シャイニングブレイド 〜蒼の魔導書を持つ男〜   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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相も変わらずぐだってます
いつも以上に拙いですがお付き合いください

あと今回で六章が終わりと言ってましたがごめんなさい
あと一回続いてしまいました
申し訳ありません

それとアンケートを少し

・次回作アークに出てほしいBBキャラクター
・そのアークのタイトル 例〝シャイニング・アーク ~何とかかんとか~〟みたいな
・主人公(フリードではない)のヒロイン(パニス以外)

◇シャノン
◇キルマリア
◇ベルベット
◇その他(ただこちらの場合は確定するか不明です)

ヒロインの場合はこれらのいずれかで


何時書くかは未定ですが絶対書きます

気が向いたらで構いませんので、どうか一つご協力をお願いします
ちなみに下二つは無理に答えなくても大丈夫ですよ

期限は三月十四日
※アンケートは締切ました


その名は〝シャイニング・フォース〟

大声と共に剣が鞘から抜き放たれる音が耳に響く

 

うおおおおお!! と叫びをあげながら走って行くそれぞれの軍の兵士たちの音を耳に入れながらハクメンはゆっくりと歩き出した

時折自分に攻撃してくる魔物やドラゴニアの兵士らを適当にあしらいながら歩を進める

その時別方向からハクメンに向かってクウガとレンが走ってきていた

走ってきていた、と言ってもレンは普通に歩いていたのだが

 

「うまくいったようね」

「お前もな」

 

軽く言い合うクウガとレン

その表情には僅かながらの笑みが見て取れる

その様子にハクメンは仮面の下で小さく笑みを作ると二人の間を抜けて

 

「では、我らも加勢しようか」

「あら。また味気ないダンスをお踊りになるの?」

「ダンスかはともかく、味気ないのは確かかな」

 

そんな事を言い合いながら三人はそれぞれ構える

指してレンは構えてはいないが、ハクメンは背にある鳴神を抜き放ちクウガは「変身」と叫んで姿を変える

 

「こっちもこっちで始めるか!」

 

クウガが言うと同時、三人は一斉に走り出した

 

◇◇◇

 

「援軍、結構頑張ってるぜ?」

「あぁ。いい傾向だ」

 

剣戟が飛び交うその戦場を見たままにアイラが式に同意する

各国から来てくれた援軍の兵士たちは気合が入っており、とても尽力してくれているようだ

 

「はい、とても頼もしいです…」

 

エルミナが呟く

確かにそれには同意見だ

連携が取れていなくとも。間違いなく今の戦線はレイジとアラタを助けたい、力になりたいという明確な意思がある

皆、思いは同じなのだ

 

それに加えてドラゴニア帝国軍はいきなり現れた各国の援軍に驚いて対応できていないようだ

これは紛れもないチャンスだ

 

「こっちからも攻撃すれば、敵は大混乱だ! 一気に突っ込むぞ!」

 

レイジの号令にまた方向が上がる

 

彼の号令を聞いた式は隣のエルミナに

 

「いいか。もう一度言うが、お前は迎撃に徹せ。わかったな」

「はい! 行きます…!」

 

そう強く返事をするとエルミナは刀をギュッと握りしめる

そして深呼吸をして鞘からその刀身を抜き放った

 

「それからあんま離れんな。見える範囲にいろよ」

「はい、行きましょう式さん!」

 

互いに頷いて駆け出す式とエルミナの後姿を見ながら少し寂しそうな表情を見せた後にまた笑みを作り手に持った杖を持ち直し

 

「さぁ行くぞジン!」

 

「え? あ、あぁ」

 

唐突に名前を呼ばれたジンは多少戸惑いながらも彼女の後ろをついていく

 

「エルミナに負けてはおれん! 私たちも!」

 

まるでラナのようだ

そう振る舞うアイラに若干の苦笑いを浮かべつつジンは

 

「あぁ。行こうか」

 

そう短く返事をしてアイラと共に駆け抜ける

ジンを援護するようにフォースを放つアイラの顔はどこか誇らしいものがあった

 

◇◇◇

 

大勢で襲い掛かってくるドラゴニア帝国が使役している魔物たち

一方こちらも数に差はあれどその熱意はドラゴニア帝国に匹敵するものがあった

 

大きな魔物には何人かで囲み、一体ずつ確実に

またあるときにはレイジやバレットなどの将軍クラスの人物が打ち倒していく

 

最初こそ絶望に打ちひしがれていたヴァレリア解放戦線は、たった二人の為にここまでの力を発揮する

 

これこそが人の秘めたる力

 

「…皆ががんばっている…なのに、私が俯いていてはいけないわね」

 

少し息を整えてサクヤは手に持つ霊剣を構える

その時立ったままの姿を持て好機と思った魔物の一体が爪を振り上げて襲い掛かってきた

が、その爪がサクヤを切り裂くことはなかった

それより先に彼女が動き、その魔物を切り裂いていたから

 

彼女は霊剣についたその魔物の血を払いつつゆっくりと歩き出す

 

「…伯爵、あなたの好きにはさせないわ」

 

彼女の顔にはもう迷いはなかった

 

 

「…あれ?」

 

同時間帯、戦っていたアルティナの視線に見知らぬ人物の姿が写りこんだ

それは頭に二本、クワガタのような角があり、肩や胴体に赤い鎧を纏っているのだ

 

「…あんな人いたかしら?」

 

「どうした、アルティナ」

 

その時彼女の近くを通った式がアルティナに歩み寄った

アルティナは式に気づくと「え、えぇ…」と歯切れを悪くする

そんな様子のアルティナを訝しんだ式は彼女の視線の先に目を向ける

 

「…!?」

 

瞬間、式の表情が驚愕一色に染まった

まるで誰かに驚かされたように目を丸くしながら

 

「…シキ?」

 

「い、いや…ちょっと、行ってくる」

 

「い、行ってくるって…、ちょ、シキ!?」

 

後ろで言うアルティナの言葉を無視し、式は目の前の人物の下へと走る

その人物こそ、自分が知っていた鏡祢アラタか確かめるために

 

◇◇◇

 

「おい! そこの赤いクワガタ頭!」

 

戦っているとなんだか変な単語でこちらを呼ぶ声が聞こえてきた

声の方に振り向くとそこには見覚えのある赤い革ジャンを着込んだ目つきの怖い女の人が―――

 

「あぶねぇ!? 駆け寄ってくると同時にナイフ突き出すなよ! 死ぬだろ!?」

「なんかムカついたから。いいだろ線突かれたくらいで」

「確実に死ぬから。お前魔眼舐めんな」

 

そのやり取りに式は何かを確信した様子でナイフを帯にしまってある鞘に一度ナイフを戻した

そしてクウガの顔を見て

 

「…お前、アラタ(おまえ)か?」

 

その言葉の意味はクウガにはわかっていた

だからクウガは直球にその言葉に返す

 

「あぁ。俺だ」

 

その仮面の下には式の知るあの男の笑みが見て取れた

間違いない、これは確実にあの男(アラタ)

 

「…え、けど、ここのアイツは…」

「それも、俺だよ」

 

言いながら背後ににじり寄ってきていたドラゴニアの兵士を振り替えりざま肘鉄を叩き込む

その顔面にブチ込まれた兵士は力なくその場に倒れた

 

「まぁ今はいいだろうそんなことは。今は目の前に集中しようぜ」

 

「…あぁ、そうだな」

 

呟きながら式は左の義手に仕込んである隠しナイフを解放し彼女も振り向きながら投げつける

飛んで行ったナイフはそのまま真っ直ぐ飛び、今まさに切りかかろうとしていたドラゴニアの兵士の腹部に突き刺さる

 

「流石」

「うっさい」

 

二人して短く言い合うとそれぞれ前方へ駆けだした

お互いの背に、確かな信頼を乗せて

 

 

「やぁっ!」

 

エルミナの振るわれた刀が魔物を捉えて相手を切り裂いた

しかしその一太刀を振るった後、襲ってきたのはひどい疲れだ

 

「アラタさんやレイジさんは…いつもこんな緊張感の中で…」

 

グッと刀を握る手に力を込める

自分から言い出したことだ、今更やめたいなんて言えない

そんな事をしたらアイラや自分を鍛えてくれた式に申し訳が立たないのだ

 

「私だって…強くなります…!!」

 

奮い立たせるように呟く

もう泣いてなんかいられない

強くなった姿を見てもらうんだ―――あの人(アラタさん)

 

「死ねぇぇぇぇぇ!」

 

叫びながら自分に向かって突っ込んでくる

そいつを視界に入れながら、エルミナは刀を支えにし、立ち上がって正眼に構える

式に教えてもらった、彼女に適したベストな構え

 

(…)

 

集中して相手の太刀筋を見る

しかし思いのほか、その剣ははっきりと見え、躱すのは容易だった

そして当のエルミナ自身もその感覚に不思議がっていた

 

それもそのはずである

木刀とはいえ、〝刀〟を扱った式に曲がりなりにも鍛えられたのである

おまけに彼女は幼少のころにより剣術を体得している上に、式の本来の獲物は刀

そんな条件がそろった式に剣術を叩き込まれた

一般兵やその隊長程度の剣技ならば、容易に見切れてしまうのだ

 

(!)

 

いける、と自分に言い聞かせ、エルミナはその足を進める

そして振り下ろされた剣を弾き、その一瞬を見逃すことなく袈裟に斬りつけた

 

「ぐあ!?」

 

と短い嗚咽を漏らし、その兵士はその場に崩れ落ちた

はぁ、はぁ、と肩で息をするエルミナはまた一つ、深く息を吐く

 

「はぁ…はぁ…」

 

それでも油断することは出来ない

視線を再び前に向けて、彼女は歩き出した

 

◇◇◇

 

何故だ

 

その一言がただ頭の中で幾度も再生される

 

包囲していた当初、流れは確かにこちらにあったはずだ

勝利は目前、恐怖に打ちひしがれたその表情を捉えるべく、内心で笑みながらその場の指揮を執っていた

 

しかし今朝、状況は一変する

 

どういう訳か各国から寄せられた援軍に不意を突かれ、その牙城が崩壊

みるみるうちに形勢は押され、今に至る

 

「どういうことだ…!!」

 

アルベリッヒはただ目の前で巻き起こる出来事に苛立ちを覚えていた

それ以前にこの包囲網に穴があったことに怒りさえ露わにしていた

 

(他の奴らが無能だから、こんな失態を晒す…!!)

 

ギリギリ、と自分に聞こえるように歯を噛みしめる

そうして彼は自分の付近にいる伯爵の名を呼んだ

 

「伯爵!」

 

「どうされました?」

 

まるでこのような展開を呼んでいたかのような微笑と共に伯爵が答える

その仕草にまた苛立つが、しかしと堪えアルベリッヒは続ける

 

「この状況を打開する。例の兵器を使うぞ」

 

「承知しました。しばしお待ちを…」

 

 

「おい、あれは!?」

 

一人の兵士が叫んだことによりレイジはその声の方向へ顔を向けた

その視線の先には、一体のメカのような、いや、見た目を一言で表現するならロボットやメカと言った方がしっくりくるだろう

 

それと同時にあれは、かつてヴァレリア解放戦線を敗北に追いやった古代兵器でもあるのだ

 

「あれは、古代兵器!?」

「やはり出てきたか…どうする、サクヤ」

 

アイラにより向けられたその言葉にサクヤは凛として返答する

 

「今回は逃げるわけにはいかないわ…ここで破壊するわよ」

 

今、この戦いには命運がかかっている

ここ背を向けることは、世界をドラゴニアに明け渡すことになってしまう

 

「わかりました!! よし…行こうぜ皆―――」

 

サクヤの言葉を受けてレイジが皆を鼓舞するように言葉を発そうとした時だ

 

 

 

カッと空が割れ、黒い空間が露わになった

 

 

 

その場の人全員がその割れた空に視線を向ける中、そこから青いコート着込んだ一人の男と、やけにスカートの丈が短い服を着た女性が現れた

見覚えのない、と最初は思うだろうがすぐに気づいた

その女性の髪の色、そして特徴的なキツネ耳―――

 

「もしや、まさか…!?」

 

「あぁ、間違いねぇ!!」

 

ユキヒメの声にレイジも共感する

相棒が彼女なら、その持ち主も必然的に決定する

 

やがてその二人は地面に着地し、また上に視線を向けた

そこからまた黒いドレスを纏った女の子がふわりと舞い降りてきた

 

舞い降りた女の子は着地するとすぐさまこちら振り向き

 

「あら、タイミングを間違えたかしら」

 

微笑み交じりに戦線に向かって呟いた

 

「レ、レイチェル…!? 貴女、今までどこに…!? それに、アラタ…!!?」

 

驚きに染まったサクヤを余所にレイチェルは青いコートの少年に向かって言葉を投げかける

 

「二人とも、リハビリと練習相手に丁度いい玩具が見えるかしら」

 

はっきりと言い切ったその言葉に戦線がざわつき始める

しかしそれとは裏腹に彼は

 

「…めっちゃゴツイ外見なんですけど」

「ちょっとカッコいいです。…ちょっと」

 

ローナに至っては褒めている

そんな二人に向かって彼女は

 

「確かに、そのまま戦えば苦戦は必至だわ。けど、右腕に宿った深蒼の魔導書(ブレイブルー)なら…」

 

そう言われてアラタは自分の右手を見やる

深蒼の魔導書

自分に宿っている、力

 

「それに貴方は一時的にとはいえ部隊に穴をあけ、心配かけたのよ。わかってるのかしら」

 

「嫌って言うほどわかってるさ。…行くぞ、ローナ」

「御意に」

 

本当なら仲間との再会を喜びたいがそれは後だ

恐らくあれが一度仲間たちを敗北に追いやった古代兵器

事前にサクヤが言っていたものと同じだろうか? しかし今それは些細なことだ

アラタは一歩二歩進むと指を鳴らす

 

その音に呼応したローナはアラタの手を握り目をつむった

その瞬間彼女の身体は光り輝き、一振りの刀となる

それは彼女のもう一つの姿

 

「さぁ…、今までのサボってた分、アイツ潰して取り戻すぞ」

「<はい!>」

 

そう言い合いながらアラタはまっすぐその古代兵器に向かって走り出した

 

 

巨大ロボットのような古代兵器は左手に盾、右手に剣とありきたりな剣士のような恰好をしている

その大きな巨体から繰り出される一撃は喰らったら一溜りもないだろう

そう、当たれば

 

「おっと!?」

 

振り下ろされた大きな剣は彼がいた地面を抉る

しかし大振り故に見切る事は簡単だった

攻撃方法がそれだけなら破壊するのも容易かもしれない

だがその古代兵器の攻撃方法は剣だけではなかった

 

一定距離離れたアラタに向かって盾を徐に突き出した

最初はなんだと疑問を抱いたアラタだが、その疑問の正体はすぐわかった

 

その縦の中央部分より、魔力が蓄積されていき一定量集まるとそれが波動となってアラタに撃ち出された

幸いにもその波動は直進だったものでこれも避けるのに造作もなかった

しかし弾速は中々のもので、このまま避け続けていてはジリ貧だ

 

「…やっぱり、深蒼の魔導書(ブレイブルー)で一気に決めた方がいいか」

「<それがいいかと。レイチェルさんも言ってますしね>」

 

それに自分の力量を図るいい機会でもある

古代兵器には申し訳ないが、ここは踏み台になっていただこう

 

ズン、と狼奈を一度地面に突き刺しぐ、と右手を左手で押さえ静かに目を閉じる

意識を集中させ神経を研ぎ澄ます

 

「…第六六六拘束期間解放、次元干渉虚数方陣展開」

 

譫言のように詠唱の言葉を呟いていく

大丈夫だ、問題ない

初めてこの力を使ったときは力に飲まれるかもしれないという恐怖心から以降使う事を拒んでいた

だけど今は違う

今ならば、この力を使いこなせる

自分の一人の力と思うな、仲間がいるから―――

 

深蒼の魔導書(ブレイブルー)、起動!!」

 

そんなアラタの咆哮と共に辺りには大きな風が巻き起こる

 

風が止んだとき、アラタの身体に変化があった

それはかつて見せた禍々しい姿ではなく、漆黒だった翼はすんだ蒼色に、獣のようだった腕はその右腕に纏われた蒼い焔を纏った姿に

紅く鋭かった瞳は優しさを帯びた空のような藍へと

 

「…遊びはなしだ、速攻で潰す!」

 

ブン、と狼奈を古代兵器に向け、そのまま駆けだした

古代兵器の盾から放たれる波動を右手で吹き飛ばし、あるいは狼奈で斬り払い確実に接近していく

古代兵器は彼が接近してくるタイミングに見計らってその大きな大剣を振り下ろした

ズズゥン!! とその大剣は直撃し、その光景を見ていたアルベリッヒはほくそ笑む

 

しかし

 

「ぜぇぇぇぇいっ!!」

 

雄叫びと共に振り下ろされた大剣が押し返されていく

その反動に耐えきれず逆に古代兵器がズゥン、仰向けに倒れてしまった

 

「これでトドメだ!」  

 

狼奈を左手に持ち替え、刀身を右手で撫でて力を付加させる

その刀身全体に力を付加させた時、大きくアラタは古代兵器の真上に跳躍した

 

「はぁぁぁ…!!」

 

そのまま狼奈の剣先を古代兵器に突き立てるように刃を向ける

だが古代兵器も黙ってはいない

倒れた状態のまま、古代兵器は叩き落とそうとその大きな剣を凪ぐように振るった

 

 

ブン! とアラタが振るった一刀にその大剣がバラバラに砕け散っていく

 

「ぜいやぁぁぁぁぁ!!」

 

落下の勢いを利用した一撃をその胴体に突き立てた

ズグシャア! と深々と胴体に思い切り突き刺された古代兵器は悶えたように動きながらも暫くしたらその動きを停止する

 

「…これにて」

「<決着ですね>」

 

狼奈を引き抜き血を払うように振り払う

彼にもう、迷いや躊躇いはなかった

 

◇◇◇

 

「馬鹿な…!? 我々の切り札が…!!」

 

本当に今日はなんだというのだ

それにあのアラタという男は討ったはずではなかったのか

いずれにせよこの戦いは敗北だ

…認めたくはないが

 

「…ちぃ!! やむを得ん、撤退するぞ!」

 

忌々しくそう呟くと彼の隣にいる伯爵は小さい笑み交じりに同意する

 

「それが良いでしょう。今後の作戦の為にも」

 

そう呟く伯爵の顔を見て改めてアルベリッヒは心中思う

本当にイライラさせる男だ…!!

 

◇◇◇

 

敵が退いていく

恐らく最大の切り札であった古代兵器が倒されたことで勝機は完全になくなったと判断したのだろう

伯爵とアルベリッヒを逃がしてしまったのが悔しいがこの際撃退できたと考えればいい

しばらくの間静寂の空気が流れる

 

数秒経ったとき、アラタがバッと右手を天高く上げた

その行動の意味する事

それは自分たちが、勝利したという真実

 

瞬間、歓声が上がった

 

 

「お疲れ様、うまく使いこなせていたじゃない」

 

レイチェルの言葉が耳に届く

アラタはそれに苦笑いで返すと、仲間のへと歩いていく

 

「…生きているって信じてたぜ」

 

気さくな笑みを浮かべながらレイジは拳を握って突き出す

 

「…待たせたね」

 

同じように笑うとアラタも同様に拳を握り、レイジの拳に当てた

こつん、とぶつかったその後にガシッ、と強い握手を交わす

 

「…フン、そう簡単にはくたばらないって思ってたさ」

 

握手を交わす傍らアラタにリックの声が届く

彼なりに心配をしてくれていたようだ

それだけでも十分嬉しかった

 

「あ、の…」

 

握手を終えたアラタに今度はエルミナが近寄った

瞳に涙を浮かべ、頭の中で言葉を探すその姿に心配させてしまったいう罪悪感を肌で感じながらアラタは言葉を紡いだ

 

「…大丈夫」

 

ただ安心させたかった

そう思ったアラタはそう言いながら彼女の頭にポンとその手を乗せた

 

「…アラタ、さん…!!」

 

久しく聞けたその声に安堵したのか、エルミナはそう声を漏らすと泣き出してしまった

流石にこれは予想していなかったアラタは必死になだめようと思考を巡らせる

 

「あ~あ。泣かせた」

 

意地悪い笑顔と共にそんなアルティナの声が聞こえた

そう言っている彼女だがわずかばかり瞳に涙が溜まっているのが見えた

 

「あ、アルまで…」

 

「私や皆がどれだけ心配したか、わかってるの? ここに駆け付けた人たちも、皆レイジと貴方を助けるために来たんだから」

 

「…え?」

 

初耳である

勇者であるレイジを慕って集ってくれるならまだ分かるが、まさかそれに入っていようとは思わなかった

とてもじゃないが自分はそんな器ではないと思うのだが

 

「…けど、レイジはともかく、俺なんかを慕って来てくれているってのは…」

 

「はぁ…どこまでも後ろ向きねアンタは。…そこもいいけど」

 

「…はぁ」

 

アルティナの言葉を受けながらアラタは苦い顔をする

実感はしてはいないけれど、それでも来てくれたのだ、それには素直に感謝しないといけない

 

「いつか戻ってくるって、信じてたわ」

 

不意に懐かしく思えるような優しいが耳に聞こえてきた

それは無意識に彼が一番聞きたかった声色

一人でどこまでも背負い込んでしまいそうな人の声

 

「…サクヤさん」

 

「…いろいろ言いたいことはあるけれど、それは今は省くわ」

 

言って彼女は柔和な笑顔を浮かべてアラタに言う

その言葉に、確かな安堵と信頼を寄せて

 

「…おかえりなさい」

 

「…ただ今戻りました、サクヤさん」

 

たった今、鏡祢アラタが、舞い戻った―――

 

◇◇◇

 

アルゴ砦の会議室にて

各国の援軍の代表らがそこに集まっていた

 

「お集まりの同盟軍の皆さん」

 

その場にいる人ら全員に聞こえるようにサクヤが口を開く

彼女は周囲に視線を動かしながら

 

「皆さんの尽力により厳しいを戦局を乗り越えどうにかシルディア周辺の敵を排除することが出来ました」

 

その一言でその場の人らから「おぉ…」と言った歓声が漏れる

だがまだ問題は山積みだ

 

「しかし、敵のクラントールの奪還、および、ダークドラゴンの復活阻止…これらの目的を達成するためには、我々も組織を再編成し、戦闘態勢を整えることが必要です」

 

「異論はない。しかしどうやってだ?」

 

ジンがその言葉に疑問を投げかける

しかしジンの表情には疑問を思い起こさせるような感情はなかった

その表情の意味を読み取ったサクヤはくすりと小さい笑みを浮かべて

 

「それは、貴方にも腹案があるんじゃない?」

 

「…見抜かれたか。だが僕だけに限ったことじゃないさ。君に、アイラ。ラナにクララクラン殿も。なにより、今日ともに戦った者全員が同じ思いのはずだが?」

 

「…あぁ。この戦いで皆が一つにまとまることができた理由…。それを考えれば、おのずと答えは出てくるな」

 

ジンの隣にいるアイラが腕を組みながらうんうんと頷く

この戦いに起きた出来事を思い起こす…

そしてそれに気づいたレイジは

 

「そっか。ラナとアイラ姫はあちこち走り回って大活躍だったもんな。二人を中心に纏まればきっとみんな―――」

 

「何言ってるのよアンタ。みんなが言ってるのはあたしたちの事じゃないわよ」

 

ラナの言葉にレイジは頭に?を浮かべる

アラタも実はそうでないかと考えていたのだが違うのだろうか

確かに駆け付けてくれてたのはレイジや自分の為と言ってはいたがそのためにラナとアイラは各国をめまぐるしく駆け回ったと聞いたのだけど…

 

「…違うんですか?」

 

そのまま素直に聞いてみることにする

それを聞くとアイラはふぅ…と深いため息をつきながら

 

「…久しく帰還し、お前鈍くなったのか? とはいえこの二人のように別の事を考えていないとも限らない」

 

アイラはコツコツと前に出て皆がよく見える位置に移動したあと、周囲をぐるりと見回した

そして

 

「確認しておこう。これからもドラゴニア帝国と戦うにあたって、私は、レイジとアラタ。この二人を中心に結束していくのが一番だと思うが、皆はどう思う?」

 

『…え?』

 

今確実にレイジと言葉がシンクロした

中心?

 

そんな二人をスルーしてラナが続ける

 

「賛成! こないだも言ったけどどこでも二人は大人気だもんね!」

 

「おうよ。俺も賛成だ。レイジとアラタは信用できる」

 

ラナに続いてディランも同意する

あの豪快な笑みは本気だ

 

「はい。私も…」

 

「オレもな」

 

さらに続いてエルミナと式さえも賛成する

 

「もちろん私も賛成。私やフェンリルが仕込んだ義勇兵たち。二人以外には預けられないわ」

 

想像通りサクヤもそれに乗っかってきた

だがいきなりそんな事を言われても反応に困ってしまう

 

「ちょ、ちょっと待ってくれよ!! いきなり言われても、そんなの無理だって!!」

 

「そうですよ!! 別段うまい作戦なんか思いつかないし、フェンリルさんみたいに仕切れるわけでもない…」

 

それにこの部隊にはアイラやラナといった姫や女王がいるのだ

人を率いるなら、そういった肩書があった方がいいのではないのだろうか

 

「アラタ」

 

そのような迷いを感じ取ったのか、サクヤの隣にいたレイチェルが口をはさむ

まるで分っているかのように

 

「レイジも。大事なのはそこじゃないわ。貴方たちと共に戦うという個人の意思。そして、ここに集っている人たちはみな、貴方たちについていこうとしてくれている…。わかるかしら?」

 

そう言われてアラタは考える

姫や女王、そういった肩書は関係なくただ一緒に戦ってくれるという意思の力

 

「けど…なんでみんなそこまで…」

 

けどなぜここまで慕われるのだろうか

その疑問を肌で感じたのかフェンリルは

 

「以前、ラナとアイラ姫が言っていただろう? お前たちはこれまであちこちを走り回り、そこで多くの人たちを救ってきた。そして俺達に数々の勝利をもたらしてきた…」

 

それに半ば割り込むような形で式が言葉を挟んだ

その声色にわずかばかりの明るさを乗せて

 

「それを間近で見てきたからな。皆思ってんだよ。お前らがいれば勝てるってさ」

 

「…式…フェンリルさん…」

「…副隊長も、そう思ってくれてるのか?」

 

副隊長、と呼ばれたフェンリルはむず痒い表情の後

 

「それはよせ。さっき隊長…いや、サクヤさんと話をしたんだが、もうヴァレリア解放戦線は解散だ。事態はもうヴァレリアでけではないからな。…それはさておき、質問への答えはこうだ」

 

フェンリルはジッとアラタとレイジに視線を合わなせがらこう言った

 

「お前と…そして〝シャイニング・ブレイド〟…そしてアラタとその相棒のローナがいれば、この戦いに必ず勝てる」

 

はっきりとフェンリルは言ってくれた

その一言がどれほどにまで勇気づけられたことか

 

「私も信じてるわ。レイジとユキヒメの名コンビのとんでもない力と、アラタとローナの予想外な力をね」

 

そう言ってサクヤはレイジとアラタ双方へと視線を向ける

その後に霊刀となっていたユキヒメとローナへと動かした

 

「<か、かたじけない…>」

「<きょ、恐縮です…>」

 

照れくさそうに霊刀二人はそう返す

 

しかしほかの皆がこうまで言ってくれて、強く信じてくれてるのだ

ここで断るのならば男が廃る、いや人間として終わってしまう

なにより自分たちを信じてここまで来てくれた皆を裏切ってしまうことになる

 

「…やろう、レイジ。うまくできるか分かんないけど」

 

「あぁ。力の限界を超えて、やりぬいてみせようぜ」

 

決心は固まった

あとは言葉に出して強い力にするだけだ

 

「必ず、帝国を倒すんだ! 平和を取り戻すために!!」

 

「皆、どうか俺たちと、一緒に、戦ってくれ!」

 

無骨な言葉でしか表現できなかったがそれでも皆には伝わってくれたようで、その場のあちこちから拍手が沸き、歓声が聞こえる

認めてくれてのだ

こんな未熟な自分たちを

それに深く感謝しながらレイジと向かい合って苦笑いを零す

 

「ふふ。どうやらお二人を中心に、新たな〝シャイニング・フォース〟が結成された…ということのようですわね」

 

何気なく呟いた龍奈の一言にクララクランが食い付いた

若干ながら両目を光らせながら

 

「そうですわ…これはまさしくその再来…!!」

 

「…なんですか? それって」

 

聞いたことのない単語だった

字面だけ聞くと何かの軍隊のようだが

 

「かつて今と同じようにエンディアスが危機に陥った時現れた、光の軍勢の事です」

 

龍奈は思い出すように語り始めた

 

「世界を救おうと己の意思で立ち上がり、仲間を信じて戦った英雄たち…それが〝シャイニング・フォース〟なのです」

 

自分の意思で立ち上がり、世界を救うために戦う…

なにやら今の自分たちに境遇や成り立ちがそれとなく似ている気がする

 

「…レイジ」

 

「あぁ! いいじゃないか、それ!!」

 

レイジも考えを感じ取ってくれてようだ

大きく頷いた後にレイジは大きく聞こえる声で伝える

 

「よーし皆!! 俺たちはこれから、〝シャイニング・フォース〟だ!!」

 

こう言った時のレイジの言葉には惹かれる何かがある

彼が皆に慕われるのも、この前向きさが一番の理由だろう

 

「ドラゴニア帝国を倒して、世界に平和を取り戻そう!! 皆…俺についてきてくれっ!!」

 

そうレイジの声に応えるようにその場の全員が『おうっ!!(えぇ!!)』と返事してくれた

 

本当の戦いは、これからなのだ―――

 

 

 

 

 

そんな中ただ一人、リックだけが複雑な表情でレイジとアラタたちを眺めていた

 

…別にレイジやアラタが褒めれているのが嬉しいわけではない

それに誰がリーダーであろうとも、やることは変わらない

アルベリッヒを倒して、ネリスを見つけ出す

 

ただ、それだけだ




これからもよろしくお願いします

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