨日あった事を説明しながら学校に来たという訳だ。それと那月先生が俺に紅茶を淹れさせる理由を不思議に思う人もいるだろうからそっちも説明しておくと...

 

俺は西暦で言うと...大体西暦1500年ぐらいから、日本の歴史だと室町時代の頃から生きているのだが不老不死だからある程度成長したら老いる事は無くなってしまったので、暇を慰めるために恋愛をしてみても、成長しないので人間ではないととばれて殺されたり、殺しても起き上がってくる俺を恐れ、人々から町から追い出されたりと散々な目に合ってきた。

 

それなら何もせずコッソリと暮らしていけばいいんじゃ無いか?と思う人も居るだろう。確かにそれも一理あるただの終わりあるとってはだが...

 

寿命が永遠に続く者にとっては平穏は酷く退屈で、自分は死んでいるのでは無いかと錯覚するほどに自分が生きているとは到底思えないほど、そう、まるで俺の身を蝕む毒の様に俺の感情そして意識をぼかしてゆっくりと消していく。

 

誰かと居たいというだけなら血の伴侶を作ると言う手もあったがあえて俺はしなかった。

 

結果が見えていたからだ。

 

永遠の命。確かに身体は老いることなく永遠と若さを保つだろう。だが精神はどうだろう?。いつか死ぬ命ならまだしも永遠の若さを保つ肉体に疲弊した精神、恐らく人間は精神が崩壊し発狂するだろう。仮に何の思い入れの無い人間を伴侶にしたとしよう。少なくとも50年位までは気は狂わないかも知れない。だが100年先は?130年は?そいつの精神の強さにもよるだろうがその頃には少しは気が狂いだして行くだろう。そこで問題なのが完全に気が狂った時その血の伴侶を殺すことが出きるか?と言うことだ。

 

物理的には可能だと思う。試したことは無いが普通に殺しても死なないなら眷獣を使えばいい。実際少なくとも俺は殺すことが出来る。俺があまり使わない眷獣には次元に干渉する奴がいて物や生きている奴の一部を無理矢理異次元に飛ばす事が出来る。例えばそいつを使って頭だけ異世界に飛ばしてやればいい。そうすれば体がないから蘇って来ることも無いだろう。

 

精神的には厳しいかも知れない。仮に何の思い入れも無い人間とずっといたとしよう。最初の数年は問題なく殺そうとすれば殺すことが出来るだろう。だがそれが100年も一緒にいればもはやいることが当たり前となり失えば心をすり減らす...そんな存在になってしまうだろう。だから殺すことが難しくなるかもしれないと思う。

 

だからこそ俺は生きる意味を恋愛や血の伴侶を求めるのでは無く知識や技術を集めて行く事にした。知識や技術なら永遠に役に立つだろうし技術は永遠と進化をして行くだからこそ尽きる事は無い。そう考え俺はありとあらゆる知識を蓄えた。まぁその学んだ知識の中に緑茶や紅茶などお茶や珈琲のいれ方があって家庭科の調理実習でケーキを作った際についでに紅茶を淹れて持っていったら気に入られ、それ以来俺はたまにこうやって紅茶を淹れるようになった。

 

ついでに今回淹れた紅茶の茶葉の種類は那月先生が用意した物だから知らないが、紅茶には少量の俺が選んだ上物のブランデーが淹れてあり大人の味になっている。

 

「ふん。まぁ、いいだろう。残りの試験勉強もすませておけよ」

うん?...。考え事をしていたうちに古城の今日の分の追試が終わったようだな。古城がへーいと気の抜けた声で返事をして机の物を片付け出した。那月先生はその様子を俺が淹れた紅茶を飲みながら眺めていたが、

 

「そうだ、暁、月神。アイランド・ウエストのショッピングモールで眷獣をぶっ放したバカな吸血鬼(コウモリ)が居たそうだ。お前達、なにか知らないか?」

那月先生の唐突な質問に古城の動きが止まった。壊れたおもちゃの様にぎこちない動きで首を振った。俺も取り合えず首をかしげておいた。

 

西地区のショッピングモール。眷獣。吸血鬼。そりゃ心当たりがあるはずだよな。それは恐らく昨日の俺達が止めた喧嘩の事だろうから。それに俺は妖夢ちゃんと和解したが古城は雪菜ちゃんと喧嘩別れみたいな事をしたため自分が魔族だとバレるのが嫌なのだろう。

 

「そうか。ならいい。私はてっきり、お前達の正体を知ってつけ回していた攻魔師がそこらの野良吸血鬼と遭遇して揉めたんじゃ無いかと心配していたんだ」

 

那月先生はまるで見てきた様な口ぶりでそう言った。もしかしたら何処かで本当に見てきたのかも知れないがな

 

古城がぎこちない笑みを浮かべ

「は、ははっ.....まさかそんな.....」

 

「そうだな。まぁいい。なにか気づいたことがあったら私に知らせろ」

そういっている那月先生がすぐ引き下がった事に俺は驚いた。恐らくすぐに引き下がったと言うことは問題ないと判断したからなのだろう。那月先生は基本偉そうな口調なので分かりにくいがやさしいなら心配したと言う言葉は嘘じゃないだろう。

 

那月先生は高校の英語教師以外にも肩書きがあってもうひとつの肩書きは攻魔師だ。条例で絃神島のような魔族がいる教育機関には生徒を守るため国家資格を持つ攻魔師を一定以上配置することが、義務付けられており那月先生もその一人だ。

 

しかも実戦経験者で絃神島を警備している部隊。特区警備隊の指導教官も兼任している現役のプロの攻魔師だ。

そして俺と古城が真祖と言うことを知っている数少ない人間でもある。古城が吸血鬼になって朝に弱くなり授業に遅れたりしながらも学校に通えているのは那月先生が裏から手を回してくれたお陰なんだよな...。俺とフラン達の時も手を回してもらったが那月先生は、

 

『古城と比べて全く手がかからないから私は大助かりだ』

と言っていた。

 

「新夜、バイト代をやるだがその前に図書室に言ってアイツを呼んでこい恐らく人形の歴史とか調べているだろうからな」

 

「わかりました。行ってきます...」

そういうと俺は図書室に金髪と赤いカチューシャが印象的な女子を呼び行くため補修室を出て図書室に向かって歩き始めた。

 

部屋を出て、少し歩いた時まるで扇子で古城の頭を凄い勢い良く叩いたような気がしたが大方、古城が那月先生の地雷を踏んだのだろうと考え、俺は気にせず図書室に向かった。




さて、次回出る人がもろわかっているかもしれませんが誰が出るのかどうぞ楽しみにしていてください。
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