インフィニット・ストラトス~竜の血を継ぐ者~   作:G大佐

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スランプです・・・。遅くなってしまって本当に申し訳ないです。
久しぶりなので、文がおかしいかも知れません。では、どうぞ。


18話 狂気

 強大な力を感じて走った先は庭園。色とりどりの花が咲いているこの場所は、今は緊迫した空気を作り出している。というのも、目の前に俺たちを睨みつけている人間・・・いや、モンスターがいるからだ。

 黒い外套に身を包み、顔も闇に覆われて分からない。だが俺には分かる。こいつはヤバイ。下手したら飲み込まれそうな闇・・・。そんな雰囲気がじわじわと迫っている。

 

「ほう? 貴様ら、東風谷と十六夜の子か」

「っ!? 父さんと護さんを・・・?」

「テメェ、ボーデヴィッヒに何しやがった! あいつの目が正気じゃなくなってたぞ!」

 

 さっきボーデヴィッヒを見たんだが、目が虚ろな状態でフラフラと何処かへ行こうとしていた。それと同時に殺気と狂気が混じったような胸糞悪い雰囲気を感じた。彼女はさっき当て身をしたから気絶している。

 多分、この男が彼女に何かをしたんだと思う。いくら一夏を目の敵にしているからって、この変わりようは異常だ。催眠術か? 薬物か? 一体何をしたんだ・・・。

 相棒は目を赤く光らせて警戒している。変な動きをすれば、すぐに能力を発動できるような状態だ。

 

「彼女は、尊敬する者に振り向いてもらいたいそうだ。私はその手助けをしたに過ぎない」

「本当にそうですか? 助言程度で彼女を豹変させる事はありえない。答えろ。何を目的に彼女を利用するつもりだ」

「それは言えんな。せいぜい、己の力を最大まで利用できない自分を恨むが良い」

「ま、待ちやがれ!」

 

 今までに無い力を当てられて動くのもままならない。だが、最後の抵抗ってやつなんだろうな。俺は男の肩を掴もうと手を伸ばす。だが、手が届く前に奴は漆黒の翼を広げて飛び去ってしまった。目の前には茜色の空が広がっている。

 結局、奴が何をしようとしているのか分からなかった。俺は舌打ちをして地団太を踏む。そして少し冷静になると、相棒に声をかけた。

 

「相棒。アイツは・・・」

「おそらく、シャルロットさんとは別件だと思います。だけど、ボーデヴィッヒさんに何をしたんだ?」

 

 まだ敵の目的は分からない。だけど、何かやばい事が起こる。そんな感じがしてならなかった。

 

 

 

 ボーデヴィッヒを保健室に送り、俺は廊下を歩いていた。保健室の先生に一体何があったのか聞かれたが、階段から滑り落ちたって言っておいた。そのついでに、彼女の専用機の検査も。あの男が何か細工をした可能性があるからだ。だから今日は、ボーデヴィッヒは保健室から出られないかもしれないな。

 さて部屋に着いた。ドアを開けると、ルームメイトの本音が笑顔で迎えてくれた。

 

「おかえり~!」

「はははっ。ただいま」

 

 彼女は俺の懐へピョーンと飛び込んでくる。あんまりにも可愛いもんだから、思わず頭をワシャワシャしてやった。この子は何というか、妹のような感じがして頬が緩んでしまう。だからクラスのみんなから、「のほほんさん」って呼ばれてるんだな。

 すると、彼女がほんわかした顔のままで話し始めた。

 

「東風やんは、今度の学年別トーナメントでは誰かと出るの~?」

「そうだなぁ・・・。一応、相棒ことミツルと一緒に出ようかなと思ってる」

「ほうほう~。みっちーって、強いのかな?」

「み、みっちー? ・・・あぁ、相棒の事か」

「そうそう。東風やんと長い間組んでるってことは、強いのかな?」

「・・・・・あぁ。強いぜ。あいつは」

 

 あいつは素早さを生かした戦い方が得意だ。相手の死角から攻めたり、高い跳躍力で相手との距離をすぐにつめたりする。俺も、何度やられそうになった事やら・・・。

 まぁ、アイツには弱点があるんだが、あえてそれは言わない。ふとした事でばれてしまっては、対策を練られてしまうからな。

 

「本音はどうするんだ?」

「う~ん。実は、訓練機の予約が一杯だし、今年は代表候補生が沢山だから止めとく~」

「そうか。じゃ、俺か一夏を応援していてくれ」

「モチのロン~♪」

 

 そう言って、本音は近くの棚からビスケットを取り出す。この部屋で彼女が何かお菓子を出すのは、「一緒に食べよう?」と言う合図なのだ。俺はずっと立ちっぱなしだったから、椅子を寄せて腰掛ける。

 彼女はビスケットの箱を開けると、ダボダボの袖をまくってビスケットを取り出し、俺に渡してくれた。

 

「へへっ、ありがとな」

「どういたしまして♪」

 

 テレビをつけて一緒に談笑したり、俺が緑茶を入れて二人一緒にホッコリしたり・・・。こんな毎日が、俺は好きだ。今日はシャルロットの男装だったり、ボーデヴィッヒの異変だったりで疲れた。今はこのまったりとした空間を満喫する事にしよう。

 

「しかし、本当に美味いな。今まで煎餅くらいしか食べてなかったから・・・」

「そうなんだ? もしかして、あんまり洋風なお菓子を食べてなかったり?」

「そうかもしれないな。たまにカステラとかを貰った時は、家族みんなで食べたけど、あれは本当に美味かった」

「美味しいよね~♪ そうだ、いつか一緒にケーキとか食べてみない~?」

「お、ケーキか。食堂の人作ってくれるかな?」

「チッチッチ。このIS学園の食堂メニューはいっぱいだから、ケーキなんてお茶の子さいさいだよ~!」

「そりゃすげえや! じゃ、いつか食うか」

「やった~!」

 

 本音は、バンザイのポーズをして喜んでいる。俺は緑茶を飲みながら、今後の事について考えていた。リラックスしてる時と真面目な時とで、しっかりと切り替えないと、もしものときに大変だからな。

 

「(ラウラ・ボーデヴィッヒ。彼女を何とかしなければ)」

 

 彼女は、ドイツの代表候補生らしい。しかも彼女の「教官」と言う癖やビシッとした敬礼から見ると、軍隊に所属しててもおかしくない。すなわち、一番の強敵になるかもしれないのだ。あの異常な状態についても調べないといけないしな。

 明日にでも、相棒と訓練した方が良さそうだ。いや、待てよ? そもそもトーナメントのペアについては相談してなかった。

 ・・・・・しかたない。まずは相談してからだな。

 

 

 

 

~学園長室(一夏視点)~

 俺とシャルルは、目の前に居る人たちの前で緊張していた。入学式の時に激励の言葉を送っていた水色髪の先輩・・・更識楯無さんこと生徒会長。今まで用務員のおじさんと思っていた轡木十蔵さんこと、理事長。そして千冬姉。

 呼び出しを受けて最初に待っていたのは千冬姉だった。それから理事長と生徒会長が出てきて、シャルルのことについて聞いてきた。当然嘘をつけるはずがない。シャルルは全て話した。会社が脅されていたことも、自分が妾の子だったことも。見ると三人は「やっぱり・・・」みたいな顔を浮かべていた。

 

「千冬姉、気付いてたのか?」

「織斑先生だ。・・・まあいい。もし男性パイロットが見つかったなら、世界中が大騒ぎするはずだからな。少々違和感を感じていたんだ」

「先生。あの、僕は・・・・」

 

 シャルルが心配そうに尋ねようとした。だけど、生徒会長と理事長が優しい笑みを浮かべて、その心配を打ち消した。 

 

「さっきフランス政府から謝罪の電話があったわ。『入学に必要な書類に、不手際があった』って」

「他の人の書類が混じってたみたいで、性別を誤って記入したらしいです。そのため、間違って予備の男子の制服を渡してしまったと言い訳が出来ます」

 

 す、凄い・・・。あまりにもトントン拍子で進むから、逆に不気味さを感じてしまう。

 そうだ、シャルルがこうして女子として振舞えるのは、確か紫さんという人だったはずだ。お礼を言わないと。

 

「千冬ね・・・織斑先生。紫さんは、まだ学園に居ますか?」

「紫? 誰だそれは?」

「この学校に来てた方なんですけど・・・」

「おかしいわね? 今日は来校者は一人も来ていないはずよ?」

「「え?」」

 

 さらに千冬姉が言うには、来校者といえども生徒のプライバシーである寮には立ち入らせないらしい。

 じゃああの女性は一体どうやって? デュノア社を脅していた存在にいち早く気付き、真たちの父親を派遣してその行動を止めてしまう人物・・・。紫さんは一体何者なんだ? そもそも、そんな人を知っている真たちって・・・。

 

「織斑、デュノア。詳しく話せ」

 

 千冬姉に鋭い目付きで説明を要求された。俺は、背中に嫌な汗が流れるのを感じながら、部屋で何があったかを説明するはめになってしまったのだった・・・。

~一夏視点終了~

 

 

 

 

 次の日。俺は相棒と共にアリーナへ向かっていた。相談したらあっさりと受け入れてくれたから、早速訓練をしようと思ったわけだ。

 

「それにしても・・・クラスの奴等はどうしたんだろうな?」

「えぇ。なにやら男子には話せない内容らしいですが・・・」

 

 そう。朝教室に入ったら、女子達が一夏に対して何かソワソワしてたのだ。箒だけが頭を抱えて唸っていたんだが・・・何があった? 聞いても慌てた様子ではぐらかされるし・・・。少し気になることはあるが、すぐに振り払う事にした。これから始まるのは、仮とはいえ戦い。気を引き締めなければ。

 そうこうしているうちに、アリーナに着いた。今日は下にISスーツを着ているから、制服を脱ぐ程度で良い。それじゃあ、行きますか!

 グラビオスを纏って出てみると、セシリア、鈴、箒の三人がそれぞれ訓練をしていた。

 

「おっす。お前らも訓練か?」

「勿論ですわ。今回は鈴さんと組ませてもらいましたの」

「アタシが近距離をサポートして、セシリアが遠距離。これでバッチリでしょ!」

「二人なら分かるが・・・箒も出るのか?」

「う、うむ! たまには実戦で腕を磨かないといけないからな! うん、そうだ!」

 

 うん? なんで顔を赤くして・・・さては、一夏絡みか? きっと「トーナメントで優勝したら付き合って欲しい」とかじゃないかな。そんな恥ずかしい事でもないと思うんだが・・・

 

―――――警戒、熱源反応あり!

 

 センサーがISをとらえたらしい。反応がしたほうへ振り向くと、隣で爆音がした。見るとセシリアが膝をついている。鈴と箒は砲撃を放った少女・・・ラウラ・ボーデヴィッヒを睨んでいた。

 彼女の纏うIS「シュヴァルツェア・レーゲン」。カラーリングは黒だったはずだが、今のそれは明らかに変わっていた。前のを美しい黒とするなら、今のは禍々しさを混ぜた・・・毒を連想させるような色だ。間違いない。彼女は豹変してしまっている! なぜだ? なぜ検査に引っ掛からなかったんだ?

 

 

「ふむ、織斑一夏は居ないようだな」

「あんた、いきなり砲撃してきて謝罪もないわけ?」

「私が用があるのは織斑一夏だけだ。邪魔だから撃った・・・。それに何の問題がある?」

「どうやら貴様は、どこまでも私達に無関心なようだな・・・!」

 

 箒が近接ブレードを握り、今にも突撃しそうだ。まずい。砲撃だけで操縦者をふらつかせるということは、攻撃力がそれなりに上がっているという事だ。

 

「箒、今の彼女はおかしい。下手に刺激するな!」

「だが真! 砲撃だけであれだと・・・一夏が危険だ! 私達が何とかしなければ・・・」

 

 ただ怒っているって訳ではなかった。一夏を守る。そんな気持ちがあるみたいだ。鈴も「双天牙月」を連結してる。

 だけど・・・それでも危険だ。

 

「無闇に突っ込むのは自殺行為だ。お前達が傷付いたのを知ったら、一夏が今度は突っ込む」

「じゃあ、どうしたら良いのよ! セシリアはなんか様子がおかしいし!」

「なに!?」

 

 見ると、セシリアの身体から紫色の煙みたいなのが出ている。ま、まさか・・・・

 

「(狂竜化・・・! まさか、ボーデヴィッヒはウイルスに侵されてるのか!?)」

 

 ナナシさんが研究しているやつだ。確か、凶暴性を上げさせ、動物の場合は共食いすら引き起こす代物だ。セシリアは今そのウイルスに感染している。 激しい運動をすれば、初期症状を振り払う事ができるはずだ。

 

「セシリア! 今は逃げろ! ウイルスを振り払え!」

「ウ、ウイルス!?」

「激しい運動をすれば良い! 今はボーデヴィッヒから逃げろ!」

「わ、分かりましたわ!」

 

 セシリアがすぐにその場から飛行を開始する。だが、奴は逃がさないようだ。

 

「地べたに這いつくばってろ!」

「クッ・・・! 絶対に振り切って見せますわ!」

「狙うんなら・・・」

「私達を狙え!」

 

 俺、箒、鈴で狙いを向けさせる。セシリアのウイルス克服の時間稼ぎだ。するとボーデヴィッヒは、プラズマブレードみたいなのを出した。狙いは・・・俺かよ!?

 

「余計な事を・・・貴様から潰す!」

「そうはさせねぇよ、ドイツ軍人!」

 

 突っ込んでくるボーデヴィッヒと、ファイアテンペストを出して構える俺。鈴と箒が叫んでいる。そこへ・・・レーゲンとはまた違う黒いISが割り込んできた。

 

「全く・・・何をやってるんですか」

 

 相棒、登場が遅いぜ・・・・・。




もうそろそろ学年別トーナメント戦ですね。戦闘シーン頑張ります!
では、次回もお楽しみに。
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