東方因果録 作:醤油
紅い霧と二人の人間
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第百十八季、七の十三。
幻想郷は、赤い霧に包まれた。
■
博麗神社では、今代の巫女である博麗霊夢がこの異変を解決しに行こうとしていた。
普段の……と言っても少し特殊な巫女装束姿に、傍にはふたつの陰陽玉。手には大きな幣を持ち、札は予備も合わせて十分な数持った。不備は無い。思う存分戦えるはずだ。
博麗霊夢にとって、異変を解決するのはこれが初めてではない。
ある時は人里の不作に祈りを捧げたり、ある時は人里の付近で暴れている妖怪を退治(と言っても殺すわけではなく、適度にこらしめてやる程度だが)したり、と――付添い人である秘之依は居たものの――全て自分ひとりで解決している。
しかし、こんな幻想郷全体規模の異変を解決するのは初めてのことだ。霊夢はこの異変に対しての緊張感と同時に、言い表せない喜びを感じていた。
「霊夢、準備出来た?」
高ぶる衝動を抑えるために軽く準備運動をしていると、後ろから秘之依が声をかけてきた。霊夢は首を縦に振る事で肯定し、首を捻って孤気味の良い音を二、三回鳴らした。
「さっきも言ったように、今回は一人で解決してね。心配だけど」
秘之依は霊夢の顔を見ることもなく、思い出したように言った。しかし、霊夢にとってこれはもうどうでも良い事だった。
毎回秘之依がついてきても、秘之依は何もする事は無く、霊夢が一人で解決している。無論霊術の特訓や札の作り方は未だに秘之依に教えて貰ってはいるものの、今の所異変解決に失敗はない。それに、今回一人で送り出すということは、それくらいの実力が自分についてきたと秘之依も思っているのだろう。だから、今更同伴しなくたって、どうでもいいと霊夢は考えていた。
「ホントにできる? 大丈夫? スペルカード持った?」
「……大丈夫だって」
一人で行かせるくせに、秘之依は何度も聞いて来る。確かに心配なのは分かっているが、霊夢は若干苛立ちながらも、頭につけている大きなリボンの中から一枚の白く光るカードを取り出した。
スペルカード。
幻想郷の新しいルールとして博麗霊夢が提案、公布したものである。
ルールに従うものはそれぞれ『スペルカード』と言うものを作り、自分で編み出した技――主に『弾幕』と呼ばれるもの――をそのカードに記し、決闘時にそれぞれでそのカードを宣言し合い、その強さで勝敗を決めるのだ。
このルールは主に『決闘に華を持たせる』『決闘の方法をより簡略化する』と言った理由が存在しているが、一番の理由は『人間と妖怪が対等な立場になる』と言う事である。人間と妖怪の立場が対等になる事で妖怪が人間を襲う事を止め、幻想郷の人間は安泰になる……筈であった。
スペルカードに乗っ取った者はカードを使用して決闘しなければいけない訳だが、スペルカードに従わなくても何ら罰せられる事は無い。従って妖怪達が全く使う様子は無く、幻想郷の人間と妖怪における溝は未だに深まるばかりである。
しかし、今は違う。この異変を起こしたのは、スペルカードルールに乗っ取っている者だ。
この異変の発端者についての詳細は分からないが、少なくとも父が言っていることなのだ。少しくらいは信用しても良いだろう。
ならば、この機にスペルカードルールを使って、幻想郷にスペルカードの名を知れ渡らせてやろう――と、霊夢は考えていた。
「今回の異変の発端は僕の知ってる人だし、ちゃんとルールに従うって約束したから大丈夫だよ」
「なら、父さんが行けばいいじゃない。知人なんだから、ちゃんと話してくれれば分かってくれるわよ」
「……話をしても、聞かない人っているじゃない」
なるほど、と霊夢は思った。緑色の神で、紺色の服を着て、いつもふわふわ浮いていて、にやにや笑っているどこかの博麗家に憑りついている悪霊が思い浮かぶ。
「じゃぁ、もういい? 私、行ってくるね」
「まだちょっと待って」
そろそろ苛立ちが限界に達した頃だが、秘之依は親指を立てて空を指した。霊夢が指をさした方に視線を動かすと、そこでは昨日やって来ていたと秘之依から聞いた、魔理沙がこちらに向かってくるところだった。
「今日は私も一緒に行くぜ!」
魔理沙は霊夢に駆け寄った途端、胸を張ってそう言った。後ろでは魅魔が呆れた顔をして秘之依と何か話している。
「……なんで?」
霊夢はこの状況に困惑しながら、恐らくこの状況を一番理解しているであろう秘之依に向かって訊いた。しかし、秘之依は魅魔との話を止めようとしない。霊夢は若干苛立ちながら秘之依の傍へと駆け寄って、秘之依の脛を蹴る。秘之依は体をはねさせた後、身を悶えさせながら霊夢の方へ向いた。
「なんで……」
「こっちが聞きたいわ」
人の話を聞かないんだから、と霊夢は腕を組んだ。
「何で魔理沙も一緒に行くのよ。私一人で十分じゃない」
「その言い草はどうかと思うけどな」
霊夢の言った言葉に魔理沙が不貞腐れた様な反応をする。霊夢はごめん、と小さく呟いた後に秘之依の説明を待った。
博麗霊夢にとって霧雨魔理沙は親友である。親友の頼みなら何でも聞くものだと霊夢は思っているし、霊夢自身も魔理沙の頼みなら出来る限りは聞いてやろうという考えも持っている。
しかし、これはそれ以前の問題だ。霊夢の親友だからこそ、霊夢は魔理沙を異変解決の事に巻き込みたくはなかった。以前にも魔理沙は霊夢が解決した異変に何度か関わっているものの、今回のそれでは異変の規模が違う。
「大丈夫だって、霊夢が居るなら何とかなるぜ」
霊夢の心配の余所に、本人の魔理沙はいつもの様に笑っている。この状況を作り出した張本人である秘之依は魔理沙を見てうんうんと頷いている。霊夢はとりあえず、もう一発蹴りを秘之依の脛に入れ、強制的に秘之依をこちらへ振り向かせた。
「なんで、って聞いてるじゃない」
「いや、ね? 魔理沙ちゃんもそろそろ魔法使いとして実戦を重ねる年頃だし」
そんな今思いついたような言い訳があるか、と霊夢は思ったが、秘之依の話を聞くと魔法使いはこれくらいの時期にこういった実戦をいくつも重ねると強くなるらしい。と言っても魔理沙はまだ未熟だから、少し早い時期から実践を重ねないといけないとの事。詰まる所、霊夢は魔法使いとして未熟な魔理沙を同伴して今回の異変を解決しなければならないのだ。
しかし、霊夢にとって魔理沙が未熟だというのは少し予想外だった。
確かに霊夢は魔理沙との弾幕ごっこには常に勝利しているし、霊夢も魔理沙より少し強いというのは自覚している。しかし、魔理沙が自分より弱いというのは自覚していても、魔理沙はそこらの妖怪よりは確実に強いと言うことも霊夢は確信している。
ならば、別にいいのだろうか。魔理沙が付いてきたとしても、大抵の自衛なら魔理沙も出来るだろうし。いや、でもやっぱり危険だろう。何せこれだけの規模の事をできる相手なのだ。それ相応の力を持っている筈だ。だけど、魔理沙なら――
「色々気になる事があるかもしれないけど――」
あれこれと考えている霊夢に、秘之依が声をかけた。
「――心配はいらない」
何を知ったような顔を、と霊夢は思ったが、実際そうなのかもしれない。本来なら止める側であろう魅魔も反対をしていないのだし、何より秘之依がそういうのならそういう事なのだろう。
胸の前で腕を交差させて、内側の腕を体の外側に伸ばす。反対側もそうして、腕の準備運動を終える。腕を大きく回して一回転させた後、霊夢は肩で一つ息を吐いた。
「行こう、魔理沙」
「おう!」
霊夢は地面を蹴って飛び立ち、魔理沙は箒に乗って体を浮かばせる。
二人はそのまま、赤い霧の発生源であろう霧の湖へと向かっていった。
■
「本当によかったのかい?」
しばらくして、秘之依と魅魔は二人して居間でくつろいでいた。くつろいでいると言っても魅魔はまだ魔理沙の事を心配していたが、秘之依に至っては寝転んで煎餅を食べながら『外』の世界につながっているというラジオに耳を傾けていた。なぜ博麗神社にラジオがあるのか、それとなぜ外の世界からは完全に遮断されているのにそのラジオは使用可能なのか。魅魔は色々疑問思っていながらも、とりあえず秘之依に先程行かせた二人の事を聞いた。
「大丈夫だよ多分。それに死ぬわけじゃないし……」
魅魔の心配を余所に、秘之依はかなり適当な様子で答えた。
「それにしたって、この赤い霧は心配だね。なにやら瘴気に似たものが混じっているし」
「えっ」
魅魔が心配事をぼやくと、秘之依が勢いよく魅魔の方を向いた。
「それ、ほんと?」
「あ、あぁ……私が見た限りではね」
まぁ魔理沙には分かっているだろうし、と魅魔は付け足したが、秘之依は顔を青ざめさせて立ち上がった。そのまま部屋の隅に置いてある棚から何枚か札を取り出すと、勝手口の方へ歩いて行った。魅魔も一連の変化に気づき、跡を追う。
「なんだ、あんたの友人の話ではこの霧は無害だったんじゃないのか?」
「そのはずなんだけど……まぁ、魅魔が言うなら少し人里の方に結界を張っておかないと」
「そうした方が良いね。人間がこれを浴びると少し体調を崩す程度だとは思うけど……それにしても、この規模になると相手は相当の手練れだね。昔を思い出すよ」
そう言って胸を張る魅魔に、秘之依は苦笑で返す。
「じゃぁ僕はちょっと人里に行ってくるから、留守番頼んだよ」
秘之依はそう言うと勝手口の戸を閉めて、駆け足で人里へと向かう。
■
霊夢と魔理沙は、霧の湖の手前にある森林を突き進んでいた。赤い霧とそびえ立つ木々の所為で、辺りは暗い。霊夢は大きな針で、魔理沙は傍らに浮いている二つの光弾からレーザーを放ち、脇から飛び出してくる妖精を次々と撃ち落していく。
「……おかしいわね」
何回目か分からない妖精の大群を顔色一つ変えずに撃退した霊夢が、首を傾げて進む足を止めた。魔力の回復に努めていた魔理沙も止まり、「何で」と霊夢に問いかける。
「普通なら、妖精がこんなに襲って来る事はないのよ。たとえあいつらがいたずら好きだとしても、こんなに積極的になる事はないわ」
「確かに、そうかもしれないな。原因は……まぁ」
「当然よ」
二人は、そろって空を見上げた。二人の上は木々に囲まれているが、その隙間から見える空はひどく紅くなっていた。太陽も入ってこない。
「この霧が妖精を狂暴化させている、って考えが一番ね」
「ああ」
二人は顔を下し、再び前へと進んだ。恐らく、もう少しすればこの森を抜けて霧の湖に辿り着く頃だろう。妖精はもう襲ってこない。恐らく先程退けた妖精群が最後だと霊夢は思い、一気にスピードを上げる。
するとと、帽子の鍔を抑えて飛ぶ魔理沙の視界に異変が起こった。もう霧の湖は見えている。そこに、小さな黒い何かが見えた。霊夢もそれに気が付いたらしく、「あれ、何?」と呟いてだんだん速度を落としていく。
その間に、黒い点はどんどん大きくなってゆく。どうやら、こちらに近づいて来るらしい。霊夢と魔理沙は共にそれぞれの弾を準備し、臨戦態勢へと入る。
その黒い何かは“闇”だった。その闇は、霊夢と魔理沙のすぐ先で止まった。そして、その黒い闇は自らの衣をはがすように、しゅるしゅると渦を立てていく。だんだんと黒い闇の中身が見えていくと、そこに現れたのは一人の少女だった。
年は十を過ぎたか過ぎていないか。黒いベストに白いシャツを着ており、下は真っ黒なスカートを穿いている。髪の色は金で、横には赤いリボンを結っていた。霊夢は一瞬訝しげな表情を浮かべたが、すぐさま頭につけているリボンの中からいくつかの札を取り出した。魔理沙もそれにならって、傍に球体を出現させる。
「あれ、妖怪」
「分かってる」
緊迫した空気の中で、黒い闇から現れた少女は口を開く。
「あなたたちは、食べても良い人類?」
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「これでよし……と」
恐らく最後であろう人里の家に札を一枚貼り付けて、秘之依は言った。そして中にいる人に家から出ないように、この札ははがさないように、と注意をして里の中心部へと戻る。意外と早く終わったな、と秘之依は中心部のとある建物へと入った。
いわゆる寺小屋と人里から称されている建物の中には、秘之依と同じ量の札を持っている女性が座っていた。髪は銀色で青いワンピースの様な物を着ており、頭には家の様な変な帽子をかぶっていた。
秘之依が声をかけると女性は立ち上がり、持っている札を秘之依に渡した。
「大丈夫だったか?」
「全部、終わりました。あとは家から出なければ大丈夫でしょう」
そうか、と銀髪の女性――上白澤慧音は頷く。
「上白澤先生のお蔭で予想より少し早めに終わりました。ありがとうございます」
「此方こそありがとう。私ではどうしようもなかったしな」
そうですか、と秘之依は渡された札を懐に仕舞った。
「上白澤先生も注意して下さい。この霧は人間だけではなく、生き物全体に関わるものですから。たとえ半獣であるあなたでも例外ではない」
「ああ、そうするよ」
「くれぐれも外には出ないでくださいね」
では、と秘之依は寺小屋を後にして里の北側へと向かった。空では相変わらず紅い霧が空を多い尽くしている。洗濯物がたまってるのに、と秘之依はどうでも良い事を考えながら、とある一軒の店へと辿り着いた。
古ぼけた外見に、動きそうにない引き戸。いかにも幽霊が出そうなこの百貨店“幻文堂”の戸に秘之依は手をかけた。ぎぎぎ、と到底引き戸では出ないような音を出して引き戸は開く。
店内も、外見と変わらず古ぼけた印象だった。古くなった棚は今にも倒れそうだし、カウンターなどはヒビがいくつも入っている。そのカウンターに、ぽつりと一人だけ店員であろう男が肘をついて座っていた。
「いらっしゃい」
「相変わらず古臭いね。もう取り壊した方がいいんじゃない?」
毒を吐く秘之依に対して、店員の男は眉間にシワを寄せた。
「煩いな。これでも商売はやっていけるんだよ」
「でも古いのは事実だよね」
この野郎、と店員の男は声を上げたが、すぐさま無駄だと悟り、肘をつく腕を変えた。
「
「うん?」
その棗と呼ばれた男は、顔を上げ、秘之依に視線を向ける。
「異変だよ」
「知っとるわバーカ」
からかう秘之依に言い返し、夏目はカウンターの下から酒瓢箪を取り出して口に着けた。相変わらずよく飲むな、と秘之依は隠れて軽蔑の視線を向ける。
妖怪の中でも特に力を持つ種族――“鬼”の一人であり、尚且つその中でも一風変わっている“天邪鬼”である。
天邪鬼、と言うと嘘吐きの代名詞と言うのが一般的な解釈だが、この鬼はそんな素振りを見せない。むしろ、天邪鬼にしては正直者な方だろう。いや、それだと只の鬼か――とそこまでで無限ループしそうな勢いなので、秘之依は考えるのを止めた。
「今回は霊夢が異変解決の担当だっけか」
「ああ、うん」
秘之依が思考していると、棗が声をかけた。
まだ小さいのに、大丈夫なのか? と棗が聞いたが、秘之依は何も答えなかった。
「まぁ、俺が何か言う事じゃないか。で、何でお前は此処に来たんだ?」
「暇つぶし」
「お前本当クソだな」
そう言い捨てると、棗は席を立ってそのまま店内へと姿を消していった。秘之依は棗の背中を見ながら、カウンターのすぐ脇にある小さな椅子へと腰を下ろした。
■
頭上から絶え間なく押し寄せてくる弾幕を躱しながら、霊夢は自身の手に持った札を闇から出てきた少女――ルーミアへと放つ。遠くでは、魔理沙が危なげながらも弾幕を躱し、居るのが見える。撃墜されていないか、と言う心配は杞憂だったようだ。霊夢は袖から次弾を取り出し、再度ルーミアを見据える。
(それにしても)
敵であるルーミアが、まさかスペルカードルールを使ってくるなんて。
霊夢は一瞬不思議に思ったが、今朝秘之依が言った言葉を思い出す。そうなると、このスペルカードで戦いあうという状況も秘之依が作りだしたのだろうか。だとすれば、秘之依に感謝をしておこう。あの人のお蔭でここまで順調にこられたのだから――と言うところで、霊夢の思考に一つ不可解な点が思い浮かぶ。
秘之依は何時このような幼気な少女と関わりを持っていたのだろう。
ルーミアの外見は、どう見ても十歳前後だ。幾ら見た目が若いとは言え、四十前後の秘之依がこの少女に語りかける様子など到底想像出来ない。件の相手であるルーミアも妖怪とはいえ精神年齢は外見と同じ様だし、妖怪の中では珍しく純粋にスペルカードを理解している妖怪なのかもしれない――そう霊夢が無駄な思考をしているうちに、魔理沙がルーミアへとレーザーを被弾させた。
「よし!」
初戦果に喜びを隠せないのか、魔理沙は右手でガッツポーズをとる。対照的に、被弾したルーミアはふらふらと力が抜けたように空を飛んでいる。どうやら、スペルカードに負けても、よっぽどの事が無い限り意識が飛ぶことや地面に落ちるという事は無いようだ。霊夢は用意しておいた札を袖に仕舞い、魔理沙の元へと戻った。
「どうだ、見たか霊夢! 私だってちゃんと出来るんだぜ?」
「はいはい、凄いわね」
なんだよその返事、と魔理沙は頬を膨らませた。
「しっかしなぁ、こうも妖怪がスペルカードを使ってくれるなんて、不思議じゃないか?」
「父さんが行ってたじゃない。何も心配いらない、って」
そうだけど、と言う魔理沙を無視して、霊夢はルーミアの方へ近づいた。魔理沙もそれの後を追う。
ルーミアにこれと言った外傷は無く、スペルカードはやはり安全性に優れているらしい。もっとも、これくらいの安全性がなければ魔理沙はとっくに傷だらけなのだが。
「うーん、強い。流石は博麗の巫女ね」
「それはどうも」
霊夢が返事をすると、ルーミアは腕を横に広げて、笑顔で返す。
「私は? トドメをさしたのは私だぜ?」
「あなたも十分よ」
問いかける魔理沙に、ルーミアは彼女の方を向いて答える。魔理沙の強さが分かるかぎり、どうやら精神年齢は年相応ではないらしい、と霊夢が適当に考えていると、ルーミアは再び霊夢の方を向いて言った。
「やっぱり秘之依の選んだ巫女ね」
「……父さんと知り合いなの?」
目を瞑って自慢げにいうルーミアに対して、霊夢は少し威圧を込めて聞いた。秘之依の名前が手た瞬間にこれだ。魔理沙は少し引きながら呆れていた。しかし、ルーミアは別段怖がることもなく、首を縦に振った。
「只の知り合いよ。そう食いつくことないでしょ」
そう言ったのち、ルーミアは霊夢と魔理沙の前に姿を現した時と同じように闇を纏い、霊夢と魔理沙の後ろにある森へと消えていった。霊夢は腕を組んで何か考え事をしており、魔理沙はその霊夢に少し遠慮気味にして声をかける。
「れ、霊夢、大丈夫だって。只の知り合いって言ってたじゃないか」
「そうね」
そう返事をするとすぐさま目を開き、霧の湖へと向かっていく。意外と立ち直りが早い霊夢に少し驚いた魔理沙は遅れながらも霊夢の後を追う。
「何だよ霊夢ー、そんな気にしてないじゃんかよー」
魔理沙が大声で聞くと、霊夢は飛んだまま後ろを向いて答える。
「そうね、今は異変を解決しないと。理由は後でいくらでも聞けるから、ね」
はぁ、とため息を吐く霊夢を見て、魔理沙はあはは、と苦笑を漏らした。
■
二話目ですがオリキャラ多いです。
この小説は主にこんなノリで進んでいきます