シャイニングブレイド 〜蒼の魔導書を持つ男〜 作:桐生 乱桐(アジフライ)
BBキャラについては要望のあったキャラはなるべく出そうと思います
とりあえず次回作のタイトルは決めました
しかしここではまだ発表しません(待っててください)
ヒロインは同票になったのはキルマリアとシャノンとなりました
故に今度はこの二人でアンケートします
たびたび本当に申し訳ありません
今度は一人二票
一点集中でも1:1な感じに投票しても大丈夫です
多分アンケートはこれで最後です
お時間あればご協力お願いします
一応目安としては今日から来週の日曜まで
それではどうぞ
…恋愛描写って難しい
混沌のセレナーデ 1
レイジとアラタが率いる〝シャイニング・フォース〟はまだ小競り合いの続くベスティアを抜け、敵の本拠地となっているクラントール王国を目指す
しかし、ベスティアの砂漠地帯を進軍する彼らを思いもよらぬ障害が待ち受けていた
それが、この世界エンディアスのみならず、異世界をも巻き込む危機の始まりだとは、この時の〝シャイニング・フォース〟一向は知る由もなかった―――
◇◇◇
「クラントールにいけない? けど、砂漠を渡る準備はしていたはずじゃ…」
酒場にやってきたアラタの耳に届いてきたのはそんな言葉だった
アラタのそんな返答にフェンリルはいや、と言葉を続ける
「砂漠が問題じゃない。カオスゲートだ」
「…カオスゲート? なんですかそれ」
名前からして不安の予感しかしない
そんなアラタの疑問にナゴを椅子に座って紅茶を飲んでいるレイチェルが答えた
「分かり易く言うなれば次元の裂け目。いろいろな人々の歪んだ思いが結集して出来たもの…人によっては〝世界の傷〟だなんていわれてるわ」
かちゃり、と紅茶のカップを置きながら
「開いたまま放置しておけばそこから不浄なエネルギーが漏れ出し、大地を汚染する…」
「…なるほど。だいたいわかった」
しかし問題はそこじゃない
なぜ砂漠にそんなものが開いているか、だ
しかしはっきりした原因は分かっておらず現段階で分かるのはそのカオスゲートがあちこちにあふれ出し、異変を巻き起こしている、ということだけだ
「…とにかく今はそのゲートを調査し、可能ならそいつが現れた原因を探る事だな」
「ですがその前に、砂漠の周りをうろついている帝国軍を排除しないといけませんね」
カオスゲートの事もあるが最優先はドラゴニア帝国だ
ひとまず調査の話はそこで区切り、戦いの準備をするべくその場は一度解散となった
◇◇◇
とりあえずどうしようか、とひとしきり熟考したのち、レイジでも誘って稽古でもしようかという結論にいいたった
そのためにアラタはレイジとを探すべく石窟街ローランを歩き回る
ほどなくしてローナは見つかり事情を話すと快く承諾してくれた
次はレイジなのだが…
「あれ、レイジ」
目的の人物は案外あっさり見つかった
だがしかしこれからレイジはユキヒメに連れられて稽古を始めようとしていたのだ
どうやら入れ違いだったみたいだ
今回はあきらめて別の日に回そうとしその場からアラタが離れようとしたとき
「そうだアラタ。まぁないとは思うがレイジがサボらないように見張ってはいてはくれないか」
とユキヒメに頼まれた
レイジに限ってそんなことはなさそうだがユキヒメの特訓も興味があった
これと言って用事もないアラタは「あぁ」とそれを了承する
◇◇◇
そしてユキヒメとレイジの後ろをついて行っていくこと数分
四人は広めな高原に来ていた
「<よし。この辺なら手ごろな魔物がいよう。さっそく修行を始めるか>」
「修行っていっても何するんだ?」
「まぁこうして外にいるんだから実戦形式みたいなものなんだろうけど…」
アラタとレイジの言葉に「<ふふふ>」と不敵な笑みを漏らしながら
「<その通り。本日の修行は実戦形式! この近辺には凶暴な魔物がうろついている。それらを見事退治してみせよ、レイジ>」
「…ユキヒメ、それって実戦形式じゃなくて実戦じゃない」
ローナにツッコまれて半ば静かになるその場
数秒のち
「<細かい事は気にするな! さぁレイジ、魔物に気づかれたぞ。早く退治してみせるのだ!>」
強引に言葉をねじ込んできた
そんなユキヒメにローナはハァ、とため息をつき、アラタはレイジと共に苦笑いを浮かべる
「どうやら文句をいっても始まらないみたいだな…よし、やってやるぜ!!」
そう言ってレイジは雪姫を構え、その魔物たちに向かって駆け出して行った
◇
とはいっても今回の特訓の主役はレイジである
アラタはユキヒメに監視役を命じられてはいるが案の定現在レイジは真面目に魔物を討伐しているし、今回自分のいる意味はあるのだろうか、と思ってしまうほど
「…ローナ、俺らも体動かそうか」
「いいですね、模擬戦ですか?」
暇な自分らにできることと言えば身体を動かすくらいしかない
案の定ローナも暇を持て余していたのか少し身体を動かしてアラタと相対する位置に移動する
「一本勝負」
「合点承知」
そう答えながらローナはどこからか日本刀を取り出してアラタに投げて渡したあと自分も小太刀を取り出して構える
「よっし…行くぜ!」
「手加減なしですよ!」
こっちはこっちで別の稽古が始まった
◇
「ふう…。どうだユキヒメ。これで全部だぜ?」
一方レイジの方の特訓は最後の一体を倒して終了を告げる
ウルフのつんざく雄叫びが少々耳に痛いがそんなことは些細なことだ
「<ふむ…。少々時間がかかったが、まぁ合格としよう>」
相変わらずの辛口評価
しかしその厳しさの中にもちゃんとした優しさのを秘めているを知っている
ローナと話し込んでいる彼女の姿など微笑ましい
当然そんな事を直接言うと激しく怒られそうなので心の中に留めておく
「けど一応合格なんだな。じゃあアラタたちにも声かけて…あれ?」
退屈させてしまっているであろう二人にも声をかけようとしてレイジはぎょっとした
「<? どうした、レイジ…うお…>」
釣られてその視線を向けたユキヒメも同様に絶句する
何故ならば
お互いに真剣で戦いを繰り広げているローナとアラタの姿を見たからである
ガキン、ガキンと鉄のぶつかり合う音が響きあい、一見本当に殺しあっているのではないかと錯覚しててしまうほどだ
そんな視線に気づいたのかアラタがレイジの方をちらりと見た
「―――あ」
そんな一瞬の隙をついたローナの小太刀が彼の喉元に突きつけられた
彼女の表情は実にしてやったり、と言った表情だ
「今回は私の勝ちですね、アラタ様」
「ははは…負けた」
笑みを浮かべアラタはそう返す
そしてレイジたちの方を見て
「そっちも終わった?」
「お…おお」
あまりにも凄まじい稽古を見た気がする
あんなの続けたら流石に…
いや、考えるのはよそう、寒気がしてくる
◇
「しかし、魔物を探している内に少し遠くまで来てしまったようだな…。む? この場所は…」
唐突にユキヒメは周りを見渡し始めた
今度は地面をきょろきょろと探し始め、一つの花が咲いていた跡を見つけその場に跪いた
「どうした? ユキヒメ。この場所に来たことあるのか?」
「…この無残に踏みにじられた花は、もしやシラユキソウ…」
それはかつてユキヒメがレイジに課した特訓の際に崖に生えていたものと同じものだ
「…こんなに踏み散らされて。…かわいそうに」
アラタがその跡に近寄ってそんな感想を漏らす
そしてすっくと立ち上がったユキヒメはこんなことを呟いた
「間違いない。ここは私と、先代の…思い出の地…」
そうユキヒメが呟いた後、思い出したようにローナが口をはさんだ
「あぁ!思い出しました! ここはユキヒメが、初めて霊刃化した場所ですよ!」
そう言ってローナは思いをはせるように空を仰ぎ見た
同じように眼を閉じて当時の事を思い出すユキヒメ
「へぇ…ユキヒメが初めて刀になった場所か…そりゃあ懐かしいな」
思わずそんな姿を想像してしまう
先代とやらに忠誠を誓い、自身を霊剣とするそんな彼女の姿を
「あぁ。こうして目を閉じれば自然とよみがえってくる…凛々しく雄々しい、先代の姿…」
「…偶然だけど、いい場所に来られてよかったな。なんなら一人にしてやろうか?」
「…いや、気遣いは無用」
そうレイジの言葉を区切り、ユキヒメはレイジに振り返る
「ここにお前と来たのも、何かの縁だろう」
そう言って彼女は小さく笑みを浮かべた
◇
その帰り道
「それで、どうだい? 久々に思い出の場所に戻った気分は」
レイジはユキヒメにそんな言葉を投げかけた
投げかけられたユキヒメはどこか遠い目をしながら
「そうだな…まるですべてが昨日のことのよう…だが…」
言葉を詰まらせる
その頬には何かが伝っているような…
それは彼女が泣いているのだと気づくのに少し時間がかかった
「…空も、大地も風も…私も…。何も変わっておらぬのに…! 先代だけが…クリスだけがおらぬ…!」
それは彼女が漏らした本音
長い時間を生きるからこその、苦悩
「人はみな、私を置いて去っていく…この身が人でないことが…呪わしい…!」
そしてまたほろり、と彼女がまた涙を流す
その涙は、一体幾度目なのか
「…そんなに落ち込むなよ、ユキヒメ。長生きしてきたからって悲しい事ばかりあったわけじゃないだろ?」
「そうそう。同じくらい出会いや楽しい事もあったはずでしょう」
そんな彼女を放っておけなくなったのか、レイジとアラタが言葉を紡ぐ
確かに彼女が悠久に近い時を生きていた分、別れを経験してきた
だけどそれと同じくらい新たな出会いや、楽しい出来事があったはずだ
「…レイジ…アラタも…」
「…それに、レイジさんと会えたのも、私に再会できたのも…貴女が長生きしてくれてるおかげでしょう?」
一度失ったと思った
もう二度と会うことはないと思っていた
しかし長く生きていたからこそ、またローナに、ムラサメに会えた時は本当に嬉しかった
「確かに、お前は口うるさいけど…ちゃんと、感謝はしてるんだぜ? いつも俺を鍛えてくれてさ」
「なっ! 誰が口うるさいだ! 私は、お前の為を思って―――」
思わずユキヒメは怒鳴る
しかしレイジは苦笑いと共に
「っと…怖ぇ怖ぇ…。けど、元気が出たみたいだな。…そっちのほうがお前らしいぜ?」
それに、とレイジはつけたし
「女の子の泣き顔を見てると、こっちまで辛くなってくるんだよ。だから。お前も笑ってろ。な?」
女の子、という単語を聞いたとき、ユキヒメの顔をが真っ赤になる
それこそまるでリンゴみたいに
「なぁ!! 何を申すかぁ! 私、は上位精霊であり、刀であり、その…」
ドギマギするユキヒメにレイジはさらに付け足した
「剣と化精霊とか関係ないだろ? 俺はただお前が悲しい顔してると俺も一緒に悲しくなっちまうってだけだ」
そう言って小さく笑みを浮かべる
目の前の男を見てユキヒメは心の中で思う
(…レイジ…やはり違う…この男は、先代とは…)
こんな時先代ならば自分が泣いていても切れ味が鈍るとただ叱咤するだけであった
あくまで自分を刀としてしか扱っていなかった
だがこの男はどうだ
泣いている自分を見ては励まし、あまつさえ自分を女の子として扱っているなどと…
「? どうした、ぼうっとして。まさかまた泣くんじゃないのか? 泣き虫の精霊さんよ」
こちらが真剣に悩んでいるのを知ってか知らずかよくもぬけぬけと…!
肯定するのは癪なのでユキヒメはこう返す
「そ、そんなわけあるか! 明日からどうお前を鍛えてやろうか、考えていたところだ!」
「…そっか。そんだけ元気なら心配ないな。さ、帰ろうぜ。俺、戦ったら腹減っちゃったよ…なぁアラタ、なんか作ってくんないか?」
「急に振ってきたな…まぁいいよ、なにが食いたい?」
「久しぶりにシチュー作りましょうよアラタ様」
そうアラタ、ローナと会話を交わすレイジの背中を見ながらまたユキヒメは思う
しかし、それは決して不愉快なものではない
(…レイジ…妙な男よ)
◇◇◇
そんな特訓も終わりレイジらと別れ、ローナが晩御飯の準備を手伝ってくるといって厨房へと言った後、アラタはふぅ、と一息
「ふぃ~…今日はいろいろ疲れたなー」
しかしローナに一本取られるとは
自分もまだまだ甘いな、と痛感させられる
「おっかえりぃ!」
その一言と共に自分にダイブしてくる一人の女の子
すっかりもう慣れっこなので堂々とそれを受け止めてゆっくりと頭をなでる
「ただいま、ニュー」
「うん!」
そう言って彼女はにぱー、と笑顔になる
「いや…その子はすごい元気だな…」
ニューの後ろから歩いてくるバレット
頭を掻いて苦笑いを浮かべる彼女の顔は若干ながら疲れている
「ニューがなんか迷惑かけたかな?」
「とんでもない。私も楽しかったさ。…ただ元気すぎてな…。私は何とか乗り切ったが、ノエルとマコトとツバキが力尽きてしまってな…」
そう言いながらバレットは自分の後ろを親指を指す
指した方向には三人がぐったりと倒れていた
まるで屍のように
「…あっちゃー…」
またいらん犠牲を出してしまった
そのうち三人には何か好物でも作って詫びよう
そう心に誓うアラタなのでした
◇
「ローナ、そっちのお皿取ってくれる?」
「はーいただいま」
厨房にて
そこではローナとサクヤが晩御飯の支度の真っ只中であった
ちなみに今日の献立はカレーライスである
「…ふふ。またこうしてサクヤさんと一緒に料理できるなんて嬉しいです」
「私もよローナ。よく帰ってきてくれたわ」
手渡されたお皿に白米を持っていきながらサクヤは答えた
念のため結構多めに白米は炊いておいたのでおかわりが多めに来ても大丈夫だ
ちなみに今回エルミナとアルティナはお休みである
「そうだサクヤさん。差支えなければ、一個聞いていいですか?」
「ええ、いいわよ。私に答えられることなら何でも」
カレー鍋を煮込むローナにサクヤは笑顔で了承する
了承を得た彼女は「では…」と言葉を区切った後サクヤに向かって
「…アラタ様の事、どう思います!?」
「…はい!?」
何をいっているのだろうかこの子は
しかも今妙に気になっている男性だというに…
「私、お似合いだと思うんです。落ち着きがあるサクヤさんと心の広いアラタ様…そんな二人が一緒になったら私も精一杯サポートできます!」
「け、けど…えっと…!」
こういう時になんで言葉が思いつかないのか
恥ずかしさで頬が赤くなっていくのが分かるくらい動揺している
「だいいち、仮に私がそう思っていたとして、アラタがそんな…」
自分に好意を抱いているはずがない
私の都合にも関わらず古代兵器の事を手伝ってくれてる厚意は素直に嬉しいのだが…
それが好意か厚意かで言ったら恐らくそれは前者だろう
しかし
「そんなことないですよ。アラタ様はきっとサクヤさんの事好きです」
「―――!」
ドキリ、と胸が高鳴ったような錯覚
なんだか心臓の動機が早くなっていく
「アラタ様にとってサクヤさんは恩人なんだって。心配ばかりかけて申し訳ない、彼女を助けたいって…いっつも言ってます」
「…アラタ、が」
彼女は続ける
「まぁそれが本当に恋かは早計かもしれないですけど…きっとlikeよりloveだって信じたいです」
そう言ってローナはまた笑顔を浮かべる
純真無垢な、笑顔
「…と、とりあえず…カレーを早く配りましょう」
「あ、はい! すっかり忘れてました!」
◇
夕食後、サクヤの自室にて
あの時はそう言ってごまかしたが改めて考えてみると動悸がとまらなくなってくる
今まで否定しようとしていた自分の気持ちが溢れてくる
「…、」
…なんだかレイチェルに踊らされているみたいで癪だが、この際そんな事はどうでもいい
「アラタ…」
譫言のように彼女は彼の名前を呟く
何時からだろう? 彼に惹かれるようになったのは
何時からだろう? 自身の気持ちに気づかないふりしていたのは
こんな自分でも受け入れてくれるだろうか
こんな私でも誰かを好きになっていいのだろうか
それを幻想と呼び捨てて否定するなら容易い
だがそれを現実と呼び向き合って言葉を口にするのは困難だ
「けど…もうごまかせないわね」
ぐ…と座っている椅子の背もたれに彼女は背中を預ける
もう自分の気持ちをごまかさない
これ以上偽ってもきっとレイチェルに言い様に弄られるだけだ
だからこそ自覚する
自分は…
サクヤは鏡祢アラタが好きなのだ