シャイニングブレイド 〜蒼の魔導書を持つ男〜 作:桐生 乱桐(アジフライ)
少しづつアークに対してのモチベーションを上げながら書いてます
近いうちにプロローグでも書いてみようかな、と思う今日この頃
相変わらずの出来ではありますが感想等ありましたら嬉しいです
それと誤字、脱字があったら気兼ねなくご報告くださいませ
「レイジー! いつまで待たせるのよ! 早く手伝いなさいっ」
駆け寄って開口一番レイジの姉がレイジに向かって言い放った一言である
それに追撃をかけるかのように
「急いで、戦闘準備を」
黒い髪の女の人がレイジに言う
そう言われて若干たじろいだ表情を見せながらも「わかったよ…」と言い返す
「…なんだ。リーダーは姉気になんかトラウマがあるのか」
「トラウマっていうか…その苦手というか…」
クウガの問いに苦笑いで応えるレイジ
なんか知らんが相当苦手意識を持っているようだ
そんなレイジにクリーム色の髪の女の人が近寄り
「ごめんね、レイジくん…」
「い、いえ、トウカさんは別に悪くないですよ! あは、あはははは…」
思いっきり笑いが乾いている
…どんだけ姉が苦手なんだよ、と内心呟くアラタだった
「精霊王の卵の手がかりを求めて来てみれば、貴公らと…そして貴様と遭遇できるとはな。ちょうどいい、ここで貴様らもろとも討ち取ってくれる!」
スレイプニルが槍を構えてアラタの方へとその切っ先を伸ばす
上等だ、ここで討ち取られる気は毛頭ないが、アイツの視線は自分が引いておけばこの戦いは少なくとも戦いやすくなるはずだ
狼奈を構えるアラタを背にクウガはもう一つの目標に歩み寄る
「当麻」
当麻、と言われたツンツン頭の少年はこちらを振り返ると「おお!」と久しい友人に会ったようなテンションで駆け寄ってくる
「アラタぁぁ!! 今までどこにいたんだよ! 心配したんだぞ!!」
おもっくそ自分の本名をばらされてるが当麻は事情を知らないので仕方ない
自分の名前が叫ばれてるとき何人かの兵士さんが振り向いてる気がしたがあえてスルーする
いちいちそんなもの相手にしてたら身が持たない
そういったもろもろの話をするのは砦に帰ってからで構わない
「当麻も。こんな場所だが久しく会えて嬉しいぜ」
「おう! 御坂なんてわざわざ俺の寮にまで足運んできたんだぜ?」
「…美琴が?」
御坂美琴
自分の本来の世界にいる大切な仲間の一人だ
学園都市に七人しかいない超能力者で、異名は〝
彼女とはあちらの世界で数々の死線を潜り抜けてきた戦友であり、気兼ねなく話せる女友達である
「そうか…心配かけちゃったな」
譫言のように呟いてクウガは両手をパンパンと叩く
美琴も心配だが、黒子や初春、佐天もいるし大丈夫だろう
「ところでインデックスは?」
「隠れてもらってる。流石にこんな場所じゃ、アイツは危険すぎるからな」
納得の判断だ
おまけにこんな世界では彼女の保有する十万三千冊も意味を成してはくれないだろう
それを確認するために少しきょろきょろとあたりを見回してみるとビルの陰に彼女を見つけた
あそこにいるならば問題はないだろう
「…さて、当麻。お喋りはこのくらいにしとこうか」
「ああ。敵さんもすっかり準備万端みたいだからな」
周囲を見渡すとそこは骨の兵士に囲まれていた
まぁ周りが戦ってる中呑気に話し込んでいた自分らが全面的に悪いんだが
「無理すんなよ。お前は生身なんだから」
「慣れっこさ。…まぁトドメとかは任せる」
そう言われて久しく友人が隣にいることを感じる
その感覚を思い出し、クウガは仮面の下で笑みを零し、クウガは目の前の敵に向かって駆け出した
◇
敵のほとんどは赤い布を纏ったボーンファイターで編成されており、集団戦に特化していそうだ
しかしその集団を翻弄するかの如く、一人の忍びが駆け回る
そして時折そのボーンファイターの前に姿を現してその骨の身体に拳打をブチ当てる
「鳩尾スーパークラーッシュっ!!」
バゴォッ!! とその一撃を貰ったボーンファイターは付近の大勢を巻き込んで吹っ飛んでいく
「ウオオオオォッ!! 唸れ拙者の魂よっ! 悪逆非道を繰り返すドラゴニアに正義の鉄槌をぉぉぉ!!」
雄叫びを撒き散らしながら戦うバングの背中を見ていたレイジの姉は付近で戦っているレイジに向かって小さい声でこう言った
「…ねぇ、どうにかならない?」
正直に言ってそれは敵味方含めての共通の感想でもあった
アイツ本当に忍者か? と疑問に思うほどに騒がしいのである
それでいてしっかり実力はあるのだから注意していいものかまた困りものだ
「…そんなこと言っても、もともと姉ちゃんたちの方があの人と一緒にいたんだろ?」
「そんな事言われても会ったのはついさっきなのよ? 正直言って知り合いって言えるほどじゃないんだから」
そういう事なら仕方ないと言える
逆に考えればこの戦いが終わるまではあの騒がしさに付き合わなければならないということだ
あの騒がしい声を聞きながら戦うのは少々厳しいが、はっきり言えば嫌だが
そんな騒音をBGMにアラタは幾度目か分からない好敵手、スレイプニルと切り結んでいた
鋭く研ぎ澄まされた槍の一撃を交わし、同様にアラタも狼奈による斬撃を切り込んでいく
ガキン、とお互いの槍と狼奈が交差し、つばぜり合いへと移行する
相手の顔を睨みながら口ぐちに言葉を発する
「フ…、やはり貴様と切り結ぶのは滾る!! あの時死んだものと思っていたがやはり生きていたか!」
「当たり前だ! あんな程度で俺が死ぬかよ!」
ガッとアラタは鍔迫り合いに打ち勝ちその体に蹴りを当てて距離を取る
スレイプニルは態勢を立て直しながら再び槍を構え、それをアラタに向け
「霊刀もより鋭くなった…、危ういものよ」
「<まぁ、褒めてくれてますか? ケンタウロスさん?>
「抜かせ!!」
◇
クウガの蹴りがボーンファイターの頭を吹き飛ばす
吹き飛ばされた頭は地面に跳弾し周囲の敵兵士も巻き込んで自分ももとに戻ってきたそのタイミングで自身の拳で叩き落とす
しかしまだ敵の数は減ってはいない
自分の周囲を取り囲むボーンファイターの軍勢にはちょっぴりうんざり気分である
あの忍者もうるさいし
付近を見渡しても武器になるのもは転がってはいない
こういった状況の時はやはりあの青いクウガの方がやりやすいのだが…
そういった思考にふける暇もなく第二陣がクウガに向かって襲い掛かる
自分の後ろで戦ってくれている当麻がいる分戦いやすいがそれでも数で来られると辛いものがあるの
そんなクウガらを援護するかのように目の前で一閃されるボーンファイター
一閃したのは黒い髪の女の子だった
「数で圧倒されるのは危ない。援護する」
「悪い、感謝する」
短く言い合ってお互いの後ろにいたボーンファイターに向かってそれぞれ剣撃と蹴撃を叩き込んだ
これで少しは楽になっただろうか
◇
そんなクウガや当麻を見てシスターはあわあわと慌てた様子で思案する
「うう~…このままじゃ…あらたもなんかピンチなんだよ…」
ここの周囲に武器となるものがない
唯一の武器と言えばあの変な骨の化け物だが次々と襲い来る奴らには剣は効率が悪そうだ
不意にがさり、と自分の足元に何かがぶつかった感触がした
ふと足元に視線をやるとそこにはここに来る前に当麻と購入したコンビニ袋が
そのコンビニ袋の一つに一際目立つものがあった
それは結構長めなゴボウである
割と棒くらいはあるのではないかというようなゴボウが
インデックスはそのゴボウをじーっと眺めて思いついたようにそのゴボウを手に持った
「…もしかしたら、もしかするかも!!」
そしてインデックスは隠れていたビルの陰から飛び出して一目散に走って行く
◇
「あらたー!!」
何やら思いっきり自分の本名を全力で呼ぶ女の子の声が聞こえた気がした
その言葉に驚いたのは自分だけではなく、というか自分以上に驚いていたのは当麻だ
「インデックス!! なんで出てきた!!」
当麻の声に若干たじろぎながらも、それでもインデックスは走る
そして
「これを使ってー!!」
そう叫びながら何かをクウガに向かって投げつけた
パシッとクウガは受け取り、それを眺めて
「…ゴボウ?」
とりわけ長めなゴボウである
どういう考えを持ってこのゴボウを投げてくれたのだろうか、と考えたところで彼女の考えに思い至った
「…そうか!」
クウガはゴボウを握ったまま一定のポーズを取って叫ぶ
「超変身!!」
その動作の後、赤い鎧は徐々に済んだ青色へと変わっていく
それと同時に彼の手にしていた長いゴボウも姿形を変え、両端がシャン、と伸縮し一本の棒となる
クウガは一度インデックスを目視する
するとそのインデックスの周りには数人のボーンファイターが取り囲んでいるのが見えた
それを確認したクウガは一度の跳躍にてインデックスの傍まで移動し着地すると周囲に向かってその変化した武器〝ドラゴンロッド〟を振るい骨の兵士を蹴散らしていく
「あらた!」
「サンキュインデックス! 危ないから改めて隠れてろ!!」
攻めてくるファイターを薙ぎ払いながらインデックスに避難を促す
促されたインデックスは大きく頷き元のビルの陰へと走って行く
その背中を見届けながらクウガはロッドをシャン、と振るいあたりのボーンファイターを迎撃する
「…さて、どこまでいけるかな」
シャン、となるロッドを構え直し、自分を睨んでいるか分からない相手の眼を睨み返しクウガはまた駆けだした
◇
「これで…!!」
クリーム色の髪の女の子が放った矢の一撃がボーンファイタ―を貫く
どうやらそれが最後の一体だったらしく、辺りにはその骨の兵士らの残骸が多数あった
というかほぼそれだ
「これで、あらかた片付いたか?」
「そのようでござるな…」
当麻とバングの二人が周囲を見渡しながら各々に呟いた
どうやら本当に兵士的の奴らはいないようだ
「…あとは」
黒い髪の女の子が呟きながらある一点の方向を見る
そこには黒いケンタウロスと刀を持った少年の姿―――
ずさぁっ! と一度距離を取ったスレイプニルは構えを解き、軽く周囲を見渡した
そして残ったのは自分だけだと認識するとふん、と鼻で笑いながらも
「やはり雑兵程度では相手にはならんか」
「当たり前だ。俺の仲間を舐めんな」
スレイプニルはふ、とまた小さく笑みを浮かべながら踵を返す
背をアラタに向けた状態で歩きながらスレイプニルは呟いた
「次だ」
「…なに?」
「次で貴様との因縁に決着をつける」
一方的に言いつけてスレイプニルは足早にその場を走り去っていった
その背中に言い様のない何かしらの決意のようなものがあった
「…上等だ」
それにアラタも応える
もうそろそろ刺された借りを返したいと思っていたところだ
◇
「相変わらずねカノン。まさかあなたたちも来ているとは思わなかったわ」
戦闘が収束に向かい、サクヤは赤い髪の女の子に向かって歩いて行きながら口を開いた
赤い髪の女の子はサクヤに気が付くとぱぁっ、と表情を明るくし
「サクヤさん! やっぱりこっちにいたんですね! 海外研修とか言ってすっと休んでたから、もしかしたらって思っていたんだけど…」
それに付け足すように黒い髪の女の子が
「剣道部の人たちが顧問いないと練習ができないって言ってた。レイジの事はあんまり気にしてなかったけど」
「…あ、っそ。冷たい奴らだなぁ…」
つまらなそうににレイジは呟く
あまり心配されていないとはなんとなくわかっていたのだろうか
「そんな事よりカイト! カイトこっちに来てませんか!? あいつも最近姿が見えなくて…」
焦る赤い女の子を制しながらクリーム色の女の子が喋りだす
ほのかに吹きすさぶ風がその髪を揺らす
「実は、こちらの世界から私を呼ぶような声が聞こえて…、それを確かめるためにこの世界にやってきたんです」
「私の友達が教えてくれた。きっと精霊王の一人が助けを求めている声だと」
黒い女の子が続けた
それ以前にこの女の子は今さっき、精霊王と述べたような気がする
つまりそれは…
「そこの女性も、
アラタの疑問にクリーム色の女の子は首をかしげた
琥珀のような瞳がアラタを見据える
「
首をかしげるその仕草から察するに本当にわかってなさそうだ
積もる話もありそうなのでそこでいったんレイジたちは拠点へと戻ることにした
◇◇◇
ベスティアへと戻る道すがら
アラタ(クウガ)は少し考えていた
先ほどのトウカ(クリーム色の女の子)の話から察するに彼女たちは目的があってこの世界にやってきたらしい
となると自分の世界の友人、上条当麻とインデックスはとばっちりでこちらの世界に飛ばされた、ということになる
…はた迷惑な話だ
こんな厄介事に絡まれるのは自分だけでいいのに
「うう…とうま~…お腹がすいたんだよ」
「我慢しろインデックス。…なぁアラタ、その拠点についたらなんでもいいからインデックスに飯やってくれないか? ちょっとでいいから」
「友人の頼みなら断れないけど…本当にほどほどだぞ?」
インデックスは半端なく食べる
どれくらい食べるのかというと某海賊王を目指すゴム人間並みに食べる
下手したらそれ以上かもしれない
その気になればベスティアの食糧を喰らい尽くす勢いである
「わかってる! そこは本当にインデックスに言い聞かせるから!」
「いっそこの食材を生のままで…」
「ぬわー! やめろインデックス! せめてそのゴボウではなく、このリンゴにしてくれませんかっ!」
相変わらずにぎやかだ
その喧噪を眺めながらクウガは思うのだった
◇◇◇
その後滞りなくベスティアへと到着し、トウカとカノン(赤い髪の女の子)、アイン(黒い髪の女の子)と情報を交換する
この世界の危機と精霊王について聞いてくれたカノンたちは快くそれを承諾
カノンに至っては
「そんなふざけた連中、許せるもんですか!!」
とやけに完全にやる気満々である
そしてもう一つ
「…やけに遅いと思っていたら」
「いやぁ、申し訳ないでござる。本当はアイラ殿から要請を受けた時に行こうとしていたのでござるが…。例のかおすげーとの一件を耳に挟んでしまってなぁ」
ジンと会話をしているバングである
なんでも忍びの里と呼ばれる場所のの長でありジンとは古い友人らしい
しかし表情を見る限りジンはバングの事に苦手意識を持っていそうだ
…性格が真反対だからだろうか
そして―――
「…本当にお前もここで戦うのか?」
クウガは問いかけた
自分の背後にいる自分の親友に
「当たり前だろ? あんな話聞いて自分だけ関わらないなんてできないさ。知ってるだろ俺の性格」
上条当麻
本来ならこの世界に関わる事なく学園都市で平和…かはわからないが少なくともここより安全な生活を過ごしていたはずだ
この男は困っている人を見かければ迷わず手を差し伸べて助けるような根っからの善人だ
おかげでフラグがバンバン立つ
「けど―――」
「皆まで言うなアラタ。少なくとも、
そう言ってまたアラタは「う…」と言葉を詰まらせる
上条当麻という男はとある事情で記憶を失っている
分かり易く言えば記憶喪失だ
正確に言えば喪失、ではなく破壊、だ
自分の性格、好み、何が好きかなどの自分にまつわる記憶と、自分が生きてきた上で培った思い出の消去
しかしこの男はそれを隠したうえで日常を過ごしているのだ
自分だったらまず耐え切れないことをこの男は平然とやってのけている
…本当に凄いヤツだよ、当麻
心の中でそう呟き苦笑いを浮かべる
こうなったらこの男は考えを曲げない
我が親友ながら惚れ惚れするほどだ
「…んじゃまぁ、流石に素手は痛いから手甲と足甲くらいは作ってくれるよう頼まないとな」
「? なんでだ?」
「…お前な、素手で鎧とかぶん殴る気か。そうしたいなら止めないけど」
「いえ…ぜひお願いします。前回の骨とかすっごい痛かったんです」
素直でよろしい
とりあえずそういった諸々の手配は後でこっちのアラタやリーダーに頼むとして、クウガは一つ気になった事を当麻に聞いた
「そういや当麻。インデックスはどうしたんだ」
「え? いや、食堂においた…まま…」
言いながら顔が青ざめていくのがはっきりわかった
もちろんそれはクウガもだ
「…言っていいかな」
「な、なんでせうか」
「馬鹿野郎」
時同じくして食堂
アラタは唖然としていた
今目の前で猛烈な勢いで食事している少女に
最初こそおかわりと言ってきた時に可愛いなとは思った自分を殴りに行きたい
シスターが座っているテーブルには空となった
「アラタどうすんのよ、このまま行けば明日の朝の分なくなっちゃうわよ!?」
自分の隣でアルティナがそう言ってくる
そんな事言われてもどうすればいいというのだ
ていうかかれこれ三十分食べ続けているというに一向に終わりの兆しを見せない
「…まさかドラゴニアより恐ろしい敵は彼女だったんだなぁ」
「言ってる場合じゃないでしょう!」
「ねね、あるてぃな。おかわりなんだよっ!!」
そう言ってまた清々しくも可憐な笑顔を浮かべる
その可憐すぎて純真な瞳にアルティナは「う…」と言葉を詰まらせて
「…えぇ、わかったわ」
「…アルだって負けてるじゃないか」
「あんな笑顔見せられたら断れないわよ…」
本日もインデックスは平常運転でございます
そのすぐ後、クウガと当麻が駆け付け〝シャイニング・フォース〟の面々の全滅は免れた
しかしその日の夕食はこれまでにないくらい貧相だったらしく、当麻とクウガが土下座して謝りに回った事はまた別の話