GOD EATER 防衛班 キャラクターエピソード+   作:アマゾナイト

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前回と同じほのぼの系です。





極東table cafe ~エリナとウララとナナ~

「どうかしましたか?」

 

アナグラ受付ホール二階。

ラウンジの入り口前でウロウロしているウララに、たまたま通りかかったエリナが声をかけた。

 

「あっ……、いえ……、夕飯どうしようかなと迷っておりまして。部屋で食べるか、ムツミさんに作って頂こうか、どうしようか……」

 

突然に声をかけられたことで、ウララはたじろく。

それを見たエリナはふーん、と呟く。

 

「ラウンジで食事をしたことはありますか?」

 

「はい。何度かは……」

 

ウララはオペレーターに採用されてから日が浅い。そのため、未だ施設の勝手がわからない部分がある。

エリナは提案をする。

 

「……じゃあ、一緒に食べませんか? 私も今日は一人で食べる予定だったので」

「あ……、……はい! では、是非よろしくお願いします」

「よかったら私のおすすめのメニューをご馳走しますよ」

「いえいえそんな。滅相もない……」

 

 

 

 

 

二人でラウンジに入ると、中はなかなかの盛況具合だった。

ひと時の休息を得るために集まった人々は、軽やかなBGMに包まれ、ビリヤード、TV、食事といったそれぞれの時間を送っていた。

 

「あ! エリナちゃん! ……と、ウララちゃんで良いんだっけ?」

 

中央のカウンター席にいた先客――ナナは二人に手を振った。

 

「こんばんは。ナナさん」

「こんばんは。ウララで合っていますよ」

「えへへ……、良かった。じゃあ、二人とも、ここ座りなよ~」

 

ポンポンと隣の椅子を叩くナナ。

二人が席につくのを見ながら、食べかけのおでんパンを頬張りつつ話す。

 

「二人でいるの珍しいねー」

「入り口で迷っていたらエリナさんに声をかけていただいたのですよ」

「へぇ~、な~るほど~。エリナちゃんにもやっと後輩ができたからねぇ~、先輩として張り切ってるね~」

 

エリナは悪戯な瞳をナナに向けられ、少しムッとした表情になる。

 

「別に、困ってそうだったから声かけただけですから。先輩ぶってなんかいません。あ、ムツミちゃん、私、ハンバーグセットお願い」

「私は……、ええと……和食……、ありましたら、お願いします」

 

和食定食ですねー、とカウンター内のムツミが応える。とても9歳とは思えない見事な手際で料理を作り始める。

と、そこでウララがポツリと言う。

 

「あ……、でも、ご馳走しますと言ってくれた時のエリナさんはとても先輩らしかったですよ」

 

それを聞いたナナはここぞとばかりにエリナに詰め寄る。

 

 

「あれ~? 後輩にご馳走するなんて、エリナちゃんはやっぱりいい先輩なんだね~」

事実、フェンリルに入隊したのはエリナが先とはいえ、エリナはウララより1歳年下である。

 

「……っっ……、そういうことは言わなくていいですからっ!」

 

すっかり顔を赤くするエリナ。

それを見てナナはニヤニヤ笑っていた。

 

 

 

それから数十分後。

ナナ、エリナ、ウララの三人が、それぞれ注文した品を食べ終わると、ムツミが怪しげな料理を持ってきた。

 

「ナナさん、できましたよー」

「おおーーーー!」

 

皿の上の品を見て、ナナは目を輝かせる。

その見た目はおでんパンに近い。しかしいつもナナが持ち歩いているものよりサイズが小さく、所々アレンジが加えられていた。

具は共通しているが、その上にマヨネーズと青のりがかかっている。さらに、ムツミなりの遊び心なのか、『GODEATER』と文字が切り取られた板のりが挟み込まれている。丸ごと食べられる串も刺さっていない。

 

「えへへ、ムツミ特製おでんパン! なんちゃって」

 

ウララとエリナも、興味津々といった様子で皿を覗く。

二人の反応を見て、ムツミが楽しそうに笑う。

 

「ナナさんに頼まれて、私なりに工夫したおでんパンを作ってみたのですよ。もしよかったら、お二人も食べてみますか?」

「え!? いいの? じゃあ、いただきます」

「私は……、お腹いっぱいなので遠慮します」

「あ、じゃあ、ウララさんにはデザートの試食をお願いできますか? 盛り付けの練習で作ったのですけど、余ってて勿体ないので」

 

ムツミが冷蔵庫から、オレンジやブルーベリー、イチジクでデコレーションされたフルーツパフェを取り出す。

 

「わあ! おいしそう。……デザートは別腹です!」

「ねえ、ねえ、食ていい?」

 

ナナは目の前のご馳走に我慢ならないようだ。

 

「もちろんですよ。どうぞお食べ下さい」

「いただきまーす!」

 

ナナは電光石火の勢いでかじりつく。一口で半分も平らげてしまう。

 

「んんん……、むほお! おお! おいしいいーー!」

 

まるで勝ち誇ったように握りこぶしを作り、今にも天に召されそうな表情を浮かべる。

 

「いやあ、マヨネーズかけるだけでおでんパンはこんなに美味しくなるんだね!」

「ただのマヨネーズじゃなくて、辛しマヨネーズなのですよ。飽きさせない工夫です。あと、パンにも、おでんのだしをよく滲み込ませて、ナナさんの『おふくろの味』も損なわないようにしました」

「うんっ! うんっ! 流石わかってるねえ! ムツミちゃん!」

 

ナナは残りにもしゃもしゃとかぶりつきながら、まるで先生のような口調で褒める。

エリナはそんな彼女をじっと見つめながらも、感想を述べる。

 

「素直に驚いたわ。本当に美味しい。あと、食べやすいサイズなのもありがたいね。オリジナルだと口に入りきらなくて……」

「ありがとうございます。女の子でも楽に食べられるサイズにしました」

「むー! 私だって女の子だよー。ムツミちゃんひどーい」

「そうですね。ナナさんはたくさん食べてくれる女の子だから、いつも作り甲斐があります」

「えへへ、そう言ってくれると照れるなあ……」

 

余りに単純なナナを見てエリナとムツミは苦笑いする。

と、パフェを口にしたウララが声を漏らす。

 

「……んん~、これ、なまらうめえな~~」

「………………」

 

突然の異質な言葉に周りの三人は驚く。

余りにもの美味しさに、つい素の訛りが出てしまったウララは、顔を赤らめる。

 

「あの、ええと……とても……、おいしいです……」

 

ウララは周りの沈黙に耐え切れず、何とか言葉を続けようとする。

 

「珍しいフルーツがおいしくて……、うん、特にこのオレンジは瑞々しくて……」

「あ、このみかんおいしいですよね。なんでも『吉沢みかん』なんていうブランド名までついてて、一部のサテライト拠点でしか取れない貴重なみかんらしいですよ!」

 

ムツミが微妙な流れを断ち切るように努めて明るく話す。

そのお陰で場の空気は緩み、すっかりおでんパンを平らげたナナが気の抜けた声をあげる。

 

「あ~あ、おでんパン食べたらお腹空いてきちゃった~」

 

エリナが呆れて言う。

 

「ちょっ、ナナさんまだ食べるのですか? いい加減太りますよ」

「ダイジョウブ、ダイジョウブ、ちゃんと運動してるから」

 

ムツミが鍋の蓋を開けて中身を確認しながら言う。

 

「あ、でしたらナナさん、今日作り置きした分のカレーが余ってるので、良かったら食べていきますか?」

「わあい!」

「あ、ゆで卵余ってるので、乗せておきますね」

「やったあ! ありがとーー」

 

差し出されたカレーを、衰え知らずのペースで口に運ぶナナ。

それを見て、この人のお腹は本当に底がないなあ、とエリナとウララは思った。

 

 

 

 

 

その後は、ナナが旺盛な食欲を満たす中、エリナとウララは他愛のない会話を交えつつ、ドリンクを楽しんだ。

そのドリンクも、どれもがハッとさせるくらいの美味しさで、エリナやウララは改めてムツミの腕に驚嘆した。

そして、しばらくして夜も深まり、ラウンジの他の客もいなくなった頃。突然ナナが「試したい料理を思いついちゃった。これは貴重なインスピレーションだ!」などと言い出し厨房を占領した。

そのため、片付けはナナに任せ、ムツミとエリナとウララは先に引き揚げることとなった。

 

「ふぁ~あ、エリナさん、ウララさん、お疲れ様です。おやすみなさ~い」

 

先にエレベーターから降りたムツミは、少し眠そうにあくびをしながら、二人に手を振る。

ウララはそれに、丁寧にお辞儀をしながら、

 

「お疲れ様です。遅くまでご苦労様です」

と言う。エリナも、

 

「眠くてもちゃんと歯磨いてお風呂入ってから寝なさいよ」

 

と注意する。

 

「は~い」

 

ムツミは気の抜けた返事をし、やがてエレベーターの扉が閉まる。

ウララはまだ小さいのにえらいなあ、などと関心する。

そして、エレベーターは次の目的地へ移動を始める。

残された二人は、ただ黙ったまま、階層の表示を見つめる。

 

「無理してない?」

「え?」

 

不意にエリナから発せられた言葉に、ウララは驚く。

 

「だから無理してない? まだここに来てあまり経っていないでしょう。いろいろ気を張っていないかって」

 

ウララはエリナの方を向くも、エリナは目を合わせずに続ける。

 

「私も最初はそうだったから。兄の意志を引き継いでゴッドイーターになったのだから、早く一人前になって、たくさんアラガミを倒さなきゃ。って焦ってて。……だから、エミールに子供扱いされるのがとっても悔しくて、余計に気を張って、コウタ隊長の言うこと全然聞かなくて――」

「……」

「でも、それじゃいけない、ってブラッドの先輩に気付かされるまで随分と時間かかっちゃった。だから、あなたがもし気を張り詰めているなら、無理はしてほしくないっていうか……」

 

ウララはそれを聞いて、隣にいる先輩の優しさに顔を綻ばせる。

 

「ありがとうございます。ええ、そうですね。私、知っての通り鈍臭いですから……、確かに、いろんな人に厳しいことを言われて落ち込むこともあります。でもそれ以上に、こんな私でも見捨てないでいてくれる人達が、ここには沢山いますから――」

 

――今日声をかけてくれたエリナさんのように。そう言おうとしたところで、エレベーターの到着のチャイムが鳴り、ウララの言葉は中断されてしまう。

エリナはそこで降りて、振り返りながら言う。

 

「……そう……。なら、よかった。……じゃあ、また一緒にご飯食べようね」

「あ、はい。……では、お疲れさまでした……」

 

お互い、何か言い残したことがあるように尾を引きながらも、扉は閉まってしまう。

一人エレベーターの中に残されたウララは今日の出来事をぼんやりと考える。

人見知りで、あまり誰かと一緒に食事をとる機会はあまりなかったからか、今日の夕食はとても特別で、いつもよりずっと充実していた気がする。

それに、あまり話したことのなかったエリナやナナやムツミと仲良くなれた。

……楽しかったなあ。

そして、エリナが不器用ながらも、自分に気遣いを見せてくれたことが、ただ無性に嬉しかった。

 

「……よし、明日も頑張んねえと!」

 

そう呟いたウララは、何だかいつもより元気が湧いてくるような気がしていた。

 




感想、評価、お待ちしております。
以下筆者の蛇足となります。読み飛ばしてもらって結構ですが、今回の話を作った背景など書いています。


〈解説〉
作中にムツミのおでんパン、フルーツデザート、ゆで卵入りカレーが登場しましが、実はこれ、GODEATERのアニメを制作しているufotableという会社が経営するcafeで実際に出されたメニューなのです。
他にもメニューはあったのですが、著者が去年の春に行った際に頼んだフードがこの三品で、どれもとっても美味くて、その味が忘れられずに、この話を作ってしまった次第です。
ちなみに、ゆで卵入りカレーは『聖域カレー』(笑)なんて名前でした。この話の時系列はRAGE BURST前という設定なので、ただのカレーとして登場させましたが……
他にもcafeでは、ブラッドのメンバーやリヴィをイメージしたドリンクなども頂いて、どれも「ハッとさせる」くらいの美味しさでした。これもややこしくなるのでこの話では少しぼかして登場させましたが。

一度でもcafeに行ったことのある人なら、あの味を思い出して読んで頂けたなら幸いです。もし行ったことがない人なら、いつか行けたらいいですね。とっても楽しいですよ。でも、ufutable cafeは不定期に内容が変わるので、次GODEATER cafeをやってくれるのがいつになるのかわかりませんが。

というわけで、長文失礼しました。
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