「はぁ・・・。疲れた」
無人機の戦闘が終わった後、ようやく先生達が来てくれた。だけど、俺達が倒したことで出番が無くなってしまったけどな。先生達は気まずそうな顔をして、無人機の回収をしていった。
ピットに戻った後に待っていたのは、織斑先生による労いの言葉と、何か様々な報告書。一体何の目的で攻撃したか分からない上に、今まで作られてこなかった「人が乗らないIS」という存在。どういう相手だったのかとか、質問に近い内容が書かれていた。
とりあえず報告書は書き終わったし、今回の事については緘口令が出たのも知っている。精密検査も終えた。だが、俺にはまだ試練があったんだ・・・。
「た、ただいま~・・・」
「・・・・・・・・」
恐る恐る部屋に入ると、頬をプク~っと膨らませて怒っている本音の姿が。
部屋に戻る時に他の先生が、「布仏さんが心配していた」と教えてくれた。本音は今、心配だった故に怒っているんだろう。
「あ・・・・その・・。ごめん」
「・・・ふーんだ」
「アハハ。馬鹿だよな。行かないでって言ってたのに、戦いに行っちまったからよ」
「本当に、その通りだよね~。ほ・ん・と・うに、心配したんだよ?」
あ~・・・。マジで怒っていらっしゃる。今回は、心配させたことを俺自身が分かってるつもりだ。彼女の怒り顔は、胸にチクリと痛む。
「だけど・・・これだけは言わせてくれないか?」
「何?」
「皆が、お前が無事で本当に良かった」
「っ!!」
これは本当の気持ちだ。もしも、怖気づいて戦えていなかったら・・・きっと、凄く後悔してたと思う。
俺の言葉を聞いた本音は、ビックリしたように俺のほうを見て、そして抱きついた。
「え!?」
「東風やん~!うぅ~、ごめんね~!!」
「い、いきなりどうしたんだよ!?」
「だってぇ、私たちのこと守るために、ひっく、戦ってくれたんでしょ?それなのにぃ・・・!」
泣きながら、俺の胸に顔を埋める本音。・・・しょうがないなぁ。
「よしよし。それじゃあ、お相子だな。本当にごめんな」
「うぅ~!東風やん~!」
それから本音は、しばらくの間ずっと泣きっぱなしだった。その内疲れたのか、今は穏やかな寝息をたてて眠っている。本当に、優しい子だなぁ。本音は。
・・・ん?なんだろう。彼女を見てると、胸が暖かくなる。
「気のせい、だよな」
とりあえず、彼女を寝かせてあげよう。そっと抱きかかえて、ベッドに連れて行く。そして丁寧に降ろすと、毛布を掛けてあげた。おやすみ、本音・・・。
いや、本当に馴れ馴れしかったと思う。いきなり頭撫でて、お姫様抱っこして・・・。名前呼びですら、他のクラスメイト達に驚かれているのに・・・。
そんなことを考えてしまい、俺はその日の夜、ずっと恥ずかしさで一杯だった。
~IS学園、とある地下室 千冬視点~
今回乱入してきた、謎のIS。東風谷や一夏の証言によると、このISは無人機らしい。最初こそ否定したいものだったが、パーツの解体現場に立ち会ったからこそ言えるだろう。これは無人機だと。なにせ、誰も乗っていなかったのだから。
私の視線の先では、真耶が無人機の解析を急いでいる。すると、ポーンという無機質な音が鳴った。どうやら解析が終わったみたいだな。
「解析が終わりました。織斑先生」
「すまないな。・・・結果は?」
「はい。この機体はどの国にも所属しておりません。しかし、それ以前におかしいものがあるのです」
「おかしいもの?」
そう言って真耶が見せたのは、ISコアのような球体だった。今は光を完全に失っているが、どこがおかしいのだろう?
「こちらの物質を解析してみたのですが、何故か『解析不能』という文字ばかりで・・・」
「何?」
「それだけではありません。このISコアらしきものに何か小さな文字が彫られていたのですが・・・」
その小さな文字とやらをスクリーンに映すが、これはヒエログリフか何かだろうか?見たことの無い文字だ。
「どの国の文字にも、これらと一致するものがありませんでした。一体これは・・・」
「・・・・・」
私はてっきり束が作ったものだと思っていたが、どうやら違うかもしれない。
「織斑先生?」
「あぁ、すまない。今日はもう休んでいいぞ」
「はい。では、失礼します」
私は考え事をしていた。ピットから出る時の東風谷の顔についてだ。
あの時の彼は、何か心当たりがあるような顔をしていた。ずっと顎に手を当ててブツブツと呟いていた。試しに聞いてみたが、
『いや、どこかでアレと似たような生き物と戦ったような気がするんですよ』
と言っていた。東風谷真・・・彼は何者なのだ?普通の高校生は、戦ったという環境にいることは少ないはずだ。
それに彼は、私と出会ったときに不思議な表情をしていた。どうやら私の目付きは、彼の父親がたまに見せる目つきに似ているらしい。つまり・・・彼の父親は、それなりの経験を持っているということだ。
「ぜひその父親と手合わせを(~~♪~♪)・・・束からか」
独特な着メロが流れたので、電話に出る。聞こえてくるのは・・・あの挨拶だ
『もすもす、ひねもす~?束さんだよ~!!』
「切るぞ。物理的な意味で」
『ま、待ってよ!電話の切り方は刀で斬るんじゃないよ!?』
「冗談だ。何の用だ?」
『ちーちゃんの冗談は、本当に実行されそうだから怖いよ・・・。さてさて、今回お話しするのはですね~・・・』
どこからかドラムロールが聞こえてくる・・・いや、これ絶対に誰かがドラムを叩いているよな!?
『なんと、3人目の男性操縦者が見つかりましたー!やったね、ちーちゃん!男が増えるよ!』
「おい馬鹿やめろ」
なんか言わなきゃいけないような気がした。電話の奥の方からも、「その台詞は駄目ぇぇぇ!?」という声が。そうか。3人目の・・・・
「はあ!?」
『真くんと同じように、私が保護者代理人でーす!よろしくお願いねー!』
「お、おい!束!・・・切られた」
ま、また部屋割りやら入学手続きやらをしないといけないのか!?うぅ・・・。胃が・・・。頭が・・・。
~束の研究ラボ 束視点~
ぬっふっふ~!久しぶりにちーちゃんの慌てる声が聞けた気がするよ!色々と聞きたいことがあるんだろうけど、こっちはこっちで忙しいのだ!
「博士ー。ISの塗装が終わったぜー」
「あ、お疲れ様ー」
奥から作業着の姿で現れた橙色の髪の女は、オータム。何か、テロ組織の任務で失敗してこの島に流れ着いちゃったらしい。居場所がなくなった以上、ここで私の助手として働いてくれている。
彼女には、3人目の男性操縦者である「あの子」の専用機の塗装を頼んでいた。
「にしても博士。本当にいいのか?あのISの武器、携行型マシンガンを除いて殆どブレードだぜ?」
「良いんだよ。あの子の戦闘スタイルはナイフ投げ。刃の扱いには慣れてるだろうさ」
他愛も無い会話をしていると、別の部屋から金髪の女が出てきた。名前はスコール。彼女も、オータムと同じくテロでの任務に失敗してここにいる。当然、今は私の助手だ。もしかして、頼んでいたことが終わったのかな?
「博士。違法研究施設の居場所を見つけました」
「やっぱり・・・」
私が密かに飛ばした人工衛星からの映像には、たまに違法施設が映っていることがある。くーちゃんも、その時に見つけ、急いで保護したのだ。
今回スコールにお願いしたのは、映っていた違法施設の居場所の捜索。映像から研究所の存在を明らかにしたのは良いものの、分厚い雲がかかっていてよく見えなかったのだ。
「研究所の場所はイギリス。博士。どうなさいますか?」
「当然、私が行くよ。くーちゃん。お留守番をお願いね~」
「かしこまりました」
このとき私は、予想外の出会いをするとは思っても見なかった・・・・。
はてさて、束は誰と出会ったのか?ヒントは、まだ登場していない亡国機業メンバーです。
次回は、あの二人に加えてオリキャラも登場!?
どうぞ、お楽しみに!