シャイニングブレイド 〜蒼の魔導書を持つ男〜 作:桐生 乱桐(アジフライ)
結果、ヒロインはキルマリアになりました
…まぁ何時になるかは本当にわかりませんがいつか絶対
いよいよこの物語も終盤です
今回はクウガの方のアラタの友人が参戦です
ゲスト参戦はもうこれで最後です
拙いものではありますがどうか最後までお付き合いください
ではどうぞ
朝
窓から入り込む陽の光でアラタは目を覚ました
そして身を起こそうとして、一度そこで思いとどまる
自分の隣には安らかな寝顔でぐっすりと寝息を立てているニューの姿があった
下手に動くと彼女を起こしかねないので慎重に身体を動かしてベッドから身を乗り出す
どうにかベッドから出た後に掛布団をニューにかけ直し、その場で背筋を伸ばした
ぐぐぃー、と身体を伸ばし身体を覚醒へと促す
「…いつの間にかもぐりこんでるんだもんなぁ」
一応ニューにはニューの部屋が用意されているハズなのだが、どういう訳か朝起きるといつの間にかアラタのベッドの中に潜り込んでいるのである
困ったものだ
きょろきょろと自分の部屋を見回してみるがローラの姿はなかった
最近は彼女も人肌に慣れたのか刀形態で就寝をするようになった
…単にニューに気を使っているだけなのかもしれないが
◇
朝食を食べ終えて食器の洗いを手伝おうかと移動しようとしたとき、サクヤに呼び止められた
「アラタ、ちょっと待って」
「サクヤさん?」
小走りでアラタに近寄ったサクヤは少し呼吸を落ち着けて言葉を続ける
「いえ、さっき刃九郎が情報を持ってきてくれたの。お皿洗い終わった後でいいから、後でアラタも耳に通しておいて」
情報、とは一体何なのだろうか
最近発生したカオスゲートもそうだが、ここ最近不可思議な現象がよく起きていると思うのだ
何かの前触れなのだろうか…
いや、ここで考えてもしかたない
「わかりました、早いとこ終わらせて刃九郎さんとこに行きます」
「えぇ、お願いね。…その、よかったら洗うの手伝っても―――」
「いいえ、サクヤさんの手を煩わすわけにはいきませんよ、…その気持ちだけで嬉しいですから」
そう言ってアラタは足早に食器を洗いにすたこらと歩き去って行ってしまった
そんな彼の背中を見てサクヤは一言
「…ばか」
そう誰にも聞こえないように呟いた
◇◇◇
「カオスゲート、ねぇ」
サングラスをかけた一人の青年、クウガはそんなことを呟いた
本名はあるにはあるがここでそれを名乗っては無用な混乱を招いてしまうため、ここでは変身後の名前をそのまま名乗っているのだが
「どうにもそれのおかげで、敵の本拠地のクラントールにいけないんらしいの」
「時空の歪みって奴かね。…あとハクメンはどうした」
「例のごとくまだいないわ。どこか放浪しているのかも」
どうにもこう言った町の中だとハクメンの存在は視認することはおろか確認することもできない
…あの人は普段何をしているのだろうか
気にはなるがそんな事聞いても意味はないので心の中で留めているものとする
「それで。アラタはどうするの?」
「だから今それを呼ぶなっちゅうに。変に混乱したらどうするつもりだ」
戒めるようにレンの頭をポカリと叩く
叩かれたレンは「ぁぅ」と小さい悲鳴を上げながら頭をさすった
ちょうど天頂部をさすりさすりしながらこちらを上目遣いで見上げる仕草は可愛い
「…強くぶったぁ」
「いつもそんくらいだろうが。あと本名はなるべくほかの人がいないところで呼んでくれ。頼むから」
「わかったわよ…。ったく、それくらい大目に見なさいよね」
軽く言い合いながらクウガは前へと歩を進める
カオスゲートがどんなものか、気になるがそれは〝シャイニング・フォース〟の仕事だ
自分はそれを見守るのみ―――
◇◇◇
食器をすべて洗い終え、改めて食堂へと戻ってくる
そこにはすでにレイジとサクヤ、そして刃九郎の三人がいた
「来たかアラタ。ではさっそく先の情報を話していくとしよう」
アラタが来たと同時、刃九郎は先ほどの情報を話し始める
自分が来るまでわざわざ待ってくれていたようだ
「実は、先ほど拙者の手のものに砂漠の様子を探らせていたのだが…そこで何やら、奇妙なものを発見してな」
「…奇妙なもの?」
カオスゲートのほかにさらに何かを見つけたのだろうか
「うむ。あまり足のを踏み入れたことのないベスティアの秘境と言われる一角に調査隊を送り込んだところ…ある一角に四角い塔のようなおかしな建物がいくつか生えていたというのだ」
「…四角い塔? 砂漠に?」
そんなのは聞いたことない情報だ
気になったレイジの言葉に刃九郎は頷きつつ続ける
「その塔がなんなのか我々には見当がつかん。そこでさらに調査を試みたのだが、どうやら帝国の奴らもそれに興味があるらしくてな。うかつに近づくことが出来なかったのだ」
帝国軍もその塔を調べているなら、きっとそれには何かあるに違いない
もしかしたら精霊王の新たな情報でも掴んだのかもしれない
「いずれにせよ、放っては置けません。サクヤさん、カオスゲートの気になりますが、いったんそっちも調べましょう」
「えぇ、そのつもりよ。刃九郎、さっそく調査に向かいましょう」
アラタの言葉に頷いてサクヤが刃九郎にそう告げる
刃九郎はその言葉が来ると予想していたのか快く承諾する
「かたじけない。では現場へと案内しよう」
◇◇◇
刃九郎の案内の下、レイジとアラタらはその奇妙な建物付近へと足を運んだ
一見ただの砂漠しかないその地形、その奥にいくつか四角い塔があった
明らかにその建物の雰囲気はこの世界とミスマッチだ
というか、その建物の形状はアラタの記憶にあったもの
「…本当に四角い不思議な塔が…一体、これはなんなんだ…」
フェンリルが本当に物珍しそうな声色で呟く
「なんなんだって…ビルだろこれ!?」
「なんでこの世界にあんな建物が…」
ビル、というのに反応したのはエルミナとユキヒメ、そしてローナの三人
そもそもビルというのはレイジのいた世界と自分のオリジナルのいた世界、早い話現実世界でしかお目にかかれない建物だ
「…なんなのだ、その〝びる〟というのは」
「あぁ。俺の世界、エルデじゃこの建物の事を〝ビル〟って言うんだ」
「エルデの? …おかしいな、先代はそのような事話してなど…」
「そりゃ先代の頃にはこんなのなかったろうし…」
仮に先代の頃の自分たちの世界にはテレビも飛行機もなかった時代だろう
…頭の中にある記憶だから、自分自身はそんなの触れたこともないのだが
「こちらの世界では、異世界エルデのものがとても不思議に見えるのですわ」
クララクランの言葉にアラタが苦笑いで応える
それもそうだろう、いきなりこんな場所に鉄やら何やらで作られたでかい建物があったら
しかし今問題はそこじゃない
「…けど、なんでここにびるがあるのか、だね」
「カオスゲートのせいね。…しかもかなり危険な状態だわ…」
そのビル群も見つめた黒猫状態のリンリンが呟いた
「次元の亀裂であるカオスゲートがあちこちに発生したことで、世界の境界線が崩れだしたんだわ」
「境界線が、崩れだした?」
えぇ、とリンリンが頷く
「完全に崩れてしまえば、ゲートでつながった二つの世界は崩壊しやがて一つに融合する…、けどただ融合するだけじゃすまないわ」
「…どうなるんだ、そうなったら」
アラタの言葉に別の声が応えた
それは自分を鍛えてくれた女の声色
「簡潔に言うなれば、皆一つに混ざり合うわね」
レイチェル=アルカードである
その表現がうまく伝わらなかったのか、レイジがそれに聞き返した
「混ざり合うって…?」
「全部混ざり合って最終的には消えてなくなるって事よ。様々なものが融合し、やがて原型が留めないくらいに壊れていって…すべてが消え失せる」
レイチェルの言葉にレイジは一瞬言葉を失った
レイジだけではない、その場にいるすべての人の表情が消える
その沈黙を打ち破ったのはレイジだ
「冗談じゃねぇ。…エンディアスも、俺が生まれたエルデも、そんな風にさせるもんか!」
その心意気に触発されるように周りのメンバーの表情にも色が戻ってくる
当然アラタも同じ思いだ
「けど、それを防ぐには…一体どうすればいいんだ?」
いくら熱意があったとて、方法が分からなければ無意味だ
その方法をレイチェルから聞こうとしたその時だ
どこかからか金属と金属のぶつかりあう音が聞こえた
「…戦闘?」
こんな所で誰が戦っているのか
片方はおそらくドラゴニアだろうがもう片方はなんだろうか
偵察隊という線もありそうだが…
「あちらで誰かが戦っているようだ。行ってみよう!」
刃九郎に促され、〝シャイニング。フォース〟の面々は動き出した
◇
少年は戸惑っていた
何が起きたのか全くわけがわからない
確か数時間前、友人であるアラタがどこに行ったか知らないか、という名目で少年の寮に一人の女の子が押し入ってきたことで少年はアラタが消えたということを知る
しかしそれに魔術が絡んでいることもなく科学も絡んでおらず正直言って捜索の手がかりはゼロ
結局その日は一度操作をあきらめて一緒に住んでいるシスターと晩御飯を作るための材料を購入しようと外に出た
そして滞りなく食材を購入しさぁ帰ろう、としたその時である
突如として空間に変な穴が開き、自分とシスターはそこに吸い込まれたのだ
そして気が付いたときには―――
「ぐぅ!」
バキン! と変なケンタウロスのようなヤツが放った波動のようなものを自分の右手で打ち消す
その打ち消した隙をついて赤い髪の女の子がケンタウロスめがけて持っていた剣をを振りかぶった
「ちぃ!」
ケンタウロスは持っているその槍を動かしてその剣を受け止める
その鮮やかな動きはその敵がかなりの熟練者だということを物語っていた
「てぇいっ!」
「えぇい…!!」
そこでの隙を狙い、緑色の服にマフラーを巻いた忍者が援護するように釘を投げた
当然ながらケンタウロスはそれを捌き、距離を取る
「っと! …敵もなかなかやるわね…」
「流石将軍の一人…調査に来て正解でござるな」
その忍者の名前はシシガミ・バングって言うらしい
というか聞いてもいないのに名乗ってきた
「なんか撃ってきたら下がってくれ、俺が右手で防ぐ!」
「有難いわ、頼りにしてるわよ」
赤い髪の女性を中心に黒い髪の人と、クリーム色の髪の人が集まってくる
少年―――上条当麻は右手を構え三人を守るように立ちはだかる
ちなみに同居しているシスター―――インデックスは流石に危ないので隠れてもらっている
「あぁ! 防げるのは全部防いでやる!」
◇◇◇
「あれは、スレイプニル!」
その戦いの音がする方向へとやってきて開口一番アラタが発した一言がそれである
どういう事だろう、奴は一度本拠地に戻っていたはずだし、ここに来る理由なんて…
ていうか、それ以前にそのスレイプニルと戦っている人たちは一体何ものなのだろうか
「い、いや、スレイプニルもそうなんだけど…、そ、それ以上に、もっとヤバい相手が…」
だがしかしレイジの目線はそれとは別の方向にあった
それは戦っている人らの方である
「スレイプニル以上だと? …確かに、あのツンツンした髪の男を除いては娘たちは中々の腕前ではあるが…」
◇
それと同時期にクウガも内心驚いていた
表だってついてくるとなんか気まずいのでクウガは身を隠しながら彼らについてきたのだが
「…なんであいついんの」
誰かが戦闘している、という彼らの話を聞いて気になったクウガもそこに来ては見たのだが、戦っているメンツを見て驚いた
どういう訳か見慣れた友人が戦っていたのだ
これもカオスゲートの影響なのだろうか
「…けど、これはもう他人事じゃなくなってきたな」
今までは正直もう一人の自分を適度に見守りながら必要とあらばのらりくらりと戦っていた
しかしカオスゲートの出現が自分の世界さえも巻き込んでいるというならもうこれはこの世界だけの問題じゃない
…もしかしてあのレイチェルって奴はこの事を予期していたのか?
だとしたら、本当に何者なのだろうか
「…さて、行くしかないか」
もうこれ以上隠れて〝シャイニング・フォース〟を追うのはやめだ
「…戦う理由ができたみたいだ」
◇
「あああああーっ!! レイジ! 何やってるのよこんなところで!」
こちらの視線に気が付いたのか赤い髪の女の子がレイジを指差して大声を上げた
レイジの名前を知っているあたり、彼女はレイジの知人だろうか?
「ひぃ!! や、やっぱり! 姉ちゃんこそ、どうしてこんなところに!!」
「…姉ちゃん!? あ、あれってレイジの姉なの!? ていうか姉がいたの!?」
ここでまさかの事実
というか姉弟でこの世界に来るとはどういう状況なのだろうか
「あ、ああ。…まぁな。姉というか、天敵というか…」
「何一人でごちゃごちゃ言ってるのよ!! 状況見ればわかるでしょう! か弱い女の子を手助けしようって気にはならないの!?」
「この敵は、私たちだけでも撃退可能。ただし、援護があれば戦闘時間の短縮ができる。簡単な事」
「レイジくん、お願い。手を貸して、貰いたいの…」
「な、なに? 皆さんの知り合いですか?」
「どうやらそのようでござるな…。いずれにせよ、ここでの援軍は助かるでござる」
女性三人からの懇願にレイジは頭を抱え
「ああああ…姉ちゃんに加えて、アインまで…! 優しいトウカ先輩がいてくれるのが、唯一の救いだけど…」
なぜかは知らないがどうやらレイジは姉を苦手としているようだ
いや、苦手というか頭が上がらないというか
「レーイージー…! いつまで待たせる気!?」
「ひっ! わ、わかったよ! すぐ行くから待っててくれ!」
キャラがブレまくっている気がするのだが
何時ものレイジとは比べ物にならないその言動にエルミナが
「どうしたんですかレイジさん。そんなにおどおどして…まるでわたしみたいです」
「だ、だってしょうがないだろ!! 相手が姉ちゃんと、その仲間たちじゃ…ってそんなこと言ってる場合じゃない! とにかく行くぞぉ!!」
半ばやけくそに言うその姿にアラタは苦笑いを隠せなかった
微笑ましいその様子に
◇◇◇
「そう勇んでいるところ悪いけど、先陣は俺が切ってもいいかな」
それぞれが獲物を構え、突撃しようとしたその時、後ろから声をかけられた
その人物はサングラスをかけ、服装は以前アラタが来ていた服装に似ている
しかも背格好はどことなくアラタにそっくりなのだ
(…オリジナル?)
アラタはすぐにわかったが、ほかの皆は完全にここで初めて出会ったのだ
分からないのも無理はない
「…えっと、その、誰だ?」
「名のない新人さ。…あそこに知人がいるからね」
そう言って男はレイジに応え、前に出る
そして腰の所に手をかざした
直後、その腰の身体の内側から現れ出でるようにベルトが現れた
そしてその男はアラタに向かってこう言った
「鏡祢アラタ、俺は最初にお前を導き、見守るため〝
「…?」
男は両手をだらんと下に向けて続ける
「けど事はいかなくなった。あのカオスゲートは、なんか知らんが俺の友人まで巻き込んじまったらしい」
男は戦っている人たちの方に目を向けて苦笑いを浮かべる
その笑みは数日前に見せた笑顔と似ていて、それでいて親愛の念が込められていた
「…だから一緒に戦う。この世界と、自分の世界の為にな」
「…お前」
男はそう言って振り返りレイジに向かって
「そんなわけで、よろしくなリーダー」
「お、おう! 誰だかわかんないけど、仲間になってくれてるんなら大歓迎だぜ!」
「はは…、お前とはいいダチになれそうだ。…変身!」
呟きながら一定の動作の後、男はベルトの左側のサイドスイッチを押す
そして両手をバッと開くと彼の身体が変化していく
その変化には誰もが驚きを隠せなかった
「…仮面ライダー、クウガ」
金色の二本の角に赤い炎のような真紅の鎧
紅蓮の複眼は何を見ているのか
「行こうぜ、リーダー。んで、アラタ」
二人に告げてクウガはアラタの隣に並ぶ
アラタはその隣にちょっとしたこそばゆい感情にドギマギしながらも、レイジに視線を向ける
レイジはそれに頷いて霊刀となった雪姫を構え、改めて叫んだ
「よーし…皆、行くぜぇぇぇ!!」
その叫びと共に、新たな仲間を加えた〝シャイニングフォース〟は戦っているレイジの姉たちを助けるべく、駆けだした
背負うべき世界、守るべき