GOD EATER 防衛班 キャラクターエピソード+   作:アマゾナイト

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投稿がずううううとなくて申し訳ありません。
チラチラっと書いてはいたのですが、リザレクション発表と、アニメに気を取られていたら、前回の投稿から4か月も経過しており……
言い訳できません。怠慢です。


今回の時系列は前回と同じ、レイジバースト編に入る前ということで。
前半はハルオミの「あの」ネタを、後半はしっとりとしており、ギャップに戸惑うかもしれません。

それでは、どうぞ



聖なる探索と誓い ~ギルバートとハルオミとテルオミ~

炎のような感情と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?

怒り、嫉妬、恋

それは全て、熱き魂が燃えていく様である。

そして、忘れてはならない、燃えたぎるようなうねりの感情、すなわち『情熱』

ここ極東支部には、決して消えることのない情熱を胸に、果てのない探索に思いを馳せる者がいた。

 

極東支部ラウンジ。

神機使いや職員の憩いの場として、いつもの通り賑わいを見せる中、ビリヤード台には二人の男がいた。

しかし、そのうちの一人は平穏な周囲の空気とは比較にならない程の熱を帯びていた。

彼から溢れ出す情熱はさながら「炎の舞」。

彼はキューの狙いをボールに向け、今にも必殺のショットを放たんとする。

「今の俺のムーブメントは……」

カンッ

淀みなく狙い通りにボール転がし、次々と穴に沈めていく。

見事なショットだ!

「……『恥じらい』だ」

満足そうに頷く彼……、真壁ハルオミは、隣に立つギルバートに語りかける。

「最近の極東支部は暑いからな……、露出度の高い女性が増えていく一方だ……。

だが、肌を見せる、見られる、というのはもっと特別なことであるべきだと思わないか?」

改めてギルバートに向き直り、それは穢れを知らない子どものような純粋な瞳で、彼に問いかける。

「異常気象によるこの熱さ故に薄着をせざるを得ない、しかし! 肌を見せることは恥ずかしい! だがしかし脱がなければ暑い……その二律背反の狭間に生まれた『恥じらい』の花にこそ、俺はどうしても魅せられてしまうのさ……」

「…………」

何と応えてよいか分からず、ギルバートは言葉に詰まる。

ギルバートにとって、ハルオミの『聖なる探索』は慣れたものである。

ハルオミと旧知の仲である彼は、グラスゴー支部にいた頃から『聖なる探索』に付き合わされてきた。

当時から、訳のわからないムーブメントの変遷に付き合わされ、その都度別々の女性を連れてきて散々振り回されてきた。だが、彼とのこういったコミュニケーションのお陰で、先輩神機使いのユニークな一面を知っていけたのだと思う。

尤も、『聖なる探索』が続いたのはハルオミがケイトさんと出会うまでだったが。

と、そこへ、予想外の来訪者が現れる。

「今の僕のムーブメントは……」

カンッ!

突然現れたその男は、先程のハルオミ同様、淀みのない見事なショットを放ち、盤上の趨勢を塗り替える。

「ブラッド隊のクロガネシリーズ……!! 華美に走らず、武骨に堕ちず、機能美と豪奢さを紙一重のバランスで両立させた完璧な神機!そして、ギルバートさんが創ったシロガネ神機! あれほど素晴らしい神機を創れるなんて……、やりますね……!」

恍惚とした表情を浮かべながら神機を語る彼……、真壁テルオミの突然の登場に、ギルバートは驚きつつも、賞賛に対する礼を述べる。

「おう。ありがとう。神機の創造は奥が深いからな。まだまだ精進していくよ。そっちも、オペレーターの仕事は順調らしいな」

「はい。頼りになる先輩達がいるので、今のところは問題なく業務を続けられてます……」

二人の会話にハルオミが割り込む

「おー、おー、そりゃあ、良かった……、ったく、綺麗で頼りがいのあるお姉さん方に囲まれてるっていうのに、相変わらずお前は神機のことばっかだなあ」

「はは」

とそこで、ハルオミはカウンター席で食事するエリナ、ナナ、ウララを一瞥して言う。

「にしてもよテル、最近はウララちゃんと一緒にいること多くねえか?」

「いえ、同じ新人オペレーターで同期ですからね。研修も実戦も一緒に行うことが多いので」

「とか言いつつ、随分仲が良いじゃないか。この前も彼女と合同の任務では随分と頼りにされてただろ?」

「まあ、彼女は戦場に慣れてないところがありますからね。……あれえ? 兄さん、もしかして嫉妬ですか? 最近若い子に相手にされないからって拗ねちゃダメですよ?」

「こいつめ、言うじゃねえか!」

ハルオミはテルオミの首を締める。

テルオミは彼の腕を振りほどこうともがくも、神機使いの腕力からは逃れられず「何するんですか!」ともがくだけで精一杯だ。

そんな兄弟のじゃれあいをギルバートは眺めつつ、ビリヤード台に体を掛けて、呑みかけの酒が入ったグラスを手に取り微笑む。

ふと思う。こんなにも穏やかな気持ちで、この三人でいられるのはいつぶりだろうかと。

三年前のあの事件の直後、こうして三人で集まることなどなかった。

あの頃の自分は、どうしようもない後悔と懺悔の念に押し潰されて、ハルオミにはもちろん、ケイトによく懐いていたテルオミにも顔を合わせ辛かった。

ハルオミから解放され、困ったように、そしてどこか楽しげに深呼吸するテルオミを見て、ギルバートは思い出す。

三年前の、テルオミの涙と決意を。

 

 

 

 

ケイトが亡くなった翌日。

ギルバートは、学校の教室程度の広さの薄暗い査問室で、支部の上層部数人と、モニターに映し出された男から査問を受けていた。

「――――ギルバート・マクレイン強襲少尉、君の行った介錯は正当なものとして我々が保証する。」

モニターに映った男、フェンリル情報管理局局長、アイザック・フェルドマンが述べる。

情報管理局は、ギルバートの証言が紅いカリギュラの目撃情報、腕輪の反応などの証拠と一致したため、彼の報告を全面的に認めることとなった。

フェルドマン局長は、終始眉間に皺をよせた厳しい顔つきのまま、必要以外の言葉は一切述べず、淡々と業務を遂行した。

「以上で査問は終了だ。下がり給え」

「…………、失礼します」

部屋を後にしようとするギルバート。

フェルドマン局長は顔の前で手を組み、退出する彼の背中をじっと見つめる。

何を思ったのか、突然その背中に語りかけた。

「……アラガミ化した神機使いの介錯は必ず誰かがやらなければならないことだ」

その場にいたフェンリル職員は、予想外のフェルドマン局長の発言に驚き、彼の方を向く。

しかし、ギルバートは振り向こうとはしない。

「……君がやらなければ……こちらで保有する部隊に介錯させる案件だったのだ」

彼は眉間に皺を寄せたまま、目を閉じ、まるで自分に言い聞かせているかのようにして続ける。

「君には辛い役回りとなってしまっただろう。だが、新たな被害を出す前に、迅速に行った君の決断は……間違いではないのだ」

フェルドマン局長にとっては最大級の労いの言葉であったのだろう。

しかし、ギルバートは彼の言葉を無視して、部屋を後にした。

 

アラガミの討伐。

そのミッションは神機使いが亡くなった翌日であろうと、時を弁えずに発令される。

小型アラガミを少数討伐する簡単な任務ではあったが、支部の近くまで迫ってきたため、緊急任務となった。

神機使いが三人しかいなかったグラスゴー支部では、ケイトの身辺整理をしているハルオミを除いて、出撃できたのはギルバートのみだった。

受付に向かう途中、彼が支部を歩いていると、事件の噂を聞いたフェンリル職員から冷たい視線が向けられる。

職員の中にはケイトの知り合いも大勢いる。彼女を慕う、多くの人々が、彼女の死を哀しんでいた。そして何も語ろうとはしないギルバートに冷たい視線を向けるのは当然のことだった。

一日経ってもギルバートは鮮明に覚えていた。

あのアラガミに届かなかった槍を。その代わりに貫いた尊敬する先輩の感触を。

自分には何も語る資格はない。殺したのは事実だ。言い訳はない。

ズボンのポケットに手を突っ込みながら、下を向いて歩いていく。

受付でミッションを受注し、神機保管庫に辿り着く。

グラスゴー支部のような小規模な支部には、それだけ神機の数も少なく、保管庫も神機使いの私室程度の広さしかない。

保管庫の扉に歩み寄った時、中から声が聞こえた。

「くっ!……」

聞き慣れた声。それは泣いているテルオミの声だった。

「……っ…、義姉さんと……、ずっと戦ってきたというのに……、……」

ギルバートが気付いた時には勝手に自動ドアが開かれていて、ケイトの神機固定台に片手を突き、もう片方の手で頭を抱えるテルオミの姿が目に入った。

彼が入ってきたことに気付いたテルオミは、バツの悪そうな笑顔を浮かべ、彼の方を向く。

「……あれ、見つかってしまいましたか。恥ずかしい所を見られてしまいましたね」

目は腫れ、酷く哀しんでいるが、それを表に出そうとしないテルオミの表情は、昨日から何度も「お前は悪くない」と語りかけてくれたハルオミの表情に似ていて、ギルバートは思わず目を逸らす。

「いやあ、神機整備士見習いになってから、神機が帰って来なかったのは初めてですからね。少々取り乱してしまいました」

「…………、済まない」

他に言葉が出てこなくて、ギルバートはそれだけを言う。

テルオミは自らの失言に気づき、

「いいえ!そういう意味で言ったわけではありません。ギルバートさんは十分に戦ったと思います。……あんなにも傷だらけだった神機を見れば判ります。……謝らないで下さい。……謝るとすれば……僕の方です」

そこで一旦言葉を切り、本来ケイトの神機が納まるはずの空の固定台に目を移す。

「僕は神機が好きだからという理由だけで整備士を目指しました。何とか見習いとして雇って頂き、神機を毎日見ることができるようになって、本当に幸せでした」

「…………でも、『命を預かる仕事』としての覚悟は足りなかったと思います……。少しでも手を抜いたら神機使いの命を奪いかねない。そういう仕事をしてるのだという自覚が足りてませんでした。……だから失って初めてこんなに動揺するのです。もっと早く仕事を覚えて、もっといい整備ができたなら……、そう思わずにはいられません」

ギルバートは目を逸らしたまま、苦虫を噛み潰したような顔をした。

「整備でできることなんて高が知れてるだろ。……この結果は、ただ、俺の槍が届かなかっただけだ」

「…………………………」

「どいてくれ。出撃する」

ギルバートは自分の神機を乱暴に掴み、下を向いたまま出撃ゲートに向かう。

「…………ギルバートさんの神機は一通りメンテナンスしておきました。通常通り戦えるはずですが、くれぐれも無理はしないで下さい。……それと……、忘れないで下さい。ギルバートさんを支えようとしている人達は沢山いるということを」

「…………………………」

ギルバートはテルオミの言葉が耳に入っていないかのように黙々と、出撃ゲートに立つ。

「僕には覚悟が足りませんでした。でも、僕はこの仕事を続けたいと思います。ケイトさんがよく言っていたように『前を向いて』いくことにしたんです。悲しい事故が無くなるように、あらゆる神機が100%の力を出せるような、そんな整備士になってみせます」

ゲートが開き、黙ったまま保管庫を後にするギルバート。その背中にテルオミは叫ぶ。

「……だから、一人で戦っているなんて決めつけないで下さい! 僕たちはそこにいなくても隣にいます!」

自らの力に失望し、抜け殻同然のギルバートであったが、不思議と彼の言葉は頭に残っていた。

 

 

 

 

 

現在。

ラウンジのビリヤード台前。

ふと三年前のテルオミとのやり取りを思い出したギルバートは、ハルオミに酒を飲まされ、むせて咳をしているテルオミに尋ねる。

「なあ、整備士辞めてオペレーターに転職して良かったのか? あんなにも神機が好きだったじゃないか。最近は俺も神機をいじくるようになったからわかる。あれは奥深い。最高の神機を創ろうとするなら天井がない。整備だって同じことがいえるだろ?」

おいおいギルもそっち派かよー、と言うハルオミを無視してテルオミは答える。

「うーん。今でも神機が大好きな気持ちは変わりませんよ。クレイドルの野戦活動が再開したら、そちらのお手伝いに行くかもしれませんし。ただ、今やってる仕事の方が、より直接的に皆さんのサポートもできますからね。充実していますよ。それに――」

そこで一旦言葉を切ってテルオミは兄を見る。だがすぐにギルバートに向き直って言った。

「――世界中の各支部に極東レベルの通信技術があれば、散らずに済む命も沢山あるはずですから。いつか、この通信技術を世界中に広めていけたらと思っています」

強い目をして言った。

それを見てハルオミは満足そうな笑みを浮かべる。

ギルバートも頷く。

そして彼は改めて思う。

最近、神機の調整を通して、思わぬことから「人とのつながり」を感じとることができた。

ブラッドや極東の人々のお陰で、ケイトさんが言っていた、お互いがお互いを精一杯支え合うことの素晴らしさを、やっと実感できたことを。

自分を見守っている人達に背を向けて、一人で槍を振るっていたと思っていた時期も、多くの人に支えられてきたのだということを。

そして彼は誓う。

例えこれからどんな選択を迫られても、ケイトさんや仲間が繋いでくれたこの想い、絶対無駄にはしないと。




このギルバートの誓いが、レイジバースト編で、ケイトに化けたラケルに彼が啖呵を切った、あのセリフに繋がれば、と。


テルオミとギルバートは知り合いのはずなのに、本編ではあまり絡むことがなかったので、後半は二人の会話をメインにしました。
また、レイジバースト編終了後に、ギルバートに話しかけると、ハルオミと一杯やってる時にフェルドマン局長に声かけられて、一緒に飲んだと語ってくれます。フェルドマンは情報局局長なので、ケイトさんの件で、もしかしたらギルバートのことを前から知っていたのないかと妄想し、このようになりました。

前半は私の趣味満載です。「恥じらい」いいよねえ……

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