そしてあの人も登場!
では10話です。
ここは真夜中の16区の公園、蜘蛛のマスクを着けた智樹はそこのジャングルジムの上である者を待っていた。
因みに、一時間ほどジャングルジムの上で待機している。
「えーと・・・・・・何で態々そんなところに登ってるのかな?」
ジャングルジムの下から声がしてきた。
どうやら待ち人が来たようだ。
「やっと来てくれたな。待ちくたびれたぜ・・・・・『ホーネット』。」
智樹は蜂のマスクを着けた少女の喰種を見下ろす。
そして、空中で一回転しながらジャングルジムから飛び降りた。
「・・・・・まさかその降り方したかったからジャングルジムに登ったの、君・・・・?」
「おう!第一印象は重要だからな。」
智樹は清々しい程にハッキリと肯定する。
この様子だけをみればかなりの馬鹿に見えるだろう。
しかし、
「アハハハハッ!何だ思ったより面白いじゃん、君。」
蜂のマスクの少女は腹を抱えて笑っていた。
「ハ~、笑った笑った。・・・・・・で?態々十六区を目立つように歩いてたのは・・・・・私達、『ホーネット』に会いたかったから、でいいのかな?」
「ああ、まさかリーダーの『女王蜂』が直々に来てくれるとは思わなかったけどな。」
智樹は事があまりにも自分の思い通りに運んだため、思わず笑みをこぼした。
「それで、結局何?私たちを殺しに来たわけ?」
その言葉と共に、女王蜂は微かに殺気を醸し出す。
しかし、智樹は少しも怯まず、女王蜂を見据える。
「いや、その逆だよ。・・・・お前達『ホーネット』と手を組みたい。」
「・・・・・・・・理由は?」
「目標のため、かな。」
女王蜂の問に智樹は短く答える。
「目標ね・・・・・それ、ウチらにメリットあるの?」
「そうだな・・・・・・・・」
智樹は顎に手を当てて考える。
「・・・・・あれだな。『ホーネット』が危ないときに助けてやるよ。」
その言葉を聞き、女王蜂はまた笑い始めた。
しかし、先ほどのような大笑いではなく、マスクに隠れた口元に怪しげな笑みを浮かべてクスクスと笑っている。
「フフフフ・・・・・ねえ、それってさ、君が私たちよりも強くないと成り立たないよね?」
「まあ、そりゃな。」
「なら、見せて欲しいな・・・・・・『蜘蛛』の力を!」
女王蜂の背中から青白い一対の羽赫が発現する。
それはまるで虫の羽のようであった。
「その目標っていうのはよくわかんないけどさ、私に勝てたら何にだって付き合ってあげるよ。」
その言葉を聞き、智樹はニヤリと笑みを浮かべる。
「その言葉・・・・忘れんなよ!」
そして、智樹も八本の赫子を展開する。
「じゃ、始めよっか・・・・・・虫の喰い合いを!」
女王蜂は羽赫を大きくひろげ、智樹目掛けて一斉に射出する。
その弾速と攻撃範囲、弾数は回避不能に思われるほどだ。
しかし、智樹は八本の赫子で高速で飛来する羽赫を全て叩き落としながら接近していく。
「スゴいスゴい、これを捌ききるんだ・・・・・なら!」
女王蜂は一旦羽赫の射出を止め、今度は羽赫の俊敏性を活かしたフットワークで智樹の周囲を回りながら再び羽赫を断続的に放っていく。
「常にこっちの死角に入りながらの射撃か・・・・確かにさっきよりもやりづらいな。」
女王蜂の俊敏かつ緩急をつけた動きに、智樹は防戦一方であったが、
「だけどな、スピード勝負なら負けねえんだよ!」
智樹は一瞬で女王蜂に接近し、赫子を突き出す。
「ッ!?・・・・あっぶな!」
紙一重で回避し、後退する女王蜂だったが、智樹はものすごいスピードで追撃してくる。
「ウッソ!?甲赫でしょ、何でそんな速いのよ!」
女王蜂は羽赫で牽制するが、全て蜘蛛の脚で防がれる。
しかし、智樹が突きだす蜘蛛の脚も、女王蜂の素早い動きで回避される。
(チッ、らちが明かねえな。・・・・・やりたくねえけど仕方ねえ!)
智樹は覚悟を決め、牽制の羽赫を無視して特攻を仕掛ける。
勿論羽赫が智樹の体に刺さり、激痛が走る。
それでも智樹は止まらず女王蜂に肉薄する。
「マズイ!」
突然の特攻に、女王蜂は反応が遅れ、智樹の間合いに入ってしまう。
「終わりだあ!!」
智樹は赫子を、女王蜂の急所を外して肩を狙い突きだす。
勝負あったと思われた、その時、
「ッ!?」
智樹めがけて何かが突きだされ、それを赫子でガードした智樹は大きく後退する。
「ちょっと、今の私の奥の手だったんだけど・・・・・何あっさり防いでくれちゃってんのさ。」
そう言う女王蜂の右腕は・・・・・槍のように赫子を纏っていた。
「・・・・・おいおい、マジかよ。アンタ・・・・・『二種持ち』かよ!」
二種持ちとは、その名の通り二種類の赫子を持っている喰種のことだ。
「私は羽赫だけじゃなくてこの槍みたいな甲赫があったから、この二つを発現した状態の私を見た連中が『蜂』て呼び始めたんだよ。」
そう言い女王蜂は右腕の槍を一度大きくビュンッと振るう。
「じゃ、第2Rと行こうか。」
そしてそれに答えるように、智樹も赫子を大きく開く。
「ああ、こっからが本番だ!」
二人は気合いを入れ直し、再度激突する。
「いや、すまないが終わりだよ。」
「「!?」」
しかし、突如二人以外の別人の声が聞こえる。
その声は智樹の背後から聞こえてきたが、智樹は振り返る前に、自分の胸から突きだしている刃が目に入った。
「ガ・・・ア・・・・な、何が・・・・・?」
そのまま、智樹は倒れ、赫子も消失した。
そして、智樹の背後にいた人物が露になる。
「あ、アンタは・・・・」
その姿に、女王蜂は目を見開く。
その男は、眼鏡をかけた、捜査官にしては細身の男性。何よりも目を引くのは、雪のように白い髪の毛。その男は喰種であれば知らぬ者はいない死の象徴、『死神』と称される人物。
「有馬・・・・貴将!」
CCGの死神が今、虫達に鎌を降り下ろす。
次回、女王蜂 VS CCGの死神です。
あと平子さんも出てくるのでお楽しみに。