インフィニット・ストラトス~竜の血を継ぐ者~   作:G大佐

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一ヶ月以上も空けてしまい、申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ! どのような流れにしようか悩んでいたんです。

今回は、一夏の視点です。ご了承ください。
また、原作のVTシステム暴走とは異なります。あるモンスターへの変貌です。


21話 変貌するラウラ

 真たちの戦いが終わって、次は俺とシャルルの番となった。真が鈴の双天牙月を壊し、それで動きが止まった隙に鈴へ蹴りを放った。そしてキャノン砲でトドメを刺して試合が終わった。その後にミツルと無言でハイタッチしてたのが印象的だった。

 さて、俺達の相手は箒と四十院さんのペアだ。そういえばよく二人が一緒にいるのを見かけたことがある。きっとコンビネーションは抜群だろう。ちなみに、二人の機体は共に日本の量産機「打鉄」だ。

 

「では行くぞ、一夏!」

「お手柔らかにお願いしますね」

「行こう、一夏!」

「あぁ!」

 

 俺とシャルルが二手に分かれる。シャルルが四十院さんに向かって行ったということは、俺の相手は必然的に箒となる。白式の雪片弐型と打鉄の葵が鍔迫り合う。ぐっ・・・! やっぱり剣道の力強さが活かされてるな。重い・・・!

 

「やっぱり受け止めると思っていたぞ! 素早く反応するとはな!」

「伊達にお前に鍛えてもらってないからな!」

「だが、足元が空いてるぞ!」

「があっ!?」

 

 いきなり足払いをしてきた。意外だぞ!? 普通だったら「武士としてやるものではない!」とか言いそうな感じなのに。

 

「意外そうな顔をしているな。だが、これは剣道ではなくISの戦いだ。・・・真がよく使うのを真似させてもらったがな」

「なるほど。納得だ・・・な!」

「むぅ!?」

 

 雪片で切り上げるが、箒は後ろへ下がって避けた。奇襲は失敗か・・・。

 そこから先は、互いに喋らない。俺が斬りかかれば葵で受け止められるが、装甲目掛けて蹴りを放ったりしてシールドエネルギーを削るようにしていく。箒は剣で受け止めるだけでなく、身体を捻らせて避けながらも攻撃を仕掛けてくる。まだだ・・・。まだ零落白夜を使うには早い。箒が構えを取る。目付きは、獲物を狙う鷹か鷲そのもの。俺も・・・負けてられねえ!

 俺はスラスターを噴かして距離を詰めようとする。箒も同様だ。そして、互いの刃がぶつかり・・・・・・・

 

 ダァン!!

 

 何かが乱入してきた。俺と箒だけでなく、シャルルや四十院さんも音のしたほうへ顔を向ける。

 

「・・・・ボーデヴィッヒ?」

 

 箒が呟く。目の前にいる黒い機体に長い銀髪。まさしくラウラだ。だけど、何か様子がおかしい。目は限界まで開かれていて、口から何か黒い霧のようなものまで漏れている。それに後ろの大穴・・・まさか、ピットを無理矢理突き進んだのか!?

 箒と四十院さん、シャルルたちで一ヶ所に集まって警戒する。

 

「一夏、あれは何だかヤバイよ」

「シャルルさんの仰るとおりです。何でしょうか、この殺気は・・・・」

 

 すると、彼女の身体が紫色に光り始めた。何か泥のような物まで出てくる・・・なんだよあれ!?

 

「いや・・・だ・・・・・・・・・嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 その瞬間、ラウラの機体が姿を変えた。腕の部分は鉤爪のようなものが生えた前足となり、背中からは膜が生えた翼のようなものが現れる。紫色の泥のような物はラウラをすっかり包み込むと、やがて頭のようなものへと変わった。

 例えるならば・・・・怪物だ。

 

 

 

 

 

 

《緊急事態発生! クラス代表及び専用機操縦者は生徒の避難誘導を、警備担当の職員はアリーナへ出動してください!》

 

 山田先生の切羽詰ったようなアナウンスが聞こえる・・・ってヤバイ!

 

「うがあっ!」

「い、一夏!?」

 

 ラウラだったモノは、いきなり俺に向かって腕を振り下ろしてきた。不意打ちを受けた俺は大きく吹き飛ばされて壁に叩きつけられる。やっぱり、俺が狙いなのかもしれない。だけどラウラ・・・。お前は、俺を倒すためなら何だっていいのかよ?

 すると、千冬姉から通信が入ってきた。

 

〔一夏! 大丈夫か!?〕

「も、問題ないぜ。千冬姉・・・」

〔鎮圧部隊がそっちへ向かってる! それまでの間持ちこたえてくれ! 無闇に戦おうとするなよ!〕

「そうは言っても・・・・・」

 

 顔を見上げると、大きな前脚が俺に向かって振り下ろされようとしていた。ブースターを噴かしてその場から離れる。だが、その振動があまりにも強すぎたのか、衝撃波のような物を感じて姿勢が崩れた。

 ・・・あれ、中にラウラが取り込まれてるんだよな? もしあんな強すぎるのを放ったら、ラウラだって無事ではないはずだ。

 

「一夏! 大丈夫か!?」

 

 箒が駆け寄ってくる。シャルルはマシンガンを構えて俺の盾になるように、四十院さんは打鉄のブレードを構えてシャルルの横に立つ。

 ラウラだったモノは、俺たちを見てグルルと唸ってる。もう完全に獣だな・・・。

 

〔あー、あー。聞こえるか?」

「真? どうしたんだ?」

〔いきなりでスマン。ただ、ちょっと嫌な仮説が出てきてしまってよ・・・〕

「嫌な仮説?」

〔ラウラが変貌してしまったが、あれはかなりヤバイ。お前達だけでなく、ラウラもな〕

「そりゃそうだろう。あんな人間でも辛そうな動きは・・・」

〔それだけじゃねえ。アイツから噴き出てる黒い霧のような奴は、精神に異常をきたすんだ〕

「「えっ!?」」

 

 開放回線(オープンチャンネル)で話されてるのでシャルルや箒たちにも伝わる、衝撃の事実。黒い霧が精神異常を起こす? じゃあラウラは一番危険じゃないか!

 

〔鎮圧部隊が来る前に、ラウラが死ぬぞ。身体だけじゃなく、心もな・・・〕

「そんな・・・」

 

 すると、ラウラだったモノが黒い塊を吐き出す。すぐに散開して被害は防げたが、着弾したところから黒い霧が円状に広がる。

 すぐさま相手はシャルルに向かって噛み付いてきた。

 

「うわっ! こ、このぉっ!」

「シャルルさん!」

 

 相手の頭の部分にブレードを突き刺す四十院さん。俺と箒も、翼のような部分に向かってブレードを振り下ろした。無闇に戦うなって言ってたけど、ここまで来たら戦うしかないじゃないか!

 対してダメージは与えられないと思っていたけど、すんなりと刃が通った。立て続けに斬られたことに痛みを感じたのか、苦しそうな悲鳴を上げてシャルルを離す。噛み付かれた部分は、黒い霧が蠢いていた。

 箒が慌てて駆け寄る。

 

「シャルル。その霧は・・・」

「うぅ・・・。痛くは無いのに気分悪い・・・」

「セシリアの時と同じだ。あの機体からの攻撃を受けると、こうなってしまうのか」

「キャアッ!」

「四十院さん!」

 

 相手は頭を振って、四十院さんを振り払った。それだけなのに大きく吹き飛ばされている。俺は雪片を構えて静かに突っ込んだ。再び翼を斬りつける。

 『奇襲をするときは大声を上げるな』。特訓のときに真が教えてくれた事だ。

 

「グルォォォォッ!?」

「ラウラ! お前はそんな姿になってまで、俺を叩き潰したかったのか!?」

「グアアアアアア!」

「ぐっ! 力に溺れてしまってどうするんだよ!」

「ゴアアアアアアア!」

「がああっ!?」

 

 相手が爪で引っ搔いてこようとするが、雪片で受け止める。すぐに斬ろうとしたが、尻尾が生えていたのか大きく吹き飛ばされた。さっきの壁に叩き付けられたときといい、頭がクラクラしてくる。

 すると、後ろから何かが突っ込んでいった。

 

「ボーデヴィッヒぃぃぃ!」

「箒!?」

「貴様、代表候補生ならば、そんな姿にならなくても一夏と渡り合えるのではないのか!?」

「グウウウッ!」

「私は・・・かつて姉さんを憎んでいた・・・。幼馴染だった一夏と離れてしまって、私は荒れた!」

 

 首の部分を、箒はブレードで斬りあげる。

 

「そして剣道の全国大会のとき・・・。私は決勝戦で、相手を滅多打ちにした。だが! ・・・・虚しかった。優勝という名を手に入れても、嬉しくなんかなかった!」

 

 箒は、喉が裂けるんじゃないかという勢いで叫びながら、胴体を斬る。そうか。入学した時に、箒が全国大会優勝の事を話題にしたら悲しそうな顔をしたのは、そんな事があったからなのか・・・。

 

「ボーデヴィッヒ! 千冬さんとお前の間に何があったかは分からない! だが、その様な姿になる事を千冬さんは望んでないはずだ! 目を・・・覚ませぇぇ!」

「グルゥゥゥアアアア!」

 

 箒の叫びを掻き消したいかのように腕を振り上げる。その時、発砲音が響いた。音のしたほうを見ると、アサルトライフル『ヴェント』を構えているシャルルがいた。もう一発と言わんばかりに弾丸を装填し、頭部へ。かなり効いたのか、相手はよろめいた。

 その時のシャルルと四十院さんの会話は、ブースターの音で聞こえなかった。

 

「・・・凄い」

「え? どうしたんですか、シャルルさん?」

「さっきまで気だるさのようなものがあったのに、何か・・・撃ったら少し清々しいって言うのかな? そんな気分になったんだ」

 

 

 

 

 

「箒。下がっててくれ」

「一夏? さっきまでフラフラだったではないか。大丈夫なのか?」

「箒が戦ってる間に頭がスッキリしたよ。ありがとな」

 

 雪片を握り締める。これ以上時間をかけたら、ラウラがもたない。さっき以上に力を込めて斬りつけることを考えた。

 相手は俺に向かって唸ると、牙の生えた口を開けて一気に駆け出した。俺はブースターを噴かして振りかぶる。

 

「おおおおおおっ!」

「ガァァァァァッ!」

 

 胴体と首の付け根を、大きく切り裂く。そこから現れたのは、死んだように目を瞑っているラウラの姿。俺は手を伸ばして彼女の身体を抱きかかえる。

 呼吸の音が聞こえる。良かった・・・生きてる・・・・・。

 

「グルアアアアアア!」

「っ!?」

 

 振り返ると、前脚を振り上げる怪物がいた。まだ動けるのかよ!?

 俺はラウラを庇うように抱きしめ、攻撃を受けようとする。すると・・・・

 

―――――バババババンッ!

 

 マシンガンによって怪物は大きく仰け反り、黒い霧に覆われた身体は消えた。

 発砲したのは、四十院さんに身体を支えてもらっているシャルルだった。彼女は少しニヒルな笑みを浮かべる。

 

「最後まで油断しちゃ駄目だよ? 一夏」

「シャルルだったか。・・・サンキューな」

 

 その後、俺達は先生方に肩を貸してもらいながら帰還。ラウラは保健室へ運ばれた。千冬姉による説教と、専用機の検査、反省文などの処罰はあったものの、トーナメント戦は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・相棒?」

「ちょっと保健室へ行って来ます。彼女と、話をしたいんです」




真とミツルは、他の生徒の避難誘導で戦いに参加できてません。
でも、原作キャラも活躍させないと・・・ね?

では、次回もお楽しみに!
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