(他の小説も終わってないのに新しく書きはじめるなんて) あたしってほんと馬鹿‥‥‥‥
地獄と、そう呼んで良いような光景がここにはあった。
黒い星空を木材で作られた粗末な民家を燃やす火が照らす。
地面には血溜まり、そして中にあった血を流し終えた骸が転がっている。
逃げようとしたのか誰もが背中に傷を負っており、その中の女性の骸は服が脱がされ、乱暴された上で殺されていた。
その原因は盗賊。
生きるため、貧困のため、娯楽のため、楽のため。
上げれば理由は数ほどあるが、自分の為に人を殺したという事実は同じだった。
「ーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
死人しかいないはずのこの中で、何故か声が聞こえた。
とある民家の裏口、家主らしい男とその妻らしい女の骸が転がっているすぐそばから聞こえていた。
「ーーーーーーーーぁぁぁぁぁ!!苦しい!!」
年端もいかない、恐らく十にもなっていない歳の子供が、土の中から現れた。
土の中で空気がなかったのか顔は赤く、荒々しく息を吸って酸素を補充している。
「あ゛~空気がうめぇ‥‥‥‥で、やっぱり死んじまったか。俺の言ったとおり村捨てて逃げれば生きれたかもしれないのにな」
深呼吸を終えた少年が死んでいる男女に声をかけた。
口振りからして彼はやってくる盗賊の対処法として逃げることを申し出た様だ。
しかし、村がこうして燃えていて村人が死んでいることからその申し出は受け入れられなかった様だ。
「何が生まれ育った村を捨てられないだよ。死んじまったらそこまでじゃないか。どんなに生き恥晒そうとも生き残れば勝ち組なんだよ、死んだら負け組で汚名を雪ぐ機会すら与えられやしないのに」
言い方はキツいが少年の顔は死んでいる男女のことを悲しんでいる様だった。
「‥‥‥‥埋めてやりたいけど無理だな、ガキの腕で大人が入れるような穴掘るのは難しいし。行商人が来るのは早くても五日後、食料は根こそぎ持っていかれてるだろうしここにいるのは危ないな。盗賊が来ないとも限らないし」
子供らしからぬ考えを出した少年はまだ火が回りきっていない家を漁り、そこから小振りの短刀を見つけた。
そして死んでいる男女を仰向けにして手を組ませ、見開いている目を閉じさせた。
「‥‥‥‥ありがとうな親父、お袋。俺みたいな気持ち悪い奴をここまで育ててくれて。聞こえてるか分からないし、返事なんて返ってこないことは分かってるから一方的に言わせてもらうよ。生きる。生きて生きて、嫁さん貰って子供こさえて、爺になって未練悔い無しって笑いながら逝けるように生きる」
そう言って少年は男女に向かって黙祷を捧げ、それを終えると村の外に続く道を歩いていった。
「さしあたっては食い物と水だな。それにこの世を生きるには強くなくちゃならないようだし。まったく、人生ルナティックモード待った無しだな。嗚呼、世の中まったくもって理不尽不条理に溢れ帰ってやがる」
それは今は中国と呼ばれている国の遠い過去の世界、帝がこの国を納めていた時代。
後に三つに別れることになるこの国で、大人になった少年が理不尽と不条理と戦いながら生き残った英雄伝。
その始まりである。
主人公人生ルナティックモード突入待った無し。
次回からは時間をキンクリして15年後、原作で言うところの黄色い布巻いてヒャッハーしてらっしゃった黄巾の乱、それが起こる前の年辺りからスタートします。
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