GOD EATER 防衛班 キャラクターエピソード+   作:アマゾナイト

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今回はこの作品のエピローグであり、私が新しく連載を始めた【防衛班の終極】のプロローグとなっている話です。

短めですが、どうぞ。


終わりの始まり

「最強の生物」とは、どんな生き物だろう。

「最強」と一言で表しても、定義によってその意味合いは異なる。

例えば、生物の基本原則である、「生きる」能力に特化した、すなわち環境適応能力における最強の生物。それには、クマムシが挙げられる。不死身ともいえるこの微生物は、151℃の高温から絶対零度まで、更には75,000気圧の高圧や、人の致死量の1000倍もの放射線にも耐えることができる。

また、昆虫は個々の力は弱いが、繁殖し、増えることにおいては最強である。アラガミが出現する以前の地球では、個体数で見ると最も生息数の多い多細胞生物はアリ科だと推定する者もいた。

脊椎動物の分類群の一つである「恐竜」は、長期間にわたって陸上で繁栄した。その中でも大型に進化した系統は、体長15mを越し、生き物における強靭さとしては正しく最強あっただろう。

しかし、ラケル博士が求める「最強の生物」は、そのいずれとも異なる。

彼女が欲したのは、「人を殺すこと」における「最強」であった。

 

「生き残ったのはあなた達でしたか」

 

博士はゆっくり、そして嫋やかに微笑む。

彼女の赤い視線の先には、溢れるほどの神機兵の亡骸と、その中で生き残った三機の神機兵が立っていた。

全身は傷だらけ。嗚咽のような低い唸り声を上げながら、三機は互いに見つめ合っている――

 

 

 

ラケル博士は新しく神機兵を開発するために、古典的な選抜方法を取った。

即ち、神機兵同士による殺し合い。

その際、最強の神機兵を期待して、様々な機体を生み出した。

零號神機兵を改良し、巨体でありつつも敏捷性を備えたもの。カリギュラを参考に、巨大なかぎ爪とブースターを加えたもの。鎧が全身を覆い、デミゴリウスのよりも硬いもの。サリエルのように、毒や多彩な遠距離砲を仕掛けるもの。その全てを備え、人型に平均化したもの。

そして、それら神機兵を、黒蛛病患者の人格をAI化しインストールされた神機兵、つまり人の心を得た神機兵と戦わせる。

より効率よく、より確実に、人を殺す。

そのデータを得るために、改造した神機兵が、人格を得た神機兵を殺す様を事細やかに記録した。

結果は出た。

さて、どの神機兵が人を殺すのに最適だったか。

最速か。最硬か。最遠か。そのすべてか。

答えは、いずれも異なる。

神機兵を一番殺したのは、殺される側のはずだった、人格を得た神機兵だったのだ。

調べてみると、神機兵は家族や親しい者の人格が与えられたことにより偏食場パルスの同調が起こり、本来遠隔制御するはずだった器官が変化して、互いに繋がることができるようになっていたのだ。

さらに、試しに人格を与えた神機兵と、アラガミの本能のままの神機兵を戦わせてみたところ、必ず人格を持つ方が生き残った。

結果は出た。そして自ずと結論も出る。

互いが互いを守り通すという強固な「意志」をもった群れこそが、最強の神機兵となったのだ。

考えてみれば当然のことであった。

太古から、人を殺す一番の達人は「人」そのものだった。

「自分を守る」「仲間を守る」「家族を守る」「故郷のため、国のため、未来のため……」そんな大言壮語に身を窶し、あるいはそれを誰かに強いられれば、人は自分と同じ形をした生き物であろうと平気で殺すのだ。

 

「――やはり、と言うべきなのでしょうね」

 

ラケル博士は呟く。

そして神機兵を見て、懐かしく思う。

泣き叫びながら、それでも傍らにあるものを守り通す姿は、ずっと見守り育ててきた「あの子たち」にそっくりで。

仲間と絆を深め「血の力」に目覚め、絶望を乗り越えてきた「あの子たち」。

ブラッドの生みの親として、彼らの輝かしい成長を見守っていた頃を思い出し、思わぬ感慨が胸をよぎる。

一度は朽ち、オラクル細胞で再生されたこの身体となってさえ、このような感情を覚えていることに、少し驚く。

けれども、彼らはいつの間にか離れていった。

ジュリウスだけを残して。

でも、いい。もうすぐまた会える。彼らとはいずれゆっくり話し合う時がくるでしょう。

それに、目の前には鋼鉄の意志を形にしたような、決して自分を裏切ることはない神機兵がいる。

 

「さあ、あなた達が切り開くのです。終末捕食の先にある、約束の地を――」

 

ラケル博士は柔らかく微笑む。

全てを赦す慈母のように。

この星を飲み込むアラガミのように……。

 




お疲れ様です。
いつものキャラクターエピソードを期待していた人は戸惑いを覚える内容だったかもしれません。

ここで少し、蛇足を。
この【GODEATER キャラクターエピソード+】において、防衛班個々人の話は前回で完結で、その後に総まとめ的な話を予定していました。しかし、想定以上に長くなりそうになったため、続きは別の枠で書くこととしました。
【防衛班の終極】
このタイトルで同じアカウントで既に連載を始めています。
よろしければ、そちらも是非。


これにて、【GODEATER キャラクターエピソード+】は連載終了とさせていただきます。
私の作品に少しでも目を通して頂いた全ての皆様に感謝を。
とても、とても、楽しかったです。これからも頑張って書き続けます。

感想、評価、お待ちしております。
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